ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

では、今回はイベントパートです。




第二十三話 第一高校へ行く

 

 

 

2月3日(木)7:20

 

第一高校の取材のため、早朝からりせと悠は他のスタッフと共にロケバスに乗り込み第一高校の近辺に到着していた。

 

こんな早朝から学校に訪れたのは、通学風景から取材を始めたいという、りせの要望からだ。

 

ロケバスは学校の前を通る。

 

「悠先輩!見て見て、すーごく大きくて広い!これ本当に高校?テーマパーク見たい!」

りせはバスの窓から第一高校を見る。

 

「でかいな。ジュネスの5棟は余裕で入りそうな敷地だな」

悠は相変わらずの感想だ。

 

魔法大学附属第一高校その敷地の広さは、普通の高校とは桁違いだ。

校舎も大きく。複数の実験棟や練習棟。大ホールを兼ねた議事堂。部活施設や森林や草原を要する広大な野外訓練所などもあり、ちょっとしたテーマパークと同じぐらいの敷地面積を誇る。

 

 

「悠先輩、今から第一高校に入るけど、変装の準備は出来てる?」

 

「まかせろ、完璧だ」

悠は自信満々にそう言いながら大きな風呂敷を取り出す。

 

そこからよくわからない着ぐるみを取り出し、慣れた手付きで装着する。

 

「ふぇ?クマ?……悠先輩それクマに借りたの?」

りせは悠のその格好を見て思わず吹き出しそうになる。

 

「そうクマー、クマが熊毛が生え変わって、もう一着出来たと言ってたクマ、それを送ってもらったクマ!」

悠は二頭身のまん丸いクマの様なよくわからないトリコロールカラーのマスコットの着ぐるみを着て甲高い声を再現し、クマ語を操り答える。

悠は稲羽で今もジュネスでチーフアルバイターをしている仲間、元シャドウのクマからこの外側本体とも言える熊革を送ってもらったのだ。

 

「悠先輩完璧!これで誰もわからないわ!」

りせはそんな悠(クマ)の頭をなでながら、完璧だと称賛する。

 

「まかせろクマ!」

悠は自らのクマの格好に自信たっぷりだ。

 

周りのスタッフはそんなりせと悠を見て……心配そうな表情をしていた。

こんなマスコットのことは聞いてないし、学校に入る許可がおりるのかと……

 

 

 

ロケバスは学校の裏口搬入口の駐車スペースに入り、スタッフ、りせ、クマ(悠)と降りていく…………

理事長と幾人かの教職員に生徒会メンバーなどが出迎えていたが…………

堂々とロケバスを降りてくる変な着ぐるみ(悠)の姿を見てぎょっとする。

 

出迎えのメンバーの中に居た真由美は…………

(鳴上くんが居ないわ?スタッフの誰かに変装しているの?本当にわからないわ自信たっぷりだったのは本当のようね…………まさかこのかわいらしい着ぐるみさんじゃないわよね。背丈も鳴上くんより小さいし…………)

その、まさかであることに気が付かない。

 

同じく、生徒会の期間限定書記という謎の役職を務めているリーナは深雪の補佐ということで、

ここに来ていた。丁度深雪と悠達の間をフォロー出来る立場と合って、断る理由は無かった。

(悠は何処?……変装しているのよね。誰だかわからないわ。自信満々に言うだけあるわね。…………まさか、あのブサイクな着ぐるみってことは無いわよね。悠より随分背丈も低いし)

やはり、そのまさかであることに気が付かない。

 

 

りせ達一行と学校側の代表が軽い挨拶を済ませた後……

まずは、校内に持ち込む機材を簡易検査機器でのチェックと、スタッフのボディチェックや金属探知機によるチェックを行うことになった。

 

これはテロ対策の一環だということだ。

高々、少人数での学校取材を行うだけのことなのだが、昨年第一高校は反魔法団体による襲撃を受けたばかりなため、仕方がない対応だろう。

 

