ペルソナ使い鳴上悠と魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
返事が遅くなりましてすみません。徐々に返事させていただきます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

では続きを……


第五十三話 足立透

足立透。29歳

八十稲羽署勤務の元刑事。元本庁のエリート新人だったが、素行問題で八十稲羽署に飛ばされ、出世コースから完全に外れることになる。

一昨年稲羽市で起こった連続殺人事件の犯人として、入間特殊刑務所に入所。

山野真由美と小西佐紀の2名の殺人を自供したが、動機や殺人方法については疑問な点が多く、状況証拠と本人の自供のみで立件。本人の意向で第一審で刑を受け入れる。

当時は一般の刑務所に入所するが……後に魔法適正はないものの、特殊な魔法適正者(ペルソナ使い)である可能性を警察機構の特殊部門シャドウワーカーによって意見され、この入間特殊刑務所に移送され、今に至る。

 

 

「……マガツイザナギ」

足立はさっきとはうって変わり鋭い目つきで目の前の男を見据え、その言葉を口にする。

足立の体からは漆黒のオーラが立ち上り、悠のペルソナイザナギとそっくりな姿をしたペルソナ、マガツイザナギが顕現する。悠のイザナギとは明らかに異なるのはその雰囲気だ。その姿は鮮血で染められたように禍々しい姿をしていた。

 

「ペルソナ使いだと………その姿、報告にあった鳴上悠のペルソナと同じ……だが鳴上悠本人ではない。……貴様は何者だ」

目の前の男は、マガツイザナギをペルソナと見抜き、禍々しいオーラを放つその異様なプレッシャーに1歩2歩と下がりながら身構える。

悠のペルソナと同じ姿のペルソナに驚きはしたが、男は冷静に言葉を投げかける。

 

「ふーん。あんた、彼を知ってるみたいだね。もしかして彼と敵対してるとか?」

 

「……奴の仲間か」

 

「バーカ。その逆だよ。彼の敵だった人間だよ」

足立は小ばかにしたような笑みを浮かべる。

 

「そうか人間。俺たちも鳴上悠と敵対してる。どうだ、俺たちの仲間にならないか?」

目の前の男、いや、クモのドッペルゲンガーは何を思ったか足立を勧誘しだした。

 

「へー、面白そうだけど、僕に何のメリットがある?」

 

「貴様のその異様なペルソナ。我々と近しい存在と見た。貴様も鳴上悠に辛酸をなめさせられ、こんな場所にいるのだろ?奴を排除したいとは思わないか?」

 

「そりゃいいや。でも彼、一筋縄じゃ行かないよ。なんかいい方法でもある?」

 

「確かにな、奴は我々の作戦の悉く裏をかいてくる。奴自身に仕掛けるのは危険過ぎると判断し弱点と思われる親族を人質にとる作戦も失敗だった。奴に逃げ腰な対応が逆に仇となった。だが、それも間もなく終わる」

クモのドッペルゲンガーは勧誘に手ごたえを感じ、話を続ける。

 

「ふーん。親族ね……稲羽にでも仕掛けた?」

足立は頭を掻きながら半目で見据える。

しかし、その瞳には明らかに強い感情の色が見られる。

 

「ふん。俺は反対だったんだがな」

 

「はー、わかったわかった」

足立はうんざりした表情で返事をする。

 

「そうか、我々に……」

 

「なんで僕がシャドウの言うことを聞かないといけないんだ?彼と敵対してるってことは、あんたらは悪なんだろ?僕に悪を倒させてくれよ。正義の味方みたいにさー」

先ほどとはうって変わって、不敵な笑みを浮かべる足立。

 

「……残念だ。交渉決裂だな。我々の糧となれペルソナ使い!」

目の前の男の耳と鼻、目から黒い影が飛び出し、黒い霧の塊となる。

目の前の男はその場で倒れ、黒い霧の塊は一気に膨張し、霧散すると……

そこには、通路の幅一杯の巨大な毒々しい模様のクモが現れる。クモの頭の部分には人の上半身が乗り、人の上半身には腕が6本。人の顔部分には目が8つのみ。

 

「げっ、僕はクモが苦手なんだけどな」

 

「ふははははっ!この姿に恐れおののけペルソナ使い!……貴様は殺す。仲間の仇を取らせてもらうぞ」

 

