はぁ…昨日から本当に調子が悪い…きっとあんな物を見たからだ。なんとでも言え煩わしい世間を離れ地底深くの静かな環境だけが僕の傷ついた僕の心を癒してくれるだろう…
「このくらい離れればいいだろう。」
シーーーーーン
「静かだ…なんて静かなんだ。シーンとしてて耳が痛くなってくるくらいだ!」
なんて1人で言ってるのも虚しい感じがする。今すぐのび太達の所に戻ろうか…
ドドドドドド!!!
と思っていた矢先ものすごい音が洞窟に轟いた。
「誰だ!地底で騒いでるやつは!!
と僕は苛立ちを抱き、走ってその音の主が居るであろう所まで来たら、そこには
どどどど!!!
そこには、オルニトミムスっぽい恐竜がその広場を走っていた。これは!?そんな馬鹿な!!!あれは…
「きょ、きょ…恐竜だーーーーーーーーー!!!!!」
僕は驚きのあまり猛スピードでドラえもん達がいる元の場所に走った。
ーーーーーーーーー
「「「「恐竜?」」」」
スネ夫が腰を抜かしながら、戻って来て言ったのは、恐竜が居ただった。
「う、嘘じゃない、ほ、ほ、本物!」
スネ夫に言われた所に行くとそこには何もなく、だだっ広い広場が広がっていた。
「恐竜がいっぱいだろ?」
「いないよ?」
「そ、そんな!?あっ…ほんとだ、さっきまで本当に居たんだもん!ほんとだってば!」
スネ夫は気が動転してるのか、慌てた様子で僕たちに言った。けどもう一度見渡しても恐竜なんていなかった。
「だが、絶滅したと言ったのはお前だろ?」
ジャイアンがそう切り出した。確かにそうだ。僕や和人があれだけ言っても、恐竜は絶滅したと一点張りだったスネ夫が急にこんな事言うなんて僕が原因かな。○×占いの結果を見てもなかなか諦めていない僕の。
「スネ夫…どうしたっていうのさ。昨日から変だよ?」
「…いいよ。ごめん。僕の勘違いだったみたい。騒がせちゃったね。」
「いやいいんだけどさ。」
「まぁともかく、今は遊ぼうぜ。明日からは和人達も誘ってよ!」
ぴー!ぴー!
「留守宅警報テレビだ!」
『じゃあ、のっちゃんもみっちゃんも居ないんですね。』
『そうなのよ。全くどこほっつき歩いてんのかしら。のび太もみーちゃんも』
そこに映っていたのは、ママとしずちゃんだった。やば何も言わずにここにいるから、2人とも心配してるよ。
「念の為にセットしといたんだよ。」
「今日は帰ろうか。心配させるのもあれだし。」
「そうね。帰りましょうか。」
「そうだな。スネ夫悪いな今日はお開きだ。明日また遊ぼうぜ。」
「うん…ありがとうね…じゃあ僕が先に出るよ。また明日…」
スネ夫は随分と気が滅入ってる感じで。上に上がって行った…大丈夫かなぁ?
「のび太、俺も帰るな?」
「うん。また明日ね。」
僕達は、ホールを置いて、家路に着いた。
ーーーーーー
「あっ、のっちゃんにみっちゃん、ドラちゃん!」
「どこいってたのよ?」
家の前にはあーちゃんとしずちゃんがいた。しずちゃんはいたのは知ってたけど何であーちゃんまで?
