ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

前回の続きです。
すみません。
後2、3話ぐらい、こんな話が続く予定です。

その後は………お待ちかね?あのイベント?



第三十三話 各方面の対応

悠は孝次郎相手に十分過ぎる力を見せ、七草家敷地内にある訓練施設から再び屋敷の応接間に戻る。

応接間にて、七草弘一、智一、真由美と悠がソファーに座り、再び話し合いを再開する。

孝次郎は不参加のようだ。

 

「君の力はよくわかった。神魔の存在の如何は別にしても、危機的状況下であることは、政府にも伝えよう」

弘一は始めにそう伝える。

 

「ありがとうございます」

 

「もう少しいいかね。………昨日の桐条美鶴嬢との会談で君の話題がでたのだが、君は警視庁対シャドウ部隊や桐条グループの人間ではないとは聞いていたが、実際どうなのだね?」

 

「桐条美鶴さんとは、同じペルソナ使いとして、個人的な知り合いですが、部隊やグループの人間ではないです」

 

「君がドッペルゲンガーを追っていたのは……真由美が囚われる前からか?」

 

「……俺は七草が行方不明になるまで、ゴースト事件、……ドッペルゲンガーが東京で暗躍していることは知りませんでした」

 

「そうか………真由美……鳴上くんと付き合いだしたのは、11月頃と言ったな、その頃から彼がペルソナ使いだと知っていたのか」

 

「つつ、付き合い!?お父さん何言ってるのよ!鳴上くんとは、そ、そんな関係じゃないわ!!」

真由美は勘違いしたのか、顔を赤くして弘一に抗議する。

 

「……私は最初に会った時から、君に違和感を感じていた。あまりにも堂々としすぎている。私との話す態度に、真由美を助ける行動力にだ。普通の人間ではこうは行かない。しかし、君の事も色々と探ったが……一般人のそれとほぼ変わらない経歴だ」

弘一はそんな真由美をよそに、悠に話を続ける。

 

「俺はペルソナを使えます……しかし、それ以外は普通の学生です。何度も言いましたが、こんな事件がない限り、ペルソナは必要のない能力です」

 

「普段の生活でその能力を活用しようと思ったことが無いと…………」

 

「無いです」

 

「そうか、君や桐条美鶴嬢の話以前に、国策を担っている魔法科高校でこれ程の大事件が起ったのだ。ドッペルゲンガーに対する警戒レベルは間違いなく上がっているだろう。政府は少なくとも新たな組織変更を打ち出してくるはずだ。今後も我々も更に本格的にドッペルゲンガーを追うことになるだろう。引き続き、我々の捜査に協力してもらえないだろうか……」

弘一は何かを考える仕草をしてから、悠に協力を申し出る。

 

「申し訳ないですが、お断りします」

 

「………何故だね?桐条美鶴嬢の警察組織シャドウワーカーにつくということかね」

 

「それもお断りしました」

 

政府が近々ドッペルゲンガーに対抗する新たな組織づくりを行うことになるだろうことを想定していた。第一高校襲撃事件はあまりにも大きい。だがその内情は国民の不安を払拭するために、対策を打つことを大々的にアピールするためだと予想している。

弘一の悠からもたらされた新たな情報を上に上げなくとも、今の状況では新たな対抗部隊としてシャドウワーカーの介入は防げないと見ていた。

となると、警察組織の力が大きくなり、軍が大きく介入できなくなるのではないかと……さらにその状態で事件を解決した場合。自分たちの国内に置ける力は低下するのではないかとも………

弘一は軍、いや、少なくとも七草家に独自にドッペルゲンガーに攻勢できる手段と方法を手に入れたかったのだ。

悠1人を七草家に取り込む事によって、ドッペルゲンガーに攻勢する手段を得て、警察組織に十分対抗できるだろうと目算をしていたのだ。

 

ドッペルゲンガーの事案無しにしても、先程見た鳴上悠の力は、魔法師と捉えても抜きん出ている。

少なく見積もっても、戦術級の攻撃力を有しているのだ。

七草家が悠を取り込めば、あの四葉家さえも凌ぐ戦力を得たことになる。

十師族の中でも、頭一つ飛び出る事ができるだろうと……

 

