ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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第四十四話 四葉家の明日は…

悠と四葉真夜が四葉家の中庭で決闘を始めようとしたころ、悠の自宅リビングで、真由美達はりせのヒミコを通じて、この様子を見守っていた。

 

「四葉真夜……お父さんは世界最強の魔法師の一角だと言ってたわ。鳴上くん……」

真由美は心配そうにヒミコのライブTVでその様子を見ていた。

 

「あんな若作りなんか、悠が速攻で倒すんだから!」

リーナは悠が勝つことを信じて疑わない。

 

「もう、勝負がついてる。悠先輩は負けない」

りせは二人にそう言った。

悠を戦いに集中させるため、りせはヒミコを通じてのテレパスを遮断していた。

いつもであれば、りせの声だけなのだが、今は3人の声が入ってしまうからだ。

 

「……りせさん。アナライズを?」

 

「うん。悠先輩が四葉の結界を通る前に、四葉真夜の魔法特性や弱点を調べておいたの、達也みたいに超遠距離攻撃魔法とか持ってたらさすがに危ないし……でも、今の絆の力を発現させた悠先輩は何があろうと負けない!」

 

「……鳴上くん」

「悠……」

 

そして、四葉真夜が先に動き、世界最高峰と名高い四葉真夜のBS魔法ミーティア・ラインが悠を襲う。

 

「な!?発動が早い!!悠!?」

「鳴上くん!!」

 

「大丈夫、悠先輩は無傷。悠先輩のペルソナ『アスラおう』は四葉真夜の魔法とは相性がいいの、すべて無効化した」

りせは簡単に今の悠の状況を説明する。

 

悠は全くの無傷だった。

そして、真夜に勝利宣言をしながら近づいていく。

 

「……悠のペルソナも規格外ね」

リーナは苦笑気味だ。

 

「勝負に勝ったけど、四葉真夜をどうやって説得するつもり鳴上くん……」

真由美は今迄の真夜の言動から、いくら話し合いをしても、説得することは困難だと見ていた。

 

「真由美さん、大丈夫!きっと悠先輩はなんとかする!きっと奥の手を考えてる!!」

りせは根拠はないが、悠がきっと何らかの手を打って解決すると確信していた。

悠に焦りはない。だとするとすでに悠が次の手を用意していると、付き合いが長いりせだからこそそう思えたのだ。

 

「いざとなったら、あんな年増、捕まえて無理にでも言うこと聞かせればいいのよ!」

リーナはどうも真夜が気に食わないようだ。

 

悠に好意を寄せる3人の少女がヒミコを通して、この状況を見守ってるさなか、悠がいきなり、真夜を抱き寄せる姿が映しだされる。

 

「あああ!!」

「悠!!何やってるのよ!?あんな年増に!!」

「え!?……もしかして、奥の手って、色仕掛けで説得?………私もされたい」

りせは大きな声を上げ、リーナは画面の悠に怒鳴り、真由美は悠が真夜の説得のため色仕掛けをしてると勘違い、そして……小さな声でうらやましそうに声を上げていた。

 

 

悠は真夜を抱き留めながら、ペルソナチェンジを行い。モトを呼び出していた。

 

「悠先輩!!熟女が趣味だったなんて!!」

「悠!!離れなさい!!」

「……うらやましい」

 

そんな中、悠からりせのヒミコに声がかかり、りせはテレパスで悠と通信する。

(りせ、四葉家の敷地内に残っている人がいないか確認してくれ!)

当然リーナと真由美ともリンクしている状態だ。

 

「!?悠先輩!!その人と二人っきりで何をするつもり!!もしかして色気に……罠よ!!悠先輩!!そんな熟女に騙されないで!!」

「悠!!何やってるの離れなさい!!そんな女のどこがいいのよ!!」

「……鳴上くんは年上好き……私とは同級生……でも、1か月だけ私の方がお姉さん……私の方が有利かも」

りせは悠が真夜と二人きりになるためにモトで人払いをし、さらに真夜のハニートラップにかかりいかがわしい行為に及ぶと勘違いする。リーナもりせと同じだ。真由美はぶつぶつと呟き何やら思考を巡らせていた。

