視点はのび太、美夜子さん、のび太の順です。
それから夜になった。外はもう雨が土砂降りになっていた。あといくら待っても夢幻三剣士が来ないから少し焦りもあったそれと美夜子さん以外のみんなは帰っていった。和人とあーちゃんは夢幻三剣士をやりたそうだったけどね。和人と直ちゃんは和人のお母さんである翠さんが久々に帰ってくるらしくて、家族水入らずを過ごすため、あーちゃんは…厳しいお母さんがね?だから初回は僕に譲ってくれた。今はなかなか来ないカセットを上を見ながら待っている。
「ねぇ、まだ来ないの?」
「今夜の10時には届くって言ってたけどね〜。ふあーぁ」
ドラえもんは眠そうに言っていた。今の時刻は10時39分…ドラえもんが言った時刻から30分以上も遅れている。未来の配達ってこんな遅いもんだったの?
「…ドラえもんほんとに注文したんだよね?」
「したよ?無理して頭金まで払ったんだから。」
「それならいいけどさ…」
はぁ…やっぱり今日中には来ないかなぁ。あのオジサンの言う事聞くんじゃなかったかなぁ。散歩していた時に不意に後ろから気配がして、振り向いたら、白髪で長髪の長い鼻を持った容姿のおじさんがいた。おじさん曰くこの後夢幻三剣士というカセットの案内が来るから、それを買いなさい。それは君に素晴らしい力を授けるからって…今思うと一種の詐欺だったのかな。
「じゃあ時間つぶしに誰かの夢でも見る?」
僕が考えていたら、ドラえもんがそう提案してきた
「そんなことできるの?」
「うん、夢みる機で家を写して、寝ている人の夢を覗けるんだ。」
ドラえもんはそう言ったら、夢みる機を操作した。最初に見るのはジャイアンだ。ジャイアンの夢はプロ野球選手になって、ホームラン王を取ってから僕の師匠から握手を求められていた。ほえ〜。いい夢だなぁ。
「武さん、嬉しそうね。」
「師匠はすごく有名人だからね。」
ジャイアンの夢を後にしてから、スネ夫の夢を見た…大体の想像はつくけど…スネ夫はハワイを貸切って、美夜子さん、直ちゃん、あーちゃん、ソフィアさんを傍に置いていた。それから僕が出てきた。僕は鼻水を出して、ほとんど喋れていなかった。不愉快だなおい。
「…ねぇ。ドラちゃんどこでもドアあるかしら?」
冷気を漂わせながら、笑顔で美夜子さんはドラえもんに頼んだ。いやいや絶対に行ったらスネ夫をぼこぼこにするつもりだよね!?確かに不愉快だったけどね!?夢だからね!?
「まぁまぁ、どうせ夢だし。」
「夢でも私は不愉快なの。」
「じゃあ、和人達の夢見ようよ。」
「…ならいいわ。」
渋々ながら、美夜子さんはわかってくれた。それから見たのは和人の夢だ。
『にいちゃ!』『お兄ちゃん』『兄さん』
『スグがこんなにいっぱい!!天国だァァ!!』
「「「……」」」
和人の夢は幼い頃の直ちゃん、今の直ちゃん、少し成長した直ちゃんの3人に囲まれていた。和人はもうすごく幸せそうな顔をして、叫んでいた。それを見て僕達は黙ってしまった。…昼間の夢で直ちゃんと恋愛物したからなのかどうか分からないけど、夢に出てくるくらい直ちゃんの事が好きなのね。まぁ、恋愛感情はない度を越したシスコンなんだろうけど。…さすがに悪いもの見たかもしれないから、そしてこれは誰にも話さない事を誓って、次はあーちゃんのを見ることにした。
『あーたん』『あーちゃん』『明日奈』
「もういいよね!?」
あーちゃんの夢はさっきの和人の夢の直ちゃんが僕に置き換わったような夢だった。…何もここまで息を合わせて来なくてもいいのに!僕はドラえもんにしずちゃんの夢をと思ったけど、夢電波が出ていなかった。まだ寝てないみたい。画面が切り替わると、ルフィさんと熱心に修行をしていた。
「…しずちゃんも頑張ってるみたいだね。」
「怪魚族との戦いで捕まったのが本当に悔しかったんだと思うわ」
「夢幻三剣士を見終わったら、僕も修行の続きしよう。」
しずちゃんの姿を見て僕は、そう決意した。しずちゃんだって強くなろうとしてるんだ。3年後には、師匠から守式奥義と最終奥義を教えてもらうんだし、その3年間は身体を鍛えなくちゃね。
『お待ちどうさまでーす!』
ピローーン!!がさ!
