この世界に来て一週間が経過した。
「親方このレンガとコンクリートの材料費の決算書類にサインお願いします」
「おう、」
俺はこの始まりの街『アクセル』で土木工事...もとい工事関係の団体や業者の書類整理や処理の仕事をしている。
本当はさっさと魔法おぼえて冒険者らしくモンスター狩り、レベルを上げて強敵と戦いながら異世界の
「社会人になって現実を嫌っていうほど学んだのにまさか異世界でも同じ気持ちになるなんて」
異世界だろうが、どこであろうが生きていくためには金が必要だ。金ならギルドで依頼を請けて稼げばいい。普通はそうする。しかし俺はまだ魔法が使えない。だから討伐依頼など受けられるわけがない。この世界では魔法やスキルを身に付けるには誰かにそれを教えてもらわなければならないのだ。
俺自身特に人見知りなわけないじゃない。なら何故誰も俺に近づこうとしないのか。これでも上級職、しかも伝説の上級職だそ。理由は一つ、俺がアクシズ教徒だということだ。
アクシズ教
女神アクア様を御神体とする。この国随一の...随一の変人集団にして迷惑団体だ。
この世界に来て自分の入ったアクシズ教を調べたがそれはもう酷い。
無理矢理な勧誘、大人の信者が幼児に対して異常行動を起こす、エリア教への迷惑行為など、問題行動に関しては枚挙にいとまがない。またその自由な教義からか変人が多い。その変人のおかげで国教であるエリア教に次ぐ名声を持っているが...はぁ...。
そんなアクシズ教徒の俺に近付く物好きはいない。なので生活費を稼ぐためにギルドで仕事を紹介してもらってなんとか街の土木工事のアルバイトをすることになった。
「オーイ、カゲミヤこっちの材料の仕入れ状況なんだが少しみてくれねーか」
「はーい」
最初のうちは俺も工事に参加してた。しかしある時休憩時間に工事関係の書類が落ちていたのでそれを事務所に届けた時につい市役所勤めだった頃を思い出してもっとこうすれば分かりやすく、効率が上がるとアドバイスをした。こっちの世界の書類の内容が非効率で酷かったのでちょっと意見を言っただけなのだ。それだけなのに....
「まさか次の日に臨時の事務員になってくれと言われるとは。今やってる仕事は前世と一緒...一緒か」
俺は事務作業するために異世界に来たんじゃない
まぁ金払いはいいから我慢。
その次の日も事務作業。
その次の日も。
次の日も。
次の日も、次の日も、次の日も、次の日も...その次の日も、そノ次のひも、そのツぎのヒも...。
ナンデオレイセカイキテジムサギョウシテンノ?
その次の日俺は臨時の事務員を辞めた。
親方を始め、他の仕事仲間が必死に辞めないでと叫んでいたが、そんな事は知るか。
俺は、俺は...冒険するために、異世界の女の子たちとイチャイチャするために来たんじゃぁぁぁぁ!!!
「何でもいい、魔法を覚えてやる!!!」
__________________________________________________
それなら数日後。
俺は畑作業をしている。この世界の農作業は初級魔法を使うので、もう何でもいいから次いでに魔法教えてほしくてこの依頼を受けることにした。
ざっく、ざっくつるはしを持って土を耕す。
「よし、あとは『クリエイトアース』!」
耕した土に向かって右手を広げて呪文を叫ぶ。
これは初級魔法のクリエイトアース、土を生成魔法で、生成された土を畑に撒くと良い作物が育つらしい。
まぁ俺にかかれば初級魔法でも一味違うのだ!
