ドラえもん のび太の彼らとの大冒険   作:雷神 テンペスタ

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視点はのび太です


第19話竜の騎士〜脱走と野蛮人〜

向かった先には本当の戦争のような戦いが繰り広げられていた。ローさんが言うにはこれは演習らしい。騎士団ともなればいつ何時本当の戦争になるか分からないからこんな演習をしてるんだろうか、でも実践のような戦い方をしてるのには疑問がある。だってこの地底世界は、平和そのもの時々僕らみたいに迷い込んでくる人(はいないだろうけど)がいるくらいだ。それも記憶を消せば、地上には何も影響がないのに…でもこれは…

 

「兄さん!」

 

なんて考えていたら、ローさんは1人の騎士に声をかけた。という事はあの人はバンホーさんか…

 

「ロー!来ていたのか!」

 

バンホーさんはローさんや僕達に気づき、近づいてきた。

 

「ロー。喜んでくれ!ついに大遠征が実現されることになった!」

 

「大遠征?じゃあ、あの計画が!」

 

「そうだ。ついに長い間の悲願がついに実現する!我々の演習がやっと実を結ぶ時が来た!」

 

「良かったぁ…いつ頃に?」

 

「近頃だ。じゃ。ここいらは危険だから、ほかの場所で遊びなさい!」

 

バンホーさんはローさんと話をして、僕らにそう言って戻っていった。…遠征って一体何しに行くんだろ?あの大計画ってやつと関係があるのかな。

 

「…兄さんもああ言ってたし。次は牧場に行きましょ!」

 

ローさんはまた少し俯いたが、笑顔でそう言った。…嫌な予感が頭から離れないけど。そして僕達はタケコプターを頭に付け、ローさんが言った恐竜牧場に行くことにした。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

恐竜牧場にはオルニトミムスが大勢飼育されていた。レンタルできるオルニも居て、どこへ逃げてもこの牧場に帰ってくるらしい。ジャイアンがこれに乗って街まで帰ろうと提案し、僕らは賛成した。前みたいな反対な乗り方はしないよ!でも…

 

「この子何で!こんなに!!暴れるんだよ!!」

 

僕が選んだオルニは暴れ牛ならぬアバレオルニ(某戦隊物じゃない)だった。僕の言う事を聞かずに真っ直ぐに進んでくれなかった。なんでこういう時に限って運が悪いんだろう。

 

「のび兄?大丈夫?」

 

「やたら手綱引っ張ってもダメだよ〜!」

 

「わかってるけど!うわそっちじゃないって!!」

 

直ちゃんに心配され、ドラえもんから注意を受けた。わかってるんだけど、この子はとにかく暴れる。そうこうしてるうちに。

 

「あのさ!街まで競走しようぜ!」

 

ジャイアンがまたそう提案してきた。いやいや、今この状況で競走しようとか言われても無理なんだけど!?

 

「俺はのび太とゆっくり行くよ。」

 

「じゃあ、私も」

 

和人と直ちゃんは僕に合わせてくれるようだった。よかったこれで置いてけぼりになったら、きつかったし。

 

「そうか?じゃあ、他のみんなで競争だ!行くぞ!!」

 

「負けないわ!!」

 

「私もよ!」

 

ジャイアンの掛け声であーちゃんとローさんがスピードをあげた…あれ?あーちゃんはともかくとしてローさんは負けず嫌いなのかな。ジャイアン達が遠くにまで行くと大人しくしていた僕のオルニがまた暴れだした。

 

「ちょ!そっちじゃないってうわぁぁ!!」

 

「のび兄!?」

 

「どこ行くんだ!!」

 

「僕に聞かないでーー!?

 

僕のオルニは横に逸れて森の中を進んでしまった。何でこういう事になるかな!?

 

「止まって!止まれ止まれ。止まってよーーー!!!」

 

オルニは僕の声も聞かずにずんずんと進んでいく。何かの壁を飛んだ…って手を離せばいいんじゃないか!

 

「いってぇ…」

 

僕は手綱から手を離した。オルニは自由になったと言わんばかりに、先に行った…

 

「大丈夫か?」

 

「めちゃくちゃだったね。あの子」

 

和人と直ちゃんの声が聞こえ頭を抑えながら、上を見ると2人が壁の向こうからやってきた。

 

「大丈夫…って和人達のオルニは?」

 

「壁の向こうに置いてきた。」

 

「それはいいとして…ここって確かバンホーさんが言ってた禁止区域じゃない?」

 

直ちゃんにそう言われ、前を見るとあの建物がそこにはあった。やば、バンホーさんにああ言ったのに。

 

「誰だ!」

 

バキューン!

