ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。
助かります。

遂に、戦い開始です。



第二十四話 戦いの始まり

2月3日(木)14:31

 

皆と昼食をとっていたりせだが、ヒミコが危険を感知し、りせに知らせたのだ。

りせは急に立ち上がり校内が見渡せる窓際に駆けつき、ヒミコを憑依状態にし……エネミー・サーチを掛ける。

 

「りせどうした?」

悠も席を立ちりせに近づく。

 

「悠先輩……シャドウ反応がこの学校に集まってくる……2体……4体………微弱なのが1体…今学校に侵入した………」

りせは緊張した面持ちで窓の外をみながら、悠に聞こえる程度の小声で言葉を紡ぎ出す。

 

「な!?……なぜここに?」

悠は驚きの声を上げるが……直ぐに小声に戻す。

 

真由美は心配そうに、摩利は訝しげに、りせと悠の様子を席に座ったまま覗う。

 

(悠先輩!シャドウ反応が全部で7体この学校の敷地内に侵入した!危険な感じがする!)

りせはテレパスで悠に状況を説明する。

 

(………まさか、奴らしびれを切らして、魔法師の卵が集まるこの学校を狩場とし襲撃しに来たのか………しかし、まだ昼間だ。どういう事だ)

悠はりせと同じ様に窓の外を見ながらこの事態に思考を巡らせるが、答えが出ない。

学校周囲上空に烏の群れが飛来してくるのが見える。

 

(りせ、生徒達の避難が優先だ!七草に!)

 

(うん、わかった!)

 

(真由美さん……)

りせはテレパスで真由美に語りかける。

 

「え?(りせさん…何かあったの?)」

真由美は一瞬驚くが、テレパスだと認識し冷静に応対する。

 

(落ち着いて聞いて……ドッペルゲンガーがこの学校に今侵入したの……生徒達みんなをなんとか避難できないかな?……それとヒミコの能力を全力にしたいから、渡辺さんをこの部屋から…………)

 

(え!?ドッペルゲンガーが?…なぜここに…分かったわ任せて………)

 

真由美はなぜここにドッペルゲンガーが来たのかという疑問を押さえ込み、生徒達を逃がすために生徒会室の緊急放送用のマイクを取り出す。

 

「全校生徒教職員の皆さん。落ち着いて聞いてください。校内に危険物を仕掛けられた可能性があります。速やかに敷地外に退避してください。これは訓練ではありません。繰り返します。校内に危険物が仕掛けられた可能性があります。速やかに敷地外に退避してください」

 

真由美はこうして、校内にいる全ての人に退避を促したのだ。

もし、これを危険物と言わずに、テロリストの侵入だと伝えたならば、生徒たちの、特に上級生は反撃体制を取り、校内に残るだろう事は明白であった。

 

「真由美!どういう事だ!!何があった!!冗談じゃ済まされないぞ!!」

摩利は校内放送を一通り終えた真由美に迫る。

 

さっきまで、一緒に食事をしていた真由美が何の前触れもなく、こんな事をしでかしたのだ

しかも、危険物が仕掛けられているという、かなりの緊迫した状況だ。

何を持ってそんな事を放送し、生徒たちを退避させたのか……冗談では済まされない。

急といえば、りせが急に席を立ち上がり窓の外を見ていたが……真由美と会話を一切していない。

摩利は真由美の行動が理解できず、こう言うのも仕方がないことなのだ。

 

「説明は後よ!摩利はTV局のスタッフを敷地外への退避をお願い!」

真由美は真剣な面持ちで摩利に強い言葉で指示を出す。

 

「さっきのは本当なんだな!……久慈川さんとそこの人は!」

 

「2人は私が安全な場所に移動させるから………早く!!」

 

「わかった……どういう事か後で聞かせてもらうからな!!」

摩利は悪態をつきながらも、生徒会室を急いで後にし、裏口駐車場に居るだろうTVスタッフの元に向かった。

 

りせはその間TVスタッフに連絡し、自分は生徒会に避難させてもらうから、先にロケバスで逃げる様に伝える。

 

 

「ヒミコ!」

りせは摩利が出ていくのを見計らって、祈りのポーズを取りながらヒミコを顕現させる。

 

