渓谷は意外と広く、行けども行けども岩だらけだった。何か地下世界を思い出す。流石にこの渓谷には龍以外の生物は、コウモリとか小さな虫がいる程度だけどね。ここはあの地下世界じゃないし。それと渓谷は大きな音が、色々な所とから聞こえていた。ドラえもんが言うにはマグマがこの渓谷の下で動いてるそうだ。ジャイトスからはよくそんな事知ってるなと言われていた。まぁ、ドラえもんだし。その辺はわかるか。
「…ッ!!ノビタニヤン!下!!」
そんな事を考えていたら、アスミアが突然そう言った。下を見たら岩が浮き上がっていた。って!?何これ!?僕はそのまま飛ばされてしまい、みんなとハグれてしまった。何で僕に限ってこうなるんだろう!?…僕だからとか言わないでよ。ふぅ…みんなと合流できるかわかんないし、とりあえず、立ち上がり奥に進むことにした。
「…どこなのここ?」
って思ったけど、やっぱりここがどこかも分からないから立ち往生してしまった。はぁ…こんな事ならドラえもんに発信機とか貰っとけば良かった。
ビュッ!!
「危な!?何?」
歩いていたら何かが飛んできて、それを避けた。その避けた物をよく見ると…
「…光の矢?」
壁に突き刺さったそれは、ヴァサゴが使っていた凶弾だった。…まさかヴァサゴが!?と思って光の矢が来た方を見ると予想とは外れていた…。しかしその持ち主は今回の目的でもあり、僕にこの夢を教えた元凶。あのおじさんが岩場で腰をかけていた。
「お前は!」
「やぁ。白銀の剣士。ノビタニヤンくん」
おじさんは、不敵な笑みを浮かべながらそう言った。
「お前は何がしたいんだ!!ジャイトスを操ったのもお前だな!」
「その通り。わしは、血を見たかったのだよ。君をこの世界に呼んだのも。あの少年を操ったのもね。」
おじさんは、目をギラつかせて舌なめずりをしながらそう言った。…なんだ?この既視感ある感じは…この感じは…そう、ヴァサゴとの思わぬ再会の時と一緒だ。…まさか。
「…おっと、わしの名を言うのを忘れていた。わしの名はトリホー。またの名を8代目ヴァサゴ・カザルス。以後お見知りおきを」
おじさん…トリホーは紳士的振る舞いでそう言った。ヴァサゴが言っていた事が本当になるとは思わなかった。僕は剣に手を置いて、警戒した。こいつはヴァサゴ・カザルスだ。あいつみたいに姑息な手段で他にも何かをするつもりかもしれない。
「ふふふ…そう警戒しなくてもいい。今回は何もしないよ」
「信用出来るとでも?」
僕はトリホーを睨みつけながらそう言った。最初に喧嘩を売ったのは、トリホーの方からだ。何もしないって言われても信用するわけない。
「おっとそれもそうですね〜。とう!」
そう言うと、トリホーは鳥に変身した。…本当に何もしないのか?っていうか何で鳥に…。ドラえもんに前に貸してもらった事がある変身ビスケットか。
「3代目以降のヴァサゴも近々あなたに会うことでしょう!ではまたお会いしましょう。ほっほっほっ!」
トリホーは、笑いながら飛び立って行った。…8代目ヴァサゴ・カザルス。やつは戦ったヴァサゴより実力は上なのか分からない。どんな力を持っているのかも。…こんな事ならあいつに聞いとけばよかった。それに3代目以降のヴァサゴも…。はぁ…あのおじさんの正体もわかったし、みんなが来るまで待っておくか。…モニター組はこれも見てるのかもしれないな。
ーーーーーーー
私達は今の出来事を目の当たりにして、驚いていた。のびちゃんからはヴァサゴ・カザルスは襲名制だと聞いたけど、まさかこんな形で暗躍してたとは思わなかった。あの戦いから1週間も経っていないのに、事件が起きるのもうなずける。きっと私達の知るヴァサゴが捕まった事により、各々の時間にいる歴代ヴァサゴ達はのびちゃんに、狙いを定めたんだろう。タイムパトロール隊も目を光らせているのにも関わらず。
「…まさかヴァサゴが出てくるなんて。」
「頭が痛くなってきた。」
「襲名制だし。仕方ないかもしれないけど。似てないよね。ヴァサゴと」
確かに私達の知るヴァサゴは、最初こそ黒マスクをしていたが再会の時はそのマスクをしていなかった。アジア系のような容姿だった。さっきのヴァサゴは、見た目は童話で出てくるような魔女の容姿だった。
「それはどうでも良くない?」
「…それもそうね」
「はぁ…無茶だけはしないようにね。」
私は、今和人くん、直葉ちゃん、ドラちゃん、アスミアさん、ジャイトスさんに合流したのびちゃんにそう願ったのであった。
ーーーーーーー
「無事だったか!」
「何とかね。…さっきあのおじさんに会ったよ。」
僕はみんなにさっきの出来事を話した。ジャイトスは少し気が立って追おうとしてたけど、止めた。今追ってもどこに行ったか分からないしね。ジャイトスを収めてからやつがヴァサゴだった事をキリシアン、スミリア、ドラモンに話したら、警戒は強めるが今は何もできないと判断して、様子見になった。
