ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

まだ、前振り段階ですかね。
ちょっとは、状況がわかるかもしれないです。





第二十五話 第一高校異界化

2月3日(木)14:30

 

真由美に休憩を言い渡された達也は光井ほのかに連れられ校内の喫茶店で軽く食事を摂り終え、

紅茶を飲みながら休憩をしている。

 

「達也さん、りせさんって実物も本当に可愛らしくて、きれいな人ですね」

 

「ああ」

気のない返事をする達也

 

「……達也さんもりせさんのような女の子が好きですか?」

 

「いや。俺は彼女の事はよく知らない。テレビで噂されている程度の事しかな」

 

「そうじゃなくて、その見た目とか雰囲気とか」

どうやら、ほのかの質問はもっと軽い感じのものだったらしい。

見た目の好みのタイプ的にどうだということのようだ。

 

「……好みのタイプでは無いな」

達也もそれに気が付き、無難な答えを出す。

 

「そうなんだ。やっぱり深雪みたいなタイプが好みですか?」

 

「……ほのか、前にも言ったが、深雪は妹だ。好みの問題じゃない。それに俺は感情が欠落している」

以前に達也はほのかの告白を感情が欠落していることを理由に断っている。

確かに達也は幼い頃の魔法実験により、感情が欠落した。

しかし、本人が今もそう思っているだけなのかもしれない。

それまでの人生で経験した物事で、生まれてくる情動があるはずだ。

ただ、達也の今までの人生は幸せだったとは言い難い境遇だったため、それらの感情も育まれなかった可能性が高い。唯一妹の深雪だけが、心許せる存在だったということだったのだろう。

 

「でも、初めて会ったときよりも、表情がずいぶん柔らかくなったと思いますよ」

 

「……そう言ってくれるのは、ほのかだけだ。他の連中は、愛想が無い、仏頂面等と言ってくる」

 

「ふふっ、それは達也さんがみんなにそれだけ慕われているということですよ」

 

「……………」

 

達也はそんな他愛もない会話をほのかとしながらも、りせの付き人だという若い男の事が気になっていた。頑なに顔を隠す態度に、最初は着ぐるみまで着て、姿まで隠そうとしていた。

今の所、それ以外は不審な点はない。

それどころか、久慈川りせを的確にフォロー出来るような位置取りを常にしているようにも見えた。

頑なに顔を隠す理由。有名なタレントか何かなのかもしれない。それこそサプライズ企画のひとつなのかもしれないと……ならば、関係者の自分たちには知らせても良いのではと思うのだが…………

また、その堂々とした雰囲気から達也の目にも不審者にはとても見えなかった。

だからといって警戒しない理由にはならないと改めて思う達也だった。

 

 

そして、あの放送が流れる。

 

『全校生徒教職員の皆さん。落ち着いて聞いてください。校内に危険物を仕掛けられた可能性があります。速やかに敷地外に退避してください。これは訓練ではありません。繰り返します。校内に危険物が仕掛けられた可能性があります。速やかに敷地外に退避してください』

 

「達也さん…これは」

ほのかは不安そうな顔で達也を見る。

 

「どういう事だ。七草先輩から事前連絡があって然るべき問題だ。何の前触れもなくこの放送は……いや、…………」

達也は考える仕草をする。

こんな重要な事柄を、真由美ならば、同じ警備担当の達也達に事前に知らせるだろうはずだ。

それが無い。しかも、放送後も未だに連絡が無い。

達也は携帯端末で真由美を呼び出すが……連絡がつかない状態だ。

よっぽど緊迫した状況か、この放送の通り緊急を要している可能性が高いと判断する。

 

「本当に危険物が校内に?……いつそんな物が…………」

 

「ほのか、ゲスト(りせ)の安全確保が優先だ。七草先輩に連絡がつかない。校内を散策すると言っていたな………いや、今の放送は……放送室か」

 

「達也さん。生徒会室だと思う。今の七草先輩の放送は、たぶん生徒会室の緊急放送回線です」

 

「ということは、生徒会室だな。ほのか急ぐぞ」

 

達也とほのかは、本校舎のある生徒会室へと向かおうとする。

生徒達は放送に従って逃げるもの、迷っているもの、放送自体を信じていないものなど、校内は騒然としていた。

 

達也とほのかは、本校舎へ向かう途中で、数度、混乱する生徒達に校外退去を促す声掛けを行い、思うように生徒会室へ向かうことが出来ない。

 

そこで、更に緊迫した声での真由美の放送が流れる。

『!…皆さん!!直ちに敷地内から退避を!!全力で退避を!!霧が充満する前に!!出来るだけ早く!!』

 