「はー、怖い怖い。完全にとばっちりなんだけど。しかし、バカだろう。こんな狭い場所でそんな巨体晒すなんてさ」

足立はわざとらしい口調で、怖いと言いながら、全く怖がった様子がない。逆にバカにしてる雰囲気さえある。

 

「ふん。なんとでも言うがいい」

クモのドッペルゲンガーは影から60cm程のクモの眷属を多数顕現させる。

 

「気持ち悪」

足立はそう言いながら、マガツイザナギから、クモのドッペルゲンガーに向かって一直線に雷光『ジオンガ』が放たれる。

 

「効かんな」

クモのドッペルゲンガーは『ジオンガ』を受けるも、かき消されるようにその威力が霧散する。

眷属のクモにも同様に効果が表れなかった。クモのドッペルゲンガーの電撃無効属性によるものだ。

 

そして、足立に多量のクモの眷属が迫ると同時に、クモのドッペルゲンガーからクモの糸が複数放たれる。

 

「はぁ、面倒だな」

マガツイザナギは禍々しいオーラを噴出させる。

そのオーラに振れたクモの眷属は悉く吹き飛び、クモの糸も軌道を逸らされる。

力をためるような仕草をするマガツイザナギは、禍々しいオーラを纏いながら、クモのドッペルゲンガーに一気に迫り。手に持つ刀をクモの胴体に突き刺す。

 

「グハッ!!……なっ!」

 

「だからいったんだ。こんな狭いところで、どでかい図体晒すからこんなことになるんだ。ちょっとは頭使ったら?」

 

『メギド』

 

ドッペルゲンガーに突き刺したマガツイザナギの刀の先端から、無属性魔法メギドが発動する……

 

クモのドッペルゲンガーは体内から高威力の魔法にさらされ、胴体は内側から破裂し吹き飛んだ。

人の上半身部分は吹き飛びながらも残ったが……

 

「……き、貴様……何れ、貴様も滅ぶ……この国の魔法師はすべて滅ぶ」

床に落ち息絶え絶えの上半身だけのクモのドッペルゲンガーは、八つの目で足立を見上げる。

 

「ん?何言ってるんだか、僕は魔法師なんかじゃないよ」

マガツイザナギは倒れているクモのドッペルゲンガーの顔面に容赦なく刀を突き刺した。

クモのドッペルゲンガーは黒い液状と化し消滅する。

 

 

「……まあ、彼が何とかしただろうけどさ………堂島さんと菜々子ちゃんを狙うなんて、ほんとバカな連中だな」

 

 

 

 

 

 

「………足立透」

真田はカラスのドッペルゲンガーとその眷属を振り切り、一体のコヨーテのドッペルゲンガーを滅しつつ、ようやく地下の収監所エリアに到着したが……そこには囚人服を着た線の細い男と禍々しいオーラを放つペルソナが,敵のドッペルゲンガーにとどめを刺していたのだ。

 

 

「……おたく何?上半身裸にマント?新手の変態?こいつらの仲間?……いや、この感じペルソナ使いか……」

 

 

「足立透……ペルソナを戻せ」

真田はゆっくりした足取りで足立に油断なく近づきながら自らのペルソナ、ポリデュークスに攻撃態勢を取らせる。

 

「なに?やぶからぼうに。おたく、どちらさん?」

 

「何でもいい、ペルソナを戻せ!」

真田は緊張した面持ちでさらに語気を強める。

ポリデュークスが青白い炎に包まれ、カエサルへと転生進化する。

カエサルが持つ剣を足立に突き付ける。

この状態を維持するには相当の気力とエネルギーを消費する……

霧の結界による疑似異世界空間といえども、影時間やテレビの中の世界のようにはいかない。

まして、真田はこの霧の結界内で活動するのは今回が初めてだ。霧の結界の疑似異世界空間と完全に同調してるわけではなかった。

 

真田は風花から、ここに来るまでに、ここで囚人として入所していた足立透という人物がペルソナを使い、クモのドッペルゲンガーと対峙していたことを聞かされていた。

そして、りせ経由で知らされた足立の来歴も……

真田はそれ以上に、目の前のマガツイザナギの禍々しいオーラとそのプレッシャーから、凄まじい力を感じていたのだ。

 