「鳴上くん…この学校になんでドッペルゲンガー…………まずいわ、生徒達ではドッペルゲンガーに対応できないわ」

 

「七草、さすがの対応だな。……奴らの目的は魔法師から生命力を奪うことと、何らかの目的のために鏡の中に閉じ込め捕らえることだ。……奴らはここを狩場にしようとしているのかもしれない。生徒達が危ない。彼らをこの学校から退避させなければ……校内放送を続けてくれ、まだ信じていない人も多いだろう。一人でも多くこの場から退避を……」

 

「わかったわ。りせさんは奥の部屋に移動しておいて、生徒会メンバーがここに来るかもしれないから」

 

「うん………悠先輩!5体シャドウが堂々と敷地内の道を移動してる。車?何?トラックで移動してる!?」

りせはヒミコで全力で学校敷地内及びその周囲をエネミー・サーチを掛け詳しい情報を集めていた。

 

「トラック!?どういう事だ!後の2体は?」

 

「奥側の敷地の森みたいな所に留まってる………何をしようとしているの?………悠先輩!奴ら、霧を発生させるつもりよ!」

 

「あの霧で異世界化か!!……まずい!!生徒が鏡の中に取り込まれる!!……七草!!急いで退避勧告を!!」

 

「!…皆さん!!直ちに敷地内から退避を!!全力で退避を!!霧が充満する前に!!出来るだけ早く!!」

真由美はそれを聞き、叫ぶように校内放送で生徒たちに敷地内からの退避を勧告する。

 

「悠先輩!トラックで移動していた5体のシャドウが練習棟っていう施設で止まった………リーナがそっちに向かってる!止めないと……」

敷地の中央付近に近接する施設とはまさにマクシミリアン・ディバイス社が納入のために練習機材を運んでいる練習棟だ。

今、まさにリーナと深雪が向かっている先なのだ。

りせはリーナにテレパスで状況を伝える。

 

「そっちに対処しに行く。りせナビを頼む」

悠は始めは霧を発生させている方に向かおうとしたが、りせの情報で5体のシャドウ反応が集まっている練習棟へ行き一気にかたをつけようと、生徒会室を出て行こうとしたのだが……

 

「え?……ちょっと待って悠先輩!4体のシャドウが散開した!」

 

「まずい……各個撃破しか……この広い敷地では一気には………」

悠は生徒会室の扉を開け、りせの言葉で足を止めた。

個別行動を開始した7体のシャドウの動きが読めない以上、無闇に突っ込むのは危険を伴う。

悠は思考を巡らせる。

 

しかし………扉の先の更に外側では、既に霧が何処とからともなく、立ち込めだしているのが見えてくる。

 

その霧を見た生徒たちが、真由美の校内放送による退避勧告が眼の前の危機であると感じ、おお慌てで敷地外に出て行く様子が見える。

 

「………くっ」

 

 

 

 

 

2月3日(木)14:33

 

リーナと深雪は練習棟にマクシミリアン・ディバイス社の納入練習機器の受け取り立会に向かっていた。

丁度、機材を運んでいると思われる大型トラック2台が練習棟の搬入口に到着し、機材を運び出す準備を進めている。

そこには、リーナと同じくUSNA軍所属でマクシミリアン・ディバイス社に潜入している情報局のスパイであるミアが居るのが遠目で確認出来た。

 

「リーナ、もう来ているわ。急がないと」

 

「こんな事も、生徒会の仕事なのね」

(ミアから、ここに来ることを知らされていないわ。急に決まったから?いえ、2日前に会ってるから……)

 

すると、真由美の声で緊急校内放送が流される。

『全校生徒教職員の皆さん。落ち着いて聞いてください。校内に危険物を仕掛けられた可能性があります。速やかに敷地外に退避してください。これは訓練ではありません。繰り返します。校内に危険物が仕掛けられた可能性があります。速やかに敷地外に退避してください』

 

「どういう事深雪?」

 

「これは…またテロ?……リーナいけないわ。マクシミリアン・ディバイス社の方達に直ちに敷地外に退去してもらわないと」

深雪はそう言って、練習棟に向かって走り出そうとする。

 

「分かったわ……」

リーナは何か違和感を感じていたが、それが何なのかはわからず深雪について行く事にする。

 

『リーナ!今直ぐそこから離れて!!シャドウの反応が!!練習棟っていう所にシャドウ…ドッペルゲンガーの反応が複数あるの!!危険よ!!』

 

「り!…」(りせどういう事?)

