ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

ちょい、順番が逆になりました。
本来桐条と悠、桐条と政府の話だったんですが………堅苦しい話が続くのはちょっとつらかったので………

今回はライトなお話です後半は………



第三十五話 鳴上悠宅に訪問

2月6日(日)15:00

 

達也と深雪は悠の自宅のリビングに通された。

 

「鳴上さん。お礼が遅くなりまして申し訳ございません。先日は助けて頂きましてありがとうございました」

深雪は悠に深くお辞儀をする。

 

「助かりました」

達也も深雪に倣い、悠にお礼を言いお辞儀をする。

 

「いやいい、深雪も達也も踏ん張ってくれたから、ドッペルゲンガーを撃退できた。ありがとう」

悠はさわやかな笑顔で返礼する。

 

悠は2人にソファーに座らせ、キッチンに向かい紅茶の用意をし、戻ってくる。

 

 

「……その、鳴上さんあの後は…………」

深雪は聞きにくそうに口を開ける。

 

「ああ、あの後、いろんな所からいろいろ聞かれたな。しかし、特に問題ない」

悠は平然と話す。

 

「問題ないはずがない。あなたは、警察やら軍やらに、詰問されたはずだ」

問題ないと言う悠を達也が否定する。

 

「いや、警察と軍には当日聞かれただけだ。後は、桐条美鶴さんがなんとかしてくれた」

 

「……知り合いだとは言ってましたが、桐条財閥総裁がなぜあなたを……」

 

「桐条美鶴さんは俺と同じペルソナ使い。さらに彼女が起こした組織は警察の末端組織対シャドウ部隊シャドウワーカー、要するにドッペルゲンガー等異界の者の専門集団だ。俺は美鶴さんに今回の件を詳しく話している。俺の口からよりも、美鶴さんらから政府関係筋に話した方が良いだろう」

 

「……あなたは、自分の立場がわかっていない。今回の件で最上位の魔法師に匹敵する力を示しすぎた。ペルソナ使いという新たな特殊能力者として………政府関係者だけじゃない。魔法協会、十師族や魔法師氏族、古式魔法団体。さらに反魔法団体などからも接触や、もしかすると拉致や狙われるかもしれない」

達也は平然としている悠に、苛つきを感じこんな言い方をしてしまった。

 

「達也の言う通り、確かに政府関係者以外の人たちと何度かコンタクトは取った。七草の実家とかにな……、今の所は、達也が言うような拉致や狙われるような事にはなってない」

 

「七草家はなんと?」

 

「七草弘一氏に勧誘されたが断った」

 

「既にあなたが桐条の後ろ盾があるから断ったということですか?」

 

「美鶴さんには申し訳なかったが、それも丁重にお断りした」

 

「あなたは何を考えている!七草、桐条は強力な後ろ盾になってくれるかもしれないんだ。それを断るなどとなぜそんな愚行を。あなたはもっと頭が回る人だと思っていた」

達也は珍しく驚き、さらに悠に少々感情的になっていた。

 

「お兄様」

 

「………達也、俺は何処の組織にも属さない。それがドッペルゲンガーに対する牽制手段であり、これからの攻勢に出る事ができる方法だと考えている」

 

「どういうことですか」

 

「今は、ドッペルゲンガーに対しどうやって対策を練るかが重要だ。不要な争いは起こしたくはない。

各組織、俺個人を巡って争うならば、最初から何処の組織にも属さないと宣言すればいいだけの話だ。

俺が最も懸念するのは、ドッペルゲンガーが何処かの組織に潜り込んでいる可能性だ。俺がその組織に属せば、動きは丸わかりになり、不覚を取る可能性もある。

今回の襲撃事件、奴らは、俺とりせというペルソナ使いがあの場に居ることは想定外だった。奴らは俺のことは前々から知り警戒していたが……俺個人の動きは把握していなかったということだ。逆に組織に所属せずに活動する動きが読めない俺は奴らにとって脅威になり得る」

 

