ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

結構悩みました。途中の会話はほぼ前話の段階で決まってました。
前半と最後が悩みました。

皆さんが納得される展開かはわかりませんが……こんな感じになりました。どうぞ。

あ、いつもより長めです。



第四十三話 四葉真夜と悠

悠は四葉真夜に会うために、長野と山梨の県境にある四葉家本家の最寄駅へ、電車で向かっていた。

 

その間、改めてマリーからメールで送ってもらった報告書に目を通す。

それは黒羽一党から読み取った記憶をポエム調に記載された文庫本程度はある文章量のものだ。

ポエム調に書かれていたため、表面上は軽い感じに見えていたが、内容は苛烈なものであった。

そこには黒羽一党が今まで行った非合法活動の数々が読み取れる。まさに四葉家の闇の記録でもあった。

拉致、監禁、暗殺、精神改変、人体実験、脅し……およそ非人道的と思われることのほとんどが記されていた。

四葉のスポンサーやバックには日本の政財界の大物が潜む。

ある時は政敵を暗殺……、ある時は四葉を嗅ぎまわるものや仇なすものの親族を拉致し、拷問や、脅し……ある時は、記憶消去や記憶干渉などの記憶操作や自白、刷り込みなども……もちろんこの際に記憶消去などを受けた人間は、後々に障害が残る。そもそも四葉は精神干渉系魔法に優れた血筋だ。これらはお手の物だ。そして人体実験……人体実験の対象は、もはや人扱いを受けることはない。

そして、四葉の組織の中には、国家罪などに問われる反逆魔法師等を洗脳し使い捨ての手足とした外部組織も存在するのだ。

 

もはや、日本の闇そのものがそこにあった。

 

悠は動悸や息切れがするような思いにとらわれたが、なんとかこの事実を飲み込み。冷静に思考を回す。

21世紀も終わりに近づいているこの時代にまだ、こんな闇が存在していたことに驚くとともに憤りも感じていた。自分たちが過ごす日常の裏にはこんな事実が………蠢いていた事に……

 

 

 

これが稲羽の皆に知られなくてよかったと………この事実を知った稲羽の仲間が取る行動は火を見るよりも明らかだ。

 

相手は道徳心など持ち合わせているのかも危ぶまれ、非合法な方法を常套手段としてる組織だ。

堂島親子や稲羽の仲間が今後狙われ、非人道的な扱いを受けるかもしれないのだ。

それが、自分がペルソナ使いだと知られた事によって………

悠は自分のせいで皆を危険な立場に追いやってしまったことに自責の念に駆られていた。

 

そして、そんな組織の元にいる達也と深雪の事を思い浮かべる。

 

悠は改めて、四葉家を何とかしなければ解決にいたらないと胸に秘めるのだった。

 

 

 

悠は四葉家本家の最寄の駅に降りる。

最寄といっても、そこから30㎞以上離れているのだ。

この小さな駅にはタクシーすらない。

 

悠はペルソナを憑依させ、りせのナビに従って走り出す。

 

 

しばらくは何もなく順調に進んでいたのだが……

 

(悠先輩待って!四葉家を中心にこの村全体に結界が張られてる!……この結界は!!うーん成程!悠先輩に認識阻害をかけたからこれでこの結界も騙せるよ!)

 

(助かるりせ……四葉家の方の動きは?)

 

(まだ、気が付いてないみたい。結界を通った後は、監視カメラや探査系の魔法とか沢山あるから、たぶんそれで……それもヒミコと私でハッキングして無効化するから大丈夫!)

 

(いや、りせ、そのままにしてくれ)

 

(悠先輩どうして?)

 

(普通に歩いて行き、戦う意思がないことを知らしめたい)

 

(わかった!気を付けてね悠先輩!)

