俺達は、ノビタニヤンが象の妖怪を倒したのを見て、少しは安堵をしたが気配を感じて後ろを向いた。童話に出てくるような魔女の顔をした男がそこにいた。ジャイトスが親の仇を見るようにそいつを睨んでいた。という事は…
「お前が、トリホーだな!」
「さすがは白銀の剣士ですな。」
俺の言葉を無視してノビタニヤンの方を見ていた。…随分と余裕そうだな。
「てめぇ!何しに来た!」
「茶色の剣士。弱い君には関係のない話じゃ」
トリホーは、ジャイトスに向けてそう放った。小馬鹿にした態度はさらに大きくなった。
「てめぇには、一太刀浴びせねぇと気がすまねぇ!!!」
ジャイトスは、トリホーに向かって行き剣を振ったが避けられてしまった。すかさず俺も応戦したがトリホーは綺麗なステップで避けている。くそ!遊ばれてるみたいじゃないか!!トリホーは屋根に乗ると俺の方を見ていた。
「何の偶然かそのコートを着ているとはね。この世界でも君は黒の剣士か。」
「何の話だ!」
「白銀の剣士ノビタニヤン、そして黒の剣士キリt…いやキリシアン、君達2人は近い未来大きな事件に巻き込まれる。これまでの事件が可愛いと思えるほどにね。」
俺は、トリホーが言っていることがわからずに棒立ちになっていた。
ひゅん!!
「いきなりの挨拶じゃないか、…ノビタニヤン…」
何かが飛んできて、トリホーの近くに刺さった。それは白銀の剣だった。横を見るとノビタニヤンが鋭い目付きでトリホーを睨みつけていた。
「僕がいない間に。みんなを襲うお前に言われたくないよ。」
「…ほっほっほ!…ではまたどこかでお会いしましょう。」
トリホーは、鳥の姿になりどこかに行こうとしていた…が。
「誰が!!」
「行かせるか!!」
俺とジャイトスで止めようとしたが、あと一歩のところで手が届かなかった。くそ!あいつ空に飛んだ瞬間に猛スピードで行きやがった!!
「すまねぇ。逃がした。」
「仕方ないよ。あのスピードじゃあ、タケコプターでも追いつけない。」
「…あいつ何がしたかったんだ?」
「わからない…けど、また会うことになるかもね。」
「そうだな。」
「あっ!皆さん!妖霊軍団を退いた事でシャルペロー城の王からお礼としてご馳走をもらうことになりました!」
隊長さんが、やってきて俺達にそう言った。でも。
「まだ妖霊軍団全員を倒したわけじゃないですよ?」
「それでも、あの象の妖怪は妖霊軍の随一の名士だったようで、これ以上の強い敵はオドロームだけとなってます!」
「…そういう事なら…」
「ドラモン。」
「トリホーの事は黙っていた方がいいと思う。」
ドラモンがそう言った。確かに下手に言ったら混乱するかもしれないしな。ご馳走は夜になったら貰えるそうだから、夜になるまで城の部屋に各々休むことになった。
ーーーーーーー
夜になり、隊長さんから呼ばれ僕達は食堂までやってきた。食堂にはこれでもかと美味しそうな物いっぱいあった。
「皆さんの強さには驚きました!特にドラモン様の魔法と白銀の剣士の力は圧巻しました!」
「いやぁ。妖霊軍団が弱すぎるんです!」
「妖霊軍団はな?」
隣のキリシアンは、小さく呟いていた。…トリホーの実力の一部が見れたけど実力者であるジャイトスとキリシアンが遊ばれていたし、キリシアン達からは足元に刺さったと見えたと思うけど、僕は白銀の剣をあいつに刺そうとして投げたのに避けられた。危機回避能力が強いのかもしれない。
「ささ!もう一度乾杯しましょう!」
ぼん!