りせのボディチェックはもちろん真由美が担当する。

真由美はりせに軽く無難な挨拶し、ウインクをする。

りせもウインクを返す。

 

 

そして……クマ(悠)の前に達也が立つ。

「ボディチェックをするので、その着ぐるみを脱いでください」

 

「き、着ぐるみじゃない、…クマ」

(ボディチェックだと、予想外だ。まずい)

悠はその達也を見上げ、焦る。

一番正体を知られたくない人物が目の前に……しかも、このクマの熊革を脱がそうとするのだ。

変装は完璧なのだが、悠はいきなりピンチを迎えていた。

 

「?……いえ、中の貴方をボディチェックをしないといけませんし、その着ぐるみも検査機器を通さないといけませんので脱いでください」

 

「中の人なんて居ない…クマ!これはクマの熊毛クマ。これは脱げないクマ!」

 

「??……いえ、脱いでもらわないと困ります」

達也は悠が言っている意味が理解できないが、真面目に自分の仕事を全うしようとする。

 

「あっ、そのクマさんは、私のマネージャー兼付き人なの……だから許してあげて」

りせはそんな達也とクマ(悠)やり取りを見、慌てて駆けつけて、達也にお願いする。

 

「熊?………いえ、これも規定で決まっているので、従ってください」

 

りせと達也とクマのやり取りに気がついた真由美も近づいていく。

(え?このかわいらしいクマさんに鳴上くんが?あとで一緒に写真を取りたい…………いえそんな場合じゃないわ。まさかこんなかわいらしい…いえ、着ぐるみで来るなんて思っても居なかったから、ボディーチェックの事を知らせて無かったのはうかつだったわ。なんとかしないと……)

 

「達也くん、良いんじゃないかしら?久慈川さんの付き人のようですし」

 

「七草先輩、そういうわけにいきません。これもルールです。一つ間違えば重大なテロ行為へと繋がります」

達也は正論を言い、頑なにクマ(悠)を調べようとする。

 

「オヨヨヨヨヨ、もしかして、貞操の危機クマ」

そう言って悠はりせと真由美の後ろに隠れる。

以前に比べ、クマの言葉遣いの再現度も高く、仕草もそれらしい。

変装は完璧なはずだ。なのに……ピンチは続く。

 

 

 

その様子を遠目で見ていたリーナは………

(りせと真由美は何をやっているのかしら?いきなり達也とトラブルでも起こした?………もしかして、あのブサイクな着ぐるみに悠が?何やってるのよ)

 

「リーナ、お兄様達は何をやっているのかしら?あの着ぐるみの方に何か問題でも?」

リーナの隣で達也達の様子を心配そうに見ている深雪がリーナに話しかける。

 

「み、深雪。あっちは、達也達に任せて私達は校内に戻りましょう。達也なら大丈夫でしょう」

リーナはせめて、深雪だけでもこの場から、離そうとする。

 

「そうね。お兄様なら、どんな事も完璧ですもの」

どうやら、リーナの言葉に、納得し、次の仕事の為にリーナと共に校内へと戻っていく。

 

 

 

その間も、悠は必死に抵抗し、真由美とりせは達也を説得するのだが、達也は頑なにルールを盾にと、譲ってくれないのだ。

 

「それでは校内への立ち入り許可を出すことはできません」

 

「達也くん、私達もついているのだから、大丈夫じゃないかしら」

(ほんと、こういう時だけは融通効かないんだから)

真由美は心の中で悪態を付きながら尚も達也を説得する。

 

「お願い。私もこのクマさんが居ないと不安なの」

(なんて強情なの、悠先輩とは全然似てないわ!)

