ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。

この話から本題に入ります。
いや、本題のちょっと前って感じですかね。


第三話 嵐の前

11月26日(土)休日

国立図書館に隣接している喫茶店

悠は一つ年下の探偵王子こと、男装の麗人、白鐘直斗と待ち合わせをしていた。

 

「直斗、久しぶり」

 

「先輩、ご無沙汰してます」

直斗はいつもの青を基調とした男装姿だ。

仲間内で会うときは、徐々にだが女性っぽい装いもするようになってきたが、対外的にはまだ恥ずかしいらしい。

 

「忙しいのに、わざわざ悪いな」

 

「いえ、東京での用も丁度終わったので、……なぜここで待ち合わせを?僕としては都合がよかったんですが……」

 

「丁度いいだろ?俺もこの頃、国立図書館にはよく来ているから……」

 

「先輩も利用されているんですね。何か調べ物でもあるんですか?」

 

「ああ、改めて稲羽市の謎の霧についてな」

 

「あれは神イザナミが生み出したアメノサギリが起こした事象は僕達で解決に至ったはずですよね」

直斗は興味深そうに悠に質問をする。

それは悠達が奔走し解決した事件……事象の事であった。

 

1年半前の稲羽市内で起きた真夜中テレビというオカルト的な噂と関連した連続殺人事件を悠たちはペルソナ能力を得てそれらを解決するために奔走する。

殺人事件の犯人を突き止めることができたが、それは大きな流れの一端でしかなかった。

その大元は稲羽市が謎の霧が覆う事象と関係していたのだ。それは神アメノサギリが人類をすべてシャドウにするために生み出した霧であった。

悠たちはペルソナと絆の力でアメノサギリを止め、人類のシャドウ化を阻止する事ができたのだ。

 

「アメノサギリは人々の願いを拡大解釈し、人々は感情があるために悩み苦しむと考えた。この事から人々を解放するために、人類すべてをシャドウに変えようとした」

 

「そうです。人が物を考えないシャドウになれば、苦しむ事も悩む事も無いからです。しかし、それでは何も生まれない。僕達はそれを否定して打ち勝った」

 

「ああ、しかし、アメノサギリは暴走さえしたが、人々の願いをかなえようとしたのもまた事実。しかし、なぜあのような行動にでたのか、そして、あの地だったのか、俺はそれが偶然ではないような気がして、前々から調べていた」

 

「そうだったんですか、それで何かわかりましたか?」

 

「ああ、稲羽にはイザナミと同じくしてアメノサギリの伝承と信仰があった。今は失われていたが江戸時代には土地神として奉られ、祭事も行われていたらしい」

 

「……興味深いですね」

 

「あの一帯が八十稲羽と呼ばれているのもその名残りだった」

 

「そう言われると、あのあたりは変わった地名が多い気がします」

 

「風習や祭事は失われ、神は人々に忘れられ本来の機能を失っていく。その過程で人の願いをかなえると言う一点のみを追求してしまった結果ではないかと思う。まだまだ過程の段階だけどな」

 

「なるほど」

 

「それ以外にも、あの事件の様な事例は他でもあるのではないかと思い、いろいろと調べてみた。やはり、全国には発達した情報社会を築いている現代においても証明できないような不可解な事件がまだまだ多数ある事が分かった」

 

「確かに、難問と呼ばれている未解決事件や、事故は沢山存在しますね。僕も解いてみようと思った事件もありました」

 

「稲羽市と同様に、未解決事件などの中に、神や悪魔などが関わっている事件もある可能性は高い。それらは土地土地にある土着信仰や伝承と関わりがあるのではないかと推測している」

 

「……それはありえますね」

 

「何件かはその可能性があると俺はあたりをつけている。過去に存在した祭事や風習は何らかの意味を持って行われていたが、それが何時からか忘れ去られ…失われ…その土地の本来あるべき機能を失い、何らかの作用を起こしているのではないかと」

