ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

投稿が遅くなりすみません。
なかなか、悠と達也との初対面のイメージがわかなくて…………
こんな感じになりました。


第二十八話 達也の戦い

2月3日15:00

 

りせが烏のドッペルゲンガーを倒す前に遡る。

りせは迎撃のためグラウンドに出る前に、練習棟から移動する直前の悠とリーナに、テレパスで戦況を伝えていた。

 

『今、千葉エリカと吉田幹比古、柴田美月って子と合流したの、でも、3体のドッペルゲンガーと沢山の眷属に囲まれてて、真由美さんが頑張ってくれて今は何とかしのいでいるけど、あいつら沢山の眷属を使ってこちらの疲れを待っているみたいなの。だからこっちからグラウンドへ出て、倒しに行くから悠先輩達もこっちに来て!』

 

(こっちは、例の強力なドッペルゲンガーを倒した。2人とも無事だが消耗が激しいため、少し休ませていた。今から移動を開始する。グラウンドへ向かえばいいんだな)

悠も簡単に戦況を伝える。

 

『うん。悠先輩お願い!』

 

(え?3体?沢山の眷属って……りせ、それ大丈夫なの?)

リーナはりせ達を心配する。

 

『任せて!私も本気で行くから!……それと、ドッペルゲンガーとその眷属の弱点を知らせるね』

りせはこの後、アナライズしたドッペルゲンガーとその眷属の弱点を悠とリーナに知らせ、テレパスを一旦閉じた。

 

「悠、急いだほうがいいわ。りせと真由美が危ないわ」

 

「りせが本気だすと言った。大丈夫だろう。……合流するためにグラウンドに向かう。行くぞ」

 

「??」

リーナはりせと真由美がピンチであるのに、全く焦りを感じさせない悠に疑問をいだきながらも移動を開始する。

 

 

 

「あの……鳴上さんはここにどうやっていらっしゃったのですか?クモのドッペルゲンガーと話してましたけど……変装とか……もしや、あの可愛いクマの着ぐるみに鳴上さんが?」

加速魔法で移動しながら、深雪は疑問に思っていたことを聞く。

クマも深雪に可愛いと言われ本望であろうが、真由美同様センスを疑わざるを得ない。

 

「そうよ……あのブサイクな着ぐるみで変装って逆に目立ってたじゃない!」

それに悠ではなく、リーナが答え、悠に文句を言う。

 

「完璧だった!」

悠は拳を握りしめ、会心の出来だと決め顔をしていた。

 

「何処がよ!悠?本気で思っているようね…………深雪!そこの熊みたいな奴は電撃!ウサギの化物は炎よ!」

リーナは悠に呆れた顔を向けながら、深雪に弱点攻撃を指示しながら、前に立ち塞がる眷属を魔法で次々と屠っていく。

 

「クスッ、鳴上さんは面白い方ですね。久慈川りせさんともお知り合いなのですか?」

深雪は悠に微笑みながら、眷属をリーナに指示された魔法で屠っていく。

 

「りせは俺の昔からの友人。人手不足で頼まれて代理マネージャーをやっていた。まさかドッペルゲンガーが攻めてくるとは思ってもみなかった」

 

「え?偶然?でも、ドッペルゲンガーは鳴上さんを知ってたようですが………しかもリーナの軍の同僚だと」

 

「ああ……俺は、ドッペルゲンガーを追っていた。奴とは2度ほど顔を合わせていた」

「ミアは部署が違うけどそうよ……ミアがドッペルゲンガーだって私は知らなかったの」

悠とリーナは深雪の疑問に答える。

 

「……ということは、鳴上さんはUSNA軍の協力者なんですか?」

 

「いや違う。個人的にリーナと協力関係を結んでいるが、USNA軍とは関係が無い」

 

「リーナと鳴上さんは恋人なんですね」

 

「はぁーーーー!?何でそうなるのよ深雪!!そ…そんな事あるわけないじゃない!!」

リーナは真っ赤な顔をして、深雪に詰寄り声を大にして抗議する。

 

「え?でも、鳴上さんと居る時のリーナは自然体で楽しそうでしたし、学校ではあんな感じじゃないからてっきり」

 

