ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。

では、続きです。


第五話 異形の者

 

2096年1月8日(日)19:12

 

 

悠は七草弘一と別れてから、その足で真由美を探しに渋谷に向かう。

 

「七草に何が起こった……七草父の口ぶりでは、七草は何かをしていた。しかも行方不明になった理由を知っているようだ。しかし何処に行ったのかはわからない。…………まるで謎掛けのようだ」

 

悠は、携帯端末で渋谷近辺にある公園をマッピングし、近い場所から回っていくつもりだ。

りせの協力を仰ごうとしたが、りせは現在九州でライブツアー中だということを思い出す。

そこで、警察組織とつながりがある直斗に何か情報を持っていないか連絡をする。

 

「直斗、緊急事態だ」

 

『どうしたんですか?』

 

「七草真由美が行方不明になった。2日前からだ。関連する情報はないか?」

 

『!……十師族の子女が行方不明。反魔法団体か…いや……先輩、僕のところにもその情報はありません』

 

「なにか、東京近郊で事件とかは?」

 

『いえ……僕も、警察組織から疎まれている面があるため、初動捜査などにはほとんど参加させてもらえないんですよ。迷宮入りや解決が困難になってから依頼されるので……』

 

「そうか。すまん」

 

『先輩、僕の方でも知り合いにあたりを付けてみます。……先輩無茶しないでください。と言っても、困っている人がいれば見過ごせず、無茶してでも助けるのが先輩ですが…………』

 

「ああ、なるべく無茶はしないつもりだ」

 

直斗のところにも、情報が入っていないということは、何か秘匿性が高い事を真由美は行っており、それで何かに巻き込まれたということなのだろうかと、悠は考えを巡らせる。

 

 

 

 

2096年1月8日(日)21:11

 

悠は渋谷近辺の公園を5つ程周るが、真由美の痕跡は見つけることができなかった。

 

携帯端末にマッピングした少し遠方の6つ目の公園へと向かうと、公園内には公園には似つかわしくないスーツ姿の捜査員らしき人物が数人うろついていた。

 

「ここか……」

悠はここが真由美が最後に向かった先の公園だと確証を得る。

 

しかし、捜査員が中にいる状態で、公園内に入ることは難しい。

悠はペルソナを呼び起こし、中の様子(アナライズ)を伺う。

 

「……なにも見つからないか…2日も経っているから当然といえば当然か」

悠は呻くように呟く。

 

「?……こんな時間にカラスの鳴き声?」

悠は少し離れた場所から聞こえてくる複数のカラスの鳴き声がふと気になった。

カラスは夜は活動しないからだ。

 

悠はカラスの鳴き声が聞こえる方向へ自然と体が向かい、歩む。

 

すると、とある小学校に行き着く。

多数のカラスが校舎や、野球のネットなどに止まり、鳴き声を上げている。

異様な光景だ。

 

校門の前まで歩み寄り、真っ暗となり誰もいないだろう校舎を見上げる。

悠は心の中の女帝のアルカナが疼き出す。

「……ここには何かある。……七草」

 

悠はペルソナを憑依させながら、セキュリティの監視カメラの死角を探し、敷地内に入る。

 

敷地内は異様な雰囲気であった。

外からでは一切見えてなかったが……敷地内は霧で覆われていた。

かつて、稲羽市が霧に覆われた時のような……

 

悠はクマのメガネを装着すると、やはり視界がクリアになった。

 

「異界の霧…」

 

小学校の敷地内に入ってから、悠のペルソナは敷地内のあちこちに微弱な何かの反応を示していた。

 

悠は微弱な反応が複数ある校舎内に昇降口から入るが、扉は鍵がかかっておらず、セキュリティも作動していないようだ。

 

昇降口付近にある微弱な反応を示している方向に目をやると……鏡がある。

悠は他の微弱な反応を示している場所も確認すると、やはり鏡だ。

 

悠は改めて、一つ一つ鏡を確認して行く。

トイレの鏡、廊下の手洗い場にある鏡、そして……各教室にある鏡を確認する。

今のところ特に変わったような印象を受けない。

そして、昇降口まで戻り、幾つかある姿鏡を確認すると……悠以外誰も居ないはずなのに、鏡には悠以外に人が倒れて映っているのだ。悠は後ろを振り返るが誰もいない。

 

悠はその鏡をもう一度よく見る。やはり、人が倒れている……よく見ると女性……いや、七草真由美だ。

 

「七草!」

悠は鏡に触れると、手が鏡の中に入っていく。

 

「!……」

そのまま体を鏡の中へと突っ込む悠。

 

「七草!七草!」

悠は鏡の中に入ると、倒れている真由美を抱きかかえ、呼びかける。

 

「う……」

真由美のか細い息が漏れる

悠は息があることにホッとする。

 

