ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
お返事が遅れておりましてすみません。徐々に返事させていただきます。
誤字脱字報告ありがとうございます。助かっております。

更新が遅くなりすみません。
人が一人やめちゃうと大変ですね。仕事が1.5倍に><
八月は更新は遅くなりそうです。

というわけで、まだ、バレンタイン編です。
本編復帰はもう少しです。



第四十八話 来訪者来る

 

2月14日(火)

 

今日はバレンタインデー。

世の女性が気になる男性に思いの丈をチョコに乗せアピールする絶好の機会。

 

悠の周りの女性達も例外ではなかった。

放課後。悠の自宅に訪れ、それぞれ自分の思い思いにアピールするのであったが、悠にどれだけ伝わったかはわからない。

今の所、真由美が上出来な部類だろう。

思いが伝わっていないというか、逆効果だろうと思われるのは激辛チョコを贈ったりせなのだが……インパクトとしては十二分に伝わっただろうが。

 

今、悠の自宅には自然とドッペルゲンガー第一高校襲撃事件で活躍した面々とその関係者が集まり、和気あいあいとした雰囲気で過ごしている。

日が暮れだした頃、悠が夕食の準備に取り掛かる。深雪と真由美がキッチンに入り手伝いを、リーナも料理はできないが、食器などの用意を手伝っていた。

りせは、自前の激辛チョコを皆に持って帰って食べてもらうために小分けにしラッピングをしていた。それをエリカと美月が他愛もない会話をしながら手伝う。

達也と幹比古はりせの激辛チョコを食べて気を失ったレオを介抱していた。

 

 

そんな中、悠の自宅にチャイムが鳴り響く。

 

悠が玄関で来訪者の対応をする。

宅配便のようだ。荷物が届いたらしい。

悠は大きな段ボール箱を携えてリビングに戻ってくる。

 

送り主は堂島遼太郎となっていた。

悠の稲羽の叔父からだ。

 

悠はとりあえず段ボール箱の中を確認すると、いろんなサイズのきれいに包装された箱が複数入っていた。きっと悠の稲羽の友人達によるバレンタインチョコレートプレゼントなのだろう。

悠はなぜだか、段ボール箱の中に得も言われぬ異様な空気が流れているように感じる。

 

遼太郎の筆跡で書かれたメモが段ボール箱の裏に張られていた。

稲羽の友人達のバレンタインチョコと従妹の菜々子の手作りチョコが入っている事が簡単に書かれている。

そして、そのメモの裏には何かの錠剤が何粒か入った小さなビニールの錠剤袋が貼り付けてあるのが見え、そこには一言、飲んでおけと書かれていた。多分胃薬だろう。遼太郎の気遣いが痛い。

悠は額に汗する。

 

「……そっとしておこう」

そっと段ボールを閉める悠。

 

悠はこの場でバレンタインチョコ取り出すわけには行かなかい。

りせのチョコ被害にあったぐったりと倒れたままのレオを後目にし、皆が帰った後に、稲羽の仲間と菜々子手作りチョコ群を食べようと決心する。たとえ気を失ったとしても、皆が帰った後ならば誰にも迷惑をかけないだろうと……

閉めた段ボールを自室に運び込む。

その時の悠は、なんだか自らの死期を悟った達観した僧侶のような遠い目をしていたとか……

 

 

今日の悠のレシピはアジの南蛮漬けとカツオの旨煮、刺身盛り合わせに、ヒジキの煮物、貝柱の大根サラダにアオサの味噌汁、それに漬物とごはんと海の幸をふんだんに使った和食だった。

それを懐石料理風の大きめの盆にのせ、各人の席の前に出す。

 

「悠先輩のごはん、悠先輩のごはん!うーん。おいしそう!流石悠先輩♡」

りせはその料理を見て一番に声を上げる。

 

「「「「………」」」」

料理を手伝っていなかった達也、幹比古、復活したレオとエリカや美月は出てきた料理の見事さに、見て固まる。

 

「お兄様、鳴上さんはなんでも料理ができるのですよ」

嬉しそうに達也に語る深雪。

 

「大したものじゃない。どうぞ。刺身以外はお替りがあるから」

悠はそう言って、皆に食事を促す。

 

