よろしくお願いします。
「この不幸を呼ぶ呪われた悪魔の子めっ!!」
*その悪魔の子を産んだのは誰だ?
「あなたには生きる価値もないっ!!今すぐここから消えて!!」
*じゃあ何で僕を生かした?
変に手をかけるから不幸を呼ぶんだろう?
─────────────────────
「もう朝か。」
朝といっても、ようやく暗闇から光が漏れだした程度だが、僕に取ってこの光は実に重要だ。
何故なら、今日はこの忌まわしき世界から決別する、至高の瞬間だからだ。
「特に持っていくようなものもない、出よう…」
僕が持っているものは心にずっとかかった靄、そして顔に被っている、仮面の欠片だ。
思い出すだけで心の靄が広がる。
しかし、この靄のかかった心すらただの紛い物であることを自分でも知っている。
何故なら僕は、
混沌をもたらす肉人形だから。
「さて、人が一切立ち寄らないであろう場所は…エボット山しか知らないな…まぁ、伝説の語られる山なら誰も寄らないだろう。」
ここを旅立つ。薄汚れた思い出と共に。
イビト山と言っても、とてつもなく遠いのである。100kmは下らないだろう。そこから山の頂上まで高い標高を登らなければいけない。
「でもそれでいい。自分の最終目的地に行くまでに足が尽きるのか、決心が尽きるのが先かでしかない。僕が求める自由の為にはどちらも同じ結末だ。」
そう、ただ自分の決めた時に解放されるか、力尽き早く解放されるかの違いなのだから。
「しかし、最後の死に場所くらいは自分で決めさせてもらおう。」
…それから約3日経った…
「ハァ…ハァ……ハァ」
僕は休まず歩き続けた。足に限界が来るのも時間の問題だろう。…しかし、
「足より僕の決心のほうが強かったのか。」
それは高い、高い景色。どこまでも続く広い空と共にある絶景。
「醜い人間が創ったものにしては美しいな。」
そう、確かにそれは美しいのだろう。だが、僕はその美しいを言葉の意味でしか理解していない事も、醜い人間との感じ方が違うのも知っている。
理解してはならないのだ。何故なら、
「僕の心は酷く霞んで濁ってしまっているのだから。」
そう言って目的地出会った伝説の語られるイビト山の闇よりも深い穴へと身を預けた。
─────────────────────
彼は命の歩みを止めるため、歩み続けた。
しかし、その歩みが止まると言うことはないことをまだ彼は知らない。
そして、その紛い物のくすみきったと言う心も確かに輝き続けていると言うことも…
~ERASEDTALE~1話-知らないことが多すぎた
読んでいただきありがとうございました!