 

「誰か来た!」

 

「隠れよ!」

 

誰かが来たから、僕らは木陰に隠れた。建物の横から警備員らしい2人の竜人が来た。

 

「竜が一匹飛び込んで来たが、2、3発撃ったら向こうへ逃げて行ったようだ。」

 

「はぐれ竜かな?念の為他を見回っておこう!」

 

そう言いながら向こうへと行った、僕らは木陰から出てから、建物に近づいた。やっぱり気になるし。

 

「何の建物かなぁ?」

 

「何かを作ってるとか?」

 

「…ロボットとか?」

 

「「それだ!!」」

 

『よーしもう大丈夫だ!』

 

さっきの警備員の声が聞こえた。やばいこのままじゃ見つかってまた尋問とか受けられるかもしれない。そんな事になったら、せっかく得た信用がなくなってしまう。

 

「とりあえずこの扉の中に入ろ。」

 

「そうだな。」

 

僕らは隠れるために建物の扉の中に入った。そこには階段があり、警備員に見つからないように上に登ったら、そこにはまた扉があった。

 

「開けてみる?」

 

「…まぁ、そうするしかないよな?」

 

「でもいいのかなぁ。ここって出入り禁止区域なのに。」

 

確かに直ちゃんの言う通りここはバンホーさんが言った禁止区域だ。事故とはいえ来てしまったのはしょうがないよ。

 

「そうだけど、他に道ないしさ。」

 

「…それもそっか。」

 

直ちゃんは少し納得した様子だった。僕は扉を開けた。そこには…

 

「な、なんだこれは!?」

 

扉の向こうにはさっきの博物館で見た次元転換船を赤くしたものがそこにあった。僕は思わず大きな声で驚いてしまった。

 

「「静かに!!」」

 

「…ごめん、でもこれは…」

 

「こんな大きな船…一体何が目的なんだ?」

 

ガチャガチャ!

 

和人が言った瞬間に扉のドアノブが動き出した。

 

「誰か来る!下に隠れるよ。2人で直ちゃんを支えよ」

 

僕達は展望台のすぐ下に隠れ、柱を僕と和人で持ってから片方の腕で直ちゃんを支え、上の声に耳を当てた。

 

『ついに完成したか、よくやった。』

 

『ありがとうございます。最司教。』

 

どうやら、上にいるのは法王庁のトップである最司教とここの責任者みたいだ。さらに聞き耳を立てると。

 

『長い間の夢だからな。6500万年もの間、遥か先祖から受け継がれてきた夢…今哺乳類共が我が物顔でのさばってる地上世界…元々は我々の楽園だった地上を!再び竜人族の手に取り戻すのだ!!』

 

…これがローさんが言った大計画だったのか。和人の懸念が当たってたみたい。竜人族が地上を取り戻すためにこの船を作り、何より僕達人類いや…哺乳類全体を討ち滅ぼす為の…こうしちゃいられんない…だけど。上の最司教とここの責任者が出ていかないと…

 

『では下へ参りましょう。温かい紅茶をご用意しております。』

 

『うむ…ありがたく頂戴しよう。』

 

ガチャン!

 

そう思っていたら、2人は出て行った、僕と和人はまず直ちゃんを上に上げてから和人、僕の順で上に上がった。

 

「…和人の懸念が当たっちゃったね。」

 

「…ああ、さっさと帰ろう。きっとみんな俺たちを探してる。この話はドラえもん達も交えてやるぞ」

 

「そうだね。」

 

僕らはドラえもん達にこの事を伝える為に階段を下り、扉を開けた。外はすっかり暗くなっていた。辺りを見渡しても警備員の姿はなかったので急いでその場から立ち去った。でも暗いからここがどこか分からず3人で彷徨ってしまった。体力も少し限界を迎えようとした瞬間…

 

「のび太くん!和人くん!直葉ちゃん!」

 

上から声が聞こえ、そこを見るとドラえもんと美夜子さんがいた。他にもジャイアンとスネ夫がいる。和人が思ってたとおり、みんなで僕らを探していたようだった。僕はドラえもん、和人はジャイアン、直ちゃんは美夜子さんにおぶってもらい、スネ夫は僕の背中を支えてくれた。帰ってからみんなにあの事を伝えようと僕らは思いながら、バンホーさんの家へと向かって行った。

 

ーーーーーーーーーー

 