悠が頂きますと合図をすると何故か、皆習って、いただきますと手を合わせる。

日本の風習に慣れていなかったリーナも悠の家で食事を何度もよばれていたため、今では手慣れたものだ。

 

「まじ、うめえ!鳴上さんって料理人か何かか?」

「……お菓子も美味しいし、和食もこんなに美味しいなんて」

「ほんと、おいしいわね…深雪も女子力高いけど、鳴上さんが一番高いんじゃ?」

「女子力とかいうレベルじゃないと思うよエリカ。高級料亭の職人級だよこれ」

レオ、美月、エリカ、幹比古は料理を堪能し、料理と悠の料理の腕前に褒め言葉が自然と出る。

 

真由美とリーナは何時も悠の美味しい食事をよばれているため、声には出しはしないが、料理を楽しんでいる。

 

「お兄様、本当に美味しいですね」

「ああ」

深雪に相づちを打つ達也だが、内心ホッとしていた。

この和やかな雰囲気を見る限り、真由美やリーナに自分たちが四葉の人間だということはバレていないのだと……

しかし、実際は真由美、リーナだけでなく、りせにまで達也と深雪が四葉の人間であるとバレている。悠の提案でこの事はしばらくは黙っていることになっていた。

 

「ふふーん。これで驚いちゃダメよ。悠先輩が作ったお弁当なんて、お節料理みたいだったんだから!」

りせは自分の事のように自慢げに皆に言う。

 

「りせ姉さまって、鳴上さんと一時期同じ高校に通ってたんですよね」

 

「そうよ。悠先輩はジュネス以外でみんなで外で集まるときはお弁当を、悠先輩の家に集まるときは料理とか作ってもらってたの」

 

「昔からなんだ……、いつも鳴上さんが?」

幹比古は何気なしに聞く。

 

「作れる人が居なかったから」

悠が平然と答える。……そう誰かに任せると、とんでもない事になるからだ。

 

「そうなのよ~。悠先輩以外では私しか料理できる人いなかったの、千枝先輩は普通に不味いし、雪子先輩は食べれる代物じゃないし、直斗くんは料理とかしないし。みんな女子力足りなくて」

りせは呆れたような表情でそういうが、りせ自身も料理できないメンバーの一人のはずだ。

 

「そ、そうなの……かしら」

真由美はりせが自分だけ料理ができるみたいな発言に半分呆れたような顔をしていた。

 

「そういえば、悠先輩。去年のバレンタインチョコ、みんなからとか、派手な先輩とか吹奏楽部の子とかからもチョコ貰ってたけど、誰が一番おいしかったの?」

 

「………」

悠は答えに窮する。

誰がおいしいかといわれると困る。

普通に美味しかったのは、バスケット部マネージャーの海老原からもらったデパートで買ったらしい高級チョコだったのだが………

いつもの女子メンバーのチョコは何かが間違っているため、評価に困るのだ。

 

「やっぱり私のハバネロとドリアン入りチョコよね悠先輩!」

 

「み、みんな個性があって良かった」

悠は冷や汗をかきながらそれが精いっぱいだった。

 

「悠先輩ったら……」

 

「鳴上さんは今の学校では、バレンタインチョコどれくらい貰ったんですか、結構モテそうだし。ちなみにレオなんて、何故か学校で大きな紙袋パンパンになる位もらってましたけど。こんなガサツな奴のどこがいいんだか……」

エリカは悠に質問をしつつ、レオをジトっとした目で見据える。

 

「誰がガサツだ!お前よりましだ!」

 

「なによ!私が何であんたよりガサツなのよ!」

 

「まあまあエリカちゃん。レオくんは誰にでも優しいし、男らしいから、女子の間では人気があるのよ」

 

「えー?こんな奴が?……そういえば、幹も達也君も結構もらってたわね」

エリカはレオを一瞥してから、幹比古と達也に顔を向ける。

 

「僕に振らないでよエリカ、レオほどじゃないけど手提げ袋1袋ぐらいは……達也と同じくらいかな」

 

「お、お兄様?いつの間にそんなに!?」

 

「……まあ、そうだな」

バツが悪そうな達也。どうやら深雪に沢山チョコをもらった事を言ってなかったようだ。

 