しかし、周りを見ると、鏡の中の空間は、現実の世界から鏡が映っている範囲しか無い。

それ以外は霧がかかっている。

悠は真由美を前に抱きかかえながら、霧に触れようとするが、見えない壁が存在した。

やはり、この空間は鏡に映っている範囲のみの異空間らしい。

 

「……とりあえず出るか」

悠は色々と疑問があったがとりあえず真由美を連れ出すことにする。

 

 

悠は真由美を鏡の空間から連れ出し、校舎から抜け出したところ、霧が立ち込める校庭の奥から人影がこちらに向かって歩いてくる。

 

 

「ん?鏡の牢獄に閉じ込めていたはずだが……君はどうやって、連れ出したのかな?」

現れた人物は不気味な黒い仮面に真っ黒なマントを羽織っていた。

 

「お前か!七草を鏡の中に閉じ込めたのは!」

 

「……あまり動揺がない。この霧の中でも私が見えているようだしな、何者だ?」

 

「お前こそ何者だ!なぜ七草を攫った!そして、この空間は………シャドウか」

悠は叫びながら黒仮面の人物に問いかけるが………途中で気がついた。仮面の奥底にある怪しく光る金色の目の色に……そして、その雰囲気に……

 

「フフフフフフフッ、どうやら君はこちら側を知る人間のようだね」

黒仮面はそう言うと、腕をこちらに突き出す。

 

すると、黒仮面の周りに炎の玉がいくつも生成され悠に向かって放たれる。

 

「ぺ・ル・ソ・ナ!」

悠は真由美を抱きかかえたまま、後ろに飛び、炎の玉を回避しながら叫ぶ。

悠の後ろに漆黒のコートを羽織った巨大な人影『イザナギ』が現れ、炎の玉を次々と切り裂いていく。

 

「ペルソナだと!?」

黒仮面はイザナギを見て驚いたようであったが、さらに炎の玉を多量に生成し悠に次々に放つ。

 

イザナギはその手に持つ巨大な刀で悠に襲い来る炎の玉をすべて切り裂き、そして、黒仮面に迫り、刀で薙ぐ。

 

黒仮面は両腕でブロックするが、吹き飛び地面へと叩きつけられた。

「ぐっ」

 

 

黒仮面は倒れたままの状態で、不自然な体勢でスッと立ち上がり不敵に笑う。

 

「フフフフフフフッ、我は真なる影、そして、自由を手にいれた者。この姿に恐れおののくがいい」

 

黒仮面のマントは漆黒の翼に姿を変え、体は膨張、巨大化し、顔には嘴が生え、巨大な鳥の足が見える。さながら巨大な烏と人間を混ぜたような姿へと変貌し空中へと羽ばたいた。

 

しかし、悠はその姿に動揺せずに次の攻撃に移る。

 

『ジオ』

イザナギは腕を空に向けて突き上げると、巨大な烏人間と化した黒仮面の頭上から稲妻が降り注ぐ。

 

「ガッ………なんて力だ」

烏人間はまともに稲妻を食うが、仕留めるまでには至らなかったようだ。

 

イザナギは攻撃の手を緩めず刀を振るう。

 

烏人間はかろうじて、上空へと逃れる。

 

「く……こんな使い手がこの国に」

そう言って、烏人間は烏の姿に変貌し、飛び去って行ったのだ。

 

 

同時に、この学校の霧は晴れる。

先程まで居た烏の群れもいつのまにやら居なくなっていた。

 

「……逃げたのか…一体あれは……」

悠は烏が飛び去った夜空を見上げて呟き、ペルソナを解除する。

 

 

「う…………鳴上…くん?」

悠に抱きかかえられたままの真由美が薄っすらと目を開け悠の顔を見上げ、か細い声を上げる。

目を覚ましたようだ。

 

「大丈夫か?七草」

 

「わたし……え?……あの…え?」

真由美は目を大きく開け、今何が起きているのかわからないのと、悠にお姫様抱っこのように抱き上がられている現状とで混乱しているようだ。

 

「もう大丈夫だ」

悠は笑顔で真由美にそう言う。

 

「えええ!?」

真由美はジタバタして逃れようとするが、うまく体が動かないようだ。

 

「じっとしていろ……だいぶ衰弱している」

 

「えええ!?わたしどうしたの?なんで鳴上くんが?」

 

「今は大人しくしておけ」

 

「……うん」

真由美は顔を赤くし、悠の顔を見上げたままジッとする。

 

 

 

悠は学校の敷地を出ながら、七草弘一にもらった名刺の先に電話をし、真由美を保護したことを連絡すると……ものの10分で黒い高級車が次々と現れる。

 

悠は真由美を七草の家人に預ける。

真由美の兄智一も到着し色々と聞かれるが、詳しいことは明日は話す事を約束し、悠はその場を後にし帰宅する。

 

 

 

あれは何だったのだろうか?

明らかにシャドウと同じ感じがした烏人間。

魔法を使っていた。

そして、あの霧に真由美を閉じ込めていた鏡。

何をやっていたのだろうか?

 

この東京で何かが起こっている…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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