土地の風習や神社の祭事などの中には、厄災を抑えるために神に奉げ物として行っていたものや、悪霊などを封印する儀式だったりと、多種多様にある。それらが失われ、機能不全を起こした土地は、暴走し厄災を招く。悠はそう推測したのだ。

 

 

「それでマイナーな民俗学部がある大学を志望されていたのですね。先輩らしいです」

 

「ああ、調べ物をしている内に興味が沸いてきた。あの学部であれば、土地の風習や習慣なども深く探求できる……それと稲羽以外でも苦しんでいる人がいるかもしれない。神や悪魔は現代の科学では解決は不可能……そんな人たちの手助けができるかもしれない」

悠はペルソナやシャドウや人の精神が作用する異世界、神を名乗る存在等と出会い。それらの存在を示す痕跡や伝承等の文献を国立図書館等で探していたのだ。

そして、行き着いたのがこれだった。

皆には東京国立大学民俗学部を受験する事を伝えてはいたが、何故なのか聞かれなかったので、理由までは知らせていなかった。

 

「僕もあの事件に関わってからはそう考えるようになりました。以前は科学で証明できないものはないと思っていた人間の一人でしたが……」

 

 

ここでオーダーを通していたコーヒーをウェイターが持ってくる。

 

 

悠はコーヒーを口にし本題に入る。

「話を聞いてもらいたかったのはこの事では無いんだ」

 

「電話で言っていた相談…ですね。わざわざこうして僕と顔を突き合わせてという事は、なにかの事件にまきこまれたのですか?」

悠は直に会って相談したい事があると、数日前に直斗に連絡をし、直斗が丁度、探偵の仕事で東京に来るこのタイミングで待ち合わせをしたのだ。

 

「流石は探偵王子、そんなところだ。りせや他の皆にも話していないが、実は…横浜事変で俺がペルソナを使っているところを目撃した人物がいた」

 

「!……確かにそれは事件ですね。そして、その人物か組織が先輩に接触してきたと」

 

「ああ……横浜で避難誘導し助けた人々の証言の人物と、それとりせの記事……夏休みにりせの友人として、コンサートでバックダンサーをした俺の写真を見て、同一人物だと気がついたらしい」

今年の夏休み、りせは悠や直斗と仲間達に自分が出演するコンサートのバックダンサーをやってほしいと頼んだのだ。その時も、シャドウやペルソナ能力に纏わる事件に巻き込まれたが、なんとかコンサートも無事成功を収める事が出来た。

その時にりせと並んでいる所が写っている写真だ。

 

「それで久慈川さんには言わなかったんですね」

 

「ああ、りせは結構気にするからな」

 

「何者で……先輩に何か要求でもしてきたのですか?」

 

「七草真由美、八王子の魔法大学付属第一高校の3年らしい」

 

「七草……!先輩!十師族の子女じゃないですか、かなりの魔法の使い手だと聞いたことがあります。妖精姫などの二つ名があるほどの……」

 

「十師族……そうか有名な魔法師だったのか」

 

「先輩!大丈夫なんですか?何かされませんでしたか?何か強要されたとか?……あっ」

直斗は椅子から半立ちになり、心配そうに悠に迫るが……悠と鼻がくっ付くぐらいに顔を近づけていた事に気が付き、赤面してゆっくりと椅子に座りなおす。

 

「ああ…今のところそれは大丈夫だ。本人曰く、個人的興味本位らしくて、家族にも言っていないらしい……」

悠はそんな直斗の様子に気が付いていないかのように話を進める。

 

「うっうん。本当ですかね。七草家といえば、十師族の中でも、いろいろとやりてだと聞いてます」

直斗は咳払いをし、気を取り直し話を返す。

 

「七草さん自体は悪い人じゃなさそうなんだが……」

 

「先輩!警戒はしておいた方がいいですよ」

 

「ああ、しかし最初に会ってから2週間以上経ったが、警察や軍、魔法師協会からの接触は未だない。本当に個人的なのかもしれない。ただ……」

 