「なる……その、悠くん……は学校ではどうだったの?女の子の友達が結構いそうだけど」

真由美は悠の名前呼びにまだ慣れてないため、恥ずかしそうに顔を赤らめながら質問をする。

 

「……いつの間に名前呼びに……何があったの!!真由美さん!!……悠先輩!!」

真由美の突然の悠の下の名前呼びに、りせは驚きを隠せず真由美に迫るが、顔を赤らめるばかりで返事がないため、悠にも迫る。

 

「ついさっきから」

悠は何もなかったかのようにケロッとした顔で答える。

 

「そそそ、そうなの。私だけまだだったから……前にもそうしてくれるって言ってくれたのだけど、恥かしくて……」

真由美は恥ずかしそうに下を向いて顔を真っ赤にしていた。

 

「この中で真由美だけ、まだだったからな」

 

「………」

真由美は悠の真由美呼びに顔をさらに赤くして、俯いたままになる。

 

「そうだけど。そうなんだけど!……悠先輩の天然ジゴロ!!」

りせはそんな真由美の姿を見て、どうも納得がいかないようだ。

実はりせがこの中で悠との恋のライバルとして最大の脅威になる可能性があるのは真由美とみていたのだ。

悠はどうも年下には、妹や後輩のような扱いをし、恋の対象としてみていないようなのだ。

りせ自身も悠に散々アピールしてきたのだが、飽くまでも後輩といった感じでいなされてしまう。

だから、今の悠の周りの女性関係でリーナや他の年下の女子が悠に近づこうとしても、まったく脅威に感じていなかったのだ。

真由美はこの中で唯一悠と同級生で、さらに大人びた対応ができる女性なのだ。

それでもりせは真由美が相当奥手でなかなか踏み出せないでいるのが分かっていた為、まだ大丈夫だと高をくくっていたのだ。

だが今、その一歩を真由美が自ら歩み出たことで、悠を巡るりせの警戒度は2段階ほど一気に上がったのだ。

因みに、りせはリーナをあまり脅威に思っていない。

確かに見た目は美人だが……中身がお子様だと、悠に対してヤキモチをよく焼くが、どう見ても恋人には見えない。せいぜい仲のいい兄妹のような関係に映っていたからだ。

 

りせからすると今の真由美は、折角、雪子という最大のライバルが遠く離れ、自分が圧倒的有利だと確信していたのに……思わぬところから現れた伏兵と同じだったのだ。

 

この光景を見ていた幹比古はうらやましそうな顔をし、レオは感心していた。

エリカと美月は嫉妬するりせを見た後に、悠に複雑な感情を抱き、ジトっとした目を向けていた。

リーナも3人の様子を見て、またしても自分自身でも良くわからない感情が蠢いているのを感じ、それを抑え込もうとしていた。

 

「お兄様、天然ジゴロとはどういう意味なのでしょうか?」

深雪は横の達也に小声でこんなことを聞いていた。

 

「深雪はまだ知らなくていい………あえて言うならば鳴上さんのような人を指す言葉だ」

達也は箱入り娘の世間ズレを起こしてる深雪にあえてこんな言い方をする。

 

「??」

深雪は疑問顔のままだった。

 

 

「落ち着け、りせ」

悠は感情を爆発させそうなりせを落ち着かせる。

元々、りせは悠や稲羽の友人達には、感情をありのままさらけ出すため、感情的になりがちなのだ。

 

「もう、悠先輩の意地悪!」

りせはそう言いつつも、真由美と悠の態度を再度見て、まだ大丈夫そうだと肩を撫でおろす。

明らかに悠の方は友人としてまだ接してるからだ。

 

 

「それで、鳴上さんはバレンタインチョコ学校でどんだけもらったんだ?」

空気の読めないレオは折角収まりかけた話題を蒸し返す。

 

「そこそこ貰いました」

悠はなぜか丁寧語でこう答えこの話題を締めくくった。

しかもこの答えだと、多いのか少ないのかも判断しづらい。

貰ったことは確かだという情報だけなのだ。

 

 

 

 

 

夕食も終わり片づけを始めたころ。

 

 

またしても、悠の自宅のチャイムが鳴る。

 

悠は玄関に出て、来訪者を迎える。

今度は宅配便ではないようだ。

一言二言話して、来訪者を伴い悠はリビングに戻ってきた。

 

