サイバープリキュア   作:k-suke

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歳場市内 某コンビニ

 

 

 

 

店員「ありがとうございました」

 

 

店員がレジをうち、お客を笑顔で送り出していた。

 

その他、立ち読みをしている人や、弁当を物色している人など何人かの客が店内にいた。

 

その中に中学生ぐらいだろうか、制服の女の子が居た。

 

 

店員「あら?」

 

 

ふとその店員は疑問に思った。

 

今日は平日であり、まだ昼前である。

 

そんな時間に制服を着た中学生がいるのは不自然である。

 

おまけによくよく見てみるとその少女の制服は、どこか薄汚れていた。

 

 

 

 

 

 

そうしてその少女に注目していると、彼女はお菓子の棚の前でうろうろし、いくつか棚のお菓子を手に取って抱え込み始めた。

 

その少女にどこか不信感を覚えた店員は、レジの客も居なかったのを幸いに少女の方に近づいていった。

 

すると次の瞬間、その少女はお菓子を持ったまま清算も行わずに駆け出した。

 

 

店員「泥棒!!」

 

 

咄嗟に店員は叫び、その声に周りの客も反応したが、その少女の足は速く取り逃がしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「ハアハア」

 

その万引き少女は、大量のお菓子を抱えながら近くの公園に息を切らせて駆け込んだ。

 

するとそこには、同じように大量の飲み物を抱えて息せき切って駆け込んできた少女が居た。

 

 

計「文、あんたその飲み物は…」

 

文「コンビニから拝借してきました。計さんもですか?」

 

計「うん、手持ちのお小遣いがなくなっちゃたからね。もっと持ち歩いてれば良かったね」

 

 

 

私達は昨日から学校どころか、家にも帰っていない。

 

命がけでプリキュアとして戦って戦って戦い続けた結果、なんにも守ることも出来ず、社会的信頼も何もかも無くしてしまった。

 

おまけに、その代償があと数日の命である。

 

それを知らされたあと、しばらくは呆然としていたが、こんなことをしていてはいけないと思い直したのだ。

 

 

 

 

 

残り少ない命、今までやりたくてもやれなかったことをしようと思い立ったのだ。

 

大量のお菓子を買い込みジュースを飲んで、映画を見てゲームセンターで思いっきり遊んだ。

 

するとあっという間に所持金がなくなり、昨日は野宿した。(携帯はジャンジャン鳴ってうるさかったのでどっかに捨てた)

 

しかし、無一文だろうともお腹はすくし、のども乾く。

 

そのため少しばかり拝借した、というわけである。

 

 

計「別にいいよね。これぐらいもらっちゃったって」

 

文「はい。今まで私達のやってきたことを考えれば、そのお礼みたいなものですよ。それに人は奇麗事だけでは生きていけません」

 

 

私達は、しばらくぶりに晴れ晴れとした気分だった。

 

変に今まで我慢していたことが実に馬鹿馬鹿しかった。

 

 

文「やりたいことをやりたいようにやっていればいいんですよね」

 

計「そうそう、人間なんて欲望の生き物。それに忠実に生きていけばいいだけだよ。うん」

 

私達は目の前のジュースで乾杯し、お菓子を思う存分頬張りながらにこやかに頷いた。

 

 

そんな時、背中に悪寒が走った。

 

文「あら、ダムド魔人みたいですね」

 

計「うん。でもフレアさんがなんとかしてくれるだろうし。もう私達には関係ないことだよ」

 

文「そうですね。それに今度戦ったりしたら、私達すぐに死んじゃうんですもんね。顔も名前も知らない人の為に死んじゃうなんて、そんなのはごめんですよ」

 

計「そうそう、人生の価値はどれだけ楽しめるかだよ。だから、人のために命を使うなんてもったいない。残りの人生、自分のためにパァーッと楽しもう」

 

文「はい、今を思う存分楽しみましょう。 次は新しい服でももらいにいきませんか? 制服を着っぱなしで、少し気持ち悪いです」

 

計「そだね、これ食べたら服屋さんに行こうか」

 

 

私達はもう、何もかもがどうでも良かった。

 

 

 

 

 

 

歳場市内

 

 

 

 

「ダームー」

 

町では、巨大な自動販売機というような姿のダムド魔人が何体も暴れていた。

 