リーナの頭の中にりせの緊迫した声が入って来たのだ。

 

『早く!』

 

(さっきの放送は?…ドッペルゲンガーが?まずいわ。急いで練習棟に機材を運び込んでいる業者の人を逃さないと)

 

『あーー、もう、だから、その人達が怪しいの!!その中の1人に微弱なシャドウ反応!!トラックの中にシャドウ反応が4体!他にも敷地内に侵入したシャドウが2体いるのよ!!』

 

(え?……シャドウ…ドッペルゲンガー7体?)

リーナは驚く、1体でも厄介な相手が7体も学校に侵入しているというのだ。しかも今から行く先に業者に紛れて5体もいる。とても対処出来る数ではない。

 

「まって深雪!」

リーナは一緒に走っている深雪の腕を掴み止める。

 

「リーナ?急がないと……校外の人たちの避難誘導は優先だわ」

 

「待って!」

リーナは深雪の腕を強く掴んで離さない。

 

(りせ…でもあの中に私の仲間が居るの……助けないと……ミアを……)

リーナは練習棟の搬入口にいるミアを遠目で見ながらりせに伝える。

 

『ミア…その人から微弱なシャドウ反応が出てる』

(そんな……ミアも調べたハズよ。ドッペルゲンガーの反応は出なかったハズよ!)

リーナは呆然としてしまう。今まで普通に接していた仕事仲間が敵……しかも人間でない存在であった事に………しかも、ミアはドッペルゲンガーを反応させる術式での検査を受けているはずなのだ。もしかしたら……情報が漏れていたのはミアからなのかもしれないと…………

そんな思いがリーナの頭の中を巡っていた。

 

「リーナどうしたの?……私だけでも、彼らを誘導するわ」

様子のおかしいリーナの顔を深雪は心配そうに覗き込む。

 

リーナは遠目でミアを見ると、ミアは振り返りリーナを見つけ、視線を合わせてきた。

ミアの口元は笑っているように見えた。

 

(そんな…………ミアが…………)

 

『ミアって人!人の反応とシャドウの反応が重なったおかしな状態!なんか変!!嫌な予感がするの!!………、もういいから、そこから離れて私達と合流して!!』

 

(ミア…………)

 

すると、2台のトラックの後方から複数の人影が一気に飛び出し、かなりのスピードで敷地内に散らばって行くのがリーナの位置から見えた。

確認出来たのは一瞬だったが、その中にリーナが知っている顔があった。

追っている元USNA軍所属のドッペルゲンガーになり代わられたと目される人物が何人か見られたのだ。

最早、ミアの裏切り……いや、ドッペルゲンガーであることが確定的となった。

 

(くっ……)

悲痛な表情をするリーナ。

 

『4体のシャドウ反応がトラックから出て散開した!……リーナ!戻って合流して!』

 

(りせ………私はUSNA軍スターズの隊長として彼らを処断しないといけない。……彼らを……そしてミアを!!)

リーナは悲壮感を漂わせ、りせに伝える。

 

『バカ!!!そんな事はどうでも良いの!!!!!リーナは一人じゃない!!!悠先輩や真由美さん、私も居る!!みんなで倒せば良いんだから!!!!』

(りせ……ありがとう。……わかったわ。無関係な人たちを逃してから、そっちに行くわ)

リーナは一瞬驚いたような顔をするが、フッと笑みをこぼしてから、真剣な顔になり、りせに伝える。

 

しかし……

深雪は呆然と立っている状態であったリーナの状態を心配していたが、いち早く避難誘導をしなければならないと、ミア達がいるマクシミリアン・ディバイス社の人たちの元へ走って行ってしまっていたのだ。

彼らは真由美の校内放送を聞き、トラックの前でおろおろしながら、どうしたら良いのか迷っているような様子であった。

 

さらに、周囲からあの霧が何処からともなく、立ち込め出してきている状況だ。

 

リーナが立ち直り、気がついた頃には深雪はミア達の元に既に着いていた。

 