「皆さん。ご機嫌麗しゅう」

来訪者は悠の後ろから気品あふれる声で片づけを行ってる皆に丁寧に挨拶をした。

 

 

「な!」

「え!?」

達也と深雪はその来訪者の登場に大いに驚く。

 

「ああっ!?」

「あっ!!」

「……え」

りせとリーナは意外な来訪者に、驚きというよりも何やら敵愾心を持った声を上げていた。

真由美はこのまさかの来訪者に驚きを隠せないでいた。

 

エリカと美月、幹比古、レオはその人物には心当たりがない。

悠の親戚なのではないかと……

漆黒のドレスを着た終始微笑みを絶やさない大人の美女に、美月と幹比古とレオは思わず見とれてしまう。

 

この大人の美女は、皆の反応にクスっと一笑いしてから、深雪と達也に声をかけたのだ。

「あら、奇遇ですわ。深雪さんに達也さん。このようなところでお会いするなんて」

 

「……あの、…その」

深雪は美女登場に戸惑いを隠せず、さらにこの場でどうふるまっていいのかわからず、返事が出来ずにいる。

本来は深雪はこの美女に対し、即傅き、最高の礼を尽くさなければならない立場なのだが……それすらも出来ないぐらい混乱していた。

 

「……なぜ、あなたがここに…」

達也は体中を臨戦態勢へと移行させ、こう聞き返す。この美女は達也にとっていろんな意味がある女性だ。元倒すべき相手にして、主筋の当主である。

本来なら、当主である彼女にそれ相応の礼を尽くさなければならないが、友人たちが見ているこの場では、それを行うことができないでいた。

いや、できるはずもない。

 

 

「なに?深雪と達也君の知り合い?」

「……なんか、珍しく達也が驚いてない?」

「……美人だな。何となく司波妹に少し似てるな」

「空気が重いような」

エリカ、幹比古、レオと美月はこの大人の美女と様子のおかしい達也、深雪を交互に見ながら、口々に言う。

 

 

 

 

この微笑みを湛える大人の美女はあの四葉家当主四葉真夜だ。

アンタッチャブル四葉と世界に恐れられる魔法師族の当主であり、達也と深雪にとっては、叔母である前に、従うべき絶対的な主なのだ。

友人たちが集うこの場で最も会いたくない人物だった。

自分たちが四葉の一員である事がバレたくはない上に、何を仕掛けてくるかわからない相手だからだ。もしかするとこの場の友人達に何らかのちょっかいを出す可能性もあるからだ。

 

因みに、先日悠が完膚なきまでにねじ伏せてしまった相手でもある。

 

 

悠は何か言いたそうな、りせ、真由美、リーナに目配せをする。

大丈夫だと……

りせはその意図を正確に読み取り、普段通りの振る舞いに戻す。

真由美も意図は理解したが、戸惑いの色は隠せない。

リーナは、しぶしぶといった感じで、おとなしく引き下がる。

 

 

「わたくしは津久葉真夜と申します。達也さんと深雪さんの親戚ですの。普段はあまり交流がないもので、わたくしも達也さんも深雪さんもまさかこのような場所で出会うとは思わず驚きましたわ」

四葉真夜は分家の名を騙り、やわらかい微笑みを湛えながら皆に自己紹介をする。

達也や深雪のフォローも入れるが、達也と深雪の驚く様を実に楽しそうに見ていた。

 

「真夜さんとは先日知り合った」

悠は簡単に説明する。

 

「そうですの。わたくし、一昨日に悠さんに助けていただいて、命拾いをしましたの。そのお礼にお伺いしたのですわ。そしたら達也さんと深雪さんがいらっしゃるのだから、わたくしこの出会いに運命を感じますわ」

真夜は悠の簡単すぎる説明を補足した。

 

 

 

そんな得も言われないような空気感が漂う中、悠は真夜を歓迎し、リビングに座るよう促す。

夕飯の片づけが終わった皆は思い思いに座る。

一応、真夜の横には達也が座り、その達也の横に深雪が緊張した面持ちで座る。

悠と真由美はキッチンで食後の飲み物の用意をしていた。

 