缶ジュースの形をした爆弾を次々に発射し、大爆発を巻き起こしていた。

 

 

当然、人々はパニックになり悲鳴とともに逃げ惑っていた。

 

 

「うわー!!」

 

「助けてー!!」

 

 

大爆発に巻き込まれ、腕や足がちぎれるなどの大けがをしている人や、

すでに黒こげになって息絶えている人が大勢居た。

 

そこにあったものはまさに地獄絵図だった。

 

 

 

フレア「止めなさい。これ以上はやらせません」

 

 

しかしそこへ、天使と見紛う神々しい姿と凛とした声とともに、フレアが舞い降りた。

 

フレアは剣を抜き、ダムド魔人の大群へと突っ込んでいった。

 

 

フレア「はぁぁぁあ!!」

 

フレアはダムド魔人の発射した爆弾を見事な剣さばきで次々と跳ね返していった。

 

 

 

 

フレア「闇の力に囚われし者よ、聖なる光の元に帰りたまえ!! シャイニング・スラッシュセラピー!!」

 

 

フレアが剣を一振りすると、ダムド魔人は次々浄化され元の人間へと戻っていった。

 

 

そんな彼女に対して、助けられた人々は口々にお礼を言っていた。

 

「ありがとう。助かったよ」

 

「あなたが来てくださらなかったら、どうなっていたか」

 

 

フレアは人々の無事を確認すると、暖かな笑みを浮かべた。

 

しかし、すぐに厳しい顔になって言い渡した。

 

フレア「ここは危険です。早く逃げてください」

 

 

すると、辺り一面がまだ昼間だというのに、一寸先も見えぬほどの暗雲に包まれた。

 

「なんだよこれ? まだ昼間なのに」

 

「ヤバそうだぜ、ここは逃げるが勝ちだ」

 

その異様な空気を察したのか、人々は一目散に逃げていった。

 

 

そして、その暗雲の中黒い稲妻とともに、醜悪な悪魔を思わせる存在が姿を現した。

 

フレアはその存在に対し、視線だけで殺せるのではというほどの凄まじい

憎悪を込めて睨みつけた。

 

その存在もまた、凄まじい憎悪のこもったダミ声で告げた。

 

 

ダムド「久しぶりだなフレア。まさか貴様までこの世界に来ようとはな。あの時にくたばったかと思っていたが」

 

フレア「それは、こちらの台詞です。あなたをしとめ損なったばかりに多くの人を巻き込んでしまい、いくつもの命が奪われました。これ以上はやらせません!!」

 

そう力強く宣言すると、フレアは剣を抜き放ち構えた。

 

 

ダムド「その台詞をそっくり返してやるわ。ガラクタのようなものを後生大事にしおって。目障り極まりない奴。引導を渡してくれる!!」

 

そしてダムドもまた巨大な剣を手に構えた。

 

 

フレア「はぁああああ!!」

 

フレアは剣を勢い良くダムドに向けて振り下ろしたが、ダムドはその一撃を剣で軽く受け止めた。

 

フレア「なっ!!」

 

ダムド「ふん!!」

 

フレアが驚きの声を上げると同時に、ダムドは剣を振り回してフレアを大きく吹き飛ばした。

 

吹き飛ばされたフレアは体勢を崩すも、なんとか姿勢を安定させて着地した。

 

それと同時にフレアはまばゆい光線を放ってダムドに攻撃を仕掛けた。

 

しかし

 

ダムド「これがどうした」

 

ダムドは片手で小さなバリアを展開すると光線を跳ね返した。

 

フレア「くっ!!」

 

 

そして、光線を防がれ悔しがるフレアを狙って、どす黒い光弾をダムドは発射した。

 

 

フレア「なんの!!」

 

フレアはバリアを展開して攻撃を防ごうとした。が

 

 

フレア「キャアアア!!」

 

ダムドの攻撃はフレアのバリアをこともなげに貫通し、フレアに直撃した。

 

 

 

 

ダムド「どうしたフレア? 随分と弱くなったな」

 

そんなフレアをダムドは馬鹿にしたかのように嘲笑った。

 

フレアはダメージを受けながらも立ち上がったが、疑問が頭を離れなかった。

 

フレア(ハアハア。お、おかしい。力は完全に回復している。それなのになぜダムドにことごとく撃ち負ける? 私達の力は互角のはず)

 

 