「ーーーー皆話を聞いてくれ。とても大事な話がある。」

 

バンホーさんの家に着き、ローさんやみんなに心配かけたことを謝罪してから美夜子さんに少し休むように言われて、みんなで部屋に入った後に和人がローさんがいないことを確認した後にそう言った。僕と和人、直ちゃんはさっきの件をみんなに話した。皆は横槍も入れずに聞き入れてくれてから、話は終わったら…

 

「…それは間違いなのか?」

 

ジャイアンは腕を組み、真剣な表情で聞いてきた。確かにいきなりの話だからそうなるかもしれない。僕はさらにこう続けた。

 

「本当さ。この耳で最司教とあそこの責任者の話を聞いたから。和人や直ちゃんもね。地上世界でのさばってる哺乳類から取り戻すためにって言ってた…そのために大きな軍艦が完成したんだよ!」

 

僕はみんなにそう言った。

 

「…その話が本当なら、ローさんやバンホーさんが言ってた大計画はそれの事なのね…それって悪魔達が来てた理由と似たようなものじゃない…!」

 

美夜子さんは悲痛な表情で、そう叫んだ。確かにあの事件と似たような理由、竜人族とも戦わないといけないのかな…

 

「…あの戦いのような事にならないよね。のび兄。」

 

「また誰かが犠牲なったりしたら、嫌よ…!」

 

あの事件を知ってる。美夜子さんのママのような犠牲が出ないか、直ちゃんとあーちゃんは、不安でいっぱいで落ち込んだ表情になってる。しずちゃん、ジャイアン、スネ夫は事件を知ってるようで知らないから、少し困ってる感じだった。

 

「…戦うにしてもこっちは9人だ…分が悪い。この事を記憶が消される前に、地上のみんなに知らせよう。信じてくれるかはわからないけどな。」

 

和人の言葉を聞き、僕達はさっそく行動に移そうとした、その間にバンホーさんが帰ってきた。僕達は急いでタケコプターでバンホーさん宅を飛び立った。美夜子さんとしずちゃん、あーちゃん、直ちゃんはローさんに黙って出ていって申し訳なさそうにしてた…僕達は少し行った岩場で朝になるまで寝る事にし、その後にドラえもんに起こされてから地上の出口が近くにある所を目指す。ここの地上はきっと北アメリカかカナダの西だと思うと、しずちゃんが言っていた。

 

「…皆心して聞いてくれ。これから僕達はこの大渓谷を越えなくちゃならない。きっとピー助の時のようにクェツァルコアトルスや恐竜に襲われる可能性やそれにこの地底独自のなんだかわからない者達に襲われる可能性がある。美夜子さんと明日奈ちゃんは前に居なかったからわからないかもしれない…けどちゃんと気を引き締めてね!」

 

ドラえもんにそう言われ僕達は気を引き締めた。ピー助の時のような事を現代でするとは思ってなかった。最初はスネ夫救出のためにここに来たようなものだ。だけど、大計画の事実がわかった今僕達は地上を目指す。

 

「あっ、のび太くんタケコプターの調子が悪くなったら、言ってね。」

 

気を引き締めたのにドラえもんにそう言われ、足を滑らせた。

 

「何で僕限定で言うんだよ!?」

 

「お前が最初に回る可能性があるからな。」

 

「…否定できないのが悔しい…」

 

「じゃあ、出発するよ!」

 

めちゃくちゃ腑に落ちないけど、ドラえもんがそう言ったら僕達はタケコプターをつけても飛んだ。それからは何も問題なく、渓谷を飛んでいたバッテリーの調子もいいし、渓谷を進んでいたら…

 

『クェーーーー!!!』

 

「来たぞ!!」

 

案の定、ケツァルコアトルスが数体僕達の後ろを飛んできた。僕達は少しスピードを上げてから逃げた。前はヴァサゴ率いる恐竜ハンター共が来たけど、ここは現代であり恐竜ハンターもいないから一先ず、岩場の穴に逃げ込んだ。コアトルは執念深く追ってきたしつこいな。

 

「そんなにしつこいと女の子にモテないよ!!」

 

『クェーーーー!!!』

 

しずちゃんがそう言ったらよりいっそうつついてきた。何?言葉でもわかったの!?てかオスなの!?コアトルの他に別の恐竜…ティラノがやってきた。…もう本当に嫌になってきた…コアトルとティラノが戦ってる間に気付かれずにその場から去ろうとしたら、別の恐竜に驚かされた。スネ夫に聞いてみても、あの恐竜はわかならないそうな…タケコプターでしばらく進んでいくとそこには洞穴があり、僕達はそこに入った。