「忘れたの?今日は泊まり込みで勉強会って言ってたじゃない!のびちゃんすぐ帰っちゃったから和人君も言いそびれたって言ってたよ!?」
あっ!?そういえばそうだった!!地下空洞の事ですっぽり頭から抜け出てた!!美夜子さんの方を見ると彼女も忘れていたようだ。
「ごめん!すっぽり頭から抜けてた!」
「はぁ…まぁいいけど。和君にも謝りなよ?」
「それはもちろん!って和人は?」
「直ちゃんのお迎えに行ったよ。あいつの事もあるし。ココ最近誘拐も多いし。」
「ああ…彼ね。そうだね。僕らも…家に入ろうか」
僕らはそう言って、中に入った。その後和人と直ちゃんはやってきた。案の定、例の彼に直ちゃんは絡まれてたみたいだった。僕は早速和人に謝った。
「いいっていいって。また何かあったんだろ?恐竜関連か?」
「まぁそれは近いね。また僕の部屋で話すよ。」
「頼んだ。」
僕が和人にそう告げた後にご飯を食べ、風呂に入って部屋に戻った。
「それで?何してたんだ?」
「そうそう!ママさんも心配してたんだよ!」
「のびちゃんが約束を忘れるまで何をしてたのかな?」
「そうだよ!のび兄!美夜姉もドラちゃんもいなかったみたいだしさ!」
和人が言ったことを皮切りに女子3人もそれぞれ聞いてきた。僕は昨日までの経緯と今日何してたかを話した。
「地下空洞に秘密基地かぁ…面白そうだね?」
「うちもうちも!」
「そういう面白いことはまず俺からだろ!?」
「お兄ちゃん用事あったじゃん。けど、私も行きたいなぁ秘密基地」
4人は話を聞いた後にそう言ってきた。スネ夫の事も言ったんだけど、興味がないらしい…まぁスネ夫の自業自得だからしょうがないかその辺は。
「明日は僕、師匠の稽古があるから行けそうにないから、4人とも行ってくれば?明日は暇でしょ?」
「そうだねぇ〜。じゃあそうしよっか?」
「そうしよ!そうしよ!楽しみだなぁ!うちそういうの好きだし!」
「それがいいな。俺は恐竜の事を探してみる。」
「お兄ちゃんも恐竜好きだね〜!でも私も楽しみ!」
「じゃあ、明日は頼んだよ。ドラえもん、美夜子さん。」
「任せてよ!」
「ふふ、じゃあそろそろ勉強始めましょ?アスとしずは一緒の私立目指してるんだっけ?」
美夜子さんがそう言うとあーちゃんは苦笑いをしながら。
「そうなの。私としてはみんなと一緒のところに行きたいけど、お母さんが許してくれなくて。」
「うちもね〜。あっちゃんがいるだけマシだけど〜」
あーちゃんはワガママを言って僕の街に引っ越してきた。だから中学からは私立の中学に入る予定になっている。僕も入ろうかなって思ってるけど、あーちゃんが狙ってるその学校の偏差値が高いのでとてもじゃないが入れるところじゃない。まぁ中学受験まで1年以上もあるから頑張れば入れると思うけど、お金の事情が入ってくるので、やっぱり入れそうにない。しずちゃんもあーちゃんが入る予定である中学に入るみたいだし。
「まぁ、まだ子供だから友達と遊ぶのはいいって言ってくれてるだけマシだけどね。」
「という事はアス姉とは1年とちょっとしかいれないんだぁ…寂しいね…」
「中学は違うけど、家からは離れないからその辺は大丈夫よ。」
「うちもね〜?」
「2人とも可愛いからは人気者になるんじゃない?」
「うんうん。学校でもいつの間にか美夜子さんと合わせて、美人三姉妹って言われてるくらいだしね。」
「はぁ…そこが1番やなんだよね〜、視線を感じるのっていつまでもなれないわ。」
美人三姉妹…美夜子さんが学校に転入してから、いつの間にか呼ばれていた3人の通称で何でも長女は言わずもがなあーちゃん、次女は美夜子さん、末っ子はしずちゃんらしい。瑠奈ちゃんがそう言っていた。聞いた時僕は2週間でもうそんなに?って思ったもん。
「誰が言ったんだろうね〜。うちが末っ子ってなんでだろうね?」
しずちゃんがそんなこと言うので僕と和人は目を合わせてからはこういった。
「「天然ですばっしこいからじゃ(ない)(ね)?」」
「うわぁ!ひどい〜!そんなにすばっしこいかな!うちは!」
「奈江以上にすばっしこいだろ?お前は。」
和人の言う通り、しずちゃんは走るのが早いそりゃあ、とにかく早い。50メートルを7秒台で走るほどで、奈江ちゃんよりも早いのだ。
「やっぱ納得いかないよ〜」
しずちゃんは、ほっぺたをプクッと膨らましご機嫌斜めって感じなった。…これを見ると確かに末っ子感が否めない。
「まあまあ、しずちゃん、でもいいじゃない褒められてるんだから。」
「ぶぅー…まぁいいかぁ。」
あーちゃんはしずちゃんを慰めてたらしずちゃんはすぐに戻った。あーちゃんまじでお姉さんみたいだなぁ。こういう所を誰かに見られて、あの美人三姉妹って事になったのかなぁ?