「な!?なななな!ち……違うわよ!!」

リーナの顔は真っ赤なリンゴのようになり、慌てふためく。

 

2人が立ち止まって言い争いをしている中、悠は名刀【薄緑】で眷属達を倒しに行っていた。

どうやら、2人の言い争いを聞いていなかったようだ。

「二人共行くぞ。…リーナ?顔が真っ赤だ。攻撃でも受けたか?」

 

「違うわよ!!……………この鈍感」

リーナは思いっきり悠に怒鳴った後、誰にも聞こえないぐらい小声で呟く。

 

 

「鳴上さんは古式魔法師なのになぜ一般の学校に?」

再び移動をしながら深雪は悠に改めて聞く。

 

「俺は魔法師でも古式魔法師でもない」

 

「でも、あれほど強力な式神を…………」

 

「あれは式神じゃない。ペルソナ………精神を具現化させたもう一人の自分。俺はペルソナ使い」

悠は深雪に秘密を打ち明ける。もはや隠し通せるものでもない上、このような事態だ。

 

「精神を具現化した?ペルソナ使い?クモのドッペルゲンガーもそう呼んでました。………でも聞いたことがない」

深雪はペルソナという言葉に聞き覚えがない上、精神を具現化した力という言葉にもピンと来ないでいた。

 

「認知度は低いけど、USNAではSB(スピリチュアル)魔法師の括りだわ」

リーナも簡単に補足する。

 

「でも……あれ程の強力な力があれば日本でも…………」

 

「悠達が特別なの……USNAではあんな強力なものではないわ」

 

「……もしかして…あの………リーナと私の決闘を止めたあの存在は…………」

 

「ああ、俺のペルソナだ」

 

「……あれは………でもそうなんですね」

深雪はリーナとの決闘で現れたあの【シヴァ】を思い起こす。

確かに当時、シヴァが放つ凄まじい威圧感で動けないでいたが…………何故か恐怖心がわかなかった事に、今納得する。

それが悠の精神を具現化したものならばと…………

 

「その深雪、悠のこの事は黙ってあげてほしい。悠が強力なペルソナ使いだと周囲に認知されると……悠はもう、普通の生活ができなくなる。酷い目に遭うかもしれない。…………だから、私もUSNA軍には言ってないの…………」

 

「分かりました。でも、お兄様だけには…………」

 

「悠?」

リーナは悠の顔を覗う。今日一日、悠達は達也にバレないように警戒していたからだ。

 

「助かる。それとこれから合流する七草と一緒にいるりせの事も………りせもペルソナ使いだ」

こんな事態だ。達也に知られても致し方がない上、ミアを元に戻してもらわなければならない。

これから、合流するであろうりせの事も予め話した。

 

「え?アイドルの久慈川りせさんが?」

 

「ああ、りせの事も誰にも言わないでほしい」

 

「分かりました。……七草先輩もお知り合いのようですが………七草先輩もこの事を?」

 

「ああ、全部知ってる。七草とはこの件の前から友人関係だった。今はリーナ、七草、りせはドッペルゲンガーを追う仲間だ」

 

「そうだったんですか………その、私は……………歌?」

深雪はそう言いっきった悠とリーナを見て、羨ましく思う。

リーナは本来優先すべき軍という柵を超え悠と付き合い、お互い信頼仕切っている姿に…………自分には到底真似が出来ないのではないかと………四葉という柵から……………

 

何処からか曲にのせて歌が流れてくる。

 

 

 

 

 

一方、達也は未だ孤軍奮闘していた。

 

達也はこの異常な事態に、何よりも守るべき存在である深雪の無事の確認と安全を最優先すべく、深雪のクラス1-Aへ向かっていたのだが、一行に進まない。

 

達也の行く手には大蛇や熊など、この東京に生息しているはずがない生き物が……さらに、現実の世界ではありえないような、羽が生え空を舞うヘビ、人サイズで二足歩行するウサギなど異様な生き物が、わんさかと校内を闊歩しているのだ。