と隊長さんが言った瞬間に辺りにあった灯火が消えた。辺りは暗くなった。周りを見たらキリシアンとアスミア以外のみんなが眠っていた。
「何が起きたんだ?」
「みんな!どうしたの!」
「嫌な予感がする。行こう。屋上に!」
僕はそう言って、キリシアンとアスミアを連れて屋上に向かった。そこには大きな耳と2本の触角が生えたプテラノドンのような顔をした人物がいた。
「誰だお前は!!」
「あいつは!!妖霊大帝オドローム!!」
アスミアは、会った時の様な険しくそして会った時の様な復讐に満ちた顔で目の前にいる人物に向けてそう言った。
「アスミア!落ち着いて!」
「でも!」
アスミアは振り向きざまに僕に異議を唱えようとしたけど、僕は。
「前にも言ったでしょう?」
「…そうね。復讐はしないって。言ったわよね。」
アスミアは落ち着きを取り戻し、顔も少し穏やかにさせて、また前を向いた。
「このワシに勝負を挑むとか…面白い。それに…ユミルメ国王の兄弟の1人である貴族の娘か。」
…アスミアは貴族って、わかっていたけど王女の従姉妹だったのか。
「私はあなたを許さない!…でも、復讐はしないわ。ノビタニヤンがあなたを倒すから!」
アスミアは僕に託してくれた。その気持ちに応える為に僕は剣を抜き、オドロームに立ち向かった。でもオドロームから出された魔法で僕は吹き飛ばされた。僕はすぐに立ち上がり、タケコプターを頭につけてから再びオドロームに白銀の剣を突き付けた。オドロームは青く燃える炎になって消えた。
「キリシアン!」
「おう!」
キリシアンはわかっていたのか、僕の頭上にいるオドロームに向けてタケコプターで行き、オドロームに剣を叩きつけた……けどそれも分身だったようでさっきのように消えた。オドロームはさらに向こうに行っていた。
「黒の剣士、貴様もやるようだな…。しかしお主ら如きにやられるわしではない。」
あのプテラドン、余裕綽々そうに言ってるな。あの長い顔へし折ってやりたい。そんなこと思いつつも僕とキリシアンは1箇所に集まった。
「埒が明かないな」
「アスミアを呼んで3人で挟み撃ちにしよう。」
「そうだな。俺がオドロームを引きつける。」
「お願い」
僕達は、それだけ言うと散ってから作戦通りに動いた。アスミアには前もってタケコプターの使い方を教えておいたから飛ぶのには慣れている。そして、キリシアンが誘導したオドロームは僕、キリシアン、アスミアの中に入った。僕達は合図をしてから、3人で剣をオドロームに突き刺した。手応えはありだ!
「やったか!」
「お主らの作戦は、よくやったが…。やはりわしには勝てん。」
「「「な!?」」」
確かに手応えは…あっ!!木と入れ替わってたんだ!!くそ!剣が木に突き刺さって取れない!
「ふっ!!」
後ろから聞こえたオドロームの声に気づかずに僕は、そこから意識が無くなった。
ーーーーーーー
「ーーーノビタニヤン!!」
「…はっ!?どうなったの!?」
「俺達は1回死んだみたいだ!さっき剣を取っていた時に攻撃されたんだ!!」
……ってことは、僕達はもう1回オドロームから攻撃を受けたら死ぬ。油断した事でスキを突かれたって事か
「これでお前らはただの人間…。ふんこのまま攻撃するのもいいが、トリホー」
「ワシに命令するな、トリが。さぁこい。」
オドロームに悪態を付きながら出てきたのは、トリホーだった。あいつもいたのか。
「おい。あれを見ろ!」
キリシアンの言葉を聞いて、僕はトリホーの奥を見たら眠っていたスミリア、ジャイトス、ドラモンが歩いてきた。いやまだ眠っているようだ。…よく見るとトリホーの手には夢の中で見た道具[夢風鈴]を持っていた。あれでみんなをここに連れてきたのか
「これでワシの役目は終わったぞ。クソドリ。」