 

当然この3人の声は悠の頭の中に響く。

(何を言ってる?……りせそれよりも確認だ)

 

「だって、悠先輩が!!」

「そうよ悠!!」

「……鳴上くん」

 

(落ち着け)

 

「うー、確認しましたぁ!誰ももういません!!」

りせは投げやりに悠に報告する。

 

(助かる)

そうりせに伝えた悠は、さらに真夜の背中に腕を回し、完全に密着するほど抱き寄せたのだ。

 

「ああああああ!!」

「悠!!」

「鳴上くん!!」

3人は嫉妬の雄たけびを上げる。

 

 

しかし……

 

悠はペルソナチェンジで『シヴァ』を顕現させ、超絶破壊術儀を展開したのだ。

 

りせは何かに気が付き、落ち着きを取り戻す。

リーナと真由美は嫉妬の炎など消し飛んで……ただただ画面越しの圧倒的な破壊の光景を茫然と見ていることしかできなかった。

 

そして……

画面越しの光景は……先ほどまで和洋兼ね備えたお屋敷と荘厳な風景を思わせる敷地が広がっていたのだが……今は、四葉家本家の広大な敷地は最初っから何もなかったかのように荒野が広がっていた。

 

「「…………」」

リーナと真由美の二人は大口を開けたまま茫然とする。

 

「さすがは悠先輩……跡形もなく消し飛んじゃった。……悠先輩!巻き込まれた人は居ないよ!負傷者もゼロ!」

 

(つい本気を出してしまった)

悠は不敵な表情でそんなことを言っていた。

 

「悠先輩~♡」

そんな悠にりせはデレる。

 

「……本気をって悠!!説得をするんじゃなかったの!?どうして説得が四葉家消滅になるのよ!!だいたいあの攻撃はなんなの!!戦略級魔法!?なんなの!?物質が跡形もなくなるってどんな原理なのよ!!」

リーナはようやく立ち直り悠に質問攻めをする。

 

(まかせろ!)

悠は実にいい顔をする。

 

「……四葉家本家が消滅……四葉家が…あの四葉家が………鳴上くん、これはちょっと…やりすぎじゃないかしら……破壊工作やテロ行為にとられてもおかしくないわ……」

 

(テロ……破壊工作………し、しまった。つい……な、なんとかなる)

どうやら、悠は真夜や四葉……皆を助けたい一心でこんな手段をとってしまったのだが……後の事を深く考えていなかったようだ。かなり焦った表情をする悠。

 

「悠先輩~♡……真由美さん大丈夫!なんとか誤魔化す!」

そんな困った表情をし、どこか抜けてる悠を見て、りせは再度デレた。

そして……りせはいい笑顔で真由美にとんでもない事を言う。

 

「まあ……先に手をだしてきたのは四葉家だし……鳴上くんを殺そうとしたのだから……その辺は酌量の余地は十分にあると思うけど……」

 

(それだ!)

 

「それだ…って鳴上くん…四葉もメンツがあるでしょうし、四葉自体もこのことを表ざたにできないだろうし……たぶん。訴えられたりはされないとは思うけど……警察や軍も介入は避けたいはずだし。いわば、国内の魔法師同士の抗争みたいなものだから……」

 

「それだ。じゃないわよ!!悠!!いつまでそのおばさんとくっ付いてるのよ!!離れなさい!!」

 

(ん!?)

 

 

 

 

 

 

 

真夜は唖然とその光景を見ていた。

四葉家本家が瞬く間に滅んでいく様を……

 

世界からアンタッチャブル四葉と恐れられ、必要悪として表ざたにできない裏稼業をこなしてきた四葉家。

その四葉に縛られ、自らの運命すら呪った真夜。

生まれ育った場所ではあるが、真夜にとって、四葉家本家は憎しみの対象でしかなかった。

 

四葉の象徴である四葉家本家が……自分の眼前で一瞬に滅んでいったのだ。跡形もなく、こうもあっさりと……

 

 