 

 

 

悠はそこから、普通のスピードで歩み、四葉家本家へと向かう。

途中、監視の目を数度感じたが、何もなかったかのように歩む。

 

 

悠がりせのナビに従い歩んでいくと、四葉家本家の広大な敷地を囲む石垣と土塀が見えてくる。

城門のような門扉付近まで歩むと、どこからともなく20人程度の人間が悠を遠巻きに囲むように現れる。

 

そのうちの一人の中年の男性が悠に話しかける。

「ここに何用かな?ここをどこかご存知で訪問されたのかね?」

 

「四葉家当主四葉真夜さんと話し合いにきました」

 

「ほう、お手前の名前は?」

 

「鳴上悠」

 

「ここには、いらっしゃらない。お引き取りを……」

 

「そうですか、ここにいらっしゃることはこちらも確認済みです。火急の要件です。取次ぎ願います」

 

「…………」

中年男性は無言で悠に手のひらを向け魔法を発動する。

四葉お得意の精神感応系魔法の一種、相手の恐怖心を増幅させ恐慌状態する魔法だ。

悠を捕えるために放ったのだ。

 

しかし……悠は何もなかったかのように門扉に向かって歩みだしていた。

 

「!?……」

中年男性は悠に効果が表れないことにいぶかし気にしていたが再度、魔法を放つ。

先ほどとは異なり、感情の情動を爆発させ混乱させる魔法だ。

 

しかし、悠は平然とし歩みを止めない。

 

悠に精神に異常を来す魔法は効果がない。

虚飾見抜く目を持ち、偽りを悉く退けてきた悠に今更そのようなものは全く通じない。

悠はかの神イザナミの精神攻撃すらも自らの意思の力で退けたのだ。

悠に魔法による偽りの精神干渉など効果が表れようもない。

 

「な!?」

中年男は驚きながらも周囲の人間に悠を攻撃する様に手を上げ指示をする。

 

 

悠を囲んでいた20名が一斉に悠にありとあらゆる系統の魔法を放つ。

 

悠は歩みを止めず。無言のままペルソナを顕現させる。

悠の後ろには腕を6本、3面の顔を持つ巨大な人型のペルソナが顕現された。

『アスラおう』

阿修羅王とも……大日如来の化身ともいわれる究極のペルソナの一体だ。

 

悠は魔法を悉く受けるが……歩みを止めない。

その程度の魔法では今の悠と『アスラおう』はダメージを受けない。

 

魔法を放った20名はそんな悠を唖然と見ているだけだ。そして『アスラおう』の圧倒的存在感で息をすることさえも出来ず、その場にへたり込む。

 

悠は彼らを見向きもせず歩む。

悠の周囲には黄金色のオーラさえ見える。

皆を思い行動する悠の絆の力は最大限に発揮されてるのだ。

こうなった悠にもはや誰だろうと手出しができるものではない。

 

 

その様子をヒミコを通して、テレビ画面で見ていた。

真由美とリーナそして……

 

「……鳴上くんに一体何が……魔法が効かない?」

「………悠……いつもと雰囲気が」

 

「悠先輩は皆の事を思って、何とかしようとしてる。……絆の力、それが悠先輩の力……悠先輩に精神攻撃は効果はない……本気の悠先輩にあの程度の攻撃は全く効かないわ」

 

悠のオーラを纏う姿は皆と結んだ絆を力に変えた姿だった。

悠は今は絆を結んだ皆を思い行動している。しかもその対象は稲羽で知り合った人々たちだ。

悠自身最大限の力を発揮している状態なのだ。こうなった悠はたとえ神とて容易に手が出せない。

 

悠が門扉に到着すると、片方の扉が開かれた。

そこには執事姿の葉山氏が悠に頭を下げ、扉内に案内をする。

「鳴上悠様大変失礼いたしました……主がお待ちです」

 

「突然の訪問、申し訳ないです」

悠はそれに従い、門の中へと入る。

 

悠が去った後の城門のような門扉の前や中には、控えていた30~40人の魔法師が、悠と『アスラおう』の圧倒的な存在感で行動不能に陥り、顔面蒼白となり皆その場に座り込んでいた。

 