「なるほど……ただ?それ以外になにか問題が?」

 

「ああ、なぜかその後も、たびたび現れて、お茶に誘われる」

 

「はぁ?」

直斗は思わず素っ頓狂な声を上げる。

 

「今の所、俺をどうこうするつもりはなさそうだ。しかし、機嫌を損ねるとバラされる恐れもあるため、様子を見ている」

 

「……その七草真由美の様子はどうなんですか?」

 

「……強引にレストランなどに連れていかれ、もっぱら世間話をしてる。彼女は楽しそうだ」

 

「………先輩……相変わらずですね………」

 

「どういうことだ?直斗」

 

「いえ、先輩は知らなくていいです」

直斗は拗ねたような口調でそう言う。

鳴上悠という男は天然ジゴロ……本人にその気がなくとも女性を惹き付けてしまうのだ。

それだけ鳴上悠という男に魅力があるという事なのだが……

 

「幸いにも、バレているのは俺だけだ。ペルソナ能力についてもバレていない。俺の事は野良の魔法師だと思っている様だ」

 

「そうですか……先輩、でも、あちこちで女性にやさし過ぎるのもどうかと」

 

「女性に優しくするのは男として当然だ」

 

「はぁ…先輩はもうそれでいいです」

直斗は堂々と胸を張ってそんなこと言う悠を見て、ため息をつく。

 

「そこでだ。今のままで良いものかと、それと皆にも情報は共有したいが、どのタイミングで知らせた方がいいかだ。特にりせは責任を感じて落ち込むかもしれない」

 

「うーん……先輩の話を聞く限り、その七草真由美についてはその対応で間違っていないと思います。行き過ぎはいけませんが……皆に知らせるのは……先輩と同じ年の女性だというのがまずいですね」

 

「?……同学年の女性だと何かまずい事でも?」

 

「特に久慈川さんは……」

 

「確かにりせは難しいな、気落ちさせたくない」

 

「いえ、そういう意味ではないのですが」

 

直斗が言いたいのは、りせが真由美に嫉妬して暴走しないかを心配していたのだ。

しかし、悠に通じてなかったようだ。

悠は鈍感ではないが、りせを恋人対象の女性として見ていないのと、真由美は知人以上友達未満の関係だと思っているからだ。

 

 

「そうですね。SNSではペルソナ関連の話題を入れないように気をつけてますし、今の所、大きく問題ないようなので、今度の冬休み稲羽に帰られた時にでもいいんじゃないですか?」

直斗はそう締めくくる。

 

実は直斗の提案で携帯端末のコミュニティーでは皆は意識的にペルソナ関連の話題を避けている。何かの拍子に見られる可能性があるからだ。

桐条財閥はこちらを監視しているだろう事を想定しての事だが、十師族や国家機関も何かに気が付いて、見られでもしたら厄介だからだ。

 

「了解だ。直斗に相談してよかった。助かった」

 

「いえ、先輩の相談なら、いつでも一番に優先しますよ」

 

 

 

 

 

 

 

12月1日(木)放課後

本日も、真由美に強制的に都内の高級レストランの個室に連れていかれる悠。

 

「鳴上くんは、もうちょっと、くだけた感じで話してくれてもいいんじゃない?私たちは同じ年なんだし…名前で呼んでくれてもいいのよ、ウフフフフフッ」

真由美は悪戯っぽく微笑む。

 

「そうだな…では、真由美」

 

「……え!……その…」

真由美は本当に下の名前で呼ばれるとは思っていなかったため。悠の甘い声で名前を呼ばれると顔を真っ赤にしていた。

 

「間違った?じゃあ、七草」

 

「うううん。まだ、そっちでお願い」

真由美はまだ顔が赤い。悠からの名前呼びは刺激が強すぎた様だ。

 

「そうか残念」

 

「と、ところで鳴上くんは、大学は何処に行くの?魔法大学は流石に厳しいかもしれないけど、魔法を活用するなら防衛大学とか?」

 

