ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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投稿が遅くなりすみません。今週中頃にも投稿する予定です。
感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

このタイトルですので…………またしても政府関連の堅苦しい話です。
つまんないかもしれませんが……何卒。
しかも長い><

ちょい急いでアップしてしまい、何時も以上に誤字脱字が多いかもしれません。
助けていただけると助かります。


第三十六話 ドッペルゲンガー対策室立ち上げ

2月8日(火)17:45

 

 

内務省では緊急の会議が開かれた。

官房長官を筆頭に、内務大臣、そして、内務省、外務省、国防省、警視庁、さらに、宮内庁の各官僚トップ。そして、国防軍最高司令官。魔法協会会長など錚々たるメンバーが集められた。

その中には、七草弘一、九島烈、桐条美鶴、佐伯広海(国防軍第101旅団長)などの顔ぶれもあった。

 

先ずは官房長官がこの会議の趣旨を伝えた。

「忙しい中、ご足労頂き感謝する。先の第一高校襲撃事件、そして都内で相次いで起こっているゴースト事件(ドッペルゲンガー事件)関連について、国家を左右する危機と判断した。その危機に対し最大限の警戒及び対応を政府を上げて行う事をここで宣言する。その前に第一高校襲撃事件の詳細報告と関連する情報を皆と共有し、意見を募りたい」

 

外務省官僚トップが挙手をし話し始める。

「これらの事件に関して先ずは、先にUSNAからもたらされた情報を公開させていただきます。手元の資料を確認ください。さる2月5日USNA政府から情報提供と協力の申し出がありました。

元々、我が国へのリークが在ったのですが、先手を打ってこの様な形になったと推測します。

昨年11月、USNAではダラスの研究所で小型ブラックホール生成実験を行ったが、偶然にも異次元空間と思われる観測データを得る事が出来たそうです。しかし、その直後から、研究所の関係者が一斉に失踪。特に魔法力の高い軍の魔法師が失踪したとのこと。

その後、ダラス周辺の大都市で、日本におけるゴースト事件と同じ、魔法師が襲われ、生命力とサイオンが奪われる事件が相次いで起きたとのこと、その際の死亡者と失踪者は100名近くに及んだそうです。

12月末犯人と目する人物をUSNA軍スターズが1人を追い詰め、倒したとのこと。

倒した人物は元スターズの人間で、研究所の警備を行っていたとのこと。ただ、倒した者は本人ではなく、本人をコピーした未知の生命体だったことが判明。

USNAの過去の記録や情報により、ドッペルゲンガーの伝承と同じであったため、このコピー生命体をドッペルゲンガーと呼称したとのことです。

来歴はわかりませんが、ブラックホール生成実験で異空間への穴が空き、そこから、ドッペルゲンガーは現れたと仮定しており、異次元生命体である可能性が高いとのことです。

ドッペルゲンガーの活動は12月末を境にUSNAでは足取りがつかめないまま、終息したとのこと。

その頃から、我が国に於いて、ゴースト事件が起き始めております。

この事から、我が国のゴースト事件の犯人はドッペルゲンガーと同一存在だと確定しました。その要素として我が国で目撃されたドッペルゲンガーの何体かはUSNA軍の元軍人の姿をしていたことが判明しております。

今後、我が国でもコピー生命体をドッペルゲンガーと呼称し、ゴースト事件改め、ドッペルゲンガー事件と変更します」

 

次に、国防省官僚トップが挙手をし発言する。

「我が国にUSNA軍が潜伏しドッペルゲンガーを独自に追っていたことが判明しております。この事からも、USNA軍の情報は正しいのではないかと判断いたします」

 

「……諸君、そういう事だ。……これはまだ、序の口だ。この後の報告も心して聞いてくれ。我が国の被害は、どうなっているのだ?」

官房長官は参加者を見回しながら、次の話に事を進める。

 

警視庁長官が挙手し発言する。

「やはり。被害が在ったのはすべて魔法師、または魔法適性者です。こちらで把握しているだけで、98人が被害にあっております。そのうち行方不明者が70人、死亡確認者は20人、8名のみ助かっておりますが……意識がもどったのはたった3名です。

そのうち、警視庁及び魔法協会からの捜査員が70人被害となっております。

今回の第一高校襲撃事件までは相手の能力も何もわからず、神出鬼没だということだけしか分かっておりませんでした。そのため無駄に被害を拡大させる結果となっておりました」

 

魔法協会会長が挙手し発現する。

「同じく、第一高校襲撃事件まで、目撃情報は得られましたが、捕らえるどころか返り討ちにされております。相手は我々の事をよく知っているということでしょう」

 

