ーー2018年8月26日ーー
「…最悪」
夢みる機で夢を見ていたらドラえもんに夜明けと聞かされて、クライマックスまで飛ばしてもらったさすがに寝すぎるのも身体に悪いからね。…相棒役の和人と共に姫様であるあーちゃんを助けたまではいいけど、それから川に落ちたら、川が妙に暖かかった。するとドラえもんに起こされて、布団を見てみると…
「この歳でおねしょは、最悪だよ。」
「…可愛い。」
「こらそこ!何おねしょを見てから僕を見て言ってんの!?」
あーちゃんにとっての僕は5歳児か何かなの!面と向かって可愛いって言わないで!?恥ずかしいから!
「って何撮ろうとしてんの!?」
「保存用、鑑賞用、実用用に使おうと思って。」
実用用!?何に!?ていうか何で真顔で言っちゃってんの!?何で暴走してんの!?実用用って本当に何さ!?
「とりあえずその写真は削除して!」
「でも」
「して!?」
「わかったよぉ…」
あーちゃんは、渋々ながらも写真を消した。…朝から疲れた。あーちゃんがここまで暴走するなんて思わなかった…って実用用にばかりに気をとられて、保存用と鑑賞用には何も触れてなかった。実用用に驚いたんだよ!?それとおねしょは、ドラえもんが気ままに夢見る機のアダプターセットに入っていた[瞬間クリーニングドライヤー]で綺麗になった。匂いもないし、あともなかった。
「明日奈がここまで暴走するとはな」
「何で止めないのさ。」
「面白かった。それだけだ。」
「殴るよ?」
何またドヤ顔で言ってくれてんの?本気で殴りたいと思ったけど拳は引っ込めた。…とりあえずいい夢見るのも難しいや。
「冗談だ。今日はどうする?またこれで夢見るか?」
「ちょっと散歩してくる」
「ついて行こうか?」
「ちょっと気晴らしに行くつもりだし。いいよ」
別にあーちゃんのさっきの暴走が怖くなったわけじゃないよ?意外と暴走はちょくちょくあったし。僕は3人にそう言って部屋を出た。
ーーーーーーー
ちょっと暴走しすぎちゃったかな。と私はのびちゃんが出ていった扉を見ながらそう思っていた。だって、のびちゃんの貴重なおねしょだよ!?私にとっては!…また暴走しそうになっちゃった。ってあっ、のびちゃんが帰ってくるまで昨日の続きから勉強しなくちゃ。
「そういや、明日奈のお父さんって事業始めたんだっけか?」
「うん。まぁ、それも2年前になるけどね。」
横で寛いでいた和人君が私に聞いてきたから、そう答えた。お父さんはアメリカいる時から日本で事業を始めるつもりだったらしくて、その為に長くアメリカに滞在していた。私もそのおかげで向こうの言語を学ぶ事ができたし、お兄様もそうだった。そして2年前に日本帰ってきて、お父さんは真っ先に『レクト』という電機機器メーカーを立ち上げて、メキメキ成長させて、今じゃ大企業の1つとなっている。…まぁ、その頃から両親は仕事の鬼になって行った。
「本当は泊まりに行くのも止められたんだけど、兄さんが助けてくれたの。」
「…昔のお母さんはそんなんじゃなかったんでしょ?」
ドラちゃんが聞いてきた。そういえばドラちゃんには話してなかったね。
「…『レクト』が出来てからかなぁ。お母さんが厳しくなったの。」
昔は大学教授になったばっかりで優しかったけど、どんどん険しくなってきて、口調も厳しくなって行った。のびちゃんや和人くん達がいるこの街に戻ってくるという条件だけは、呑んでくれた。でも最近はよく関係に口を出してくる。令嬢のあなたがあんな人達と遊ぶんじゃありませんって。お母さんだってのびちゃん達を知ってるはずなのに。いけ好かないあの人も今の家によく遊びに来てくるし。
「はぁ…明日奈も大変だな?」
「本当にね。和人のお母さんは編集長だっけ?」
「ああ、パソコン雑誌のな。今日も出版社に篭って書いてるだろうな。まぁ、母さんのおかげで俺はパソコンやゲームを好きになったわけだけど。」
でも和人くんは一昨日また一から剣道を始めたらしく、2年ぶりに師匠に会ったらしい。何で剣道をやめたのかは、ゲームに没頭し過ぎたんだとか。和人くんらしいというかなんというか、私はゲームに興味無いけどね。
ウイーン
なんて考えていたら、上から穴が開き何かが出てきた手紙のようだった。ドラちゃんはそれを受け取ったら、ダイレクトメールらしい。するとその手紙は喋りだした。未来の手紙は喋るんだ。
