俺の日常に妹が追加されるようです   作:Damy

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兄のクラス

今日も今日とて俺はぼっちである。

 

自分がぼっちであることを悲しみ、嘆くのであれば、認めましょう。

 

自分が……いや、自分こそがぼっちであると!

 

俺はそんな迷言を考えながら1人、学校へと向かっていた。

学校とは非常にめんどくさい所である。平日は起きて一言目には学校めんどくさい。二言目にはなんか熱っぽいかもだ。

これは学生なら皆考えることであって、俺の心が特別弱いとか、怠惰とかそういう訳では無い……と思う……そう思いたい。

 

しかし、学校というのは行かなくてはいけないところだ。

こういった所には1歩目さえ踏み出すことが出来れば自然と足がそこまで動いていく。

かくいう俺も、お母さんに晩飯を人質に取られたことにより遅刻ギリギリに登校。バックれることもなく学校へと向かっている。家から出て1つ目の角を曲がったところでだ。

 

「おはよー。朱羅」

「ぶぉふっ!」

 

背中を急に叩かれ口から空気が漏れる。

誰だこの野郎。と、ほぼ確信を持ちながら後ろを振り向くとそこには那由多がいた。

屈託のない笑みを浮かべ、バックを持った右手を大きく振りかぶった状態でだ。

 

「おお……おはよ」

 

那由多と会うのは一昨日の夜以降のことである。那由多が俺に相談してくれなかった──初めて相談してくれなかった夜。

あの日は微妙な雰囲気の中、俺が自室に戻ることによって終わってしまっていたため那由多との距離が少し分からなくなってしまっていた。無意識に。

そんな俺の心の機微を一瞬で見抜いたのであろう幼馴染も少し気まずそうだ。

 

「いや、朱羅。そこは『何すんだよ!いてーじゃないか!』じゃないの?」

「お前の中の俺はそんなイメージなのか……いや、合ってるけども」

「にしても朱羅?こんな時間に登校なんて……遅刻しちゃうよ?」

「少なくとも今のお前にそうは言われたくねぇな……それに俺はいつもこの時間だ」

「あは、確かにそうかも」

 

那由多なりに気を利かせてくれたおかげか、ほんの数言交わしただけでいつも通りの雰囲気。いつも通りに幼馴染の朱石 朱羅と赤城 那由多だ。

 

……ただ、俺たちの間では「気になったことは聞く」というルール──まぁ定めた訳では無いのだが──がある。一昨日の話を持ち出すことができていない時点で俺たちの間には、1箇所、薄い靄がかかっていた。

 

その靄がもたらした不幸がこれだ。

 

「赤城さんおはよう。……朱羅のヤロォ」

「那由多ちゃんおはよー。……朱羅、ぶっ⚪ろす」

「朱羅、てめぇ!こっち来いやぁー」

 

という、那由ラー兼反朱羅同盟・改の面々によるそれはそれは熱いエールだった。

 

「あ、那由多ちゃーん。なになに、今日は夫婦揃っての登校ー?」

 

ちょ、そこの女子ぃ!?大火事に消防車で油浴びせるのやめてくれない!?

俺は男達のむさくるしい怒声に備えるために両手の母指球で耳を塞いだ。

あぁ……静かだ。世界がいつもこうであればいいのに……あれ?本当に静かだ、なんにも聞こえない。

不思議に思い手をどける、

 

「隊長」

「隊長、ご指示を」

「たぁーいちょぉー」

 

俺はその光景に驚愕した。そしてその──反朱羅同盟の皆が指示を仰いでいる人物の名を呼ぶ。

 

「さ、彩斗?」

 

石澤 彩斗。俺の高一から仲のいい友達……が、何故か反朱羅同盟のみんなに囲まれ……え、偉そうにふんぞり返ってるぅ……

 

「わかった……サシで話してこよう」

 

そう言って彩斗はクラスの男子、そのほぼ全員で構成された輪の中から出てくる。そして俺を一瞥してから廊下を顎でさした。

ふっ……どうやら、ご指名のようだ……何されんだろ。

 

廊下に出た。SHRがもうすぐ始まるので教室のそば、中からは見えないところで止まる。

「で?どういうわけだよ。隊長」

「いやーそれがよ」

 

それから彩斗は事の顛末を話し始めた。

曰く、俺から美少女の幼馴染がいることを聞かされていなかった彩斗はその事に憤慨……嫉妬、いじけた彩斗は落ち込み、反朱石同盟を結託したのだそうだ。

いや、だそうだ。じゃねぇよ!

 

「お前が創設者かよ!」

「いやー……最初はほんの軽い気持ちだったんだ。しかしな……みんなが思いのほかやる気になってしまって」

「んで、お前も面白くなって更に事を大きくした、

と」

「そうそう、そういうこと」

 

こいつ殴って差し上げましょか?いやだが、幼馴染のことを隠していた訳では無いが話していなかったのはたしかに俺に非がある……のか?

いや、にしてもこいつのせいで俺は未だに男友達ができていないんだ。こいつ以外。しかもその唯一の友人は意味不明な同盟組みやがるし……はぁ。

 

「悪かったな。その……那由多のこと話してなくて。別に隠してたわけじゃないんだが……良ければ今度紹介させてくれない──」

そう言った瞬間。彩斗の目の色が変わった。もっと言うと息遣いと姿勢、手の動きから膝の震えまで……一見しただけでわかる変質者のそれだ。

「まじか!まじか!言質取ったかんな!ぜってぇーだぞ!うぉぉおおー!心の友よぉー!」

 

バコッ!かなりいい音を立て、俺の拳が彩斗にめり込んだ。

ちっ……那由ラーのリーダーもてめぇかよ。

流石の俺でも幼馴染にこんな変態を紹介できるわけがねぇだろうが。さっきのは取り消しOK?

と、倒れ込み、気絶している彩斗に心の中で言っておいた。

 

このあと彩斗はSHRに気絶していたため未出席。

反朱羅同盟の同志の人数が激減したことを俺は知らない。知らないったら知らない。

クラスの影で俺がかなり腕っ節の強い短気な奴だと噂が広まったことも俺は知らない……!うぅ……

 

 

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