足立にプレッシャーをかけるために真田は無茶を承知で、気力やエネルギーの消費を無視しカエサルに転生させたのだ。

それだけ、目の前の足立を脅威とみていたのだ。

 

「あーあ、終わっちゃったようだね」

足立は軽い感じな口調で両手を上げ降参のポーズをとると、マガツイザナギはスッと消える。

真田のペルソナ、カエサルもその状態を維持できなくなり、ポリデュークスに戻る。

 

霧の結界が解かれたのだ。

簡易な異世界空間から現実へともどり、足立はペルソナを維持できなくなり、真田もカエサルの状態を維持できなくなったのだ。

真田は表情にこそだしていないが、ホッとしていた。

足立のペルソナが強制解除されたことに……

真田自身、あのままカエサルを維持するのも限界が来ていたのだ。

 

「おたく何?ここに来てるってことは警察か国防軍?その恰好で?あー、あれかシャドウワーカーとかいう怪しい組織か、僕をこの刑務所に移送させた」

足立は両手を上げ降参のポーズをとったまま、真田に話しかける。

 

「……そうだ」

 

「あのさ、ペルソナ下げてくれない?僕、丸腰だよ?……ペルソナって現実世界でも使えるのか……まあ、さっきに比べれば随分力は落ちてるみたいだけどね」

 

「いいな、大人しくしてろ」

真田はペルソナを戻す。

 

「はぁ、わーかったよ。せかすなって。最近の若者は、口の利き方がなってないなー」

足立は降参のポーズを解き、壊された扉から自らの収監室へと戻り、ベッドに腰を下ろす。

 

真田は廊下の壁に背を持たれかけさせ、腕を組んで、足立の監視をする。

 

「そうだ。あんた寒くないの?屋内と言ってもまだ2月だよ。上半身裸にマントって、どうなのよ」

足立は収監室から陽気に真田に声を掛ける。

 

「………」

真田は黙って、足立を睨みつける。

 

「おお、こわ………肝心の彼は来てるの?」

足立が言う彼とはもちろん悠の事だ。

 

「………」

 

「答えてくれたっていいじゃない。まあ、彼がここにいたんなら、あんな失態はしないだろうけどね。他の囚人たちも結構襲われたみたいだよ。そっちはほっといていいの……そう睨まないでよ」

 

「………」

 

「はあ、僕に感謝してもいいんじゃない?シャドウ倒したのは僕なんだけど」

足立は返事が返ってこないのをお構いなしに話し続ける。

 

「………」

真田は足立を見据えながら、風花のテレパスで報告を受ける。

 

ドッペルゲンガーがこの場から撤退したことを……。

退治できたドッペルゲンガーは、10体中、3体だ。足立が滅したのを入れれば、1体プラスされる。

こちらは数人の怪我人がでた。眷属やドッペルゲンガーからエネルギーを吸い取られたものが少数と残りは戦闘行為による怪我だ。

外では救急隊の手配が進められている。

 

 

 

外部から襲撃してきたドッペルゲンガーは囮役だった。

本命の囚人として内部に潜ませたクモのドッペルゲンガーが囚人らからエネルギーを吸い取る又は、捕縛するまでの囮役……

囮役の外から襲撃したドッペルゲンガーは魔法師とシャドウワーカーと接触するも、まともに戦うことはしなかったのだ。

それでも、3体滅したことは、上出来な部類だろう。

 

ドッペルゲンガーにとっても、魔法師とシャドウワーカーにとってもイレギュラーだったのが、足立の存在だった。

 

魔法師とシャドウワーカー達が囚人の中にドッペルゲンガーが潜んでいたなどとは想定外もいいところだったのと同じように、ドッペルゲンガーにとっても、まさか、囚人の中にペルソナ使いがいるとは思いもしなかっただろう。

 

美鶴は足立がここに収監されてる事は知っていた。だから、ドッペルゲンガーの内部からの襲撃に余計に焦ったのだ。

美鶴は足立が現実世界でペルソナを行使できないと見ていた。

もし使えたのならば、何らかの行動に移し、脱獄してるはずだからだ。

しかも、そのそぶりも見せず、この一年間、まさに模範的な受刑者だったのだ。

このドッペルゲンガーを迎撃する作戦を計画するに当たって、美鶴にとって足立の存在が懸念材料であったが、実際に移送する手続きや、移送先の手配をする時間的な余裕が全くなかったのだ。