「これを出すとすぐに新しいカセットを注文させたがるらしいからね」
ドラちゃんは気ままに夢見る機をさしながら言った。曰く買った時に出す度にダイレクトメールが届くように設定されているらしい。
『夢幻三剣士というカセットを今回はご案内致します。値段は2万となりますが…いかがですか?二本とない1本限りの特製でございますよ!』
「高!?」
「…特製なんて贅沢だし。やめとくよ。高いし。」
ドラちゃんはそう言って、ダイレクトメールを破ってゴミ箱に捨てた。何かもったいない気がするけど、さすがに2万もするカセットを買う根性とかないよね。
「何捨てたの?」
「「「!?」」」
私、和人君、ドラちゃんは、後ろから声が聞こえ、驚いて後ろを振り返った。本当に心臓が止まるかと思った。のびちゃんが帰ってきていた。帰ってきたんなら声をかけて欲しかったよ。
「もう、驚かさないでよ!のび太くん!」
「ごめんごめん。そこまで驚くとは思わなくて。それで?何捨てたの?」
「ダイレクトメール。夢見る機を出すとすぐカセットの案内が来るんだよ。」
「ふーん、ちなみに案内されたのは?」
ドラちゃんは、さっきの私達に説明した事をのびちゃんにも話した。
「夢幻三剣士」
「それ見たい。すぐ買って!!」
のびちゃんは、夢幻三剣士と聞いた瞬間に目の色を変えて、ドラちゃんに頼み込んだ。まぁ、3剣士って題名が付いてるくらいだから剣に纏わる話なんだから、剣士であるのびちゃんが反応するのもおかしくないけど、散歩してた間に何かあったのかな?
「でも値段が高すぎる。僕の今のお小遣いじゃ買えないよ!」
ドラちゃんは、のびちゃんの頼みを断った。だって2万もするカセットだよ?和人の聞いた話によるとナーヴギアの値段も2万もするそうだし。未来のカセットが今のハードウェアと同等の価値って考えると本当に高いし、ドラちゃんが断るのも頷ける。
『12回分割払いの方法もありますよ。』
さっき破った。ダイレクトメールから声が聞こえた。破ってもそういうのは残ってるんだ。それだったら買えそうだけど、何でこういいタイミングで言ってくるのかな。のびちゃんはそれを聞いて猫なで声でさらにドラちゃんに詰め寄った。いやそんなに欲しかったの!?
「…わかった、わかったよぉ」
「ありがと!ドラえもん!」
ドラちゃんは根負けして、買う事にした。でも私もその夢見てみたかった、何だが面白そうだし、ダイレクトメールの人が言うには、その夢幻三剣士は夜くらいに届くらしい。夜までには時間があるから、私は他のカセットを探していた。勉強はしなくていいのって?根詰めると頭が爆発しちゃうからいいの。探していたらあるタイトルが目に入った。
「『宮本武蔵の無双』?」
「それは、一人で見る用のカセットだね。主人公は宮本武蔵になって、二刀流で敵をバッタバッタと倒していく。そんな夢だよ?」
ドラちゃんが説明してくれた。確か、和人くんが前に教えてくれた無双系ゲーム?みたいなものなのね。…最近あの男や親からのストレスが溜まってきたし、いい機会かもしれない。
「ドラちゃんコレ見てもいい?」
「え?やるの?」
「ある男のストレス発散と勉強の中休みだよ。」
「………」
私がそう言うと、のびちゃんの顔が険しくなった。あの男の事はのびちゃんと和人にも伝えてるし、1回会ったこともある。あの男はやっぱり最初、猫を被って接していたが、のびちゃんと和人くんはすぐにそれが猫被りと気づいたらしく、少し警戒した。それにあの男は気づいたのか被っていたのを捨て本性を見せたから、のびちゃんと和人くんは、あの男に嫌悪感をあらわにしていた。
「…まだあの男は、結城家に出入りしてるんだね。」
「両親の前ではあの猫被りだからね。お父さんの腹心の息子だから、今は何も言えないし。私と2人きりになろうとしてくるのは兄さんがさせないようにしてるしね。」
あの男は事ある毎に私と2人きりになろうとしてきた。1年前に会った時からずっと。兄さんもあの男の猫被りを知ってるから、させないようにしている。兄さんには毎度の事ながら助かってる。
「小学生相手に、言い寄ってるあいつも相当ロリコンだよな。…ぶちのめしたかったけど。」