「霧……どういう事だ?」

達也は霧が充満する前にという言葉が引っかかる。

危険物が少なくとも爆発物ではなさそうだと………もしかすると霧を発生させ何らかの化学反応を起こす兵器なのかもしれないと仮定をしてみるが……そんな化学兵器も聞いたことがない。

 

「達也さん……霧が………」

ほのかは建物の外側を見ながら不安な声を上げる。

 

「……霧が立ち込める?…………な!?なんだと!?」

達也はその放送を聞き、外を見ると、徐々に霧が立ち込めてくるようであった。

達也はその霧が何らかの化学兵器によるものなのかを調べるため、霧の構造を調べるが……全く読み取ることが出来ない。

普通の霧であれば水分子の結合体と言った単純な作り…他に殺傷力等がある化学兵器が含まれれば既知の分子構造であれば読み取れるはずなのだが…………その両方ではない。また未知の分子構造でもない…………全く読み取れないのだ。

達也に取ってこれは驚くべき事実なのだ。

 

そして…………

「達也さん!!危ない!!」

ほのかの叫び声共に達也はほのかに強く押され、周りが一瞬強い光に包まれる。

あの、鏡に人を取り込む光だった。

 

「くっ!!……ほのか無事か?」

達也の視界が徐々にもどる。

爆発物の爆破や化学兵器による攻撃ではなさそうだと、感覚的に達也は感じていた。

 

「!?」

しかし、視界が戻り周りを見渡し、やはり建物は破壊や攻撃の後はまったくない。

ただ………横にいたはずのほのかが居ない…………それどころか、先程まで混乱し逃げ惑う生徒達が大勢いたはずなのが……人がまるで消えたように、目に見えて少なくなっていた。

 

「………どういう事だ!?」

達也は周りを見渡し何度も確認する。

建物は光に包まれる前後で変わらない。

変わってたのは、人がその場から消えたように居なくなったという事実だ。

 

達也は冷静に再度周りを見る。周りの消えなかった生徒達は何が起こったのかわからずただただ、呆然としていた。

達也は眼の前にある鏡面ガラスに気がつく…………

そこには、確かに自分が写っている……

そして、ほのかが倒れている姿が写っているのだ…………しかし、自分の周りにはほのかは居ない。鏡にほのかが倒れているのが写っているのにだ。

 

「な………なんだこれは………どういう事だ…………」

達也は珍しく……いや、これ程動揺したのは、深雪が深手をおった4年前の沖縄以来か………

それ位にありえない現象が………達也の理解の範疇を明らかに超える現象が目の前で起きたのだ。

 

達也はほのかが写っている鏡面ガラスにふれる………そして、構造体の把握を行うが……それはただの鏡面ガラスだと…………魔法で起こした現象でもない………

 

「なんなんだ…………深雪!?」

達也は動揺しつつも、ふと深雪の安否が心配になる。

通常のテロリストの襲撃や、化学兵器や爆発物の攻撃ならば、今の深雪の力量であればさほど心配しなかっただろう。ただ、この達也が全く理解ができない現象が起こっている現状では、不安になるのは仕方がないだろう。携帯端末を取り出すが……電波障害なのか…通信ができない状態だ。

 

「くっ、深雪………ほのか…」

 

ほのかはこの鏡に閉じ込める光が見えていた。

ほのかの魔法適正は光のエレメンツ、光の波や信号を無意識にキャッチすることが出来る。

そのため、ほのかはこの光が発光する気配を察知し、危険なものだと感じ身を呈して達也を助けたのだ。

 

 

達也が動揺している間に、次々と生徒達の悲鳴が聞こえてくる。

 

達也の視界の範囲に悲鳴の元が現れる。

そこには、胴まわり50cmもあるヘビが何匹も現れたのだ。

ヘビは、次々と生徒達に巻き付き、そして、捕らえて行く。

 

達也はその行為を見、身構える。

動揺していた心を静め、臨戦態勢まで精神を持っていく。

それがただのヘビという生物ではないことは、構造体を把握出来る達也の目で明らかであった。いや、達也の目を持ってしてもそれが何なのかが把握出来なかったのだ。

 

達也は振動系単一魔法の3連射で、衝撃波を作り、数匹のヘビを吹き飛ばすが、後から後からと天井、壁、床を這って現れる。

相手の構造体が把握できない今、分解魔法を直接行使することが出来ないのだ。

分解・再成魔法以外の魔法では高威力の魔法が行使出来ない達也にとって、相性が悪い相手と言って良いだろう。

 