なんて考えていたら、声が聞こえ、そこを見ると荷物が落ちていた。ちょうど今届いたんだ。…よし!これが終わったら、修行再開するぞ!包みから出すと、夢幻三剣士と書かれた竜のようなシルエットがある赤いパッケージだった。
「すぐ見よう!美夜子さんは見てて!」
「うん。それにしてもそんなにしたかったの?」
「面白そうじゃない!」
本当は変な人から教えてもらったなんて言ったら何言われるか分からないからね。僕はカセットをセットした。ドラえもんに注意書きがあると、言われた。一応最初のだけ聞くか
「この夢は強いパワーを持っているので、現実世界に影響する事があります。だってさ。」
「え?…のっくん。それ大丈夫?また事件の匂いがするんだけど?」
「そんなに何辺も事件が起きるわけないじゃない〜」
美夜子さんは訝しげにこちらを見てきた。つい4日前に人魚の命運をかけた戦いが起きたばっかりだし。そんなにホイホイと事件が起きるわけない。ましてやこれは夢の中の出来事だしね。影響するって言っても、少しだろうし。美夜子さんは心配性だなぁ。
「…それならいいけど。私は万が一が起きた時のストッパーになるから、今回は見守るだけにするわ。」
「その時は頼んだよ。ドラえもんも行きたそうな顔で見てたしね?」
「ははは…バレてたか〜」
ドラえもんは苦笑いしながら、言っていた。だって、夢幻三剣士が来た時僕と一緒に喜んでたしね。まぁ、今日は僕だけって約束だし。ドラえもんも今日は見送ってくれた。注意書きも所々で読んでくれるらしい。
「あ、このカセットはこれまでの夢カセットとは違い、第2の現実を創造する為、実感を作り上げる様々な困難が待ってる。らしいから気をつけてね。」
「わかった。」
ドラえもんの説明を聞いてから、僕は布団に入った。
ーーーーーーー
夢の中は真っ暗だった。でもどんどん明るくなってきた。真っ暗だった場所はいつもの空き地だった。え?夢なんだよね?何で現実帯びた感じの場所に来てんの?ドラえもんが解説の続きをした。現実感を強めるため、主人公のお馴染みの場面から夢は始まるとの事。何その夢のない夢。すると向こうから誰かがやってきた。…ソフィアさんと美夜子さん?何でここに?ソフィアさんは海底の中だし、美夜子さんは見送りするって言ったのに…いや待って、美夜子さん実年齢と同じ体型だ。化学サイドに来る前の美夜子さんって事になるのかな。歩いていた2人は僕の前で立ち止まった。
『のび太君…愛しているわ…』
「え?…!?」
別れる時の焼き回しのようにソフィアさんは僕のほっぺにキスをした。何で!?
『私もよ。』
すると次に美夜子さんがゆっくりとこちらに来た。え?美夜子さんからはキスされた事ないんだけど!?何で僕は逃げないのか?ソフィアさんからがっちりホールドされてるから逃げられないの!なんて考えていたらどんどん近くなって、美夜子さんの唇が僕のほっぺに…
「ダメェェェ!!!」
来なかった。現実の方の美夜子さんの手が止めたからだ。いやどうなってんの?隣のドラえもんが苦笑いしながら、この画面は、強い力を持ったら中に手だけ入れるみたい。何その怖いカラクリ。それにしても美夜子さん、地下世界の時はあんな恥ずかしい事言えたのに何でキスは、恥ずかしいんだろ?