「……では、第一高校襲撃事件の報告を直接聞こう」

 

国防軍最高司令官が挙手をする。

「今回の第一高校襲撃事件は事前に計画されたドッペルゲンガーによるテロ行為で有ることが判明しております。ドッペルゲンガーの1人はマクシミリアン・デバイス社の社員として、第一高校に潜入し、残りのドッペルゲンガーを先導しました。この事からドッペルゲンガーの人への擬態は完璧であると思われます。

ドッペルゲンガーは多量の化物を生み出し、命令を下し、生徒達を捕らえ、サイオンや生命エネルギーを奪う行為を繰り返しておりました。

被害にあった生徒は352名、但し、全員救出されております。意識が戻らない生徒が半数以上います」

 

「第一高校は生徒・教員合わせて630人程度であったな。残りの生徒はどうなった」

 

「生徒の一人、元生徒会長の七草真由美が事前察知をし、校内放送で260人程度校外に逃したとのことです」

 

「……七草家のご息女だったな。流石だな………七草殿そのあたりの詳しい状況を説明してくれ」

 

官房長官に促され七草弘一が語りだす。

「わが娘真由美は、ドッペルゲンガーと交戦した経験があり、更に強力な協力者を得ておりました。協力者の情報を元に、事前察知をし緊急放送回線を使用し退避させたとのこと。

ドッペルゲンガーは特殊な霧を操り、第一高校を霧で覆い、外界と完全に遮断する結界を張ったとのこと。それは現地に急行した軍や警察が力を尽くしても、その霧の結界の中に入ることが出来なかったことからも、凄まじく強力なものだと推定します。ただ、協力者が言うには、霧が学校を覆い異界化させたと………その直後。校内の全ての鏡が光り、その鏡に映った生徒を鏡に閉じ込めるという。現代魔法や科学では全く証明出来ない術式を展開し、残りの生徒の実に半数以上を閉じ込めたとのこと……その鏡の中では、徐々に生命力が奪われていくということがわかってますが、詳しい目的は判明していないのが現状。

ドッペルゲンガーはその直後正体を現し、半化物の様な姿に変身したと、さらに多量に眷属と呼ばれる獣型の化物を生み出し、鏡の中に囚われていない生徒を次々襲って拘束し、生命力とサイオンを奪っていったと」

 

「完全に人ではないな。しかも鏡の中に拘束するなど………ドッペルゲンガーの目的はサイオンと生命力を奪うために第一高校を襲い狩りの場としたということだな」

 

「それだけではないようです。鏡に魔法師を拘束するのは別の目的があったと推測されます。我が娘真由美も、一月前、不覚を取り鏡に拘束されております。拘束されて発見されるまで2日間、鏡に囚われておりました。確かに衰弱しておりましたが、直接サイオンと、生命力を奪える連中がわざわざ鏡の中に拘束する理由がありません。真由美を何かに利用しようとしたと考えるのが妥当です」

 

「そして、極一部の生徒を除き、全て拘束され、サイオン及び生命力を奪われたのだな。その事実は驚愕に値する」

 

元国防軍元帥であり、十師族前当主の九島烈が静かに発言する。

「魔法科高校、特に第一高校は全国の魔法科高校の中で最も優秀な人材が在学する学校である。全生徒を合わせれば、一個師団の能力を有するだろうと目測しておる。その学校がたった7体の敵にいいようにやられたのだ。報告によると、ほとんどの生徒は魔法を行使する前にやられている。

奇襲による電撃戦。それにより生徒達は魔法師の要であるCADを不所持のままで応戦する羽目になった。それも大きく影響している。敵は生徒が校内では、部活や授業以外ではCADを携帯出来ないことを知り作戦を実行したのだ。情報力、作戦能力が優れている現れだ。

そして、7体はそれぞれ、A級ランク以上の力を持っていたと推測する。

もはや、一介の殺人集団やテロリストなどではない。都市国家レベルの戦力を有していたと言っても過言ではないであろう。このことだけをとっても、早急な排除が必要である」

 

「……九島老師の言、重く感じ入る。しかし…彼らの目的はこれだけではない。その前にだ。7体で一個師団並の戦力を有する敵を、残った生徒が撃退したのだ……いや生徒だけではない」

 

警視庁長官が再び報告する。

「残った生徒は、3年、七草真由美、1年、千葉エリカ、吉田幹比古、柴田美月、司波達也、司波深雪、そして留学生のアンジェリーナ・クドウ・シールズ。そして当日魔法師イメージアップのプロパガンダとして取材と撮影に来た。若手アイドル久慈川りせ。そして…都立高校3年鳴上悠。