葉山氏は四葉家の11人いる執事の中、真夜が最も信頼しており筆頭執事として四葉家を取り仕切ってる齢70になる老人だ。魔法師ではないがその忠誠心と物腰で四葉家の中でも一目置かれる存在だ。四葉家の中でアスラおうのプレッシャーになんとか耐えられた唯一の人間でもあった。

 

 

 

 

少し前……

四葉真夜は悠がこちらに向かってる事を知り、部下を本家近くで待機させ、悠を攻撃するように命令していた。

悠の力を見るためだ。

 

真夜は外部カメラを通して最初は余裕の笑みを浮かべ、今か今かと画面を眺めていたが、悠がいざ現れると、全く想定しない事象が画面の中で起こっていたのだ。

四葉の魔法師は先制し精神魔法や数々の攻撃魔法を発動させ、悠に命中させるのだが、悠には攻撃魔法のダメージを受けたように見えず、精神魔法の効果も現れているようには見えなかった。

それどころか四葉の魔法師はただ歩いているだけの悠に手も足も出ずに、次々と行動不能になっていくのだ。

 

「な……なにが起きてるの?……………四葉の魔法師が何もできずに……まるで悪夢をみているような光景………フフフフフッ、いいわ彼、面白いわ」

真夜はこんな状況なのだが小さく微笑んでいた。

そして、悠と話し合うために席を設けるように執事の葉山氏に伝えたのだった。

 

 

 

 

悠は中庭に通される。悠は『アスラおう』を解除していた。りせからの情報ですでに行動ができる魔法師がいないことを知らされたからだ。

 

すでに夜も更け星空が見える広々とした中庭の真ん中にはポツンと明かりがともっていた。

近づいて行くと豪華なティーテーブルに一人の女性が座っていた。

悠は、葉山氏に椅子を引かれ、妖艶な笑みを浮かべる漆黒のドレスをまとった美女の対面に座る。

 

「初めまして、わたくしは四葉家当主、四葉真夜」

真夜は微笑みをたたえながら自己紹介を行う。

 

「鳴上悠です。あなたと話し合いにきました」

 

「話し合いですか?事前にご連絡いただければ、対応いたしましたのに。少々強引では?」

真夜はわざとらしくこんな言い方をする。

 

「突然の訪問の無礼は許してください。しかし、あなたは、俺がここにこうして来た理由はご存知のはずです」

 

「何の事かしら?」

 

「あなた方が、俺の家族友人をつけ狙うのをやめてもらうために。話し合いに来ました」

悠は冷静に目的を真夜に伝える。

 

「何のことですの。わたくしはあなたの家族などには……」

 

「黒羽貢、黒羽亜夜子、黒羽文也、すべてあなたの部下。あなたが堂島親子を監視をさせるよう命令を下している」

悠は否定しようとする真夜の言葉をさえぎり、少々語気強めをこう言った。

 

「……あなたは何を根拠に、そのようなことを?」

真夜はこの少年にこの計画が完全にばれていることを悟るが、どうやって知ったのか、黒羽一党の記憶をどうやって奪ったのかに興味を持つ。

真夜は終始余裕の笑みをたたえたままだ。

 

「大切なものを奪われそうになる状況下で俺はそれを黙って見過ごすわけにはいかない。それは誰だって同じでしょう」

 

「わたくし共が関係しているという確たる証拠があって、おっしゃってるのでしょうね」

 

「証拠ですか。証拠は俺がここに来たということで証明されませんか?俺は目の前にある事実をあなたに突き付けただけです。あなたが俺の家族や友人を狙おうとした事実を……」

 

「……それでわたくしどもがあなたの親族に手をだしたと?」

 

「いや、あなた方はまだ直接手を下していない。監視と接触をしただけだ。しかし、あなた方が今まで行った所業を見るに、その可能性が十分にあると判断せざるを得ない。それ以上の行為を行う前に彼らを止めたまで」

 

「ならば、あなたの勘違いかもしれませんわよ」

 

「……もう、やめませんか。腹の探り合いをするのは………俺はあなた方の在り様とあなた方が何を生業としているのかを把握してます」

 