「はぁ…はぁ。じゃあのっくん楽しんでね。」
美夜子さんはクールに去っていった。まぁ、顔赤くしてたからそんなにクールじゃなかったけど。ってあれ?そういえば、2人とも止まってる?いや周りを見ると鳥も猫も止まってる。何が起きた?
《あなたは、時の流れを抜け出したのです。》
すると声が聞こえた。どこかで聞いた事がある声だけど、後ろを振り向いたらピンクのモヤがあった。
「だれ?」
《ユミルメ国からあなたを迎えに…さぁ、そのピンクのモヤに飛び込んでください!》
この中に?何かいきなり現実離れした感じになってきた。これに入ると本番が始まるのかな。でも何か少し怖いな。え?時雨蒼燕流の使い手で4つのうち3つの事件で解決した人が言うことじゃないって?それでも少し怖いんだよ。
《さぁ!勇気をだして!》
向こうの人からは、そう言われたし、どうせ夢だしね。よし、行くか!僕はそう決心して、ピンクのモヤに飛び込んだ。けど、飛び込んだ先の下には床がなく、落ちた。それもすごい勢いでちょ!?こんなの聞いてないんだけど!?と思ったら失速し始めた。良かったこのまま死ぬのかと思った夢だけど。
「ノビタニヤン。」
すると声が聞こえた。さっきより近く、いや後ろに【それ】はいた。
「ノビタニヤン、こちらです。」
妖精だった。けどその姿は直ちゃんだった。ドラえもん、確かに寝る前に配役は決めていいとは言ったけどさ。直ちゃんが妖精ってどうなんだろ?絶対これを和人に見せたら、持って帰るかもしれないな。
「直ちゃん?」
「いいえ。あたしはシルクと申します。では行きますよ?ノビタニヤン。」
直ちゃんに似た妖精…基、シルクは丁寧にそう言った。それからシルクに案内された…ていうか何気に僕浮いてるな。さっきの急下降したのが嘘みたいだ。…ん?さっきこの子はなんて言った?ノビタニヤン?何そのゲームのアバターネームみたいな名前?
「ノビタニヤンって?」
「あなたの名です!あなたは大勢の男の子から選び抜かれた。白銀の剣士なのです。ユミルメ国の救世主としてお招きしたのです。」
この夢って、俗に言う異世界転移物の夢なのかもなぁ。ってなんで僕が選ばれたの?どこかの小説ではありふれた職業で世界一になったり、ループだけに特化した物だったりする主人公は元が平凡なのに…僕も平凡だけどね。50点はキープしてるし、運動神経もいい方。泳ぎもこの間の戦いで若干だけど泳げるようになった。そんな僕が何で?
「あなたは、優しさ溢れる人格の持ち主。困ってる人を見かけるとすぐに助けてしまうほどの。だから選ばれたのです。」
そう言ってシルクは向こうに言った。…はっきり言われると恥ずかしいなぁ。まぁ、困ってる人を見たら僕は助けたくなる。だから魔法の世界の時や先日の時もそうだしね。…ソフィアさんの時は、憂鬱になってたけど。
「注意書きの通りだし。のっくんの事わかってるわね、あの子。これによると現実感を高めるため、主人公の性格や能力はそのままらしいわよ。」
美夜子さんが出てきて、解説してくれた。…逆に良かった気がする。これで能力がダメな方になってたらやばかったし。
「へぇ、ありがとう。でももう、いちいち出てこなくていいよ。」
「ハイハイ。頑張ってね〜」
美夜子さんは消えた。僕は、シルクを追いかけて行くとシルクから境界を抜けると言われた。瞬間に夜が目の前にあった。そして浮いていた身体は、急に重力がでてきたからなのか、落ちていく。シルク曰く夢重力圏に入ったという。ってどうしましょって言ってるけど何をどうすればいいわけ!?と思ったら三日月に当たって、落ちる事は免れたけど…
「何で月が?」
「この国の月はこんな感じです。」
「君って意外と無責任だよね。」
僕がそう言ってもシルクは知らんぷりをした。可愛い顔して、いい性格をしてるなこの子。
シュッ!