達也は、この場での防戦は意味がないと判断し、この場を撤退、深雪を探しに本校舎の1-Aクラスへ向かうつもりだ。

次々と現れるヘビに体術を使用しながら、無属性魔法で防戦をし……徐々に後退する。

達也の戦闘経験とスキルのお陰でなんとかしのいでいる状態だった…………

 

「…………ほのか…すまん」

 

 

 

 

 

 

一方生徒会室では………

 

あの鏡に人を取り込む光が放たれるが、りせがヒミコを顕現させたまま真由美を抱き込んだお陰で、真由美が巻き込まれずに済んでいた。

 

「りせ!どうなった!」

 

「完全に霧が敷地内を包んだの!これはちょっとした異界だわ…………

真由美さんの退避勧告で、3分の1から半分ぐらいの人は敷地外に逃げれたみたいだけど、

今の光で、その敷地内に残っていた人は鏡に半分弱取り込まれた!」

りせが早口で答える。

大凡、第一高校は生徒と教職員を合わせて600人強。敷地外に逃げれた人間は250人程度。

残った人間の内、150人は鏡に取り込まれたのだ。

 

「そんな…………」

 

「奴らの動きが早い……七草のお陰で、かなりたくさんの人が逃れることが出来た」

悠は呆然としている真由美に励ましの言葉をかける。

実際、真由美が放送で避難勧告をしなければ、その倍は被害があっただろう。

 

「悠先輩!それよりも、リーナの所に行ってあげて!相手はかなりやばい奴なの!!」

 

「……りせ」

 

「私なら大丈夫!悠先輩!私だって戦えるんだから!真由美さんもいるしね!行ってあげて!」

りせは自信満々にそう言い放った。

 

「わかった……無理はするな」

悠は廊下から窓を飛び出し、三階から飛び降り、練習棟へ急ぐ。

 

 

 

 

 

 

練習棟ではリーナと深雪は、幾何学模様の仮面を被ったミアと魔法による戦闘を開始していた。

 

リーナは牽制程度に、先程から電撃系の魔法を放ちながら、りせのレクチャーを聞いている。

その間、深雪は凍結系の魔法をミアに放っている。

 

『リーナよく聞いて、その敵はミアさんの本体に取り憑いている状態なの、今攻撃しようとしている体はミアさんの体なの、でも耐久力がものすごく上がっているから、ミアさん本体の体も普通には傷つかない』

 

(りせ、どうすれば?)

 

『あぶり出すしか無いわ。敵の弱点は見当たらないわ……電撃は無効化される。土系統も耐性がついてる。なにか精神的なダメージを与える事ができれば…………』

 

(さっきから、私の放出系の魔法(電撃)が全く効いてないのはそのせいね。精神的ダメージか………私が苦手な魔法ね………)

リーナはりせからそれを聞いて、得意の電撃魔法をやめ、氷結系に変更する。

 

『はっきり言って、リーナの持ち札だと、厳しいわ。物理攻撃がまだ有効だけど、ミアさん本体に傷つけるだけになってしまう』

 

 

(深雪は何か持ってないの?)

 

『有るけど、精神も肉体も全て凍結させてしまう即死系の超強力な魔法よ。ミアさん本体もこれではただでは済まないわ……下手をすると取り返しの付かないことに…………』

りせが深雪をアナライズして調べた魔法は、【コキュートス】という深雪の固有(BS)魔法と言っていい魔法だ。本人は魔法として発動できるが、なぜ精神まで凍結出来るのかは解明していないという。ブラックボックスに包まれた超強力な魔法なのだ。

 

(そんなのも、持ってるのね深雪は………でも、それしか無いのよね。……深雪には悪いけど使って貰うしか無いわね)

 

『それじゃ、ミアさん自身が……』

 

(精神的に生きているか死んでいるかわからないミア………躊躇していると、深雪や私が先にやられてしまう)

 

『そうだけど、悠先輩が今向かっているから!』

 

(それじゃ間に合わないかもしれないわ)

 

 

「少佐?本気でやってますか?ほら、全然効いてませんよ?」

ミアは余裕の声でこんな事を言ってくる。

 

リーナと深雪が今放っている氷結魔法を魔法障壁で尽く防がれている状態だ。

 

リーナは一度攻撃を止め、深雪の側まで、飛び退く。

「深雪、精神的なダメージを与える魔法が有効らしいの……なにか持ってるでしょ」

 

「……もってるわ。でも、あの魔法障壁が厄介だわ………こんなにドッペルゲンガーが強いなんて…………」

 

「わかった。私が何とかするから、その攻撃をくらわせて…………」

 

