設定等に関しては前巻をご覧いただければと思います。
―――8月某日―――
…さて。いよいよ今日は新チーム始動の日。大杉監督からキャプテンに任命されて気合いも入るというものだ。
「白瀬くん、気合いが入っているでやんすね。もう部室にいるなんて」
この特徴的な語尾は……
「当然だろ、矢部くん。今日は俺が新キャプテンになってから初練習の日だぞ」
コイツは矢部明雄(やべあきお)。中学の頃から学校も部活動も同じの、いわゆる腐れ縁ってヤツだな。
「さすが白瀬くんでやんす、パワフル高校の希望の星でやんすね!」
持ち上げすぎだろ…なんだよ希望の星って。まぁ言われて悪い気はしないけどさ。
「にしても、俺たちが一番乗りか」
「違うでやんすよ、部室の隅を見るでやんす」
ん?
そう言われてみれば…ノートを持って部室の隅に座り込んでいるショートカットの女の子は…
「小筆ちゃん、早いね」
「い、いえっ」
そういってノートで顔を隠した彼女は、京野小筆(きょうのこふで)ちゃん。俺たち野球部のマネージャーだ。
「あ、あのっ、白瀬さんっ」
「なに、小筆ちゃん?」
「そ、その、監督から、これ、預かってます…」
そう言ってメモを渡してきた。これは…
『今日の練習は遅れます。練習メニューはいつも通りでよろしくお願いしますよ。 大杉』
やれやれ。また遅刻かあの監督は…
まあ練習メニューは決まっているし問題ない…だろう。多分。
「それじゃ、練習の用意をするぞ矢部くん!」
「ガッテンでやんす!」
こうして、俺のキャプテンとしての練習が始まろうとしていた。
…遅い。練習開始5分前になったが何人か来てないぞ。ウチは部員が少ないからすぐに分かる。
「すみませーん!」
そう言ってグラウンドまで走ってきたのは…
「ぎりぎりセーフっすよね!?」
「一応セーフだけど時間には余裕を持ってこいよ」
「いやー、児島選手の本を読んでたらギリギリの時間になってて…」
児島選手、好きだなぁ…確かに児島選手の守備は一級品だけど…
彼は小田切巧(おだぎりたくみ)。まだ構想中だけど、新チームではショートのレギュラーを任せようと思っている1年生だ。プロ野球選手で、守備の名手である児島英治(こじまえいじ)選手に憧れていて、小田切自身も相当な守備の名手だ。
「さて、小田切も来たところで練習を始めるぞー」
「あ、あのっ、宇渡くんがまだ来てません…」
宇渡か…アイツはアイツでなにをしてるんだ?普段は遅刻するようなやつじゃないんだけど…
仕方ない、待つか…
「おーーーい!」
来た、かな?
「すまない、すまないーーー!」
「どうしたんだよ宇渡?」
「…黒猫だ。」
は?黒猫?
他の部員もキョトンとしてるし。黒猫で遅刻はちょっと分からないぞ…
「どうしたんだよ、黒猫って」
「グラウンドに行こうとしたら、黒猫が目の前を横切ったんだ。」
「おう、それで?」
「そんな道を通ってしまったら、どんな不幸があるか、あるか分からないだろうー!」
「……」
「だから、学校の外側をぐるりと回って、裏口から来たんだ…」
うん。
意味がわからん。
ていうかその場合そんな回り道をさせられたこと自体が既に不幸だと思うけどな。俺は。
「よーし、何はともあれこれで全員揃ったな?じゃあまずはランニングから、行くぞー!」
更新は割と不定期です。失踪しないようにはします…ハイ。
書き方としては雪斗自身の立場から書いているつもりなので、カギ括弧のあるなしでとても見づらかったりすると思います。申し訳ありません…