古式魔法師が使用する式神の類ではない。物質の構造体を見極める事ができる達也の目を持ってしても、それが何なのかが皆目わからなかったのだ。

 

ドッペルゲンガー(シャドウ)とその眷属の正体は………異界の物………この世の物では無いもの………現代社会では存在しないもの………

 

それは達也にとって、厄介極まりない相手であった。

 

達也のBS魔法:分解・再成魔法。

特に攻撃手段に用いる分解魔法は非常に汎用性が高く、殺傷力も極めて高い魔法だ。

だが、発動させるには条件がある。相手の構造体を理解し、把握しなければならない。

この魔法特性を持っていたとしても、現実に活かせる人物はほとんど居ないのは、そんな理由があるからだ。

しかし、達也はこの条件もほぼクリアしている。達也の目は相手の構造体を把握することが出来るからだ。

 

だが、この世の存在ではないドッペルゲンガー(シャドウ)やその眷属の構造は現世の物とは全く異なるものだ。達也の目を持ってしても見極めることも理解することも出来なかったのだ。

 

現在対峙しているドッペルゲンガー(シャドウ)とその眷属にはそういった理由で分解魔法での直接攻撃が出来ない。自ずと分解魔法は封じられたと言っていいだろう。

達也は分解・再成魔法以外の魔法が極端に弱い。分解・再成魔法に脳内の魔法演算領域がほぼ全て占められているからだ。そのため分解・再成魔法以外は簡易な魔法しか使用できない。

現条件下では、達也の力は大幅に制限されたに等しい。

 

だからといって達也は無力ではない。

ドッペルゲンガー眷属が断続的に襲いかかってくる現状でも、簡易な基礎魔法と九重流体術を明晰な頭脳や戦闘センスを駆使しながら、しのぎきっていた。

 

(深雪……無事で居てくれ)

 

 

そして達也の目の前にも………

「フフフフフッ、なかなか活きがいいわね。……これは当たりかしら?」

 

「なっ……人語を解す化物!?」

 

今まで会ってきた眷属とは違い一際異様な姿の化物が現れたのだ。

化物は女性のような風体だが、肌は灰色の鱗のような物に覆われている。

そして何より、下半身が巨大なヘビなのだ。

先程まで出会った化物は明らかに知性を感じられない獣共であったが、こうして達也に話しかけてきたのだ。

 

「化物とは失礼な物いいね」

ヘビ女……ヘビのドッペルゲンガーはそう言いながらも余裕の笑みを浮かべている。

 

「お前達は何者だ!」

 

「あなた達を刈るものよ……もう、この学校であなた1人……フフフフフッ、そして今から私にやられるの、さあ絶望なさい!!」

ヘビ女は、その巨大なヘビの下半身をムチの様にしならせ、襲いかかってくる。

 

「くっ」

達也はバックステップで次々と襲いかかるヘビの尾を凌ぐ。

達也はその間も思考する。

このヘビ女が言っている事が本当であれば、自分以外は既に、ほのかと同じく鏡に囚われているか、化物共に捕まっているということだ。

真由美の緊急校内放送で、深雪が敷地外に退避していてくれればと思うが、責任感が強い深雪の性格上それは考えにくい。

だから、達也はこうして、校内に残っているだろう深雪を探しているのだ。

 

達也はヘビ女に出会うまで、眷属共の攻撃を凌ぎながら不安に思っていた。

深雪は既にほのかと同様にあの光で鏡に囚われているかもしれないと…………

そんなネガティブな思考に囚われていたのだ。

 

「避けるのはうまいようね」

 

「パラサイトなのか!いや、ドッペルゲンガーか!?」

 

「その言い方…私達を知っているの?USNA軍にでもお知り合いがいるのかしら?あなた達が勝手にそう呼んでいるだけだから呼称なんて関係ないのだけどね」

 

ヘビ女は、右手の平を達也に向け、雷撃の魔法を放とうとするが、達也はヘビ女の右手の平に展開する魔法式をグラム・デモリッション(術式解体)で粉砕する。

 

「魔法が無効化される?」

 

ヘビ女は再度、魔法を構築しようとするが、達也にその度に魔法式が粉砕され、発動出来ない。

 