「口の悪い鳥だな、貴様は…。お前の役目は確かに終わった。ここでお前も死んでもらう。」
オドロームがそう言った瞬間に魔法をぶつけたが、トリホーはそれを難なく避けた。鳥の姿でも身体能力は高いようだった。っていうかあいつらが言い争ってる間にみんなを助ければよかった。
「わしが鳥如きに殺られるか。」
「減らず口を…。」
「わしは、行くぞ。じゃあの…白銀の剣士、黒の剣士…ユミルメ国の貴族の娘!」
僕らを見て、トリホーはそのまま空に飛んで行った。あいつは本当に何がしたかったんだ。そう思ってる間にオドロームが立ち止まっているみんなに狙いを定めた。
「白銀の剣士…仲間の最期を見ろ。ワシに歯向かう者は…皆こうなるのだ!」
「やめろ!!」
「やめて!!」
オドロームが攻撃をする瞬間に僕の意識が歪んだ。意識が遠のいて行くのを感じながら、僕は意識が無くなった。
ーーーーーーー
「ーーーっちゃん!のっちゃん!!」
「……んあ…?」
僕が目を覚ますと、あーちゃん、しずちゃんが僕の手を掴んでいた。そうか…こっちが現実で向こうが夢だったんだ。さっきの出来事は夢だったのかな。
「のび太さん。」
「ドラミちゃん」
横を見たらドラミちゃんがいた。それに和人、直ちゃん、ドラえもんも夢から覚めたようでこちらを見ていた。奥には、少し沈んだスネ夫と腕を組みながら目をつぶっているジャイアンがいる。夢みる機の隠しボタンはドラミちゃんによって押されたらしい。ドラミちゃんが調べた結果、隠しボタンを押したら入れ替えた状態で夢の世界で死亡すると、現実世界でも死亡してしまうというのがわかったみたい。 僕が1回現実を夢に見た時にその効力が発揮される事もわかった。だからアンデル市から僕達は現実を夢と思い込んだんだ。
「だから夢みる機は返品した方がいいと思うの」
ドラミちゃんは説明を終えてからそう言った。確かにそれを聞いたら、返品した方がいいのかもしれない。ドラミちゃんは危険と知ったからで隠しボタンを押したんだ。…ちょっと待てよ。
「……ねぇ。アスミアとジャイトスはどうなったの?」
夢みる機の事より、僕らが目覚めたあとの、アスミアとジャイトスの2人の安否が心配だった。僕、和人、直ちゃん、ドラえもんはオドロームの攻撃を受ける寸前に目が覚めたし。
「……生きてはいる。…しかし城の中に閉じ込められている。」
腕を組みながらジャイアンが、僕の方を見ずにモニターを見ながら言った。…確かにドラミちゃんが言ったようにこの道具の危険性はわかった。けど。
「……助けに行こう。」
「のび太さん!話聞いてた!?それは危険な道具なのよ!」
「例えこの機械が危険だとしても、仲間を見殺しするなんてできないよ。」
アスミアとジャイトスは、付き合いはみんなよりも短い。けど、僕とって短くても仲間だ。昨日剣を交えて誓い合った三剣士なんだ。だから…
「僕は1人だって行くよ。2人を助けに。いや僕一人で行けばオドロームには見つからないと思うし。」
僕はみんなにそう告げた。僕一人でなら、オドロームに気づかれることなくアスミア達を助けられるし、やっぱりみんなをこれに巻き込むわけにはいかないし。元を辿れば僕がドラえもんにこの道具を出してもらって、挙句の果てには夢幻三剣士をトリホーの口車に乗せられて、買わせてしまった。だからこそもうみんなに迷惑をかける訳にはいかないんだ。
「…うちらは頼りない?」
しずちゃんが少し沈んだ声色でそう質問してきた。
「そんな事はないよ。でも今朝も言ったようにこれは僕があいつに仕組まれた罠にまんまと嵌ったのが原因。だから、僕が責任をもって解決させないといけないんだよ」
「「「……」」」
僕はしずちゃんやみんなを安心させる為にそう言ったけど、みんなは黙ってしまった。でも僕は答えを変えるつもりはないよ。
パシーン!!