七草真由美はご存知の通り、七草殿のご息女で全国の魔法科高校で五指に入る実力者。千葉エリカは千葉家の次女、剣術の腕はかなりのものと、吉田幹比古は古式魔法の大家吉田家の次男。

司波達也はかの九校戦で一条家のクリムゾン・プリンス一条将輝を破ったホープ。その妹司波深雪も九校戦で2種目優勝するトップレベルの実力者です。そして、USNAからの留学生アンジェリーナ・クドウ・シールズ。九島老師のご親戚である前に、彼女はあのUSNAが誇るエリート魔法師部隊スターズのアンジー・シリウスでした。………戦略魔法師13使徒の1人、これはUSNAから先日受けた正式な情報です」

 

次々と名前が上がっていく中、参加者から驚きや感嘆の声があがり、リーナがスターズで戦略魔法師だということが告げられると、どよめきが起こる。

 

再び警視庁長官が話し始める。

「主にはこの6人と1人の活躍により、ドッペルゲンガーを撃退したと………久慈川りせは七草真由美が終始ガードを行った結果事なきを得たようです。そして、撃退に最大の貢献をしたのは………鳴上悠です。彼は久慈川りせの友人であり、芸能事務所にも顔が効く人物で、この日は、事務所のマネージャーの代理で久慈川りせの付き人として、現場にいました」

 

「……鳴上悠についてだが、彼は一般の高校生であったが強力な能力を隠し持っていた。彼や彼の能力に詳しい人物に説明をさせよう」

 

官房長官はそう言って、美鶴に発言するよう促す。

 

「桐条美鶴です。彼はペルソナ使いという特殊能力者です。ペルソナという式神に似た精神エネルギー体を顕現させ、攻撃、防御、補助魔法といった多様な能力を発揮させます。

私もその1人です。

ドッペルゲンガー…我々はシャドウと呼んでいますが、それに対抗する能力者です。シャドウとはこの現実世界に隣接する異世界で発生した化物です。本来シャドウは現実世界では活動しませんが、このドッペルゲンガーは活動ができる特殊なケースと思っております。我々のペルソナ能力もシャドウが生成した異世界でのみ能力が発揮できる能力でしたが、研鑽の結果、現実世界でも行使できると判明しました。……そして、鳴上悠は私が知る中でも最大級の能力者です」

 

「ペルソナ使いについて、詳しくは後で再度報告する。その前に、彼の能力を知った上で、第一高校での報告の続きを」

 

官房長官が視線で発言を促し、七草弘一は再び口を開ける。

「国防軍、魔法協会、警視庁合同で、第一高校襲撃事件の調査を実施しました。その結果、彼らがどうやって反攻作戦を実行したのかが、大凡判明しました。

鳴上悠の指示により、反攻作戦が実行されました。

先に言っておきますが、我が娘真由美も、鳴上悠と前から親交があり昵懇の仲であったため、うまく連携が取れ、作戦が成功した要因の一つです。

先ずは、鳴上悠はドッペルゲンガーの校内への侵入を察知し、真由美が緊急放送で生徒達を逃がしました。

司波深雪、アンジェリーナ・クドウ・シールズは7体のドッペルゲンガーの中でも最大級の力を持った相手と連携して対峙しておりました。

それでも状況は不利となりましたが、鳴上悠の介入により、敵を撃滅。

その間、真由美は久慈川りせを護衛しながら、千葉エリカ、吉田幹比古、柴田美月と合流、一体のドッペルゲンガーを撃滅。

その後、鳴上悠、司波深雪、アンジェリーナ・クドウ・シールズは、司波達也と合流し、二体のドッペルゲンガーを撃滅。

全員が合流後、一時ドッペルゲンガーは野外訓練所奥に撤退。その間、鳴上悠のペルソナ能力により、鏡に囚われた生徒達と、ドッペルゲンガーの眷属に捕縛されていた生徒を救出。

鳴上悠と司波達也、司波深雪、アンジェリーナ・クドウ・シールズは撤退したドッペルゲンガー及び野外訓練所に潜むドッペルゲンガーを追撃、一体のドッペルゲンガーを撃退。

残り二体のドッペルゲンガーは脱出を図り、超巨大生命体を顕現させました。

推定60メートルはある巨大なヘビの化物だったとのこと、鳴上悠はペルソナ能力でこれを消滅させました。その時の力は戦術級魔法に匹敵する範囲と、核爆発に匹敵する威力だったと推測されます。