「………術式解体!?現実にできる人間が存在するなんて……………いいわあなた。私達の仲間になりなさいな」

ヘビ女のドッペルゲンガーは術式解体を知っていることからして魔法知識が高い。

それもそのはず。元USNA軍直属の魔法実験部隊出身者の映し身だからだ。

 

「…………お前たちの目的は何だ」

達也はそんなヘビ女の言葉を取り合わず、こちらから質問をする。

 

「あなた達を捕らえるためよ」

ヘビ女は魔法を諦め、尻尾による攻撃を行いながら、今度は目から赤い光線を放つ。

 

達也はそれをも素早い身のこなしで回避する。

 

「ちょこまかと!」

ヘビ女は影からヘビの眷属を多量に生み出し、達也に一気に襲いかかる。

 

達也は多量のヘビの波状攻撃とヘビ女の攻撃を流石に捌き切れずに、目からの赤い光線を左腕で受ける。

すると、赤い光線に触れた左腕が一瞬で石化する。

 

「ふっ、四肢を石にして、動けない貴方を可愛がってあげるわ」

 

しかし、達也の左腕は次の瞬間には石化が解け元に戻っていた。

達也の再成魔法【自己修復術式】がオートで発動したのだ。

 

「な!?石化が効かない?どういう事!?」

ヘビ女は術式解体の時よりも大きな驚きの声を上げる。

 

「……………」

有効な攻撃手段が無い達也にとって、不利が続くのは変わらない。

校内では、達也は更に攻撃手段が制限される。現状では鏡に囚われてる生徒やエネルギーを吸い取られ気を失っている生徒達を巻き込む恐れがあるからだ。

 

達也はヘビ女が驚いている隙を見て、廊下のガラスを突き破り、屋外へと飛び降り、校舎と校舎の間の路地に着地。

ヘビ女とその眷属も窓から、壁を這って追いすがってくる。

 

達也は背の高い植樹を分解魔法で切りおとし、ヘビ女や眷属に向かい倒す。何体かの眷属は下敷きになりダメージを食らうが、ヘビ女は器用に避け迫ってくる。

 

「面倒ね。早くやられなさいな!」

ヘビ女は少々焦っている。本来は校舎内から、コヨーテ、烏と共にりせ達を包囲していたのだ。

その間、別棟校舎にいる達也を見つけ、さっさと先に始末しようと算段していたが……思いの外抵抗され、戦闘が長引いて居たのだ。

更に、りせ達の反攻が始まり、眷属の数も目に見えて減らされていた。

 

「…………歌?歌が流れている?……誰かがまだ居るのか」

達也はグラウンド側から、ポップな曲に乗って女性の歌声が聞こえてきた。

ヒミコを介したりせの歌だ。

達也はこんな状況で歌が流れてくることに疑問に思いながらも、希望的観測で、深雪がもしかすると歌が流れている先にいるかも知れないと何故か考えてしまっていた。

 

「厄介な……」

ヘビ女は更に焦る。

歌が流れている先ではりせ達が激しく反攻しているからだ。しかもこちらが押されている状況だ。

達也がこのままりせ達に合流されると厄介なことになる事は目に見えていた。

 

 

そこに……ビックフットのような巨体の熊のドッペルゲンガーが達也の背後から現れ、猛烈なタックルを達也に食らわす。

真由美が電撃で大ダメージを与えたあの熊のドッペルゲンガーだ。

 

達也は吹き飛びながらも、自己修復術式で損傷した体を元に戻し、空中で姿勢を立て直し、着地する。

 

「………手こずっているようだな」

熊のドッペルゲンガーは達也越しにヘビ女に話しかける。

 

「なに?あなたもボロボロじゃない?」

ヘビ女も返事を返す。熊のドッペルゲンガーは真由美の電撃で所々火傷を負ったような状態になっていた。それでも随分と回復はしていたのだが………

 

 

達也は校舎と校舎の間の狭い小道で2体のドッペルゲンガーに挟まれ、ピンチを迎える。

「…………」

 

