俺の日常に妹が追加されるようです   作:Damy

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幼馴染の復讐と応酬

「あはは、朱羅の思い込みも相当だね」

「もう辞めてくれ……本当に……」

「えー、だってさぁ『もしかしたら……あいつ──那由多は俺の事……好き、なのかもしれない』ってかなでちゃんに言ったんでしょ?」

「もうホント辞めてくれ、ください……お願いだから……」

「昨日もね、かなでちゃんから急に電話かかってきて『那由多さんの好きな人って……兄貴、なんですか』ってすっごい真剣でさぁ〜。良かったじゃん、かなでちゃんに好かれて」

「ねぇもうこの話やめね、ホントに、俺が悪かったからさ……」

「別に私怒ってないよ? ただからかって遊んでるだけだよ? それでさ、事情話したらかなでちゃん、電話そっちのけで笑い転げちゃってさ」

「………なぁ、もうやめ──」

「あと、昨日の朱羅の呆けた顔ね! 笑いこらえるの必死だったんだから」

「………………………」

 

 かれこれ1時間ほどこの話をされ続けている。と、思ったがまだ5分しかたっていなかった。

 

 朝、家を出ると那由多が外壁に寄りかかって待っていた。昨日のこともあり、俺的には気まずかったのだが那由多にはそんなの何処吹く風。

 ニヤニヤと嫌味ったらしく笑顔を浮かべながら、昨日の話をやめろと懇願しても、むしろ勢い付いて言い立ててくる。ホント……やめろ、ください……

 ちなみに、朝食の場では、かなでが俺を見る度に吹き出し、その度にお母さんとお父さんがかなでを本気で心配していた。

 勘違いや思い込みって本当に人を不幸にするよな……特に当事者を。

 

「にしても朱羅のその勘違いはね……ないわー。あはは」

「もう充分自分でも理解してますから……ホントもうこの話題やめない?」

「あれかな? 飢えてるの? 流石は年齢=彼女いない歴さん」

「……そうだけどよ……これまた盛大なブーメランだなぁおい」

 

 俺はもとより、那由多にも生まれてこの方彼氏というものができたことがない。

 容姿端麗、文武両道、ただし理系は壊滅的。人当たりもよく、交友関係も広い、ただし料理は壊滅的。

 つまり、完璧過ぎないがために身近に感じることができ、高嶺の花などといったイメージもつかない。

 そのため、頻繁に男子諸君からの告白やファンクラブなどがあるのだが、那由多はその一切を断り続けているのだ。

 理由は誰も、俺も知らない。

 いい機会だ、この際その理由を聞いてみよう。ふと、そんなことを思った。

 

「──いい機会だし、付き合ってみる?」

 

 思惑を切り出す前に、唐突に那由多がそんなことを口にした。

 

「は?」

 

 俺の記憶の中の那由多は、こんなに適当なことをぬかす人ではなかった。こと恋愛においては。

 それこそ暴走はするが……

 出会って2日目のかなでに百合疑惑がでたというだけで、必死の形相で俺に相談してきたり、メール1つでぶっ倒れてしまうような奴なんだ。

 恋愛に疎い──いや、純真な那由多がこんな適当な発言をするか?

 

 その真贋を見定めるために那由多を窺うが、いつの間にそうしていたのか、道の傍らで黒猫を撫でていた。意味もなく動物に嫌われる那由多が。

 

「おー、お前この前のクロスケか? おーよしよし」

「……なぁ、今のって」

 

 そう声をかけると那由多の肩がピクンッと跳ねた。猫は逃げ出さない。

 立ち上がった那由多は黒猫を抱えていて、顔はからかい上手の那由多さんのような笑顔だった。

 

「なんつってね。ドキッとした? チェリーボーイ」

「………………」

「あぁっ……!」

 

 俺が何も言わずに両手を差し出すと、居心地悪そうにしていた黒猫は直ぐに飛び込んできた。ざまぁ。

 

「あ、え、ちょっと、クロスケ? ほらほらこっちおいでー。……ねぇちょっと朱羅! 初めて懐いてくれた猫なんだから返してよぉ……!」

「……」

 

 俺たちのこの言い争い(?)は学校の近くまで続いた。最後なんて那由多は半べそかいていて、那由ラーにそこを見られたら何されるかわかったもんじゃないので、仕方がなくクロスケを解放してあげた。

 

 ────────

 

 その日の学校では、那由多の非難の目が朝から止まなかった。まるで今朝と立場が逆転したかのようである。フハハハハ!

 なんて、優越感にひたっていたのもつかの間。那由多の視線に気づいた女子連中が色めきだった声で会話に話を咲かせ、それを盗み聞いた那由ラーから痛い視線を注がれた。

 それを目ざとく見ていた那由多が、女子連中に更なる燃料(ありもしないお話)を注ぎ込み、5組内が大勃発した。水面下で。

 

「つ、疲れた……」

 

 誰にも聞かれない音量で呟いてからカバンを持って立ち上がった。そう、待ちに待った放課後である。

 昼休みが終わった辺りから那由多が息を潜めていたのが気になったが……さっさと帰ってしまえば被害は出ないだろう。

 

「あ、朱羅ー。今日は私のお家にこない?」

 

 してやったり顔の那由多が振り向くとそこにいた。

 その背後には那由ラーの人を居殺せるほどの眼差しが(以下略)───。

 

 結論から言おう。

 俺はいつかの日のように那由多の手首を引いて、全速力で教室をあとにした。




最後までお読みいただきありがとうございました!
感想、指摘、アドバイス等々ご遠慮なくお願いします!


余談───
このまま日常物語として書いていくか、恋愛を織り交ぜて書いていくかで今更悩み始めている無計画に過ぎる投稿者…………
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