「さぁ。龍に会いに行こう。」
トリホーの事は、後で考えるとして僕達は渓谷の目的である龍の元へと急いだ。ドラモンが僕を探してる次いでに龍の居場所を突き止めたらしい。
《待っていたぞ。心優しき白銀の剣士とその一行よ。》
そこには日本でもよく知られる緑色の東洋の龍が僕らに話しかけてきた。
「…僕達の目的がわかってたんですか?」
《その通り。…これまで大勢の人間どもが私の命を狙ってやって来た。私は身を守るため彼らを石にした。…だが君のような最初から私の血を狙ってきたのではなく、他に方法を私に教えを乞う剣士は初めてだ。》
龍さんは目を優しくしながらそう言ってくれた。僕は、血を見るのが嫌だ。カシバルさんが殺された時血を触った、血はいい物なんかじゃない、トリホーや10代目ヴァサゴの血で血を洗う戦いをこのんでいる考えはやっぱり僕には理解出来るわけない。だからこそ、僕は…
「教えてください。あなたの血じゃなく不死身になれる方法を…」
《ついて来なさい。》
龍さんからついてくるように言われた。言われるがままに僕らはあとをついて行くとそこには温泉があった。
《温泉に私の汗を溶かしこもう。そうすれば不死身とはならないが、1度死んでも生き返る事ができる。》
龍さんが入った温泉はみるみるうちに緑色へと変化して行った。
「へぇー、つまり龍さんの出し汁。」
《裸になって体に染み込ませるがよい》
「龍さん、ありがとう。じゃあさっそく。」
僕、キリシアン、ジャイトス、ドラモンはさっそく入ろうとした。この世界に来て三日三晩、僕らは風呂に入ってなかったし、身体中汗ばんでいたしね。
「あたしたちは後で入るね。のび兄」
アスミア、スミリアは、僕らが終わったら、入る事になった。…あっ。
「ドラモン。ここからじゃモニターって消せない?」
「ん〜。どうして〜」
「スネ夫が、アスミアとスミリアの身体を見ないか心配だしさ。」
モニターの向こうにいるスネ夫が変態心全開で見そうだから僕はドラモンに頼んだ。え?ジャイアンはいいのかって?ジャイアンは、そんな事しないよ。魔法の世界のジャイアンならともかく、こっちのジャイアンは紳士だからね。
「しずが止めるだろ。」
「…それもそうか。」
僕の考えはキリシアンの言葉によって、消え去った。しずちゃんがいるんだからスネ夫がそんなことするわけないか。意外とこの温泉気持ちがいい。効能聞けばよかった。1回生き返る事ができるらしいけど僕はそんな考えをしながら温泉の湯を堪能していた。
ーーーーーーー
それから僕達は、全員温泉に入った後に龍さんからこれからどこ行くかを聞かれたから僕は、妖霊軍団と戦う為に町に行きたいと言った。
《谷の南に川がある。下ればアンデル市の街に着く。流れが急で危険だが。その分早く行ける。》
龍さんは親切に教えてくれた。
「龍さん。色々ありがとう。」
《さらば勇者よ。幸運を祈る。》
龍さんにそう言われ、僕達はまた歩き出した。これから待ち受けるのは妖霊軍団との対決。ジャイトスは、トリホーに一太刀浴びせたいと言っていた。…ジャイトスの腕だったら、深手を負わせる事はできそうか、トドメは刺さないでくれと言ってあるし。トリホーがジャイトスに接触するかは分からないけどね。
「ここが龍さんが言っていた川か。」
龍さんが言っていた通りに、流れが急だった。
「どうやって行く?」
「船で行こう。」
僕はそう言ってから、横にある大きな木を一刀両断して、船を作った。…案外簡単にできた。っていうか剣が勝手にやってくれた。手を動かしてるのは僕だけど、白銀の剣は、使い手が思い浮かぶ事をやってくれる剣なのかもしれない。…名刀と言えば名刀だけど、なんかなぁ。思いのままにやってくれるの嬉しいけど、ちょっと違和感がある。
「……一応できたよ。」
「どうした?」
キリシアンは首を傾げながら、僕に聞いてきた。他のみんなも同じ風に思ってるのか見てきた。
「…ちょっと違和感があるだけ」
「…そうか、まぁ船はできたんだ。行こうぜ。」
キリシアンは深くは聞かずにそう言ってくれた。違和感があるだけで、不満はないからね。…まぁ、それはいいか、とりあえず船に乗ってアンデル市に向かおう。
ーーーーーーー
「のび太!あら?皆してどうしたの?」
私達がモニターを見ていたら、ママが部屋に入ってきた。
「ちょっとのびちゃんの様子を。…用事があったんですか?」
「のび太にお使いを頼もうと思ったんだけど。…寝てるの?」
ママは、少し心配した様子でのっくんを見ていた。
「ここの所、剣術の稽古が厳しいみたいなので。疲れてるみたいなんです。」
「あら…。それならいいわ。」
ママは、それだけ言うと下に戻って行った。ふぅ…何とか誤魔化せたかな。…??のっくんが起きた?