「こーら!みんな勉強始めるわよ!」
美夜子さんはそう言った、話に夢中で勉強を疎かにしていた。あぶないあぶない。まぁ小学校だから勉強はしなくてもいいだけど、勉強をしないに越したことはないね。それにしても、長女が美夜子さんって気がするなぁ、だって美夜子さんって年齢的には…ーー
「のっくん…何か失礼なこと考えてない?」
「へァ!?か、考えてない考えてない!!」
「そう…ならいいけど」
美夜子さんはエスパーかな!?いや考えるのはよそう…今は勉強勉強
ーーーーーー
勉強も宿題も一通り終わり、寝る準備をしていた。しかし隣にはすごく眠そうな直ちゃんがいた
「直ちゃん大丈夫」
「…うゅ…」
何この可愛さ…よし…
「直ちゃんのお兄さんやこの子写真を撮っても構わんかね?」
「お前はどこの爺さんだ!」
と言われながらチョップされた。
「いてっ…殴ることないじゃないかぁ。」
「人の妹の写真撮ろうなんざ100万年早いわ!」
「じゃあ100万年後に行ってからでいいの?」
「物理的に行こうとすんな!?言葉の綾だよ!?」
「こらそこ!早く寝る準備して!直ちゃんは私が持っていきます!」
そう言って、美夜子さんは直ちゃんを抱っこして行ってしまった。
「じゃあ、100万年後に行くか」
「うん、何でそこで100年後に行こうとする!?」
「冗談だよ〜。それにしても直ちゃんどんどん可愛くなっていくね〜」
僕は和人にそう言った。いやもう直ちゃんの可愛さに勝てる人…3人くらいいたか…
「誰かさんの為だろうな?」
和人はニヤニヤしながら、そう言ってきた。何その顔さっきの仕返し!?
「だ、誰のためかなぁ。」
僕はあえて、分からないふうに言った
「お前だお前!あいつはお前の為に可愛くなっていくんだよ!明日奈やしず、美夜子さんが可愛いから頑張ってんだ。」
それを聞いて僕は少しむず痒くなった。
「だからお前も早く誰かに絞れよ。俺としてはスグを押すがな」
「お兄ちゃんがそれ言っていいの?今はまだ言えないけどね…」
「もう明日奈には許してもらったんだ。恋愛してもいいだろ?」
あーちゃんの事があり僕は恋愛に対して臆病になっている。あの時と違って誰が誰を好きであろうと誰にもバカにされないだろうから、別にいいだろうけど…けど初恋の人に誘導されたとはいえあんな事言ってしまったから…だから僕はまだ恋愛ができない。でもあーちゃん、しずちゃん、直ちゃん、美夜子さんは僕なんかを好きでいてくれてる…待たさせてるのはほんとに気が引けるけど…
「待たせてるのは本当に申し訳ないよ。恋愛関してはヘタレだからね。自分で言うのもあれだけど……あっ…」
「どうした?……」
僕は言葉を失った。それは何故かって?美夜子さんが鬼の形相でこちらを睨んでいたからだ…これはやばい…
「のっくん!!和君!?早く準備しなさい!!!」
「「はい!!!」
僕達は急いで準備に取り掛かった。そしてこの時は知らなかったんだ。この先恐竜に関しての謎が解けるという事を…ーーー
ーーーーーーーーーー
のび太の家で勉強会を終えて、次の日。俺、明日奈、スグ、しず、美夜子さん、スネ夫、ドラえもんの7人で昨日聞いた秘密基地のどこでもホールがあるいつも空き地に来ていた。のび太は師匠の所に、ジャイアンは店番で今日は来れない。俺達はどこでもホールの中に入った。
「ここが秘密基地の空洞か…なかなか広さだな」
「のび兄がここを引き当てたんだよね。引き運いいよねー」
「のびちゃん、そういう運だけはあるのかしらね?いつもはドジなのに。」
「のっちゃんこの前も犬のしっぽ踏んで追いかけられてたもんね〜。」
本人が居ないことをいい事に言いたい放題だな。この3人は。
「ははは…みんなの分の部屋も作っといたよ!見に行ってみて!」