りせも心の中で悪態を付きながらも、アイドルの久慈川りせとしてここに来ているため、いつものように感情を爆発させるわけにも行かず、演技で涙目をして達也に訴えかける。

 

「なぜ、七草先輩まで、こうも容認されるのですか?……警備体制に穴を開けるわけには行かないのはおわかりのはずでは?昨年の4月のテロを忘れたのですか?」

達也は真由美に矛先を向ける。

 

「そ、そうなんだけど」

全くの正論に真由美は反論できない。

 

 

「…………いいだろう」

悠は自らジッパーを開き、クマヘッドを持ち上げ、遂に姿を晒した。

悠はこれ以上は、逆に怪しまれる上に、真由美にまで疑いの目を向けられるのはまずいと、覚悟を決め、クマの熊革を脱ぐ。

 

「……なぜ最初からそうしていただけな……!?」

 

「………………」

「……♡」

 

「紳士の嗜みだ」

悠は余裕の笑みを浮かべている。

悠は自らの姿を晒したのだが………誰だかわからないだろう。

 

クマが作成したメガネの一つ。

ぐるぐる丸メガネに鼻ガード、紳士風おしゃれ髭を一体化させた。あの鼻眼鏡を装着していたのだ。

これで顔もバレずに、さらに顔面の、特に鼻への攻撃の防御も完璧な………はず?

………見た目は、ただの宴会芸風のユニーク鼻眼鏡なのだが………………

 

「「……………」」

達也と真由美は堂々とそれを公衆の面前で装着しているその姿を見て固まる。

 

「(悠先輩~)♡」

りせはいつもどおりデレていた。

 

「………その眼鏡は?」

なぜか真由美が質問してしまう。

 

「花粉症対策だ」

悠は自信満々に答える。

この時代、花粉症はほぼなくなった病状の一つなのだが………

 

「………まあ、良いでしょう。ボーディチェックと……その着ぐるみは検査装置に………できればその着ぐるみは着用しないでください。校内では目立ちすぎます……………あとその眼鏡も、代えが有るのであれば、早々に取り替えることをお勧めします」

達也は、あの着ぐるみから、自分より背が高い人間が出てくることにも若干驚いたが、その眼鏡を恥ずかしげもなく装着する人間がいた事に驚きを隠せないでいたのだ。

しかし、規定にも抵触しておらず、自分の仕事も遂行できるため、納得はしていないが容認する。

 

 

真由美は他人行儀な説明口調で、流石に鼻眼鏡で校内をうろつくのは無い事を悠に伝え、悠は渋々、りせがいつも携帯しているサングラスと普通のマスクを装着することになった。

 

確かにクマの熊革による変装は完璧だった。だが……その格好で学校に入る事にそもそも無理がある。悠の天然行動を止めれる人物がこの場に居ないことが最大の要因だろう。

 

 

 

2月3日(木)8:10

 

簡単な打ち合わせを会議室ですませ、登校風景を撮影するために、校門から駅に伸びる並木が整備された道路に移動していた。

因みに悠は熊田と名乗った。もちろんクマの現実世界での名前だ。

 

りせはマイクを持ち、その後ろには真由美と達也が控え、さらにその一歩後ろに悠とスタッフ、そしてサブの光井ほのかと渡辺摩利がついて行く。

 

チーフスタッフから、前方から来る3人組の生徒にインタビューする指示がでる。

りせは、一瞬躊躇するが意を決して突撃取材。

真由美も焦る。

悠も後ろを向く。

 

「おはようございまーす。突然ですがインタビュー良いですか?」

りせはとある男女3人組に声を掛ける。

 

「うわっ、りせちー!?本物!?………」

「………か、かわいい」

「お、おはようございます」

その三人組とは、千葉エリカ、吉田幹比古、柴田美月の3人だ。

その内のエリカと幹比古は悠の顔を見られているため、要注意人物だったのだが、いきなり接触してしまった。

 

「久慈川りせでーす。皆さんは何年生ですか?」

 

「一年生です」

りせからマイクを向けられたエリカがもじもじしながら猫かぶりで答える。

こんなエリカの姿は珍しいだろう。

 