「東京国立大学民俗学部」

 

「また、マイナーな学部ね。魔法がせっかく使えるのに」

真由美はまだ、悠が野良の魔法師だと勘違いしたままだ。

 

「やりたい事があるからな」

 

「………やりたい事……そう……私は魔法大学に入る事しか考えていなかったわ。それが自然な流れだと思っていたから。私がやりたい事……私にはあるのかしら………」

悠のその答えに、真由美は衝撃を受けていた。自分は何のために魔法大学に入るのか改めて考える。そこに自分の意思があるのかと……

 

「七草は魔法大学でやりたい事があったから入るんじゃないのか?」

 

「そんな風に考えても見なかった。私は十師族の長……七草家のためにそれらしい振る舞いと功績をあげることしか……その後は、より魔法力の高い子孫を残すために、どこかの高レベル魔法師、または、家柄の良い人に嫁ぐと漠然と思ってた……」

魔法師の家に生まれた女性は、より高い能力を子孫に残すことが大きな役割の一つとなっていた。

そのため、婚期も早く、学生結婚などはざらにある話であった。

この事からも、魔法師と一般人の価値観が大きく違うのが窺える。

真由美の親しい人間で周りに一般人など居なかった。ある意味魔法師社会だけの閉鎖的な環境で育ってきたのだ。しかも、十師族の長の長女という立場もあり、よりその傾向が大きい。

 

そのような中で育ってきた事もあり、悠の様な考えを持つ人間は今まで真由美の周りには居なかったのだ。

だから、真由美は悠との何気ない会話が新鮮で楽しかった。

 

「魔法師の家も大変なんだな」

 

「私のやりたい事………わからないわ」

真由美は視線を下に向け、間を置き、首を左右に振る。

真剣に考えるが答えが出ない。今まで考えた事も無かったからだ……

 

「いいんじゃないか、大学に行ってからでも……考える時間はたっぷりある。そこで七草が本当にやりたい事を見つければいい」

 

「本当にやりたい事……私でも見つけられる?」

真由美は悠の目をじっと見つめる。

 

「ああ」

 

「じゃあ、鳴上くんのやりたい事って?」

 

「この世界の真実を見つけること…かな」

悠は冗談めいた様に言っていたが、真剣にそのことを考えていた。

日常の世界の裏側に住まう、シャドウや神、魔といった存在をしり、この世界の真実を探求したいのだ。

 

「なによそれ」

そんな悠の言葉に真由美は小さく微笑む。

 

「かっこいいだろ?」

 

「もう」

茶化す悠に真由美は頬を膨らませ抗議をするが、楽しそうだ。

 

 

こうして、真由美と悠は緩やかにひと時を過ごしていく。

 

 

 

 

 

丁度その頃、日本の同盟国である太平洋を挟んだ東の大国USNA(北アメリカ大陸合衆国)では、魔法師が相次いで狙われる事件が多発していた。

被害にあった魔法師はいずれも、死亡または昏睡状態に陥る。また、行方不明者も多数でている。目撃者もなく、被害者がその状態では話を聞くことも出来ず。犯人の人物像すらもわからない。そして最大の謎は、被害者には外傷が全く見当たらないのだ。

この事から、メディアからゴースト事件と名がつけられることになる。

 

ただ、この不可解な事件に解決に、警察だけでなく、軍の魔法師による精鋭部隊:スターズが介入していた。

通常ではありえない対応だ。

あきらかに国(USNA)はこの事について、何らかの情報を持ち、危機感を持って国の最高峰の部隊を派兵したのだ。




こっからが、本題です。
魔法科高校では吸血鬼事件ですが……ここではゴースト事件と名前を変更しています。
流れは一緒の予定ですが……


ペルソナの説明が全然抜けてますが、
ペルソナは自分の精神を具現化したような存在ですね。
ジョジョでいうスタンドみたいなもんです。

普通一人に付き一体なのですが、悠だけは複数(100以上?)使用できます。
それが悠の特殊能力です。
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