悠にも美鶴は相談をしたのだが……

「大丈夫です。現実を受け入れた今の足立さんなら何も心配いらない」

という答えに、美鶴はとりあえずは足立の件を後回しにすることにしたのだ。

だが、ドッペルゲンガーと接触した場合どうなるか、ドッペルゲンガー側につくのではないかという懸念はあった。

 

美鶴の作戦では、外部から襲撃するドッペルゲンガーを収監所へ侵入させる前に、速やかに撃退する計画を立てる。

それであれば、足立の存在をほぼ無視できる。

足立自身、霧の結界の特性を知らなければ、ペルソナを行使することも無いだろうと……

 

しかし、それがものの見事崩れたのだ。

ドッペルゲンガーの行動は美鶴の想定の上をいったのだ。

囚人になりすまし内部からの襲撃など全く想定していなかった。

それは、日本やUSNAにおける。ドッペルゲンガーに成り代わられてるだろう人物をすべて洗い出していたからだ。

どうやって、その囚人を手に入れたのかは、今はわからない。ただ、明らかに何かの見落としがあった事は間違いないだろう。

 

そして、美鶴の懸念通り、ドッペルゲンガーと足立が接触してしまった。

しかし、美鶴にとってイレギュラーだったのが、足立がドッペルゲンガーと敵対し滅した事、その後も大人しくしてることだ。

 

クモのドッペルゲンガーに襲われた囚人は収監された100名の内、56人、そして行方不明となったのはそのうち17名だ。襲われ、その場で倒れていた囚人はエネルギーを吸い取られ、意識不明の重体となっていた。

この数字は美鶴たちの警察組織のドッペルゲンガー迎撃作戦の失敗を意味してる。

 

しかし、行方不明となった人物はどこに行ったのかが疑問が残る。

クモのドッペルゲンガーが何らかの手段で連れ出した可能性があるが、その肝心のクモのドッペルゲンガーは、足立によって滅されてる。

 

足立の証言から……光る奇妙な鏡を向けられ、効果がないなどと言われたと……その事から、その鏡で『鏡の牢獄』を発動させ、囚人を捕えていたと推測するが……手持ち運びできる鏡で『鏡の牢獄』を発動させられたケースは今までなかったのと、その鏡自体が行方が分からなくなっていたため、推測の域を脱することができないでいた。

 

足立にその鏡の行方を聞くと、クモのドッペルゲンガーが化け物蜘蛛に変化した後には、見当たらなかったと……

 

実は、その鏡はクモのドッペルゲンガーの眷属であるクモが足立との戦闘の際、持ち去り、他のドッペルゲンガーに渡していたのだが……今は誰も知る由も無い。

 

 

「もういいかげんに休ませてくれない?疲れちゃったよ。見たことは全部話したし」

足立はゲンナリして、シンプルな折り畳みテーブルを挟んで座ってる3人に訴える。

ここは、特殊刑務所の面会室の一つだが……ガラス越しではなく、会議室のような作りだ。

但し、対魔法用の設備がなされ、電波妨害なども施されている。扉も頑丈に出来ており、中からは開かないようになっていた。

 

「悪かったね足立さん。まあ、なんか思い出したら教えてよ」

千葉寿和警部は軽い感じで、この場を終わらせようとする。

 

「いや、まだ、聞きたい事がある。もう少し我慢してくれ」

桐条美鶴は、そう言って、まだ質問を続けようとする。

 

ドッペルゲンガーが撤退後直ぐに、千葉警部と稲垣警部補及び桐条美鶴は足立に地下収監所エリアで何が起こったかの聞き取りを行った。

上記のような、クモのドッペルゲンガーが鏡を使って何かをしようとしていたという話など、かなり有益な情報を得ることができた。

因みにラビリスと千葉修次、真田、風花は撤退したドッペルゲンガーの足取りを追い。

アイギスはここに残り、戦闘の後始末等を行っていた。

 