「皆さん。真夜と気軽に呼んでくださいまし、達也さんも、深雪さんも、昔みたいに真夜お姉ちゃんとでも呼んでください」

真夜はニコニコ笑顔でこんなことを言う。

達也は平静を装っていたが、内心では真夜をかなり警戒していた。真夜の一挙手一投足も見逃さないように全神経を集中させる。

深雪は未だに戸惑い続ける。

……実際には叔母と甥姪関係なのだが……真夜の偽りの今宵の設定では、達也たちの従妹のお姉さんぐらいの感覚のようだ。

達也も深雪も今も昔も真夜をお姉ちゃんなどと呼んだことも無いし、真夜がお姉ちゃんと呼ばれている姿も見たことがない。

しかも、この真夜は今までの作られた妖艶な笑みではなく、楽しそうな笑みを浮かべている。

こんな真夜の姿も達也や深雪は見たことが無かった。

 

その後、それぞれが簡単に自己紹介をしていく。

エリカ達は達也と深雪の友人として、リーナはツンとした表情で深雪の友人として。

りせは悠の深い仲であるとわざとらしくアピールし自己紹介をする。

食後デザートとして生絞りフルーツジュースと高級そうな個別包装のチョコをテーブルに出す真由美も達也と深雪の先輩として、自己紹介をした。

 

 

「へー知らなかった深雪たちに真夜さんのような美人の親戚が居るなんて、小さい頃の達也君と深雪ってどんなかんじでしたか?」

エリカは真夜に興味津々に質問をする。

達也は余計なことをという視線をエリカに向けていた。

 

「うーん。そうですわね。寡黙な少年と大人しいかわいらしい女の子といった印象ですわ」

 

「それ、まんまだな」

「想像通りというか予想通りだね」

レオと幹比古は納得いった感じで頷く。

 

「やはり親戚ですね。最初真夜さんを見たとき深雪さんと真夜さんも道理で少し似てると思いました」

美月はレオと同じ印象を持っていたようだ。

深雪は実際には真夜の双子の姉の娘に当たる。遺伝子操作をしたとしても面影は残るだろう。

 

「……陰険な性格は達也とそっくりね」

リーナは皆に聞こえない程度の小声でこんなことを言っていたが、隣に座ってる真由美にはその言葉が耳に入り、苦笑を漏らしていた。

 

しばらく、エリカ達による真夜への質問が続き、達也と深雪は気が気ではなかったが、真夜は無難な返答を返していく。

最初は重かった場の空気も今では和らいでいた。

 

 

しかし、この会話に全く入っていない人物がいた。

悠は真由美と同じタイミングでこの輪に入っていたのだが、未だ何も話さず、テーブルの上に出されている真夜がバレンタインを兼ねた手土産として持ってきた高級チョコを黙々と食べていた。

いや、悠だけではなかった。エリカと美月に囲まれて座っていたりせも高級チョコを黙々と顔を赤らめながら食べていた。

 

 

そして、皆が会話をしている最中……急にりせがすくっと立ち上がらり、顔を赤らめながらこんなことを大声で言い出した。

しかも呂律が回っていない。まるで酔っ払いのように……

 

「……そんなころ、ろうでもいいろら!白黒はっきり決めるのら!熟女が好きか若いのが好きから!」

 

「りせお姉さま?」

「りせ姉さま?」

 

「王様ゲーーーム!!始めるのら!!」

りせはビシッと前に指を刺し宣言する。

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

「レオ!!!!あれを持ってくるのら!!!!」

りせは顔じゅう真っ赤にさせ、うつろな目をレオに向け、命令する。

 

「お?俺かよ?あれってなんだ!?」

 

「早く!!王様の言うことは絶対なのら!!」

 

「おい、エリカ?これどういうことだ?」

 

「ちょ、私に言われても……りせ姉さまどうされたんですか?」

 

「んっとに、使えない!打ち首なのら!!」

 

 

りせの突然の豹変に一同は驚き戸惑う。

悠と真夜以外は……

 

 

そこに悠がりせの前にすっと現れ、片膝をつき両手で恭しく何かを献上する。

その手の上には、番号の振ってあるプラスチック製の棒が並べられていた。

 

「王様の命令は…絶対だ!」

そう力強く言う悠の目はうつろであった。




次でバレンタイン編終わりです。

それでようやく本編に戻れます。

ドッペルゲンガー……忘れてないですよw
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