和人くんはあの男の顔を思い出すように言っていた…最後のは物騒だけど。2人きりになろうとしてくる話は、当然ながら2人に伝えている。それを話したのは地下世界に行った後、当時の2人は、黙って竹刀を持ってあの男の元に行こうとしたから、慌てて止めた。まぁ、地下世界の冒険の時だって、私を含めた女性陣を心配してたしね。それに2人を犯罪者にするわけにもいかなかったし。
「相当な人格破綻者みたいだね。その人」
「…まぁ、そうね。」
過去に何かあったって、聞いた事はあるけど、興味が湧かなかったから聞き流してたし。ドラちゃんも苦笑いしてる。あとその男の事は他のみんなには内緒にしてる。余計な心配をさせたくないしね。2人が会ったのは予期せぬ出来事だったから仕方がなかった、ドラちゃんも今聞いちゃったけど。みっちゃんやしずちゃんがこれを聞いたら、のびちゃん、和人くん以上にやばい事になりそうだからね。…ともかく今はストレス発散して忘れましょ。
「さぁ見せて!」
「うん、じゃあ眠って。」
「はーい」
アンテナはつけたままだった。付けていても違和感もなかったし。私はこうして、眠りに入った。
ーーーーーーー
俺らは、夢見る機で『宮本武蔵の無双』をやっている明日奈を見ていた。明日奈はすぐにコツがわかったらしく、どんどん敵を薙ぎ払っていた。もう、それは蹂躙してるとも言える。
「……あーちゃんどんだけストレス溜まってんのかな」
のび太は、明日奈の様子を見て苦笑いしながら言っていた。相当な程にストレスが溜まったんだろうな。…
「ただいまー!」
「お邪魔しまーす」
と思っていたら、美夜子さんとスグの声が聞こえた。昨日は向こうに居たからな。2人の足音がこっちに向かってきた。
「おはよ〜…って何でアス姉寝てるの?」
入ってくるなり、スグは聞いてきた。美夜子さんも同様に疑問に思ってる感じだ。まぁ、これを隠すわけじゃないから、2人に気ままに夢見る機の事を言った。
「また面白そうな道具出したね〜!アス姉が起きたら次あたしがやりたい!」
スグは、元気そうにそう言った。…俺が歌舞伎町に行ってた間にスグが直樹
「お兄ちゃん?何?ジロジロ見て。」
「気にするな。」
「そう?ならいいけど。」
カセットを探していたスグは、俺の視線に気づいたのかスグは訝しげにこちらを見てきたが、俺が気にするなと言ったら、スグはカセットをまた見始めた。色々考えてはいるがこれを言ったら、のび太や美夜子さんに、ブラコンと言われかねないしな。…いやバレてるな。2人ともニヤけてるし
「明日奈は…まだやってるな。」
のび太と美夜子さんからの視線を逃れるために夢みる機を見たが、明日奈はまだ無双をしていた。敵は血を流すのではなく、四角い細かな何個もあるポリゴンになって消えている。まぁ、夢で流血シーンなんて見たら悪夢になりかねないし、夢見る機にもゲームのようにレーティング設定されていると聞くし。この夢はレーティング10歳以上らしいから、俺達の年齢でもできる。夢幻三剣士のレーティングが何歳からは知らないけどな。
「アス…どうしてこんなに?積年の恨みを晴らしてるように見えるけど?」
「「「……」」」
美夜子さんはこの光景を見て、最もな疑問を抱いていたが、俺達には何も言えなかった。明日奈には須郷の事を口止めされてるしな。まぁ、いつかはバレるかもしれんが今は教えない方が得策だ。美夜子さんはともかくとして、しずにバレると瑠奈を協力させて、須郷の居場所を突き止めて、叩き潰すかもしれない。だから明日奈にとめられている。
「アス姉早くしないかぁ。これやりたいのに。」
「見たいの見つけたのか?」
スグはカセットを見つけたらしく、それを持っていた。カセットの題名は…『星降る夜に君はやってきた。』?何だ?それ。
「それは恋愛系の夢だね。」
「のび太と一緒にやりたいんだな?」
俺はニヤニヤしながら言った、が。
「のび兄は、普通にいるからいつでも攻略できるからいいの♪」
「「「「……」」」」
…我が妹は、本人がいる前で恥ずかしもなく、小悪魔的な笑顔でそう言った。俺達は何も言えずに黙ってしまった。…何か妹がどんどん小悪魔になってきている気がする。いや間違いなく小悪魔になってる。周りが美少女揃いだからなのか、先日もソフィアさんをのび太は落としたばっかりだからなのか。なら…のび太とやらずに誰とやるんだ?