これで、第一高校襲撃事件の終息を見たということです」

七草弘一が語った報告にはりせがペルソナ使いであることは上がっていない。

達也やエリカ達はりせの情報を伏せ悠が行ったことにすり替えていたのだ。

 

 

「改めて凄まじい威力だな……ペルソナ使い鳴上悠か、……彼がいなければ、第一高校の生徒は全てサイオンと生命エネルギーを吸い取られ、最悪全員死亡か………しかし、問題はこれだけではない。ここからが本題だ。信じ難い事象を今から説明してもらう」

 

桐条美鶴は官房長官に促され、説明する。

「ドッペルゲンガーが魔法師や魔法科高校の生徒から奪ったサイオンと生命力は異世界の門を開くためのエネルギーに変換させるものだという証言を受けています。実際に異世界の門を開くための光の階段が生成されていたことを、鳴上悠だけでなく、アンジェリーナ・クドウ・シールズ、司波達也、司波深雪からも証言を得ています。

鳴上悠は、異世界の門から神や悪魔を降臨させるのが目的である可能性が高いと判断しておりました」

 

桐条美鶴のこの言葉で会場はどよめく。

 

桐条美鶴は続ける。

「信じがたいかもしれませんが、我々は事実だと判断しております。私自身それに近い存在と対峙したことがあります。そして、鳴上悠も……同様、神と思しき存在と交戦したことがあると……、ここでは神や悪魔といった言葉を使用しておりますが、異世界、いえ異次元生命体だと思ってください。宗教的な意味を持つ神や悪魔とは別………神や悪魔と同じ名前を冠した異次元生命体と認識を持っていただければ助かります。これに関しては、世界を揺るがす情報になります。さらに分かっていないことが多く。論争を呼ぶものとして、これ以上はお話できません」

 

「………神と悪魔と言っても、異次元生命体だということだ。ただそれは凄まじい力を秘めた存在、世界を滅ぼす程の。信じがたいが……もし本当であれば、日本、いや世界の危機となるレベルだそうだ。そして、その判断材料の一つがまだある」

 

宮内庁長官が語りだす。

「我々は伝承や過去の記録をさかのぼり、ペルソナ使いは過去にも存在していたことが分かっております。日本では陰陽師安倍晴明がそれに当たると考えております。

元々式神とは古式魔法で使用される簡易式とは異なり、まさしく神を降ろし顕現させる術とされております。自らの概念と精神を顕現させた姿をし、神にまさる力を振るうと………そして、伝承には神の怒りに触れ、厄災が起こる時、神の御使いが現れると……それが安倍晴明であり、鳴上悠である可能性が高いと考えております。神の存在の片鱗を語る資料は宮内庁には幾つも存在します。その時に現れる人物が、陰陽師であり、高僧であったり、更に武人であったりと……彼らは全て、何らかの式神を使用できました。その中でも神の名を冠した式神が多く見られます。

歴史は繰り返されます。それを伝えるのも我々の役目です」

 

官房長官は会場参加者を見渡し、ゆっくりと語り出す。

「……我々日本の歴史にも関与があると………今世紀も終わりに近い。科学や魔法が発達したこの時代だが……先人は何かしらの教訓を何時も残してくれている。今回の件、神と悪魔が関与する可能性がある。信じられないだろうが、すでにドッペルゲンガーという不可思議な、異世界の生命体が現に存在する。そうなれば、神や悪魔といった存在が現実のものとなろうとも不思議ではない。

ドッペルゲンガーの目的がその様な存在を現世に降ろす目的であれば、伝承どおり厄災が起きる可能性がある。しかし、ドッペルゲンガーを討ち滅ぼせばその懸念も消える。

何れにしろ、ドッペルゲンガー単体でも巨大な脅威には違いない。そして全てを滅せば、厄災の懸念も全てが解決する。

この国難に立ち向かうべく、ドッペルゲンガー対策室を立ち上げる。各部署には参加要請を出す。必ず出向することを義務付ける。更に参加希望部署や希望者も募る。

今回の案件の総指揮は私がとることになるが、実際には国防軍最高司令官、警視庁長官、そして、九島老師、補佐役で七草弘一殿、桐条美鶴殿、アドバイザーとして宮内庁長官、この6名を中心とした組織を早速組み上げ、早急の対応を求む」

 

官房長官がそう言い終わり立ち上がると、会議参加者全員立ち上がり、一礼する。

 

そして、官房長官を含めた、名の挙がった6名とその補佐官のみで、次の会議に移る。

 

各組織の人員動員数や組織内部部署編成等の打ち合わせが順調に行われていったが、ここで問題が発生する。

 