「これで、あなたもチェックメイトね……」

ヘビ女が余裕の表情で戦闘態勢を取る達也に言った………次の瞬間

 

 

熊のドッペルゲンガーは突如として放電し、激しく苦しむ。

そして断続的に電撃がその巨体に降り注ぐ。

「がああああああああ!!」

 

ヘビ女の背後上空からも若い男が刀を振るいヘビ女の胸元を突き刺した後、電撃を纏った刀で着地と共に大きく袈裟斬りに斬りつける。

「ああああああ!!」

 

 

そんな中、深雪が加速魔法で達也の元に現れたのだ。

「お兄様!ご無事でしたか!」

 

「み、深雪!……無事だったのか」

達也は突如としてドッペルゲンガーが攻撃される中、深雪が現れたことに驚きつつも、深雪の無事な姿にホッとする。

 

「はい。リーナも一緒でしたし……鳴上さんが助けてくださったので……お兄様が無事で戦っていることを信じておりました………」

 

 

そして、熊のドッペルゲンガーは放電しながら黒い液状になり消滅。

ヘビ女も切り裂かれ、黒い液状になり消滅。

 

熊のドッペルゲンガーはリーナの放出系魔法による弱点である電撃攻撃で、ヘビ女は悠の刀技で切り裂かれ消滅したのだ。

 

 

「鳴上………」

達也はヘビ女を消滅させ、その場で刀を片手にこちらに背をむける悠を見る。

 

 

達也が次に出た行動は……

 

「貴方は何者だ……」

振り向く悠に短銃型CADシルバーホーンを構える達也。

その後ろ姿で達也は気がつく。りせのマネージャー兼付き人の男だと。

 

「お兄様!!」

「達也何をするの!!」

達也の行動に深雪は驚き止めようとリーナは憤りの声を上げる。

 

「鳴上悠。…ペルソナ使いだ」

悠は達也に平然と答える。

 

「ペルソナ使い?……何故貴方はこそこそとこの学校に入った!…………この騒ぎは貴方が起こしたことか!」

達也にそう思われても仕方がない。第一高校に入る際は散々怪しい行動を取っていたからだ。偽名まで使って………

さらに、悠の刀技だ。エリカや幹比古やレオが言っていた身体的特徴も似ている。

そしてペルソナ使いというキーワード。エリカ達を助けた人物と同一人物だと確信する。

だからと言って、味方とは限らない。

 

「いや……予想もしなかった。俺は久慈川りせの付き人でここに来たに過ぎない」

悠は淡々と答える。

 

達也はそこでシルバーホーンを下ろす。

 

「貴方は……エリカ…いや、学生を何人かドッペルゲンガーから救った」

 

「…………」

 

「貴方には色々と疑問があるが、…………深雪を助けていただいた事に感謝します」

達也は悠に深くお辞儀をする。

 

深雪はホッとした顔をする。

リーナは達也を睨みつけていたが、フンとそっぽを向く。

 

「深雪はリーナの友人でもあるし、俺とも知り合いだ」

深雪を助けて当然だというふうに悠は答えるのだが………

 

達也は悠の言動で何故か心がざわつく……

 

「俺は司波達也、そこの司波深雪の兄です。………鳴上さんはドッペルゲンガーに精通しているようだ。色々と聞きたい事があるが……今はそうも言ってられない事態です。俺のことは妹と区別するために下の名前で呼んでください。妹と区別するために」

達也は自己紹介をするが、何故か妹と区別するためにという言葉を2度入れる。自分を下の名前呼びをさせ、深雪を名字で呼べということなのだ。

達也自身それがどんな感情なのか気がついていないだろうが、深雪を名前で呼び捨てにされたことにムッとしていた。

年が近い年代の男から達也の前で面と向かって、深雪を呼び捨てにされたことが無かったためだ。

 

「お兄様?」

そんな兄達也の様子を不思議そうに見る深雪。

 

「……このシスコン」

リーナはどうやら達也の意図に気がついたようだ。

 

「よろしく達也」

悠はそう言うが、きっと達也の意図に気がついていないであろう。




次回は、ようやく皆合流ですね。
悠と達也揃って登場。
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