そう思っていたら、不意に何かが飛んできて僕は、それを避けた。それは矢だった。飛んできた方を見ると城があり、人間じゃない何かが大勢いて、僕に向かって矢を放っていた。何あれ?っていうか、煙も出てるし。
「あれは…城が燃えてる!妖霊大帝オドロームの軍勢の仕業だわ!」
シルクは、燃えている城と今矢を放っている者達を見てそう言った。曰くユミルメ国は半分以上がそのオドロームに支配されているらしい。…悪魔族や怪魚族との軍勢より早いじゃないか!
「頑張ってくださいね!ノビタニヤン。」
「え?何を?…ってうわぁ!?」
悠長に話してる間に矢の数が増えだした。きっとその軍勢は僕に気づいたんだ。城から何か象みたいなやつが耳を使って羽ばたいて来ている。シルクは逃げようとしたけど、僕は飛べないし、タケコプターもここにはない。シルクにそう言ったら、人間は不自由ねぇとか言いながら三日月の端っこを取ろうとしていた…ってなにしてんの!?
「よっしょ!!」
「う、うわぁぁぁ!?」
三日月の端っこが取れて、三日月から空気が漏れ始めて猛スピードでぐるぐる回り出した。ってさっきから思ってたけど、何で月がここにあるわけ!?夢だから物理法則無視してんのかな!?
「うわぁぁぁ!!」
僕は、回る月に振り落とされて、川に落ちた。逆に落ちた先が川でよかったよ。もう…僕は泳いで川岸に行ってから、シルクを呼んだが、いなくなっていた。はぁ…本当に無責任な妖精だね。ってシルク肝心な事忘れてんじゃん!白銀の剣士の1式どこにあるのかも、ここがどこなのかも言われてないんだけど。目の前には暗い森、ここがどこかもわかってないし、下手に動いたらまた何かが起きそうだし、いや…まぁ、ここで考えていても埒が明かないし。僕は意を決して森の奥を進んだのであった。
ーーーーーーー
「のっくん。大変そうね。」
私は、いきなり始まったと思ったら、軍勢からは攻撃を受け。月に振り落とされたり、森で立ち往生したりと踏んだり蹴ったりなのっくんを哀れに思いながら言った。
「まぁ、これものび太くんが選んだ事だしね〜」
ドラちゃんは、漫画を読みながら呑気に言っていた。まぁ、確かにのっくんが夢幻三剣士を強請ったのが事の発端だし。助けるのも何かお門違いと思うしね。…さっきみたいな事が起きない限りはね。
「それにしても、のび太くん何で夢幻三剣士を見たがったんだろう?」
「それをドラちゃんが言った時に目の色変えて言ってきたんでしょう?」
「そうなんだよ!」
私はその場にいなかったから分からないけど、のっくんはドラちゃんがこの『夢幻三剣士』という言葉を言った時に頼み込んだと言うし、散歩に行ってた間に何かあったんだろうと推測はできるけど、和くんと直ちゃんが夢に入って、そのまま勉強に入ったから、確認のしようがなかった。
「まぁ、深くは考えないようにしてるけどね。…僕のお小遣いで買ったって事もあるし。」
「2万でしょ?分割払いって話が出て来てよかったわよね。」
「ほんとだよ」
夢幻三剣士の値段は、今のハードウェアと同等の価値でもあるし。もし分割払いの話が出なかったらドラちゃんは絶対に買わなかっただろう。ドラちゃんのお財布事情は知らないけど。
「あっ、のび太くん誰かと会ったみたいだよ?」
ドラちゃんがモニターを見てそう言ったから、モニターに目を移すとのっくんの前には赤と白を基調とした甲冑を着たあっちゃんに似た少女が焚き火をしていた。物語が動き出すみたいね。
雷神「ふぅ…終わり」
銀「ジャイアン出さないんじゃなかったのか?」
雷神「進めてるうちにあんな事になっちゃった。」
明「本当に行き当たりばったりなんだから。」
雷神「ははは…次回が後半で収まりきらなかったらまた、1、2で分けるつもり。」
銀「その方がいいぜ。」
明「だね」
雷神「ではみなさん!次回もお楽しみに!