「…ここはどこ?何か見たことある所…?…あ、そうか、いつも見てる夢だ。早く起きないと。」
そう言って、また眠ってしまった。きっと隠しボタンで夢と現実を入れ替えたから、ここを夢だと思ってたんだ。モニターを見たら、のっくんは今起きたらしくみんなと話していた。和くんや直ちゃん、ドラちゃんも同じ夢を見ると言っている。アスミアさんとジャイトスさんは、そんな夢は見た事がないようで、不思議そうにしていた。…何だかやっぱり怖いなこの隠しボタンって。
「のびちゃんや直葉ちゃん。さっきまで現実の事言ってたのに。」
「……夢の世界に侵食されて行ってるのかな」
「…やっぱり止めた方がいいんじゃない?」
アス、スネ夫くん、しずちゃんが不安そうに言った。私も不安になってる。船に乗るまでは現実の話をしていたのに、目が覚めたらここを夢と言っていた。いきなりすぎて怖い、止めた方がいいのかもしれない。…夢幻三剣士は現実に強い影響力があると注意書きにも書いてあったし。このまま続けるとさらに侵食が続く可能性もあるし。
「…このままこいつらを起こしても不完全燃焼になるかもしれんし。アスミアやジャイトスが心配するぞ。」
ジャイアンは、腕を組みながら不安がる私達にそう言った。ジャイアンの言う事も最も、夢の世界ののっくんは目が覚めると同時に倒れたと言っていたし。
「それにほら見てみろ。」
「…あっ、いつの間にかアンデル市に着いてる。」
話してる間にのっくん達はアンデル市に着いていた。それと雨も降っている。のっくん達が乗っている船はそのまま、城の水門から中に入り、兵士に見つかって対峙した。けど、白銀の剣士の力に兵士は適わなかった。のっくんは自らを白銀の剣士と名乗りその場を収めた。その後、アンデル市の隊長さんと会った。隊長さんはのっくんの容姿を見て呆気に取られていた。予言ではもっと強そうな剣士と思っていたらしい。のっくんの強さはジャイトスさんと和くんが言った。敵がいないのは、水に弱いと隊長さんは言っていた。敵の兵士は『土の精』らしく、切っても突いてもこたえないので始末が悪いみたい。その『土の精』を率いているのは6つの毒の剣を振り回す。妖怪【スパイドル将軍】という。アンデル市は三度攻められ、三度防いだ、だけど兵士も無事ではなく今では数える程になってるとか。雨が止んだら最後の戦いになると言っている。
「…こう見たら。もうあとには引けないよね。」
「そうね。のっくん達は例え、こちらを現実と思わなくても、これまでの戦いの記憶は夢としてみてるはずだし。」
そう思いながら、私は再びモニターを見た。ドラちゃんがポケットでラジカセを出した。…魔法の唱え方には少し疑問に思うけど、直ちゃんが何かを思いついたらしく、みんなに話していた。その後ラジカセのテープにみんなを声を録音して、スパイドル将軍達を地下倉庫に誘き寄せて、『土の精』をドラちゃんが出した[とりよせバッグ]で取り寄せた湖の水を誘き寄せた地下倉庫に流している。『土の精』は溶けていった。
「さすがは、直葉ちゃんね」
「でも、スパイドル将軍は逃げたわね。」
スパイドル将軍は、ほうき星に自分の糸を絡めて、逃げていった。のっくんは悔しそうにスパイドル将軍の方を見ていた。きっと、8代目ヴァサゴのトリホーの事が気になってるんだ。夢と現実が入れ替わったとしても、ヴァサゴの事は気になるらしい。スパイドル将軍に逃げられたけど、退いた事には変わらないからアンデル市のみんなは喜んでいた。その後は戦いの疲れを癒し、城で休んでいたが、兵士の1人がやってきて、新手の妖霊軍がシャルペロー城に向かっていると言われ、のっくん達は急いでその城に向かっていった。
「…何から何まで急展開よね。」
「アンデル市に着いてから、妖霊軍団との対決が凄まじいからな。」
シャルペロー城に着いたのっくん達は、城の上で妖霊軍を見ていた。大軍の中には最初に会った象の妖怪もいた。きっとあの像がこの軍を率いているんだと思う。のっくんは何を思ったのか城から飛び降りた。…ってなんで!?