「……確かに、あのクモのドッペルゲンガーは鳴上さんがあの場に居ることにかなり驚いていました」

深雪はミアに取り憑いていたドッペルゲンガーとの戦いの際の悠とのやり取りを思い出す。

 

「奴らは組織の中に潜り込み情報を集め、そして事に及んでいる。ただの化物の類ではない。しかもコピー元の人間の知識をフルに使ってだ」

 

「だとしても、あなたは、何処の組織にも属さないということは、国内のすべてを敵に回すということだ」

 

「違うな。すべてを敵に回さないということだ」

 

「それは屁理屈だ。味方にならないと知れば、排除されるだけだ」

 

「俺はなにもドッペルゲンガーを倒さないと言っているわけじゃない。むしろ積極的に倒すと言っている。ただ、その際に何処の組織にも所属しないと言っているだけで、独自に動くだけの話だ。情報提供もする。ドッペルゲンガーが発見され、手に負えないのなら、助けにも行く」

 

「……しかし、いくら強いといってもあなた一人では」

 

「俺は一人じゃない。仲間が居る。七草もリーナも協力してくれる。りせもだ」

 

「七草先輩が?あなたも知ってるはずだ。七草先輩は十師族の子女だ」

 

「知ってる。だから交渉した。七草弘一氏に直接」

 

「な……そんな事を、あなたが………百歩譲ってそれが成立したとしても…………リーナは無理だ」

 

「それも交渉した。達也も知っているのだろう?リーナがUSNA軍の人間だということを…………既にかなり上の人物と話を付けた」

 

「バカな。あり得ない……たかが高校生の後ろ盾もなにもないあなたが、そんな話ができるはずもない。相手は他国の軍隊だ。しかもリーナは……」

この後の言葉が達也は出せない。スターズの隊長で戦略級魔法師だということを。

達也はどう考えても、交渉などできようもない相手だった。

ましてや、リーナは戦略級魔法師という立場だ。

もし、主家である四葉家が全力を注いで交渉したとしても、そんな都合の良い話に持っていけるだろうか?それこそ、戦い、抗争し、勝たなければ考えられない話だ。

それを後ろ盾もなにもない。一介の高校生がだ。

 

「お、お兄様」

深雪はこれ程、感情的になる達也を見たことがなかった。

抑揚の少ない口調だが…確かに達也は感情的になっていた。

 

「確かに後ろ盾は無い……が人との絆や繋がりはある。それが功を奏した」

 

「人との絆と繋がり………」

深雪は呟くように悠の言葉を口にする。

 

「そんなもので、組織は動かない…………」

 

「確かにな……それだけではいろんな人間の意思が集まる組織は動かない。だから取引をした」

 

「一個人ができる取引など成立するはずがない」

 

「……達也、利害の一致を見れば成立する。俺はそんな条件を出している。俺に取って不要だが、相手に取って喉から手が出るほど欲するものだ」

 

「………俺は、あなたがわからない」

達也はうつむき加減でそう言う。

 

「俺も、達也とは先日出会ったばかりだ。お互い何もわからなくて当然だ。これからだ」

悠は達也に笑顔を向けた。

 

 

悠は一息ついて、頃合いとキッチンに行き、紅茶のおかわりと、手作りシュークリームを用意する。

深雪はそれを手伝おうとキッチンに付いていく。

 

「鳴上さんすみません。お礼に来たのに……こんな話になりまして………兄もいつもはあんな感じじゃないんです」

 

「いやいい、達也の疑問ももっともだ。それに俺は、深雪や達也の事をもっと知りたいと思ってる」

 

「…そ…そんな……。私も鳴上さんともっと親しくしたいと思ってます」

 

 

 

紅茶とシュークリームを持って、悠と深雪はリビングに戻る。

達也は相変わらず難しい顔をしていた。

 

「それで、達也はどうするんだ?達也もドッペルゲンガーを追っていたようだが」

 

「………やはり、七草先輩とはずっと……もしやリーナとも、ということは、あの多摩川の河川敷のシヴァは」

 