「要領を得ませんわ。あなたはわたくし共の何を知っているのですか?」

 

「【必要悪】として日本の裏側で動いていたあなた方(四葉家)の事をです。それがあなた方の正義なのだとしても、やられた方はたまったものではない。そして、それが俺の家族や友人、知り合いに波及するならば、俺は俺の信条を持って立ち向かわなければならない」

 

真夜は悠のその言葉を聞いて、驚きの表情を隠せなかった。

まさに悠は四葉のありようを一言で表現したからだ。

 

四葉家は日本を裏側からコントロールしてきた財界や政界の大物からの依頼で数々の表に決してできない裏仕事を行ってきたのだ。それは日本を支えるための【必要悪】として……それは本当に日本を他国列強の侵攻から守るため必要だったこともある。ただ、今や形骸化し、日本の主権を争うだけの、政治的道具としての意味を強めていた。

しかし、四葉家の人間はそれが偽りの正義であったとしても、四葉の正義といいきかせ、今も尚このような事を行っているのだ。

 

そして悠は語る。

マリーから得た情報を……四葉家が行ってきた数々の所業……四葉家に裏の仕事を依頼してきた人物の名前なども交えて……

 

「……あなたはどこでそのような事を……それが事実だとして、誰がわたくし共を裁くことができるのかしら?」

真夜は悠の語る話に驚きながらも、余裕の笑みをまだたたえ続けている。いや先ほどよりも、明らかに嬉しそうにだ。まるで楽しんでいるかのように。

 

「だから初めに言いました。話し合いに来たと……」

 

「話し合い?圧倒的な力を持つあなたが、わたくし共を滅ぼしに来たのではなくて?」

真夜はわざとらしい口調でそう言う。

 

「いいえ、そんなことをするつもりは毛頭ない。もし、四葉が滅んだとしても、第2、第3の四葉が現れるだけの話、その第2、第3の四葉もまた、俺の友人家族を狙うかもしれない。永遠に続く追走劇のようなものです。根本的な解決にはならない」

 

「では、どうなさるつもりですか?」

真夜はまたしても悠の言葉に大きく目を見開き驚く。

ここまで来て、四葉を滅ぼさないと言っているのだ。しかもその理由が、真夜が悠に挑発に使うつもりであった言葉をそのまま、言ったのだ。それはまさしく事実だった。

そして、真夜はまた楽し気に笑みをこぼす。

 

「俺は知らなかった。日本の社会の裏側ではあなた方のような組織が存在し、そしてそれを操り、日本の行く末、いや人類の未来を影で操る存在が多くいたことを………そしてそれが今はほとんどが自己の満足、富や名声のためのくだらない争いに使われていたことを……」

悠はこの続きを言葉に出さなかった。

『その所業は、神が介入し、人類の是非を問いに来たとして、おかしくはなかった』と

 

「それを知ったところで、あなたに何ができますの、わたくしたちにどうしろというのですか?」

 

「あなたは相当頭が切れる人だ……話の端々にもそれが感じられる。俺の話も理解したうえで、あえて挑発や素知らぬ素振りをしてる」

 

「それは買いかぶりですわ」

真夜は笑みを絶やさない。

これほどに自分と舌戦を繰り広げられる人物が今までいただろうかと……明らかに楽しんでいた。

 

「………四葉を変えていただきたい。あなたならできるはずだ」

 

「どういうことですの?四葉の当主であるわたくしが意思の統率を行っているのですよ。変えるべきはわたくしの首ではなくて?」

 

「いいえ、今の四葉を変えるということは、スポンサーや依頼者と反目することです。今のままでは、ただ利用されるだけで変わりようがありません。確かに危険を伴うでしょう。とても大変なことだと思います。しかし、それができるのも決断するのもあなたしかいません」

 

「それは無理ですわ」

 

「このままだと、あなたの甥や姪も、あなたと同じ運命をたどることになる」

 

「わたくしと同じ……それは四葉の家のものとして生まれた宿命ですわ。それはあの子たちもわかってることですわ」

 