「わかったわリーナ」

 

 

「何こそこそ話してるんですか?私も混ぜてくださいよ少佐。…そう言えば、さっきの放送のせいで、生徒達がかなり逃げちゃったので、予定の数よりも少なくなっちゃいましたよ。これじゃ計画のレベルを下げるしか無いです。…………あれは私達が侵入したことに対しての警告ですよね。どうやって私達が侵入したことがわかったんですか?ここの搬入口のチェックにも引っかからなかったし………少佐も私が敵だって事をずっとわからなかったですよね。教えてくれませんか?」

幾何学模様の仮面をしたミアは攻撃するわけでもなく、こちらに歩み寄ってくる。

 

「ふん、知らないわよそんな事」

 

「なら、力ずくで聞いちゃいましょうか?少佐」

 

「やれるものならやってみなさい!………深雪…私が隙を作るから後はお願い」

リーナはミアを挑発しつつ、小声で深雪にお願いをする。

そして、リーナは深雪から離れ、ミアの後ろをとろうと、大きくジャンプをする。

 

 

『リーナ!相手がなにかしてくる。……【分子ディバイダー】っていう魔法よ!』

 

(な!?)

リーナはりせの忠告を聞いて驚く。

【分子ディバイダー】はスターズの極一部の高レベル魔法師しか使用出来ないUSNA前隊長が生み出した高難易度の魔法だ。

 

「少佐、手足の一本は頂いちゃいますよ」

ミアは右手を上に掲げると、巨大な光の剣のようなものが手から伸び、それを振り下ろす。

 

リーナは予め、情報強化(魔法防御)の魔法を展開し、その上で、光の剣の軌道を読みながら、すばやく避ける。

 

「なら、こっちも!」

リーナは避けながらもCADを操作し、そして、光の剣【分子ディバイダー】を発動させ、ミアに突き刺す様に伸ばす。

 

ミアは防御障壁などの各種防御魔法を展開するが、次々と突き破られていく。

そして、寸でのところで、ミアは自らが動きかわす。

 

「やはり凄いですね。そうやって使うんですね。勉強になりま………」

 

ミアがそう言いかけたところで、ミアは動きを止める。まるで時が止まった様に………

これは深雪の固有魔法【コキュートス】氷結系の魔法のはずなのだが、精神まで凍結させてしまう。即死魔法。

ミアはさながら氷の彫刻の様になる。

 

「やったの?」

リーナは深雪の横に飛び降りる。

 

「……多分………お兄様は?みんなは?」

深雪は戦闘態勢を解き、他の皆の事を心配する。

 

「……ミア」

リーナの目には悲しみの色が出ていた。

 

『まだよリーナ!ドッペルゲンガー本体は影の中に逃げた!』

 

「くっ………」

リーナは戦闘体勢を再度取る。

 

「フフフフフッ……危ないところだったわ。何かしらその魔法は、とんでもない魔法ね。即死系?しかも凍結属性を同時に?それを直接食らったら、さすがの私も危なかったわ」

 

完全に凍りつき、動かなくなった幾何学模様の仮面をしたミアの影から、素顔を晒したままのミアがスッと黄金色の目を怪しく光らせながら現れたのだ。

このミアこそが、ドッペルゲンガーのミアだったのだ。

深雪の魔法を受けたと同時にミア本体の影を限定的な異次元と化し、逃げ込んでいたのだ。

いや、元々影にも、本体の一部を宿していたのかもしれない。

今の攻撃はミア本人の体を傷付けているだけで、ドッペルゲンガー本体は影に逃れダメージを受けていなかった。

 

「えっ!?」

深雪は驚く顔をする。

 

 

『なに?………ものすごく、嫌な感じ……リーナ!耐えて、もう直ぐ悠先輩が着くから…………あっ!こっちにも敵…が…………』

そこでりせのテレパスが途切れる。

(りせ?りせ!?あっちも何かあったようね……悠が来てくれるまで耐えるしか無いわね)

 

そして…影から出てきたドッペルゲンガーのミアは……凍りついたミア本人を押し倒す。

凍りついたミアはゴトリと音を立てて床に倒れる。

 

「あら、せっかくの身体が台無しね。まあ、いいわ、貴方良いわね。名前は何ていうのかしら黒髪のお嬢さん…………貴方も少佐も仲間にしてあげる!」

そう言いながら再び影から現れたミアの身体は黒い霧に包まれる。

 

 

既に戦闘体勢をとっていたリーナは領域魔法【ムスペルヘイム】をその黒い霧に包まれているミア周囲に展開。

その場をプラズマ放電により灼熱地獄と化す。

 