「あいつ!1人でやるつもりなのか!?」
「いくら白銀の剣と兜があっても無茶だよ!」
ジャイアン、スネ夫くんがモニターを見て、叫んだ。私達も気が気じゃない。何でこうも無茶ばかりするのよ!
ーーーーーーー
「ノビタニヤン!」
アスミアが僕を呼んだが。僕は大軍を前に1人で飛び出した。白銀の剣士のブーツのお陰で着地する時の衝撃はそんなに来なかった。早速…夢の剣術をここでやろう。あの剣術ならこの大軍も倒せる。
「1人で来るとは…。命を諦めたか?白銀の剣士」
「みんなを守るにはこうするしかない。それと…トリホーはどこ?」
「トリホーだと…?」
僕は気になっていた。昨日会った夢の中で倒した事があるのヴァサゴの二世代前の8代目ヴァサゴ…トリホーの存在を…何かを忘れている気もするし、スパイドル将軍には逃げられて、聞きそびれたけど、こいつなら分かるかもしれない。…ジャイトスには悪いけど。
「死に行く貴様に教える義理はない!『水の精』大隊進め!!」
象の妖怪は、僕の質問に答えることなく『水の精』を呼んできた。聞いてくれたっていいのに!…ここでならあの技が使えるかもしれない。夢の世界での師匠が教えてくれた…。
「《時雨蒼燕流“最終奥義”》!凍てつきの雨!!」
この技は冷たい冷気を発しながらスピードに乗せて突く技、夢の僕は後遺症が半端なく出るから13歳までお預けになった。けど、白銀の剣と兜がその後遺症を抑制してくれたらしく、何もなかった。『水の精』大隊は、凍てつきの雨で凍って砕け散った。ふぅ、良かった。
「ちっ!『鉄の精』大隊!進め!」
「次は『鉄の精』!?」
象の妖怪は、次に『鉄の精』を出てきた。『水の精』ならともかく『鉄の精』は硬そうだよ!?
「ノビタニヤン!!」
なんて考えていたら、ドラモンの声が聞こえた。振り返るとみんなが夢の中で見た道具[タケコプター]を頭につけてこちらに来ていた。
「無茶ばっかりして!心配したんだからね!」
「夢の中でもそうだが1人で抱えすぎだ!俺達もいるんだからな!」
スミリアとキリシアンがそう言った夢の中でも2人とドラモンは居てくれたね。…でも他にもアスミアとジャイトスに似た人と美夜子さん、スネ夫って人が居たような気がする。…今はそれどころじゃないか。
「ドラモン!道具ない?」
「あるよ![ミニ雷雲]!」
城に一先ず戻って来た僕達、僕はドラモンに何かあるか頼んだ。ドラモンが出したのは、夢で見た事があるガスボンベに似たやつ。それから出てきたのは、黒い雲だった。それはどんどん『鉄の精』の上でに行った瞬間…
バキューーーン!!
雷が落ち『鉄の精』に命中。『鉄の精』は戦闘不能になって、倒れた。ふぅ良かった。…ん?何か後ろに気配を感じて後ろを見た。隣にいたジャイトスとキリシアンに警戒をしてくてくれと頼んでおいた何もいなかったけど、嫌な予感がしたし。僕は前に向き直した。
「象の妖怪がやっと来たぞ。」
「白銀の剣士!やはりわしがこの手でやってくれるわ!」
さっき、一騎打ちしようと思ったけどね。まぁ、いいや。僕はタケコプターを頭につけてから象の妖怪に向けて剣を何回か当ててから、剣で大振りして一太刀浴びせたら耳にちょうど当たり象の妖怪は落ちていった。ふぅ、これで象の妖怪との1戦は終わったかぁ…