しかし、悠は弘一の申し出を断った。しかも、警察組織シャドウワーカーにも付かないという……………

 

「……君はこの件にもう、関わらないと言うことかね」

弘一は悠を見据える。

ドッペルゲンガーをそして、神や悪魔の介入を何よりも危惧しているのは、明らかにこの青年だ。

なのに、何処の組織にも組しないという。

弘一は悠が何を考えているのかがわからなかった。

 

「いえ、俺は俺でドッペルゲンガーを追います」

 

「鳴上くんどういう事なのかい?」

ここで智一が質問をする。

 

「組織には組織の強みがありますが……個人には個人の強みがあります。情報共有はしようと思います。正直組織に組み込まれるのは性に合わない。俺はドッペルゲンガーを倒し、この事件を解決できればいいんです。無用な組織の縄張り争いや政治抗争に巻き込まれ、真実を見落としたくはない。

最大の理由は、ドッペルゲンガーが何処の組織にも知らず知らずの内に入り込んでいる可能性があるということです。今回の件でわかったことですが、奴らは情報を得て、綿密に計画を練って今回の第一高校の襲撃に踏み切ったようです。ただ、第一高校に俺が現れた事が予想外だった。俺の正確な動きまでは奴らは想定できない。それは俺が何処の組織にも所属していない単独行動だったからです。単独行動の俺の動きは奴らに取っては予想の範疇外。俺が組織とは別に独立して行動するだけで奴らの牽制にもなり、奴らの大きな動きの制限も出来ます」

 

「前の話は耳の痛い話だな………なるほど、君の単独行動は奴らにとってイレギュラー性を生む訳か……………ならば、君の単独行動に真由美を一緒に連れて行ってくれまいか」

弘一は悠の説明に納得するが、悠の取り込みを諦めたわけでもない。

弘一は一度言葉を置いてから、こんな事を提案してきたのだ。

 

「…………」

 

「今回の件、真由美もいい働きをしたと思う。君の行動の邪魔にはならないと思うのだが……情報提供はしてくれるのだろう?真由美を介して君との情報共有を図れると思う。真由美も君と一緒のほうが喜ぶだろうしな」

 

「お、お父さん!?何を言ってるの!?」

真由美は顔を赤らめ弘一にまたしても抗議の声を上げる。

 

「……わかりました。元々俺は個人的に、七草……真由美さんには協力してもらおうと思っていたので」

悠は真顔のままそう答える。

 

「……鳴上くん」

真由美はそう言った悠の横顔を見ながら呟く。

 

「そうか、よろしく頼む」

弘一はここで話を終わらせる。

 

悠は七草家お付きの車で自宅まで送ってもらうことになった。

真由美も悠を自宅まで送る車に同席するために応接間を出る。

 

 

2人が出ていった応接間では、弘一と智一親子は話し合いを続けていた。

 

「智一、鳴上青年をどう思う」

 

「正直、神や悪魔等とは信じがたいですが、彼が嘘を言っているようにはとても見えないですね」

 

「わたしも、そう感じている。政府に伝えるのは骨だな。……それもそうだが、彼の戦闘力だ」

 

「はい、孝次郎をああも簡単に下す戦闘センス。第一高校の野外練習場で見たあの穴が彼が開けたものだとすれば、凄まじい攻撃力です。間違いなく十師族に匹敵、いや、単独で彼に勝てるものがいるのか……どうか」

 

「そういう事だ。ただ、彼には野心が全く無い。それが違和感の正体だったのかもしれん。……他の組織も彼の正体に気づき、取り込みを図る者が出て来るだろう。

しかし我々には大きなアドバンテージがある。幸いにも真由美が彼と昵懇だったということだ。11月に何故真由美が鳴上青年と会うようになったのかは不明だが、あの時、咎めもせず、真由美を好きにさせた事は、私のファインプレイだと思っているよ」

 

「そうですね。まさかこの様な事態になるとは思いませんでしたが」

 