「一年間振り返ってどうでしたか?」

 

「色々ありましたけど、今は楽しかったと言えます」

幹比古は顔を赤らめながら答える。

 

「随分可愛らしくて格好いい制服ですよね?」

 

「…最初は、その恥ずかしかったのですけど……学校では皆一緒なので………慣れました」

美月も恥ずかしいのか、うつむき加減で答える。

 

かなり無難な答えを貰い。

この3人からの取材を終え、りせ達一行は次の生徒へ突撃取材をする。

 

 

取材を終えた3人は……

「美月!幹!りせちーだよ!本物よ!顔ちっさいし、めちゃかわいいし、声も!!わたし握手してもらっちゃった!!」

エリカはファンとあって興奮気味だ。

 

「うん、テレビで見るよりずっと可愛かったね」

美月はそんなエリカに微笑みながら答える。

 

幹比古は顔を赤くして……次の突撃取材に行くりせの後ろ姿を見つめていたが…………

「…………あれ?達也の後ろにいる。あのスタッフの人の後ろ姿………何処かで」

 

「幹、何ぼっとしてるのよ!りせちーに惚れちゃった?」

エリカはそんな幹比古の背中を叩く。

 

「何言ってるんだよエリカ!」

 

「りせちーは可愛いから仕方がないわ。まあ、惚れても、幹には無理だけど」

 

「そんなの当たり前じゃないか!」

幹比古はエリカのせいで、先程の後ろ姿の人物の事は頭から抜けてしまう。

 

 

 

 

 

2月3日(木)11:20

 

りせ一行は、一時間・二時間目と座学の授業風景などの撮影や取材を行ったあと、午前最後の授業三時間目に広い敷地内にある運動施設の一つに訪れ、リーナと深雪が所属している1年A組女子の体育授業の見学を行う。

 

「これはテニスですか?」

りせは真横に居る達也に質問をする。

真由美もその横に居るが、先程の座学の際、ずっと説明に廻っていたため、ここは達也が説明に回るようだ。

 

今、りせがいる場所はテニスコートが2面並んでいる立派な競技場の観客席だ。

ただ、普通のテニスコートと違うのはまるで闘牛場のように、観客席の位置高く。テニスコートを覆うように頑丈そうな壁がそそり立っているところだ。

 

 

「いえ、クラウド・ボールという競技です。確かにテニスとは似ています」

 

達也がそう答えるとテニスウェアーを着た女生徒が2人がテニスコートに入ってくる。

1人は黒髪の美少女、もう1人は金髪碧眼の美少女。

もちろん、深雪とリーナの二人だ。

 

「但し、魔法を使います。低反発ボールを魔法を使って如何に相手のコートに落とすかを競う競技です」

 

深雪とリーナはラケットを片手に持っているが、もう片方の手には銃のような物を持っていた。

 

「……銃?」

 

「いいえ、あれは短銃型の特化型CADと言いまして、魔法を起動させる道具なのですが、このような魔法起動スピードが優劣を決めるような競技では、あのような形態のCADを使うのです。通常の汎用型CADと違い、記憶させる魔法の数は極端に少なくなるのですが、その分起動スピードに優れているのです」

 

「……そ、そうなんですね」

りせは達也の説明の半分も理解出来ないでいた。

 

「この競技は、全国の魔法高校が集まり開催される魔法競技大会である九校戦の正式種目です。昨年の優勝者はこちらの七草先輩です」

 

「七草さんは凄いんですね」

りせは真由美に微笑みかける。

 

「……そんな事は」

真由美は謙遜し否定しようとするのだが……

 

付き人の悠がボソッとこんな事を言う。

「凄いな」

 

「そうですね。因みに2年連続優勝しています」

それを聞いた真由美は何故か胸を張ってそんな事を言う。

りせと言うよりは悠に向かって言っているようだ。

 