「お兄ちゃん…一緒やろ?」
「やる」
「「おい!?」」
ドラえもん、のび太からツッコまれた。可愛い妹からこてんと傾げられながら、お願いされたんだぞ?やらない手はないぞ?俺は心をルンルンさせながら、明日奈が起きるのを待ったのだった。
ーーーーーーー
やっぱり和人もお兄ちゃんなんだなぁ。と直ちゃんにお願いされただけで幸せな顔になっている親友を見ながらそう思った。和人をほぼ昇天させた本人はこれまた小悪魔的な笑顔で笑っていた。何確信犯!?この子恐ろしい子!?
「……んぁ?…スッキリしたぁ!」
なんて考えていたら、あーちゃんが起きた。すごく満足した顔で飛び起きた。そこまであの男のストレスはすざましかったんだ。
「アス姉!次あたしとお兄ちゃんが見るから変わって!」
「え?あ、直葉ちゃん?みっちゃんもおはよ。って直葉ちゃんは何するの?」
「お兄ちゃんと恋愛物♪」
「……」
ははは…やっぱりあーちゃんもそれ聞いて硬直しちゃった。ギギギとロボットのように動かしながら首をこちらに向けた。少し硬い笑顔である。あっ、あの目はこの子は何を言ってるの?って感じかな。僕達も分からないからね。
「ささ!変わって!」
「ほ、ほんとにやるの?」
「うん!」
直ちゃんはなんの迷いもなく答えた。さっきの小悪魔的笑顔じゃなくて純粋な笑顔になってる。…意図がわかってきた。最近一緒に遊べなかった和人と遊びたいんだ。最近のあれの事もあったし…まぁ恋愛物じゃなくてもいいんじゃないかと思うけど。憶測だけどね。
「あーちゃん。」
「ん?」
「ちょっと。」
「なに?」
僕はあーちゃんを呼んで、直ちゃんの意図を話した。美夜子さんとドラえもんにも、3人は納得したようだった。憶測に過ぎないけどね。…これで直樹くんの事を忘れてくれればいいんだけどね。
「じゃあちょっと見てくるね〜」
「うん。楽しんでおいで」
「おう!」
和人には言ってないんだけど、ていうか終始ニヤニヤし続けてるし。そんなにいじられたいのかな?なんて思ってたら、2人は夢の中に入って行った。2人が寝たのを確認してから、あーちゃんが向いてきた。
「和人くんも、やっぱりお兄ちゃんってことなのね。」
「まぁ、僕ももし妹がいて、あんなこと言われたらトリップしちゃうね。」
妹、もしくは弟がいたらって時々思う。まぁ、和人曰くご飯の取り分は半分になってお小遣いも直ちゃんが少し多いみたいだけどね。でも僕は妹か弟がいたらなぁって思う時がある。
「もしもボックスで行ってみる?」
「今はいいよ。それはいいとして。あーちゃん凄かったね?」
「結構楽しかったよ!」
だろうね。すごい勢いで敵を薙ぎ払っていたし。多少はストレス緩和されたようだし良かった。桐ヶ谷兄妹が今夢見てるから僕達は手持ち無沙汰だったから、勉強の続きをする事になった。夢幻三剣士が来るまでまだまだ先だしね?…ってあ、美夜子さんはやらなくていいのかな。
「美夜子さんはやらなくていいの?」
「探してたけど、気に入ったのがなかったの」
少し落ち込んだ様子でそう言った。まぁ、あーちゃんや直ちゃんみたいな事が起こってないし、ストレスは今の所ないみたいだしね。美夜子さんは、変な男に言い寄られていない。まぁ、美夜子さんの雰囲気に周りが遠慮してる感じだもんね。最初に転校してきた時も菜江ちゃんと美奈ちゃんだけが美夜子さんに話しかけたのも、そのため、あーちゃんは雰囲気がほわんほわんとしてたから、大勢の人が質問攻めにしてたってわけ。まぁそれでも美夜子さんは人気なんだけどね。
「さ!夜まで勉強しましょ!」
こうして僕達は、夢幻三剣士が来る夜まで暇を潰しながら、待つのであった。