真夜はしばらくその何もなくなった荒野をぼんやりと眺めていた。

こんな自分にした世界や四葉に復讐するために、世界を壊そうと……憎むべき四葉に心血を注ぎ、四葉を大きくしていった。

そんな矛盾にも苦しみながら、それでも四葉を強固な組織へと………この世界に復讐を果たすために……

 

そんな四葉の象徴たる四葉本家が一瞬で滅んだのだ。

 

真夜の心は今、空っぽに………激しい憎しみとわずかな楽しみしかなかった心が何もない空虚に……

 

そしてそれを成したのは、自分を死なせないと叫んだ今日出会ったばかりの青年だった。

 

ふと、顔を上げると、間近に自信に満ちたその青年の顔があった。

この青年は四葉を壊し、自分の復讐を阻止しようとした憎むべき相手のはずだ。なのに憎しみは生まれない……

斜め下からの青年の横顔をぼうっと眺める。

端正な顔立ちに自信に満ちた目………まだ、自分に心があった少女時代に夢見た淡い思いがよみがえる。

 

真夜はその青年の鼓動や息遣いと熱が自分に伝わってくるのを意識する。

真夜は久しく感じていなかった温かみと、心苦しさがそれをずっと享受したいような不思議な感情が沸き上がってきていた。それが何なのかは真夜は今はわからなかった。

人と直接触れることを嫌い、避けてきた真夜だが、全身を包み込まれるようにこれほど密着してるにもかかわらず、嫌悪感はなかった。むしろこのままでいいとさえ思えてきたのだ。

 

悠は何かに気が付いたかのように、真夜を抱き寄せてた腕をほどき、真夜から一歩下がる。

「すみません。手荒な真似をして……だが、これであなたを縛っていた四葉という呪縛は解けたはずです。あなたは過去を捨て、誰にも縛られない新しい四葉を今から作ればいい」

 

「………あなたはひどい人ですわ。わたくしの家ごと復讐の相手も壊してしまわれるのですから………新しい四葉をわたくしが作ったとしても、今と同じものを再建するだけ、また、あなたを狙うかもしれませんわよ」

真夜はそれを名残惜しいと思いながらも悠に抗議する。そこには笑みではなく、子供のような膨れた顔をする真夜がいた。

 

「その時はまた、話し合いに来ます」

 

「話し合い?破壊の間違いではないのですか?…………どうしたものかしら。四葉の信頼や威光もこれで地に落ちましたわ。あなた一人にここまでされてしまったのですから」

 

「すみません。ただ、一度壊れてしまったんです。せっかくですから、過去とは全く違う四葉を作って見ては?」

 

「簡単にいいますわね。これなら死んだ方がまだ楽でしたわ」

 

「……あなたは死んではいけない。あなたは必要悪として日本の闇の中で動いてきた。犠牲になった人も沢山いる。あなたはそれを無にしてはいけない」

 

「……わたくしに罪を償えと?」

 

「はい、しかし、あなたを裁ける人などいないようです。ならば、あなたは自らの行いでそれをしめさなければならない。四葉を変えることがせめてもの罪滅ぼしになると……」

 

「わたくしは自分の目的のために全てを踏み台にしてきた大悪党ですわ。その大悪党に今度は人助けを、正義の味方になれと?」

 

「……俺は思うんです。大悪党なのか正義の味方なのかは、紙一重、立場が違えばどちらにも見える。ただ……自分の信じた人たちに誇れることをすればいいと……」

 

「わたくしに……信じる人や信じてもらえる人はいませんわ」

 

「……俺を案内したご老人は少なくともあなたを信じてた。あなたは四葉を今迄統率してきた。そこには全く信頼感が無いとは言えないでしょう」

 

「………利害の一致だけですわ。そこに心なんてものはありはしませんもの」

 

「じゃあ、……俺はあなたが四葉を変えることを信じる。だからあなたが変わると信じている俺を信じてください」

 

「……よくそんなことを年上のわたくしに言えますわね……はぁ、あなたと話してるとなんだかすべてが簡単なように思えますわ」

 

「ものは考えようです」

 

「わたくしは今迄の道しか知りませんわ。正義の真似事なんて、できようがありませんわ」

 