ーーーーーーー
私は、そんな事を言うのっくんの頬を叩いた。今ののっくんの言葉に頭が来たのもあるけど、何よりソフィアさんに言った事を自分から破ってるその言動や行動に腹が立った。
「……叩いたのは謝る。でも、のっくんを1人で行かせることにはやっぱり反対するわ」
「…何でだよ!」
のっくんは、まだわかっていないのか、怒ったようにそう言った。だから私はもっと強い口調にしてこう言った。
「……今のあなたの行動はソフィアさんが1人で怪魚族に行く時や私が1人で悪魔族と戦う時と一緒なのよ?のっくんは、ソフィアさんにあの時なんて言った?私にどう言った?自分の言葉が言った事を忘れたりなんかしないわよね。1人で何もかも抱え込まないでよ。前にも言ったでしょ!あなたには私達がいる。ジャイトスさんやアスミアさんだって助けるわ。」
のっくんは顔を伏せたまま黙っている、何かを考えてるみたい。…前はアクア星の事で憂鬱になってたのっくんだったけど、今は私とソフィアさんがやろうとしていた事をやろうとしていたから、私は言った。
「……美夜子さん。またあなたの言葉で目が覚めたよ。」
伏せた顔を上げ、真剣な表情でこちらを見ていた。ふぅ…何とかできたみたいでよかった。
ーーーーーーー
美夜子さんからの叱咤を受けてソフィアさんや美夜子さんが1人で何もかも抱え込んでやろうとしていたことに気づいた。はは…これじゃあ、ソフィアさんにも怒られるね。僕は皆に向けて口を開けた。
「みんなごめん。間違ってた。」
「気づけばいいんだ。…今度そんな事言ったら脳天に竹刀を叩き込むからな?」
和人は、冗談か本気か分からない口調でそう言った。…善処します
「話は決まった事だし、今から行く?」
「…そうだな。」
「ねぇ、何かモニター光ってない?」
しずちゃんの言葉でモニターの方を見るとよくテレビが壊れた時に出る現象になっていた。
シュポーン!!
「無責任な人達ね!途中で逃げ出すなんて!」
すると夢みる機から出てきたのは、夢幻三剣士の最初の方で出てきたシルクだった。
「……なぁ?あれスグだよな?」
「シルクだよ。って君こそいつの間にかいなくなってたじゃないか!」
「あたしの役目は、剣士を夢の世界へ案内することよ!」
「じゃあ案内してよ!また戻るから。」
「え?あっ、そうなの?じゃあ隠しボタンを押したらあたしは案内するから!」
シルクはそう言って、再び中に入った行った。まぁ、気にすることでもないのかな?これから現実に夢が侵食してるって事なのかな。シルクがここに来れる時点でそうかもしれないなぁ。
「じゃあ、みんな行くよ!アンテナはつけたね!」
「「おう」」
「「ええ」」
「「「「うん!!」」」
そして僕達は、夢の世界へと戻って行った。眠った直後にいたのは、最初に僕が入ったあのピンクのモヤだった。僕と和人はペガサスに、直ちゃんとあーちゃんはグリフォンに、ジャイアンとスネ夫は龍に美夜子さん、ドラミちゃん、ドラえもんは、箒でここを通っていた。シルクが言うには、今ユミルメ国の時間は僕達が消えて2日目になる夜だそうだ。ここを出た先はオドロームのお城に続くらしい。あとオドロームを倒したら魔力が消えて、オドロームによって滅ぼされた都市も、殺された人達も元通りになるそう。アスミアの家族も生き返るんだ。
「腕が鳴るぜ!」
「僕…また怖くなってきた!」
「…妖霊軍団を魚人空手で沈めてやる!」
「ジャイトスさん!アスミアさん!どうか無事で!」
「ユミルメ国を救うんだ!」
そして、どんどんユミルメの国に近づくにつれて向こうに吸い寄せられるようになっていた。その後に城の近くまで僕達は降りた。ペガサス達にお礼を言ってから、城の中に入った。シルクからアスミアとジャイトスが閉じ込められている所を聞き、ドラミちゃんからある道具を貸してもらって僕はそこへ向かった。
ーーーーーーー
ノビタニヤン、キリシアン、スミリア、ドラモンが消えて、2日目の夜が過ぎようとしていた。私とジャイトスは捕まって牢屋に入れられている。ろくにご飯も食べてないから衰弱する一方だった。けど、私とジャイトスは信じていた4人は必ず戻ってきてくれるって…。
「敵襲だ!お前も早く行け!」
そんな事を思っていたら、突然狼の妖怪が入ってきて牢屋の前にいる妖霊軍の妖怪に言った。その人は言われるがまま外に向かって行った。
「…アスミア、ジャイトス、ごめんね?突然消えたりして」
妖怪は私達に向けてそう言った。いや妖怪じゃない。この優しい声は私やジャイトスを救ってくれた…あの人の…
「そして、迎えに来たよ。」
彼は妖怪の姿から人間の姿に戻った。その姿は私達の
「オドロームに一泡吹かせるよ!」