ドラえもんがそう言うと俺達は自分の部屋に向かった。俺の部屋は黒の扉と聞いていたそこに向かい扉を開けると、ベッドと本棚と勉強机がそこにはあった。部屋の広さもなかなかいい感じだ。俺はそこに荷物を置いてからまた扉を出た特にやることないからな。外に出るとドラえもんと美夜子さんが慌てた様子で何かを探していた。
「どうしたんだ?」
「あっ、和人君!スネ夫君見なかった!?」
「さっきから探してるんだけど、見つからないの!」
「見てないぞ?あいつも部屋でくつろいでるんじゃないか?本調子じゃないだろうけどな。」
スネ夫は今日もいまいち元気がなかった。昨日のび太やドラえもんに聞いた通りだとすれば、まだ恐竜の事で引きずってるんだろうな。
「そうだといいんだけど。直葉ちゃんや明日奈ちゃんに聞いても興味ないって言われたし。」
「しずにも頼んだんけど、あの子にも断られちゃって。」
興味ないはさすがにひどいとは思うが…まぁ、日頃の行いのせいだから何も言えないな。
「いつも明日奈達にちょっかい出してるスネ夫の日頃の行いせいだな。…心配してんのは俺も一緒だ。探しに行くか?」
「………いや心配しずぎてもしょうがないからね。やめておくよ。スネ夫に嫌がられても困るし。」
「……確かにそうね。」
ドラえもんと美夜子さんは、考えた後にそう言った。そうだ。心配をしずぎてもしょうがない。スネ夫は今は1人で居たいはずだからな。と俺は気軽に考えていた。まさかスネ夫が今この時大ピンチである事も知らずに…ーーー
ーーーーーー
僕はビデオカメラを片手に昨日見た広場に来ていた。ここは昨日恐竜が大量に横切っていた場所。6500万年前に絶滅した筈のあの恐竜がここを…
「あれは恐竜の幽霊だったのか…」
そう考えると足が震えてきた。でものび太や和人に大見得切って恐竜は絶滅したと言った手前僕はあの正体を知る必要がある。僕はそう思いながら、崖を登り広場は予想以上に大平原だった僕はカメラを回した。
「何か写ってくるかもしれない。」
僕は回しつつけていた。しかし待てど暮らせど、何も映ってこなかった。
「やっぱり、昨日のは僕の気のせいだったのかな」
カメラを回しながらそう口にしていた。そんな時だった…
ブーーーーーン
音が聞こえた。何だかプロペラ機のようなそういう音だ。カメラをそっちに移すと、そこには…
「ぼ、僕のラジコン…?」
そう…ラジコンだ。あれは一昨日多摩川の底に沈んだはずのラジコン…ま、まさか…
「ら、ラジコンの幽霊だーーーー!!!」
怖くなり逃げた。カメラを投げ捨ててから一目散に逃げ出した。崖から落ち上を見上げるとラジコンの幽霊は僕を追いかけてきた。さらに怖くなり洞窟に逃げ込んだ。逃げてるうちに滑り台みたいな崖に滑り落ちたそのまま滑り落ちて出口が見えてそこからは、暗い洞窟に出た。
「ここどこだ…?」
僕は洞窟を歩いた。
「おーい!ドラえもーーん!明日奈せんぱーい!!直葉ちゃーん!和人ー!美夜子さーん!!」
迷子になってしまった…これはやばい…僕は確かにあの恐竜の正体を知りたかったけど、迷子になる気なんてさらさらなかった。歩いていたら、出口が見えてきた。
「しずちゃーん!!ママーー!!」
あの洞窟の近くではないだろうけど、明るかったのでそっちに行くことにした。出口から出るとそこには大きな地底湖があった。その光景をみていると後ろから足音が聞こえた。僕は崖にひっつくように隠れた。足音がどんどん近づいてきた。
「…あ、あれは!!」
バレないように崖の影からその姿を見た…足音の主は恐竜と…騎士の姿だった。その姿を見た僕は力が抜けるように湖の中に落ちてしまった。薄れゆく意識の中で竜の騎士が僕に手を差し伸べていたが僕の意識はそこで消えるのであった…ーーーー