 

しかし、黒い霧はドンドン膨れ上がり、4,5メートルは有ろうかという巨大な塊となる。

そして、灼熱地獄はリーナの意思に反して、解除されると同時に黒い霧は晴れる…………

「我は影、真なる我、裁きを与える者、この姿にひれ伏すがいいわ」

 

 

「な……なによこれ!?」

「……ああ、…うっ………なんて禍々しいの」

リーナと深雪はその姿に恐れおののく。

 

 

そこに現れたのは、5メートルは有ろうかという巨大なクモだった。黒色の体色に腹部には禍々しいドクロのような黄色い模様が浮かび上がっていた。

そして……クモの頭部に当たる場所には人の女性のような上半身が生え、腕は8本、顔には口や鼻が無く目が8つ並んでいた。

 

「フフフフフッ、もう終わりね。少佐……そうだ。先程の質問をいいかしら………」

ミアの声でそのクモの化物は気安くリーナに話しかける。

 

「深雪!全力よ!!的が大きくなっただけよ!!」

「わ…わかったわ!!」

リーナは深雪にそう言い、自らも奮い立たせながら、魔法を次々と放っていく。氷結・火炎と…………

深雪もリーナに干渉しないように、魔法を次々と放つ。氷結・火炎と…………

リーナは悠が来るまでの時間をかせぐためにも、得意ではない魔法でも断続的に放つ。

 

しかし、女性の体に生えている腕8本を属性魔法ごとに異なる腕を上げていく。

すると、魔法は巨大なクモの化物となったミアにダメージを与えることが出来ない。

巨大クモのミアはそれぞれの属性を司る上部4本の腕を振るうことによって、それぞれの属性魔法を無効化させる障壁を体に覆って居たのだ。

 

「無駄よ。もう、こうなった私には、誰も勝てないわ…………だからお話しましょ少佐。私達の侵入の事をどうやって、誰が調べたのかしら?」

 

 

「深雪!さっきの魔法は!」

「ためが必要なの!」

「わかったわ!」

 

リーナは大きく横にジャンプし、巨大クモのミアの気を引きつける。

そして、着地と共に【分子ディバイダー】発動し、巨大クモのミアの上半身に振るう。

 

しかし、ミアも上半身の下の腕一本に同じく【分子ディバイダー】を発動させそれを防ぐ。お互いの魔法が干渉しあって、お互いの魔法自体が吹き飛ぶ。

 

 

その隙に、深雪は【コキュートス】を巨大クモのミアに発動させ、巨大クモのミアは凍りつき、動きが完全に止まる。

 

「………今度こそ」

「…………」

 

しかし…………

巨大クモのミアの表層を覆っていた氷にヒビが入り、一気に剥がれ落ちる。

 

「危ないわその魔法。間一髪よ。さっき見ていてよかったわ」

巨大クモのミアは活動を再開。

ミアは予め即死魔法を防御するテトラジャを展開していたのだ。

 

「くっ!」

「そんな………」

 

「さあ、教えなさい?どうやって、私達の存在に気がついたの?少佐が大好きなあのペルソナ使いは、ここには居ないはずよ」

ミアは悠と何度も対峙しており、悠の事を独自に調べていたのだ。

しかも、リーナとの共同戦線についても疑っていた…………

 

「しらないわ!!」

 

「あれ~、鳴上悠くんでしたっけ、少佐が大好きなあの男の子。あれはダメね危険すぎる。力を付けた後で八つ裂きにしてあげるわ。彼、他の学校の学生だものね。ここには現れない。そういう時と場所を選んだんですもの………わざわざ、昼間を選んだのもそうよ。残念ね?」

 

ミアが余裕の声でリーナを挑発するように言うのだが………

そこに上部から落ち着いた雰囲気の声が割って入る。

 

 

 

「残念なのはお前の方だ……イ・ザ・ナ・ギ!!」カッ!!

 

 

 

4メートルは有ろうかという黒い人型の式神………いや、イザナギが中空から飛び降りる人影から突如と現れ、巨大クモのミアを猛烈な勢いで蹴り飛ばした。

クモのその巨体が練習棟の壁に激しく激突する。

 

同時にその人影も、中空からリーナと深雪の前に背中を向け軽やかに着地する。

そして、人影…悠は顔を2人に向け………

 

「大丈夫か二人共、遅くなった」

 

 

 




先生のこのシーンはずっと前に決まってました。
このシーンに持っていくにはどうすればと………前振りが長かった><

相変わらずチートのりせ………りせが居なければ、リーナと深雪はやられてましたね。

次は悠とりせ回予定………
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