「そうだ。あれも俺のペルソナだ」

 

「………本当にあなたは………いや、今は…………ドッペルゲンガーを……」

達也は答えに窮していた。今や、ドッペルゲンガーを追うべきかということをだ。

すでに、四葉家はドッペルゲンガーに関して関与する方向を打ち出していた。

達也に下った命令は、深雪を引き続き守ること、付随して、鳴上悠の情報を得ることだ。

ドッペルゲンガーを追うことは含まれていない。

 

「達也がもし、ドッペルゲンガーを追う意思があるならば、一緒にやらないか?」

 

「…あなたは何を」

 

「深雪も……ただ達也と深雪が何処かの組織の下で秘密裏に動いているのであれば諦める…………」

 

「私は……」

深雪はうつむき加減になる。

 

「あなたは………何処まで……………」

達也はその後の言葉がでない。何処まで知っているのか?と………

達也はそのことも懸念していた。

ドッペルゲンガーの襲撃時、異世界の門を追っていた際、悠は確かに達也に戦略級魔法を使えと言ったのだ。軍の一部の人間と四葉家しか知らない情報をだ。

 

「無理強いするつもりはない。危険を伴うことだ」

 

「検討させてください」

達也は本来断るべき事案だとは頭ではわかっていたが、答えをこの場で出せなかった。

 

 

 

「!?しまった。ごめん。もう一組客が来る事を言うのを忘れてた」

悠は時計を見て気がつく。

 

「それでは俺たちはここでお暇を……」

 

「いや、大丈夫だ」

 

「どういうことですか?」

 

 

そこでチャイムが鳴る。

「ちょっと待っててくれ」

 

立ち上がろうとする達也と深雪をそのまま座らせ、悠は玄関へと向かう。

 

玄関からは達也と深雪が知っている声がする。

 

「お邪魔しますって、あれ?達也くんと深雪じゃん」

「司波くん、深雪さんこんにちは」

「達也がなんでここに?」

「よお、達也?久々か?」

リビングに、千葉エリカ、柴田美月、吉田幹比古、西城レオンハルトが入ってきたのだ。

 

「なんだ。お前たちはどうしてここに」

「エリカ、美月、吉田くんに西城くん、こんにちは」

達也と深雪はそれぞれ対応する。

 

「鳴上さんにこの前のお礼によ。レオもどうしても行きたいって言うから」

「なんだよ俺だけじゃないだろ?お前らは2回も助けてもらったんだろ?」

エリカとレオはなすりつけ合いをする。

 

「俺達もお礼に来た」

 

 

悠は予備の椅子をリビングにだして、皆に座るように言ってからキッチンに行き、紅茶とシュークリームの用意をする。

深雪もそれに倣い、一緒にキッチンに入る。

 

「レオ、退院できたのか」

「おう、今日な」

「そんで、レオが鳴上さんにお礼言いたいってグズって」

「誰がグズった!」

 

「そんで、鳴上さんに電話したら、来ていいって、まさか達也くんたちが居るとは思ってなかったわよ」

エリカが悠に連絡を付けたらしい。

 

悠と深雪は皆の分の紅茶とシュークリームをテーブルに出す。

 

「改めて、鳴上さん。この前はありがとうございました」

「ありがとうございました」

「本当に助かりました」

「ありがとう。まじで、あん時は死ぬかと思ったしな、あんたにお礼が言えてよかった」

エリカ、美月、幹比古、レオは立ち上がって悠にお礼を言う。

 

「いや、俺は何もしてない。君たち3人を助けたのは七草とりせだ」

 

「いえ、その前の都内の高校で私と幹を助けてくれました」

「俺は、公園だけどな。改めて、西城レオンハルト、レオって呼んでくれ」

 

「そうか、たまたまだ」

 

「りせ姉様はどうしよう」

「りせお姉さま」

「七草先輩は、今度学校でお礼を言うとして……りせさんは」

 

「おい幹比古、この2人がいうりせ姉様ってなんだよ。なんで姉様なんだよ」

 