 

 

一方コート場で相対している深雪とリーナは、観客席の方を見据え……

 

(お兄様の前では、負けられません)

(悠とりせが見てるわ。絶対負けられないんだから)

 

2人は燃えていた。

 

 

2人はネットを挟んで、お互い視線を合わせる。

((この前の決着を付けましょうか))

 

 

そして、試合開始ブザーが鳴り、2人競技を開始する。

 

 

「凄いですね。……でも、これはどっちが有利なんですか」

 

「アンジェリーナさんですね。二人の魔法力は拮抗しておりますが、この競技に関して言えば、収束系魔法が得意なアンジェリーナさんに分が有るようです。

このような競技では、個人の魔法の力や得意不得意はもちろんなのですが、CADの設定や魔法の選択も重要になります。CADを設定する技術者の能力も問われる事になります。一見個人戦のように見えますが、競技者と技術者のチーム力も重要な要素になります」

 

「そ、そうなんですね」

りせは笑顔で答えるが、リーナが有利だということは理解したが、それ以外のことはチンプンカンプンだった。

そもそもりせはCADがどのような役目をしているかすら理解していないのだから仕方がないだろう。

一般人であるりせが理解出来ないのも仕方が無いことなのだ。魔法師でなければ、CADにふれることはまず無いと言っていいだろう。魔法を使えない一般人にとっては無用の長物なのだ。

 

その横で悠は頷き、なるほど、などと感心したように達也の説明を聞いていた。

どうやら、悠は理解しているようだが…………

 

 

そして、試合は終了し、リーナが勝利する。

リーナと深雪はお互いコートを挟んで握手をする。

「今回は勝たせてもらったわ」

「次は負けないわ」

 

 

直後リーナは観客席に向かって笑顔で手を振り出した。

「見てた!?ゆ……ぅ………」

 

「ゆ?」

 

「ゆ、優勝できるわ、私が出ていればね」

 

悠の前で、しかもライバルの深雪に勝てたことに嬉しかったのだろう。

リーナは思わず悠の名前を叫ぶところだった。

寸前で思い出し、誤魔化すために訳がわからない事を深雪に向かって言う羽目になる。

リーナのうかつっぷりはここでも発揮されてしまったのだ。

 

「?……」

そんなリーナに深雪は疑問顔を向ける。

 

観客席のりせは引きつった笑顔をし、真由美は額に手をやり呆れた表情を……悠は後ろを向き他人のフリをする。

 

 

その後、りせ達とスタッフは一時休憩を取ることになる。

りせは校内をもう少し見たいということで、悠と真由美と渡辺摩利が付き添いで暫く校内を見て回る事になった。

その間スタッフは昼食や機材や撮影した映像のチェック等を行うためにロケバスに戻る。

達也と光井ほのかは真由美から昼食を今の内にとっておく様に言われ、難色を示す達也にほのかが半ば強引に連れていく。

 

「あ、ごめんなさい。ま…七草さんに渡辺さん。私のせいで、昼食が取れませんね」

りせは楽しそうに、広々とした校内を歩いていたのだが、気がついたように、真由美と摩利に話しかける。

 

「いえ、良いんですよ」

 

「何処かで一緒に昼食を取りませんか?」

りせは皆に提案をする。

 

「……うむ、今警備は私と真由美だけだからな……四時限もそろそろ終わる。食堂や喫茶は人が押し寄せる可能性がある。どうする?」

摩利は思案顔をしながら、真由美に意見を求める。

生徒たちが食堂や喫茶で食事をしているりせを見かけ、押し寄せて来る可能性が有るからだ。

ただ、鬼の元風紀委員長が睨みをきかせれば、事なきを得られる気はするが……

因みに魔法科高校の授業スケジュールは午前中三時間、昼食休憩を挟んで午後二時間の計五時間だ。

 