「校内放送にあったとおりです。元来たルートで直ぐに敷地外に避難してください。機材は後日ということで……」

深雪は彼らに状況の説明と避難指示を的確に行う。

 

そこでミアに異変が………

急に黒い霧に包まれ、手を深雪の方へ突き出し掴もうとする。

 

「え?」

深雪は眼の前の人物の急な異変に何が起きているのか理解できず、それに反応しきれなかった。

 

そんな深雪の後方上空の方からリーナの声が響く。

「深雪!下がりなさい!」

 

対抗魔法パレードで身を包んだリーナが飛び込み、ミアに襲いかかったのだ。

リーナは魔法でプラズマの球体を手のひらに生成し、ミアに接触するぐらいの近距離で放つ。

ミアはプラズマの球体を体に受け、練習棟の搬入口の重厚な鉄扉を巻き込みながら、練習棟の中に吹き飛び、壁に激突する。

 

「あなた達は早く逃げて!!」

リーナは驚いた顔をしているマクシミリアン・ディバイス社のスタッフ達に叫ぶ。

 

「リーナ何を!?」

 

「早くよ!!……深雪のせいで逃げれなくなったじゃない……あれはドッペルゲンガーよ!倒すのを手伝いなさいよね!」

リーナはスタッフにもう一度声を荒げると、ミアが倒れている場所を見据えながら深雪に悪態をつく。

 

「どういう事?…ドッペルゲンガー……」

深雪はまだ、この急な展開について行けてない。

 

 

「少佐……酷いじゃないですか。普通なら死んじゃいますよ?」

拉げた鉄扉ごと壁に激突したミアが……いや、ミアから変貌したあの幾何学模様の仮面をした黒服黒マントのドッペルゲンガーが何事も無かったようにスクッと立ち上がり、リーナの方に向き直る。

 

「すっかり騙されたわ!ミア…いえ、ミアになりすましたドッペルゲンガー!!」

リーナは練習棟の搬入口に立ちミアに叫ぶ。

リーナはスタッフが逃げきるまで、ここで立ち塞がるつもりなのだ。

 

「フフフフッ、残念。私がミア本人ですよ」

 

「ドッペルゲンガーは皆そう言うのよ!!」

 

 

『リーナ!どうして戦闘に!?』

りせの声がリーナに届く。

 

(ごめん、失敗したわ。でも、こうなったら私がこの1体を倒すわ、幸いにも深雪も居るし大丈夫よ)

 

『リーナ!そのシャドウの身体、ミアさん本人みたいなの!!シャドウが乗り移っている感じよ!!』

 

(な!?ミア本人が……だから術式にひっかからなかった?……ミアは生きているの?………)

 

『リーナ…生きている反応はあるけど、本人意識は無いわ……それに危険なの!そのシャドウ今までの奴とは桁違いの力を持ってる!一人じゃ無理!今ならまだ逃げれる。逃走補助するから逃げて!』

りせはミアの意識が既に無いことに気がついていた。それよりも、今までのドッペルゲンガーとは桁違いの強い反応に、焦りを抱いていた。リーナ1人では厳しい状況だと……さらに高レベルや神魔クラスのシャドウではりせの絶対逃走の成功率はかなり低くなるのだ。

 

(まだ、周りに人が残っているのよ。深雪も居るし、私一人で逃げるわけには行かないわ)

しかし、リーナは今、この場から引ける状態では無かった。

 

『リーナ……わかった!私も全力でサポートする!悠先輩に行ってもらうから、それまで持ちこたえて!』

 

(わかったわ………りせ…悠が来るのね……)

 

「少佐?何をしているの、さあ、戦いましょ?少佐も、そこの貴方も私の仲間にしてあげるわ」

尚もミアはリーナ達に近づいてくる。

どうやら、深雪もターゲットにされているようだ。

 

「そう、身体はミア本人であることは分かったわ。でも操っているドッペルゲンガー!!ミアを開放しなさい!!」

 

「フフフフッ……なんでわかったのかしら?でもねこれはお互い合意の上なのよ?」

そう言って、幾何学模様の仮面を被ったミアがリーナに近づいてくる。

 

その直ぐ後ろで深雪もCADを構え戦闘体制をとっていた。

「あれがドッペルゲンガーなのね……ミアさんというのは?」

深雪もようやく事態を把握し、リーナに聞き直す。

 