「あっ、しまった」

「……す、すみません」

「ご、ごめんなさい」

エリカ、美月、幹比古はレオの言葉で思い出したように言った。

そう、りせのことはレオには一切話していなかったのだが…ここで、ついりせの名前を出してしまったのだ。その前に悠はりせの名を出してしまっていたのだが………

 

「レオは君らの大切な仲間なんだろ?だったらいいさ。俺もレオに縁があるしな。そのかわりレオにも黙ってもらう」

 

「何をだ?」

 

「僕とエリカと柴田さんは、第一高校では鳴上さんに助けられたというよりも、七草先輩とりせさんに助けられたんだ」

幹比古は疑問顔のレオに説明する。

 

「だから、りせって誰なんだよ」

 

「ああ!!あんたが呼び捨てするな!!今をときめく若手アイドルナンバー1の久慈川りせ姉様よ!!」

エリカはレオに怒鳴りながら言う。

 

「はぁ?りせってあの?なんでアイドルに魔法師が助けられるんだ?」

 

「呼び捨てすんなって言ったでしょ!!察しが悪いわね。この男は」

 

「りせは俺の昔からの親友で、俺と同じペルソナ使いだ」

悠が端的にレオに説明する。

 

「はぁ?アイドルが特殊能力者?」

レオは悠のことやペルソナの事はエリカ達にある程度聞いていた。

 

「あんたなんかりせ姉様にかかれば、瞬殺よ!瞬殺!!」

 

「そんなに強いのかよ。全然戦えるように見えないぞ」

 

「あーーーーわかってないわね。ドッペルゲンガーを素手で鷲掴み、ビンタ30発、マイクで一発殴って倒しちゃったんだから!!」

エリカは興奮気味に説明する。

 

「ま…………まじか?」

レオは幹比古に聴き直す。

 

「うん……りせさんには触ったりしないほうが良いよ。地獄を見ることになるから」

幹比古は当時のことを思い出し震えていた。

達也もエリカの話を聞いて驚く。

 

「それだけじゃないわよ!無数に攻撃してきた眷属を、なんかよくわからない魔法や、マイクとかCDとかで倒しちゃうんだから」

 

「マイク?CD?どういう事なのエリカ?」

深雪には何のことかわからなかった。まあ普通はわからないだろう。

 

「りせお姉さまはそれだけじゃないんです。戦闘指示も的確なんです」

美月もうっとりとした表情でエリカの説明に補足する。

 

「やはりか……みんなも気を付けたほうが良い。りせを怒らせたら大変な目に遭う。………俺は絶対怒らせないがな」

悠も額に一筋の汗を流し、苦笑し皆に注意する。

物理的というか、精神的にも追い込まれるだろう。

 

「……あの鳴上さんがそこまで言うのか」

「鳴上さん」

達也と深雪も悠の表情や言葉に驚いていた。

 

 

「鳴上さん、りせ姉様にも是非お礼を言いたいのですが………」

エリカは悠に願い出でる。

美月もそれに同意し頷いている。

 

「今は難しい。あんなことがあった後だ。魔法協会ががっちりガードをしているらしい」

今、りせは悠とコンタクトを取ることも困難な状況だ。今や政府筋で名前が上がっている悠にコンタクトを頻繁に取っていると知れれば、怪しまれる上に、四六時中、魔法協会の人間がりせをガードしている。

しかし、悠は毎晩りせと電話で話している。りせが悠が心配で電話をかけてくるからだ。

りせのペルソナ、ヒミコの能力でその会話は盗聴や盗み聞きなどが出来ないようになり、さらに電話料金もかからなくなるという優れものだ。

りせから電話を掛ける分には問題がなくなる。

 

りせをあんな惨事に巻き込んだのだ。魔法協会としても、最大限の誠意をりせにもりせの事務所にも見せなければならない。そこで、りせの周りに厳重なガードが付くことになった。その指揮を行っているのが、十文字家次期当主の十文字克人だ。因みに真由美の同級生でもある。さらに、シャドウワーカーからも、ラビリスがガードについた。ドッペルゲンガーに襲われるかもしれないという名目だ。実際にはりせの能力を当てにしているのかもしれないが………