「……やってることはあまりかわりませんよ。それが、誇れるものかそうでないかだけの違い」

 

「……そうですわ。あなたがやりなさいな。四葉再興を!わたくしは引退してじっと眺めてるだけ」

 

「それでは意味がない。あなたがやるからこそ意味がある。それは今の日本の闇や、あなたが言う。この世界の構造を変える一手になるかもしれない」

 

「………ものはいいようですわ。確かに、私共をいいように使ってくれた方々には意趣返しができますわ。アンタッチャブル四葉と呼ばれた私共が、180度転換したとしたら……きっと世界は驚きますわね…………」

 

「それはある意味、世界を破壊したことになりませんか?」

 

「まあ、なんてこぢんまりした世界破壊だこと」

 

「世界を驚かすことにはかわりありません」

 

「……あなたにはもう勝てる気がしませんわ。屁理屈も、力でも……完膚なきまでにやられましたわ」

真夜はそう言って微笑んでいた。それは今迄とは違い自然な笑みだった。

こんな会話だというのに、楽しくて仕方がなかったのだ。

 

「………」

 

「ところで、あなた……鳴上…悠さん……四葉をここまで破壊して、私の復讐の相手も手段も壊してくれて、わたくしに正義の味方の真似事までしろと言ったのだから、四葉再興を手伝ってくださるわよね」

 

「……相談ぐらいなら」

 

「……相談だけかしら。四葉家本家の建物設備を入れて時価50億はあると思いますが」

真夜は荒れ地と化した四葉を指し悠に言う。

 

「………相談を……いつでも受けます」

悠は痛いところを突かれしどろもどろに答える。

先ほど真由美に指摘され、自覚してからはどうしたものか悩んでいたからだ。

 

「それだけですか?そうですわね。お茶をいつでもご一緒していただけるかしら?」

 

「……それぐらいなら」

悠はホッとした表情をする。

 

真夜は心の中で思う。

悠との会話はそれぐらいの価値は十分にあると……

三十数年前のあの時から真夜の時間は止まったままだった。

それを、今、あんなとんでもない方法で、目の前の青年が再び動かしたのだ。

 

「ふふふふっ、これから忙しくなりますわね」

真夜は自分でも驚くぐらい心が軽かった。こんな事態だというのに……

 

 

 

 

悠と真夜はこの後幾つか打ち合わせをする。

真夜は四葉家本家の人員を村にある別邸に集め指示をだす。

その指示を聞いた四葉家の家人は皆、驚きの表情を隠せなかったとか……

 

悠はその日のうちに、終電に近い電車に乗り自宅まで帰った。

帰ったのはいいのだが、悠の自宅で待っていたりせとリーナに何故か責められる。

年増がいいのか、そんなに年増がいいのかと……

真由美は……それに加わらずに……じっと何かを思案している様子だった。

 

この後、この3人とも悠は打ち合わせをする。

 

 

その頃、七草弘一は真由美が悠の自宅から深夜になっても帰ってこなかった事に、ほくそ笑んでいた。

遂に、真由美が鳴上悠を落としたと……小躍りしそうな勢いだったと……

帰ってきた真由美にどういう態度をとろうかなどと……考えながら……

 

その真由美が爆弾(四葉家本家消滅の事実)を抱えて帰ってくるとも知らずに……

 




こんな感じになりました。
前話とこの話は真夜の心を攻めて、掴むというのが悠の目的です。
フラグは別にして、その一環で四葉家本家を破壊しました。これも真夜の心の攻めの一手でした。
ペルソナのゲームはどうやってコミュとって、進めるかというゲームなので、そんな感じになればと……このような形になりました。
人たらしの悠w


次は……達也くんと深雪ちゃん……
達也くん……どうする?
七草家……

そろそろ、東京のメンバーのアルカナを決めないと……
りせ:恋愛
真由美:女教皇
リーナ:正義
深雪:月
達也:処刑者か死神
エリカ:塔
幹比古:魔術師
レオ:戦車
美月:星
真夜?:女帝
弘一?:
ご意見をよろしくお願いします。
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