「軍の知り合いよ。ただ生半可な攻撃は効かないわ。さっきの見たでしょ。気にせずに跡形もなく滅ぼすつもりで全力で行かないとこっちがやられるわ……もう少しであの人達も逃げられる………」

リーナは簡単に深雪に説明する。

ミアを助けたいという思いはあるが、りせの勧告と、さらに先程のリーナの攻撃もダメージをほとんど受けていない様子に、眼の前のミアがこの前戦ったドッペルゲンガーとは強さの桁が違うと感じ、そうも言っていられない状況と判断し、覚悟をきめたのだ。

 

リーナは今、マクシミリアン・ディバイス社のスタッフが逃げきるまで、この場から動く事ができない。そのため時間稼ぎをするために、攻撃をせずにわざとミアとの会話を引き伸ばしていた。

それももう少し、彼らはトラックに乗り込みこの場から離れ始める。

 

 

その間も目に見えて霧が濃くなってきている。

 

「っ!?深雪!!対抗魔法を展開よ!私の後ろに下がって!!」

リーナは霧が濃くなるのに危険を感じ、ミアの動きを見据えながら、魔法で鏡を次々と撃ち抜く。

鏡に閉じ込める術を防ぐためだ。

 

「遅いわ。少佐」

ミアはそう言って手を上にあげると……

一斉に鏡が光りだす。

 

鏡が光りだしたのは、練習棟だけではない、第一高校敷地内のすべての鏡が光りだし、そして、そこに写っている人間を鏡の中へと封じ込めたのだ。

 

 

リーナはパレードを展開しているため、鏡に囚われることはない。

 

深雪も自身の対抗魔法が効いたのか、それともリーナの後ろに隠れたお陰なのかはわからないが、

囚われずに済んでいる。

「何!?今の光は!?」

 

その間もリーナは魔法で練習棟の鏡を破壊していく。

「深雪!大丈夫だったようね!」

 

 

「パレード…いい魔法だわ。是非私もほしいわ少佐」

ミアは余裕のある声でリーナに話しかける。

 

「貴方には無理ね………深雪!眼の前のドッペルゲンガーを倒すわよ」

リーナはそう言いながら加速魔法を行使し、ミアに対し回り込むように動き出す。

 

「分かったわリーナ」

そして深雪はその場から、ミアに向かって魔法を展開する。

 

「2人で来てくださるのね。ありがたいわ少佐……こんな私を評価してくださって、それ相応の返礼をさせていただかないと」

 

こうして、リーナ、深雪とミアとの戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

その少し前、エリカは野外魔法訓練の授業を終え、美月と2人で道具を片付けた後、更衣室で着替えていた。

そして、真由美の危険物による全校生徒退避放送が流れる。

 

「まずいわね……また、テロ?………急ぐわよ美月」

 

「……エリカちゃん」

美月は震えていた。両腕を自らを抱きしめる様にして…………

 

「美月……大丈夫?……とりあえず校内から退避したほうが良いわ」

 

「違うのエリカちゃん。さっきからなにか良くないオーラが学校を包んで見えるの……恐ろしい何かが………」

美月は水晶眼という特殊な目の持ち主だ。人や空間に漂う霊気や気が視覚的に見えるのだ。

その目が何か危険な存在に反応したのだ。

美月はそのために、この時代には珍しくメガネをしている。それらを故意に遮断するためのメガネだ。その眼鏡は着替え中は外していたため、見えてしまったのだ。

そして…遂には座り込んでしまう。

 

「どういう事、美月?………メガネを………立って、とりあえず出るわよ」

エリカはそんな美月を見て、何かが起こっている事は確実だと感じ、美月にメガネを掛けさせ、立たせる。

 

「エリカちゃん……ありがとう。でも服は着ないと……」

エリカは下着姿のままだった。

 

「わっ」

エリカは慌てて体操着のジャージに着替え直す。

 

 

エリカと美月が女子更衣室を出ると制服姿の幹比古が立っていた。

「何幹?ノゾキ?」

 

「ちがう!!何言ってるんだエリカ!待ってたんだよ!放送を聞いただろ?」

 

「冗談よ。幹にはそんな勇気無いでしょうしね」

 