 

いずれにしろ、りせに直接会うことは現状不可能である。

 

「そうですか……」

「残念です」

エリカと美月は残念そうな顔をする。よっぽどりせに会いたかったのだろう。

 

 

「うまいなこのシュークリーム」

「レオ!この男は緊張感っていうものがないのよ。……美味しいわねこれ」

「本当だ」

「甘さ加減もちょうど、美味しい」

「……………」

「美味しい」

皆、レオを皮切りにデザートのシュークリームに舌鼓を打つ。

 

「鳴上さん、これをどこのケーキ店で買われたんですか?」

美月は悠にシュークリームの残りをうっとり眺めながら聞く。

 

「自作だ」

 

「え?」「へ?」「はい?」「!?」「まじでか?」「これを?」

悠の答えに皆は一斉に悠の方を見る。

 

「自信作だ」

 

「「「「「……………………」」」」」

 

(おい、まじかよ)

(なに、この完璧超人)

(プロ並、いえそれ以上です)

(これを…あの人が)

(…………)

(流石です鳴上さん)

6人はテーブルの上で顔を突き合わせこそこそと話す。

 

「??」

 

「鳴上さん……その、このシュークリームの作り方教えて頂けませんか?」

深雪は悠に上目遣いでこんな事を言った。

 

「いつでも」

 

「深雪?」

達也はそれには驚きを隠せないでいた。そしてその視線は悠に向けられ自然と鋭くなる。

 

「深雪ずるい、私も」

「おまえ、料理できるのか?」

「ああ!?私が出来ないとでも?」

「エリカちゃん料理できたんだ」

「……美月まで、…………ちょ、ちょっとだけね」

「エリカ………」

「幹!なんで憐れむような目で見るのよ!」

エリカ達は口々に言い合う。

 

 

この後は、和やかなムードで、ドッペルゲンガー第一高校襲撃事件の時の話などで盛り上がる。

エリカと美月は主にりせの話だが………

 

 

悠はその間に、夕飯を人数分作り、皆に振る舞った。

ハンバーグに人参とほうれん草のソテーとかぼちゃのスープに、7種の豆サラダだ。

 

それを頂いた6人はため息しか出なかったとか………

 

 

 

 

 

達也と深雪は悠の自宅からの帰り際………

「鳴上悠という人物が益々わからなくなった」

 

「お兄様、深く考えすぎです。鳴上さんはただ単に、皆が傷つかない一番いい方法を実行しているのです」

 

「……自分を犠牲にしてまでか」

 

「………鳴上さんが苦しそうに見えましたか?」

 

「いや……」

 

「私達の前だからそう振る舞っているだけなのかもしれませんが、少なくとも自己犠牲等と思っている人に、あんな笑顔ができるものではないと思います」

 

「……どう見ても、戦う人間の雰囲気を持っていない。しかし、第一高校で神や魔と戦うかもしれないという状況下では、かなりの集中力と意思のような力を感じた。神や魔がどの様なものかはわからないが……その先の敵に焦りは感じていたようだが……少なくとも尻込みや恐れなどというものはなかった」

 

「……私達はどうなのでしょう、しがらみや、命令で動かないといけない……それには意思の力が働くのでしょうか?」

 

「……わからないな。少なくとも俺は持ち合わせていない」

 

「そんなことはありません。お兄様は私が沖縄で傷ついた時、誰の命令にも従わず、いろいろなしがらみをすべて捨て、戦ってくれました。お兄様の意思の力です」

 

「……怒り…いや、使命感、いや、わからないな。やはり怒りなのだろう」

 

「怒りだとしても、お兄様の意思です」

 

「人との絆か……俺と深雪との絆というわけか」

 

 

 




次はまた、交渉等のお話に戻ります。
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