「あそこなら良いんじゃない、誰も来ないし、自配機(自動食事配膳機)もあるし……生徒会室」

真由美は生徒会室を提案する。生徒会室ならば、食事を自動提供する機械が備わっているため、食事をすることも可能だ。

 

「いいのか?真由美は今は生徒会執行委員メンバーじゃないだろ?」

 

「これでも元生徒会長だから大丈夫よ。今は誰も使ってないし…ね?」

 

「あそこなら、大勢で人が押し寄せることはないから、都合が良いか……わかったそうしよう」

摩利も、真由美の意見に押され納得し、4人は生徒会室で食事を摂ることになった。

 

 

 

 

 

四時限目と五時限目の間の休憩時間に深雪とリーナは……練習棟に向かっていた。ここは屋内魔法訓練を行うための設備が整っている。1Fは広々とした体育館のような施設で、上階には測定施設やその他訓練室が備わっている。

「そろそろ訓練機械の入れ替えでマクシミリアン・ディバイス社のスタッフの方が訪れる予定だわ」

深雪はその受入作業の確認を生徒会として受けていた。

 

「なんで、今日みたいな日にそんな事を?」

(マクシミリアン・ディバイス社ってミアの潜入先の会社よね。ミアも来るのかしら……顔を合わすのはまずいわね……でも、そのへんはミアの方が専門だから、お互い他人のふりをすれば大丈夫よね)

リーナは深雪に質問しつつも、ミアと出会ってしまった時の事を考えていた。

 

「前々から学校側が発注していたものよ。もっと日にちがかかる予定だったのだけど、急に今日行けることになったの。訓練が滞るからなるべく早く納入したいからOKしたらしいの。幸いにも練習棟の取材は今日は行わないから特に問題ないわ」

深雪は歩きながらリーナに説明する。

 

既に大型トラックが練習棟の側に着き、機材が運び込まれるところであった。

そこには、学校の職員と共に練習機器の調整などを行うエンジニアスタッフとしてミアが同行している姿も見える。

 

「リーナ、もう来ているわ。急がないと」

 

「こんな事も生徒会の仕事なのね…………」

(ミアも居るわね。……一昨日に会ったのに何も聞いて無いのだけど)

 

 

 

 

 

2月3日(木)14:20

 

「魔法科高校って広いね。設備も充実してておしゃれだし。とても高校とは思えない」

 

「ああ、ジュネスも真っ青だ」

 

生徒会室の大きな会議机でりせは悠と並び、正面に真由美と摩利が座り昼食を取り終える。

何故か悠がテキパキとティータイムの用意をし、今は皆紅茶を楽しんでいるのだ。

 

「そう……なんですか」

真由美はこれが普通だと思っていたため…腑に落ちていない。

 

「久慈川さんも高校に通っているのですか?」

摩利はりせに質問をする。

 

「はい、芸能人が沢山いる学校で、学校に行けない事が多いのですが、芸能活動自体が授業のカリキュラムとして認められていますので」

りせは爽やかな笑顔で答える。

 

 

この後のりせ達のスケジュールでは放課後の部活風景を取材する予定となっている。

 

しかし…………

 

りせは急に立ち上がり窓際へと足を向けていく。

「!?…なにヒミコ……え?」

 

「りせどうした?」

そんなりせの様子に悠は席を立ち、りせに近づき小声で聞く。

 

真由美と摩利も訝しげに席に座ったまま2人の様子を覗う。

 

 

りせの表情が曇り、緊張の色が走る。

 

「悠先輩……シャドウの反応が…この学校に……2体……4体………微弱なのが1体…今学校に侵入した………」

りせは悠にしか聞こえない小声で……最悪の事態を伝える。

 

「な!?……なぜここに!?」

 

 

事態が急転し…………

彼らの長い一日が始る。





次回はペルソナ4、3、5と混ざったようなフィールド展開に……
久々の戦闘シーンですね。
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