「お兄さんはわかる人だな~、で、そこの不景気そうな面の稲垣。元同僚のよしみで、このSM嬢のようなお姉さんに言ってやってくれよー」

足立は千葉警部に親近感を持ち、そこに真面目な顔を一向に崩さない稲垣警部補に、美鶴の質問攻めを止めるように言った。

 

「SM嬢……!?」

美鶴は足立のその言動に多少なりともショックを受ける。

漆黒のバトルスーツ姿の美鶴はそう見えなくもない。

 

「足立……相変わらずだな」

足立と稲垣は同期だった。

本庁のエリート新人時代、顔をよく合わせていたのだ。

周りとの折り合いが悪い足立とまともに口を利いていたのは、稲垣ぐらいだった。

稲垣は千葉寿和のお守を出来るぐらい人が出来た人物だ。

人を食ったような態度をとる問題児だった足立ともコミュニケーションが取れていたのだろう。

さらに千葉寿和の軽い感じはどことなく足立とも共通する。

 

「稲垣は相変わらず貧乏くじ引いてるんじゃない?前にも言ったろ、そんなんじゃ出世できないって。まあ、犯罪者の僕が言うこっちゃないけどね。あははー」

 

「………」

美鶴は目の前のチャランポラン男が本当に危険な犯罪者なのかと、その態度に疑問を持たないでもないが、警戒を怠るわけにはいかない。

足立の来歴を知り……先ほどあの真田から気をつけろ、只者じゃないと警告をうけていたからだ。

 

「……何故だろう。彼を見てると自分の将来が不安になるんだが……」

千葉寿和警部はぼそりと呟く。

 

 

丁度その時。面会室にノックがはいる。

「アイギスです。美鶴さん緊急通信が入りました」

 

「わかった。行く。扉を開けてくれ」

 

アイギスは外から扉を開ける。

この面会室は電波妨害も施されてるため、スマホなども使えない。

 

「すまんが、少し席を外す。まだ……待っててくれ。……アイギス代わりにここに居てくれ」

美鶴は男共にそう言って、面会室を出て、すれ違い際にアイギスに指示する。

 

「了解であります」

アイギスは代わりに面会室に入る。

嬉しそうにアイギスに椅子をすすめる千葉寿和警部。

しかし、アイギスはそれを拒否し、後ろに立って控える。

 

「あーあ、まだやるのこれ?もう全部話したのに?」

 

「足立、少し我慢してくれ……それに俺もお前とは話をしたいと思っていた。なぜお前がこんなことになったかを……」

うんざりした表情で愚痴をこぼす足立に、稲垣はテーブルに肘を付き、話しかける。

 

「いやだよ。お前みたいな堅物と話しても………なに?この子……あれ?」

足立は嫌そうな表情をし稲垣に文句を言おうとするが……視線が立ってるアイギスを捉えると……

 

「対シャドウ特別制圧兵装シリーズNO.Ⅶ名前はアイギスです」

アイギスは足立の視線に気が付き自己紹介をする。

 

「……ここ、このこ……ロボッ娘!、稲垣ーー!なんだよこの娘。こんな娘。どこに隠してたんだよー!」

さっきと打って変わって、テンションがハイになる足立。こんな足立は珍しいにも程がある。

 

「………」

稲垣は額を押さえ、うんざりする。

 

「足立さんもわかる?アイギスさんの素晴らしさを……」

千葉寿和はずいッと足立に近づき、耳元で囁くように言う。

 

「警部さんもいける口かーー!なんだよ。あんたとは気が合いそうだな!……アイギスさんって言うのか!アイギスさんってもしかして、警察所属?」

 

「警察機構の一つ、シャドウワーカー所属であります」

 

「こんなことなら、真面目にやってればよかった。知ってたら。くそつまんない本庁でも我慢してやったのに!」

 

 

 

面会室が盛り上がってる頃。

美鶴は……面会室の外で重大な報告を受けていた。

 

「ば、馬鹿な松戸基地が襲撃されてるだと!!」

 




足立さんの来歴、間違ってたらすみません。
稲垣警部補と足立さんは同期。
足立さんは新人エリート候補、稲垣さんは魔法師としての期待の新人
因みに千葉警部は二人より年下です。

ペルソナではメギドは万能属性ではありますが、ここでは無属性とさせてもらってます。


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