「……深雪が次期当主候補だという事は知ってます。深雪がそれに耐えられるとは思えない」

悠は深雪と接し、この四葉の闇に到底耐えることができないのではないかと考え、あの深雪から笑顔を奪う行為ではないかと……

真夜は悠のこの言葉を聞いて、またもや目を大きくする。その事実を知っているのは極わずかな人間だけだからだ。

 

「達也さんがそれをサポートしてくださるわ」

 

「そうかもしれません。俺はすでに彼らと知り合った。そんな過酷な運命に流される事も看過できない。俺はすでに彼らとの絆を感じている。ならば俺は彼らも救いたい」

 

「それはあなたの我がままではなくて?」

 

「そうですね。これは俺の我がままです」

 

「四葉家は変わらない。一片残らず消滅させない限り、変わりませんわ」

 

「そんなことはないはずだ。そして……あなただ。あなたは本当は四葉を嫌っている。四葉のありようを嫌っているのにそれに殉じている。だからあなたは悲しい」

 

「あなたにわたくしの何がわかるというのですか!」

真夜の笑みが消えた。そして感情的に悠に叫んだ。それはほぼ反射的に……

真夜は世界を憎んでいる。自分をこんな体に、こんな精神にしてしまったこの歪んだ世界と、そして四葉自身を憎んでいた。

真夜の願いは自分をこんな在り様にしてしまった。この世界を壊すこと……

そのために力を欲し、四葉家の力をより強固な物にし、ありとあらゆる力を欲した。闇に落ち外道に落ち、親族さえも利用しようとも……そしてその一つとして悠の力に目を付けたのだ。

 

だからこそ悠の言葉が心に刺さったのだ。

 

「わかりません。ただ俺はあなたと話して、そう感じただけです」

悠は真夜の話し方、素振り、間やその他全部の情報からそう情動的に判断したのだ。勘と言ってもいい。

 

「……あなたは不思議な方ですわ。あなたはわたくしを憎んでいるはずです。あなたはわたくしがあなたの家族にしようとしていたことを理解しているはずです。それなのに……あなたからわたくし個人に向けての敵意や殺意は感じられません」

真夜は自分でも驚いていた。反射的にとはいえ、あのように人に叫ぶなどと。

 

「俺は真実を見極めに来ました。確かにあなたが命令し、俺の家族や友人に被害を及ぼそうとした。しかしそこには何があるのか……それを知らないうちに、あなた個人を憎むわけにもいきません」

 

「どうですか、わたくしと話をし、四葉の内情まで知ったあなたは、わたくしを憎みますか?」

 

「わかりません。……親族が狙われたと聞いた時は、激情にかられました。ただ、今のあなたをそれ程憎めないとだけはわかってます」

 

「あなたは本当に不思議な方ですね。個人的にはもっとお話をしたいのですが……やはり、あなたとは敵対する運命のようです。四葉は変わりません。わたくしの目的のためには四葉はまだ必要です」

 

「いいや、あなたは変わる。そして四葉も変わる」

 

「……平行線のようですわね」

 

「まだ、話し合いは終わってませんよ」

 

「これ以上、お話しは無駄です。もういいでしょう。ここは魔法師らしく。勝負いたしませんか?」

真夜はそう言って立ち上がり、ティーテーブルから離れていく。

 

「俺は魔法師ではないです。……どうしてもですか?」

 

「あなたがお受けしなくてもわたくしは仕掛けます」

 

「………条件は?」

 

「わたくしが死ぬか。あなたが死ぬかです」

 

「それは勝負の条件です。勝負というからには何かをかけるものですよ」

 

「わたくしが死ねば、四葉は次代になり、あなたは次代当主を説得すればよろしいのでは?あなたが死ねば、わたくしは、今度は本腰で稲羽のあなたの親族に手をだしますわ」

真夜は悠を挑発しながら、腕にはめたCADを操作しだす。

 

「俺は死なないし、あなたも死なせない」

 

「困りましたわ。それでは決着がつかないではありませんか……」

 

