「ボクは、野球をやめたんだ。」
――――――そんな。
そんな、バカな。ありえない。
あのスバルが?なぜ?負けず嫌いで身体能力も高いはずのスバルが…野球を、やめた?バカな。冗談としてもキツすぎる。
「これから塾があるんだ、雪斗は部活頑張って。」
生じた疑問が解決されることなく、スバルはその場を去っていった。
幼い頃、俺とスバルは親友で、ヒマさえあればいつも野球をやっていた。暗くなるまでボールを追いかけ、常に渾身のフルスイング。目指すは2人とも甲子園、そしてプロだった。
しかし、小学6年の夏、スバルは親の転勤によって転校することになった。
「次に会う時は敵同士だな!」
「はは、雪斗は敵に回したくなかったけどね。」
「スバル、向こうに行っても野球絶対続けろよ!」
「ああ、雪斗こそ練習サボるなよ!」
―――――それじゃ、甲子園で会おう―――――
そんな約束を胸に俺は野球を続け、パワフル高校のキャプテンにまでなったというのに…スバルは野球をやめた?ありえない…負けず嫌いが服を着て歩いているようなスバルが…
「大ニュースでやんすーーっ!!!」
「なんだよ矢部くん朝から…」
「なんとこの学校に覇堂高校の野球部出身の転校生が来るでやんす!」
「……。」
矢部くんはもう知ったのか、情報網が広いよなぁ…
「どうしたでやんすか、もっと喜ぶでやんす!覇堂高校の野球部といえば、3年連続夏の甲子園に出場している名門でやんす、そんな野球部にいたんだから、スカウトするでやんす!」
矢部くんならそういうだろうとは思った。スカウトするのにノリノリのようだ。しかし、事実は伝えるべきだろう。
「…彼は、野球部には入らないよ。」
「え?」
「彼は野球をやめたらしいから野球部には入らないらしい」
「…そ、そうだったでやんすか…」
「ほら、気を落とすなよ!今日の練習、行くぞ!」
「そうでやんすね…あれ?」
「どうした矢部くん?」
「グラウンドを誰か覗いてるでやんす。」
本当だ。あの後ろ姿は……スバル!
あんなので終わりたくない、ちゃんと話が聞きたい!
「矢部くんは先に行っててくれ、アイツと話をしてくる!」
「えぇっ!?待つでやんすー!」
「スバル!」
「!」
「なんだよグラウンドを覗きにくるなんて、やっぱり野球を――――――」
「雪斗が率いるっていう野球部を見てみたかっただけだよ、特に用はないさ。じゃあね。」
「待てよスバル、負けず嫌いのお前が野球をやめるなんておかしいだろ!」
「おかしくはないさ、ボクだって野球をやめてちゃんと進路を考えたいんだよ。」
「進路…だって?」
あのスバルが進路を考える?そんなのは逃げだ、確かに進路も大事だけど野球より進路を優先するなんてスバルらしくもない。
「もう話は終わりかい?邪魔したね、失礼するよ。」
「待てよ、まだ話は終わってないぞ。逃げんなよスバル!」
「――――――!」
えっ?
顔が強ばった?なにかまずいことを言ったのか?
「も、もうボクに構わないでくれ!」
そう言ってスバルはもうスピードで走り去っていった。ただ足が速いだけじゃないぞ…相当足腰を鍛えてる。投手には欠かせない要素だ。あんなに鍛えているのに野球をやめるなんて…覇堂高校で一体何があったというんだ…
半失踪非常に申し訳ありませんでした。言い訳に聞こえると思いますが、大学受験で色々忙しく、執筆するためのまとまった時間が取れなかったのが原因です。正直今後もこれくらいのペースになるかと思いますが、何卒よろしくお願いいたします。