「ドッペルゲンガーの件も国家にとって重要事項の一つとなるだろう。失態続きだった我々の挽回するチャンスともなるだろう。しかし、鳴上悠の取り込みは七草家に取って、最重要事項となるだろう」

 

「……やはり、真由美を………」

 

「強引な策を取れば、桐条が黙っていないだろう。かと言って、権力や地位などをちらつかせても無駄だ。鳴上青年は野心がない。これ程扱いにくいものがあるだろうか。しかし我々は彼に関する情報は、桐条の次、いや、私生活に関しては桐条より情報を持っていると言っていいだろう。

智一が言いたいこともわかる。しかしどうだ。今日の真由美の態度を見れば明らかだ。……真由美の方もまんざらでは無い」

 

「そうでしたね。それを手助けすると思えば………」

 

「ああ、強引な手や、下手な芝居はダメだ。先程の彼の話や態度を見たか?」

 

「はい、かなり頭も切れるようです。しかも、父さん相手に堂々と断る度胸もあります」

 

「そういう事だ」

 

こうして、真由美の心情など余所に、七草家は悠の取り込みを最優先事項とした。

 

 

 

 

 

時を同じくして………

 

『あら、達也さんもご一緒とは珍しいわね』

 

「申し訳ございません。ご当主様。兄……いえ、ガーディアン司波達也の同席と発言を是非許可して頂きたく……」

司波家ではリビングにある80インチのTVの映像通信で映し出されている相手に、深雪とその後ろで控えている達也は深々と頭を下げていた。

相手は十師族、四葉家の当主四葉真夜。深雪と達也の実の母の双子の妹、叔母である。

 

『いいでしょう。それと、今はわたくし1人なので、叔母と呼んでも良いのですよ。それと達也さんの事も兄と』

四葉真夜は40代中盤のはずなのだが、どう見ても30前の若い女性に見える美女だ。

 

「ありがとうございます」

深雪は画面の先の真夜にもう一度頭を下げる。

 

「ありがとうございます。叔母上」

深雪の後ろに控えていた達也も画面の前で一歩前に出て、再度深々と頭を下げる。

 

『第一高校襲撃の件ですわね。まずはお二人とも無事で何よりでした。でも、今か今かと報告を待ち望んでいたところですわ』

 

「はい、遅くなりまして申し訳ございません」

 

『こちらも、政府筋や軍関係からも、ある程度情報が来ておりますが、要領が得られませんの』

 

「自分から説明させていただきます」

達也はそう言って、第一高校襲撃事件の概要を真夜に説明をする。

もちろん悠のことも含めてだ。

ただ、りせがペルソナ使いであることは意図的に伏せて居た。

これは、約束を守るといったことだけではない。

達也はこの時点ではりせへの認識が非常に甘かったため、さして重要視していなかった。

さらに四葉家に対して何らかのアドバンテージを持っていることは後々に有利に働くかもしれないと考えたからだ。それも、ちょっとした程度のものだという認識で………

 

この頃の達也は四葉家を警戒していた。四葉家は自分たち兄妹を縛り付けるものであって、決して安心できる相手ではないと、自分たち兄妹に少しでも有利に持っていきたかったのだ。

 

後々に達也達にとって、この事が大きく影響するのだが………

 

 

『ドッペルゲンガーに、異世界の門、神と悪魔………まるで御伽話のようですわね』

 

「はい、神や悪魔が存在するかは真偽の程は定かではありませんが、対峙したドッペルゲンガーとその眷属は、自分の能力でも、物質構成等を見ることが出来ませんでした。」

 

『そうですか、達也さんがそう言うのであれば、確かなのでしょう。パラサイトも異世界からの来訪者だという見解がありましたが、それがほぼ確定だということですね』

 

「さらに…ドッペルゲンガーと戦ってきたペルソナ使いを名乗る鳴上悠なる人物と接触しました。彼はこの事件の前からずっとこの様な存在と対峙してきたようです」

 