「それは俺の勝利条件です。あなたはあなたの勝利条件で勝負すればいい」

 

「なるほど、そういう考えもあるのですね。ますますあなたに興味が出てきましたのに、残念ですわ」

真夜はそう言って不敵な笑みを漏らす。

 

「いいえ、あなたには俺の話をとことん聞いてもらいますよ」

 

 

 

 

そして、お互いが20メートル程離れた位置で対峙する。

 

真夜が先に動き出しCADを構え術式展開する。

同時に悠は光のオーラを纏うと同時に、ペルソナ『アスラおう』を顕現

 

そして、悠と『アスラおう』の周囲20メートル程に暗闇に無数の光球や光条が乱舞する。さながら夜空に降り注ぐ流星群のように。

世界最高峰ともいわれる真夜のBS魔法ミーティア・ラインが放たれたのだ。

物体の光透過率という構造情報に干渉し、その物質を気体に分解する分解魔法の一種だ。

その物体が気化された場所に光線が通り、さならがら光と闇のコントラストを形成するのだ。

 

対して『アスラおう』は光明の神、または太陽をつかさどる最上位の神である。

光に関する事象のありとあらゆる物を無効化する。

構造情報に干渉できるものではない。

悠もその影響を受け、ミーティア・ラインは悠と『アスラおう』には効果が表れようがなかった。

本来、悠と『アスラおう』を穴だらけにする狙いであったが、地面に穴が穿たれそこに光が差し込んだだけとなった。

 

「……まいりましたわね。まさか私の魔法でも全く効果が表れないとは……確かに達也さんが分解魔法が効果がない可能性があるとは言ってましたが……光透過率情報も阻害してしまうとは」

真夜は自嘲気味に独り言を言っていた。

 

 

「勝負はあった!あなたの魔法は俺には効かない!!あなたの負けだ!!」

悠は真夜にそう叫びながら近づいていく。

 

「殺しなさい。わたくしが生きている限り、四葉は変わりませんわ」

悠に妖艶に微笑みながらそう言ったが、それが限度だった。『アスラおう』の圧倒的な存在感で今にも押しつぶされる思いがしていた。

 

「俺はあなたを死なせないと言った」

 

「ならばどうされるのですか?」

 

「あなたがこだわっている四葉家という入れ物を壊させてもらう」

 

悠は『アスラおう』戻し、真夜を悠は抱き寄せる。

「なにを!?」

 

「ペルソナ!モト!」

漆黒の棺桶が顕現され、そこからまがまがしい暗黒の腕が手招きをする。

モトの棺桶から漏れ出す淀んだ空気が四葉家の敷地全体に広がり、生きるものすべてに恐怖を与える。

そして、四葉家の敷地内にいた人間は例外なくその恐怖で逃げ出す。

 

真夜は悠が纏うオーラに触れているおかげでその影響を受けない。

 

悠はりせに敷地内に誰も残っていない事を確認してもらってから、さらにペルソナチェンジをする。

「チェンジ!シヴァ!!」

腕が4本の青肌を持つ破壊神が顕現される。

 

 

悠は真夜をさらに抱き寄せる。

「あなたがこだわる四葉家はこれで最後だ。これからは新しくあなたが作ればいい」

悠は不敵な笑みをこぼし……

 

『プララヤ』

宇宙を消滅する響きを意味する言葉。『シヴァ』の究極破壊術儀。

 

『シヴァ』は4本ある腕を八の字に回転させる。再成と消滅を意味する動きだ。

その動きと共に風が流れ、四葉家本家の広大な敷地全体を覆う。『シヴァ』の腕の動きが早まると同時にその風は闇を纏う暴風と化し、触れるものをすべて消滅させた。

 

そして、悠と真夜を中心とした半径1メートル程の元中庭であった地面の芝以外、四葉家本家のすべてが跡形もなく消滅した。




次もあります。
真夜さんと悠
それとりせたちの裏話がちょろっと、
達也と深雪の話と……
それで一連の話がようやく終わりになります。

りせナビがあるんで対外は封じられちゃいますね
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