「おらぁぁぁッ!!!」
「こ、これが初級魔法なのか?」
依頼人の農家の人が驚いている。
普通の冒険者やウィザード(魔法使い)ならば初級魔法は一定の範囲に土をかけるだけだ。しかしアデプトウィザードたる俺は違う。
「一気にいくぞ!」
俺は魔力で魔法の威力を上げて東京ドーム半分位の畑一帯にクリエイトアースをふりかけた。
「終わりました」
「す、すごい。普通なら三日かかる作業を数時間で終わらせるとは」
「これでも伝説の上級職なので」
「これなら報酬も少し上げなくてはならないね」
「ありがとうございます」
「礼を言うのはこっちだよ。最近の魔法使いは初級魔法なんてスキルポイントの無駄だと言って、覚えようとしない。それに畑仕事の依頼なんて出しても滅多に人なんか来やしないんだよ」
「まあ畑仕事は植えるのも収穫も大変ですから」
この世界の野菜は動くそして飛ぶ。それを知ったときは驚愕した。
「お金になるキャベツや白菜ならともかく、一般野菜は農家の人間の仕事だと思ってるですよ」
この世界のキャベツの収穫はそれはもうワイルドらしい。
「全く昔は冒険者も畑仕事をして共に汗を流したのに悲しいもんじゃ、」
異世界でも最近の若者は...とかあるんだね。
「また何かあったら依頼してください」
「ありがとう、お前さんを直接指名してやるよ、はっはっは!!」
その後農家の人から野菜を分けてもらった。
「どうぞカゲミヤ様こちらが報酬です」
通常報酬と特別報酬をギルドのぱつきん巨乳お姉さんから受け取り、貰った野菜をギルドで野菜炒めにしてもらい食事を済ませた後寝床である馬小屋に帰った。
「これで最初の土木工事五千エリス三日分、臨時事務員一万五千エリス十日分、畑仕事三千エリス一日プラス臨時報酬一万エリス、今日までの生活費を引いて...十三万エリス」
「俺が使える魔法は初級魔法の」
ティンダー
水を生成するクリエイトウォーター
土を生成するクリエイトアース
風を生成するウインドブレス
氷を生成するフリーズ
火を生成するティンダー
上記の魔法は全てのスキルと魔法を習得出来るが本職よりも下方修正が付いてスキルポイントを少し多く必要な『冒険者』でもポイントを1消費するだけでとれるお得な魔法だ。
しかし俺が初級魔法を全て習得するために消費したポイントは25ポイント。初級魔法一つに5ポイントも必要だった。
「効率悪いな」
でも魔法の威力は自身の魔力によって威力と範囲をコントロールできるがとても難しい。
翌日、いつまでも日本時代の仕事用スーツで動きづらかったので、青色の冒険者服を買った。
「見た目は駆け出し冒険者だな、魔法いには見えん」
今回の討伐クエストはジャイアントトード。三日以内に五匹討伐すれば完了。
巨大カエルの討伐。こいつは繁殖期になると近隣の農家の家畜を襲うので度々討伐依頼が出ている。また初心者でも油断しなければ簡単には倒せる。所詮はカエルなのだ。カエルは金属が弱点と聞いたので一応少し長めの短剣を買った。
「さてどうするか」
目の前にはでっかいカエルがいる。
やつらは長い舌を伸ばして獲物を丸飲みする。補食中は動けなくなるらしいが俺は絶対に丸飲みは嫌だ。
舌を伸ばす攻撃を避けつつ二、三匹を一ヵ所に集める。よし狙い通りだ。
「『クリエイトウォーター』ッ!からの『フリーズ』ッ!」
カエルに魔力を強めに込めたクリエイトウォーターを一気にかけて水浸しにした後フリーズで一気に凍らせ短剣でとどめをさす。だが結果は予想外な結果になった。
まず俺のクリエイトウォーターはポケ●ンのハイドロポンプ並の勢いでカエルに直撃、三匹の一緒に飛んでいった。その後遠くににた他のカエルも巻き添えにして合計十匹のカエルを氷付けにした。
「短剣の出番なくカチカチに凍ってる」
これが超魔力、これがアデプトウィザードの力か。ほぼ全力の初級魔法でこの威力なら、中級、上級魔法だったらどうなるんだ...
「これは早くコントロールできるようにしないと大変なことになる」
予定を早めるか。
俺はギルドに向かって走った。
「凄いですね!お一人でジャイアントトードを十匹も討伐なさるなんて!」
「ありがとうございます」
「流石は伝説の上級職ですね、こちらは報酬です」
報酬は五万エリス。一匹五千エリスか。
俺は簡単に食事と風呂を済ませて馬小屋に戻り旅の支度をする。
「魔法といえば紅魔族、そしてアクシズ教徒の総本山アルカンレティア」
前者は魔法のコントロールを学ぶために、後者は一応アクシズ教徒なので洗礼を受けるため。まあこれは興味本位なところもあるけど。
さて俺の始めての異世界での冒険はどうなるのか。