『なるほど、ペルソナ使いですか。確かにこちらに届いている情報にも鳴上悠なる人物の名前やペルソナ使いと言う能力者の記述がありました。調べても何らかの精神作用で特定の廃人者等を戻す能力である様な事が書かれていましたが……』

 

「彼の攻撃力は凄まじく、ドッペルゲンガーを一撃のもとに葬る力を持っています。軽く目算しても、彼のペルソナなる式神に似た能力は戦術級の力を有します。本人自身も刀の使い手でした。戦闘センスもあのイリュージョンブレード千葉修次に匹敵するとのことです」

達也は淡々と語る。

 

『それは、厄介ですね。……もし、達也さんが彼と対峙した場合の勝算は?』

 

「困難を極めます。彼の力は全て把握しておりません。大きな点ばかり目が行きますが、基礎能力が非常に高いと思われます。彼の行動を見て危険察知能力も非常に高い事もわかっております」

 

『達也さんの能力の解禁状態でもですか?』

 

「分解魔法が効果があれば、容易に事を為せるでしょう。しかし、彼は得体が知れません。分解魔法に対抗する何かを持っている可能性もあるでしょう」

 

『達也さんにそこまで言わせるなんて、ただ単に火力が高いだけではないのですね。深雪さんは何か彼について意見はありますか?』

 

「……鳴上さんは戦いを好んでおりません」

 

『どういうことですか深雪さん』

 

「うまく言えません。……でも、鳴上さんの雰囲気は戦士のそれには似つかわしくないのです」

深雪は言葉を詰まらせながらも、何かを訴えようとする。

 

「深雪……」

 

『わかりました。彼についてやペルソナ使いについては引き続き調査が必要のようです。今回の事件で魔法師でもドッペルゲンガーを倒すことが出来る事は分かりました。できれば捕らえたいのですが……それはこちらで考えましょう。東京での動きはこちらでも手を回してますわ。深雪さんは今までどおり学校生活を、達也さんは深雪さんの事をくれぐれも、……鳴上悠なる人物については気に留めて置いてください。何か動きがあるようなら報告を願いますわ』

 

「了解いたしました」

「………かしこまりました」

達也と深雪は返事をし、真夜への報告を終える。

 

 

通信を終えた深雪は………

 

「お兄様、鳴上さんは私達を助けて下さいましたのに、こんな真似をするのは、心が………」

 

「……本人が俺たちに自分の情報を流しても良いと言った。そのかわり久慈川りせの情報は流していない。正当な取引だ。深雪が気に病む必要は無い」

 

「ですが、お兄様……深雪はいたたまれません」

 

「…………」

達也はそんな深雪を見て、改めて鳴上悠の姿を思い出す。

戦闘中の悠には戦士特有の殺伐とした雰囲気は全く感じられない。

それでも敵を的確に倒していく。

その姿全身から何か強い意思のような物が流れてくるようにも感じた。

達也が今まで出会った軍人や魔法師とは全く異なる雰囲気を持つ人物だったのだ。

(何者なんだ貴方は……敵か味方か……少なくとも敵にはまるで見えなかった)

 

 

 

さらに、時を同じくして………

 

この日、ドッペルゲンガーに関するUSNA内部からの情報リークが日本政府に届いたのだ。………情報が漏れた事を知ったUSNA政府は、日本政府からの抗議を受ける前に、先手をうち正式にドッペルゲンガーに関する情報提供と協力を申し出たのだ。

 

日本政府は第一高校現地調査結果とUSNAからの情報提供により、桐条美鶴からもたらされた情報が真実味が帯びる。事態を重く見た政府は、重たい腰をあげ対ドッペルゲンガー対策チームの設置と組織再編を至急行うように、警察、軍組織に要請。その際、シャドウワーカーは警察組織側からの切り札として、対ドッペルゲンガー対策チームの上層部に組み込まれることとなった。

 

USNA軍との協力態勢も敷かれ、リーナも対ドッペルゲンガー対策チームの外部協力組織としての位置づけとなり、奇しくも日本での正式な立場を得ることとなったのだ。

 




次はUSNAと桐条予定?
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