 

「ふぅ…とりあえず命拾いしたな…」

 

「なんとかね。もうハズレまで来たと思うけど…少し休んでからまた進もう。」

 

ドラえもんが僕達にそう言いこの洞穴で休むことにした。タケコプターの少しの充電も兼ねてる。ちなみに休んでいる順番は洞穴の入口から、ドラえもん、和人、美夜子さん、あーちゃん、直ちゃん、スネ夫、ジャイアン、僕で奥にはしずちゃんがいる。

 

「…のっちゃん…」

 

「ん?」

 

不意にしずちゃんに声をかけられた。どうしたんだろう?まさか、今になってバンホーさん宅に忘れ物とか?いやいや僕達は何も持ってきてないからそれはないと思うけど…

 

「お腹空いた。」

 

「…いや何も食べずに来ちゃったからしょうがないけど、今言う事?」

 

どこまでも食い意地張ってるねこの子は…昔から食い意地張ってたけど、でもどこに栄養行ってるんだろう?

 

「だって〜お腹空きすぎて目の前に目玉焼きが見えるんだもん〜」

 

「いくらそれでも無理が…え?」

 

しずちゃんが指さしたの方には目玉焼きが瞬きしながら、こちらを見ていた…っては!?

 

「「瞬き!?」」

 

僕としずちゃんが驚いた瞬間に目玉焼きの正体が僕らを取り囲んだ。それは前に会った部族と少し違う野蛮人達だった。…バンホーさんが言ってたがこの手の部族はナンジャ族と呼ばれているらしい。なんて考えてる場合じゃないな…僕達はまた捕まり、野蛮人達が住まう所に連行された。

 

ーーーーーーーーーー

 

夜になり、野蛮人達は楽器でダンスを踊っていた。僕達?縛られて宙吊り状態だよ…周りには恐竜の骨や何かの骨が木に刺さっていた。きっとここ野蛮人共が食ってた物なんだろう。

 

「…これ見せられてるけど何が起きるんだろう?」

 

「僕達は食われるんだよ…あの鍋で煮られて…これはそのための大宴会だよ…」

 

下には、大きな鍋のお湯を回してる野蛮人2人がいた。僕達を見ながら汚い笑顔で舌なめずりをしてる。嫌悪感やばい…

 

「……私、悪魔の時も食われそうになったのにこれで2回目よ。」

 

美夜子さんが嫌悪感丸出しでそう言った。前の事件で美夜子さんは悪魔に捕まった時に食われそうになったらしい。料理内容は唐揚げとか素揚げとか…何で悪魔達はそんな料理知ってたんだろう?食文化は地球と一緒だったのかな……ってこんな事考えてる場合じゃないか。だって、目の前に変な仮面をつけた野蛮人がこちらに歩いてきた。その瞬間だった

 

「ミロ!アレミロ!」

 

ここの野蛮人達はカタコトだけど、バンホーさんが使ってた言葉を使っている。その野蛮人の1人が上を向いて、指さした。そこには僕と和人、直ちゃんが見たあの帆船が、飛んでいた。その帆船はゆっくりとこちらに降りてきたーー野蛮人達はいつの間にか消えていたーーすると、中から数人の人が出てきて、最後に出てきたのはバンホーさんだった。

 

「食べられずに済んだのはよかったけど…」

 

そうだね。それはよかったけど、ドラえもんがそう言った瞬間にバンホーさんは舌打ちをしていた。無断で出ていったからなんだろうけど…それから僕達は縄を切ってもらい、それから帆船の中の部屋に入ってからバンホーさんに言われた。

 

「自分達のした事がわかっているのか?重ねて言うが君達は不法入国者!だが僕は君たちを救った!そして無事地上に送り返すと約束した!」

 

バンホーさんが怒っているのもわかる。僕達はバンホーさんに命を救われた。にもかかわらず脱走して裏切るようなマネをしたんだから…

 

「…勝手に出ていったのは本当に申し訳ないです。でも僕達にはこの道しかなかったんです。」

 

「地上人を滅ぼすという情報が入ったので。」

 

僕と美夜子さんが真面目な表情でそう言ったら、バンホーさんが驚き誰から聞いたのかを聞いてきた。僕と和人、直ちゃんは説明をし、ドラえもんが目的地がどこかを聞いたが、バンホーさんは説明してくれなかった。これ以上機密に首を突っ込むことは許さないと言葉を残して、部屋を出て行った。

 


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