鳴上悠を何処の部署に配置するかである。

 

国防軍最高司令官と九島老師は国防軍側で預かる事を提言するが、警視庁長官はそれに反発する。

国防軍側としては、警察組織には対シャドウ部隊、シャドウワーカーが存在するのだから、ドッペルゲンガーに対抗すべき能力を持つ鳴上悠を国防軍側に付けろと言っているのだ。

 

そこで、七草弘一はこんな提案をしたのだ。

「鳴上悠は組織に組み込むべきではない。彼は民間人であり、我々が守るべき一市民です。ただ、そうも言っていられないのも事実。

私は彼の意向を直接聞いてます。

彼は組織には入らないと明言しております。独自に動き、ドッペルゲンガーを追うと………。

理由は至極まっとうでした。ドッペルゲンガーが組織内に潜伏している可能性があり、情報が漏れ、敵に利用される恐れが有るということでした。今回第一高校襲撃事件も、情報が漏れあの様な事態に陥りました。そして、ドッペルゲンガーの唯一の懸念は鳴上悠の存在でした。ただ、彼の意外性の行動により、見事ドッペルゲンガーの思惑から離れ、彼は第一高校に現れ、ドッペルゲンガーの計画を潰す事が出来ました。ドッペルゲンガーは彼一個人の行動まで把握することが出来ないのです。いや、彼の能力を恐れ、近づくことすら出来ないと言っていいでしょう。そんな彼を組織内に入れ、その情報がドッペルゲンガーに渡るとしたらどうでしょう?

………意外性………彼が独立して動くことで、ドッペルゲンガーの計画を崩す事ができる。ドッペルゲンガー側は彼という不安要素を常に抱えることになる。

であれば、彼の行動の自由を約束し、陰ながらサポートすることこそが、彼の最大の有効活用だと考えます」

 

桐条美鶴も弘一の意見に同意し、補足する。

「私も七草殿の意見に同意です。彼に自由に動いて貰えれば、それだけでドッペルゲンガーは動きは鈍くなります。そこを我々も利用し、付け入ることができれば良いのではないでしょうか?但し、情報交換は行う必要はありますが、彼というイレギュラーを十分活用できるように柔軟な組織作りを行えば良いことだと愚考します」

 

悠自身が弘一や美鶴に提案した話なのだが、弘一も美鶴もこれには思惑があった。

鳴上悠を七草に取り込む事を考えていた弘一は、国防軍や警察組織に持っていかれるのは、不本意なのだ。それならば、何処の部署にもつけ無いほうが良い……。既に悠は真由美を個人的な協力者として選んでいる状況だ。その方が七草として、悠取り込みに他組織に比べ圧倒的優位に立つ。

美鶴の思惑は、悠自身をドッペルゲンガーの囮の役割を担ってもらおうと考えていた。ドッペルゲンガーに取って脅威と見られているのは間違いなく悠だ。悠に目が向いている内に、自身も含むペルソナ使いで一気にドッペルゲンガーの親玉を潰す算段をしていた。

 

この後もしばらく、論争は続いた。

たかが一介の高校生、しかも戦術級クラスの力を持っている人間を野放しに出来ないなど。

宮内庁長官も過去の文献から、単独行動及び少数精鋭案を提示し、さらに、弘一と美鶴は悠の人物像を説明し、彼が今まで自分自身のために力を振るっていないことや、彼が至って好青年で理性的であるかを語り説得をする。

結局弘一と美鶴の意見が採用され、悠を組織外協力者として、行動の自由と各種バックアップが認められる。そのかわり、防衛軍と警察組織から悠に対して監視及び情報共有の要員を1人づつ派遣するということになる。

但し、悠が認めた人物に限るというかなり甘い条件が付けられることになった。

国防軍からは七草弘一が真由美を正式にねじ込んだ。組織と関係が薄いのと、悠の友人であることを理由に挙げていた。

警察組織からは、後で決定されるが千葉エリカがその任を任されることになる。それは七草真由美と同じ理由で選ばれている。

 

最後に官房長官がこの様に悠の案件を締めくくる。

「鳴上悠は本件の要となる人物だ。その実態と人物は秘匿されるべきだ。関係者各員は鳴上悠のありとあらゆる情報を口外することを禁止する。また鳴上悠関連の案件をN案件と呼称する」

 

こうして、政府はこの2日後、ドッペルゲンガー対策室を正式に立ち上げることとなった。




すみません。投稿が遅くなり、堅苦しい話はもうちょっとで終わりです。
次は美鶴と悠…そして悠と……
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