「エリカ!……柴田さん大丈夫?」

エリカに文句を言おうとするが、顔色が悪い美月を見て幹比古は声をかける。

 

「うん……大丈夫………早く行こ」

 

「ちょっと待って、幹、これって…………」

外の様子を見たエリカは幹比古を引っ張り外の様子を見させる。

 

「霧だ!霧が出てきてる……あの時の霧に似てない?……なんで?あの放送は危険物の事じゃない?……もしかして………まずいよ!」

幹比古は何かに気づき、危険を察知する。

 

外ではドッペルゲンガーと対峙した時と同じような霧が立ち込めだしていたのだ。

 

「彼奴等がくるかもしれない……幹!!美月を背負う事を許可する」

エリカはそう言って幹比古を無理やりしゃがませ、美月を幹比古の背中に乗るよう促す。

 

「えええ?エリカなにを?」

「え、エリカちゃん?」

幹比古と美月は顔が真っ赤だ。

 

「授業が魔法訓練でラッキーだったわ。CADはまだ返してないようね幹、加速魔法で一気に脱出するわよ」

顔を赤くした2人にそう言った。

美月は魔法の行使が苦手であった。もちろん加速魔法も。それで幹比古が美月を背負って、脱出する算段をしたのだ。

 

校内でのCADの着用は原則禁止されている。常時着用を許されているのは、風紀委員会と生徒会ぐらいだ。それと、魔法競技や魔法を使った部活活動時、魔法競技や魔法訓練系の授業の場合のみ使用を許可されている。普段はCADを預かる部署で事務員を通して、必要時ごとに出し入れする様に決まっているのだ。

 

「ごめんね。吉田君」

「う、うん。緊急時だから」

そう言って、美月は幹比古の背中に乗る。

幹比古にとってこれ程幸運な事はない。なぜなら、幹比古にとって美月は恋愛感情を抱いている相手だからだ。更に、美月の豊満なバストが押し付けられる展開に、幹比古の顔は真っ赤なトマトのようになっていた。

 

「幹?アレ?なに~、何で顔が真っ赤かな?」

エリカはそんな幹比古をからかう。

 

「エリカ!!…とっとと行くよ!!」

「はーい、クフフフッ」

 

幹比古とエリカは窓を開け、2階から飛び降り、加速魔法で広いグラウンドを一気に横切ろうとする。……霧が更に立ち込め………エリカ達が先程までいた施設から強烈な光が漏れるのが見えた。

あの、鏡に人を取り込むための光だ。

 

「間一髪だったわね」

エリカは加速魔法で走りながらその様子を見る。

 

「何?本当に危険物が爆発した?でも爆音がしないけど………助かったのかな?」

幹比古は走りながらそんな感想を漏らす。

 

 

しかし……

「そうでもないみたいね…………」

エリカ達が走っている先に遮るように霧の中から人影が現れたのだ。

 

「久しぶりね。……今回は助けはこないわよ。小娘に坊や」

獣の仮面を被った黒服黒マントの女……この前エリカと幹比古が対峙したコヨーテ人間の生き残りが眼の前に現れたのだ。

 

 

「あの時の狼女のパラサイト………柴田さん、少し離れてて…………」

幹比古は美月をおろし、制服の中から古式魔法の札を取り出す。

 

「幹、この前みたいにヘマしないでよね」

エリカは携帯型の警棒のような武器を取り出し、構える。

 

「ほう、やる気満々じゃない。かわいがってあげる。…………うん?後ろの眼鏡の子…その子は当たりみたいね。………まあ、どっちにしろ、校内に残っている連中は全員私達の糧になるのだから」

 

獣の仮面を被った黒服黒マントの女は……身体が巨大化し、コヨーテ人間へと変貌していく。

 

「あの時の決着を付けてあげる!」

「エリカ!行くよ!!」

 

「私のエサになりな!」

 

エリカ達の戦いもこうして始まった。

 

 

 

 

 





戦い開始前って感じですかね?
リーナ・深雪VSミア
エリカ・幹比古VSコヨーテ女


我らの番長は?
………多分次回です。

あれ?達也とほのかは?
……次回です。

他の敵は?
……秘密です♡

本格戦闘は次回から…………だと思います。
戦闘シーンは苦手…………
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