ダムド「フハハハ! これはいい。想像以上の力だ」

 

すると、ダムドが力を確認したかのように高笑いをした。

 

 

フレア「どういうことです? あなたは一体何を!?」

 

そんなダムドにフレアは問いかけた。

 

 

ダムド「俺がただ傷を癒していただけと思うか?」

 

フレア「な!! まさか!!」

 

ダムド「そのまさかよ!! 手駒となるプリキュアを使ってダークエナジーを大量に収集した。その結果俺はただスヤスヤと眠りについた貴様以上の力を得たというわけだ」

 

フレア「くっ」

 

悔しそうに歯を食いしばるフレアに対し、ダムドはさらに続けた。

 

 

ダムド「この世界は実に素晴らしかったぞ!! 欲望に塗れた醜い世界。他者を顧みない自己中心的な者達。あげくがそれを原因にした争い。実にくだらないもので溢れていた。命というガラクタを文字通りガラクタも同然に扱う者達の世界だ。俺の力も増大しようと言うものだ!! フハハハハ!!」

 

 

高笑いをするダムドにフレアは反論した。

 

フレア「ダムド、そんなことはありません。皆限られた命を精一杯使って生きているんです。その素晴らしさを見ようとしないあなたが一番の愚か者だとなぜ気がつかないのですか!!」

 

 

 

 

しかし、ダムドはそんなフレアを馬鹿にしたように言い放った。

 

ダムド「ふん、下らん。俺の力が増大したのが俺の言い分が正しいという何よりの証左だ。愚かな信念の元にガラクタを抱いて消え去るがいい!!」

 

その言葉とともにどす黒い光線を、次々と発射した。

 

 

フレアはその攻撃を必死にかわしていたが、ついにかわしきれず直撃を受けた。

 

フレア「ああああ!!」

 

傷つきボロボロになり、膝をついて肩で息をするフレアを見て、ダムドは満足そうに顔をゆがめた。

 

しかし、その笑顔は見るも不愉快になるほど、醜いものだった。

 

 

ダムド「フレア!! これで貴様も見納めだ!!」

 

そう言い放つとダムドは、右手を手のひらを上にして高く掲げた。

 

すると、その手のひらに巨大な黒い玉が発生した。

 

 

ダムド「全てを覆い尽くす闇の力よ。愚かな希望の光を消し去りたまえ。ダークネス・エンド!!」

 

その口上とともにダムドはその玉をフレアに向けて放った。

 

 

しかし、フレアもまたその一瞬を狙っていた。

 

フレア「あなたが最大の攻撃を放つ一瞬を待っていました!!」

 

フレアは力の差を把握した後、正攻法では駄目だと判断した。

 

 

そのため待っていたのだ。ダムドが自分に対してとどめを刺そうとする瞬間を。

 

最大の隙が出来る時を。

 

剣を突き出し、巨大な黒い玉に向かってフレアは突っ込んでいった。

 

フレアの突き出した剣は黒い玉を貫いていき、ダムドの懐にまで肉薄した。

 

 

フレア「闇をはらう光の力よ。邪悪なる力を消し去りたまえ。シャイニング・クラッシャー!!」

 

 

 

フレアは突っ込んでいった勢いのまま、剣に全ての力を込めてダムドの体を一突きにした。

 

 

ダムド「ぬぉおおおお!!」

 

その一撃は、確実にダムドの体に突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フレア「ごっ…ふっ…」

 

それ以上に深々とフレアの体にダムドの剣が突き刺さっていた。

 

いや、そんな生易しいものではなく、完全にフレアの体をその剣は貫通していた。

 

 

フレアの必殺技が炸裂するより一瞬早く、ダムドの剣がフレアを捉えたのだ。

 

 

フレア「そ…ん…な…」

 

フレアは口から血のようなものを吐きながら地面へと落下していった。

 

 

ダムド「俺の勝ちだなフレア!! もはや邪魔ものなど何も無い。この世界を闇で覆い尽くし、破壊し尽くしてくれる!!」

 

 

勝利の雄叫びを開けるダムドにフレアは息絶え絶えに気高さを失うこと無く言い放った。

 

 

フレア「まだ…です…。闇で…世界を…覆い尽くすことなど…できま…せん。命が…必ず光を求め…る限り…。明日へと…先へと進もう…とする思いが…ある限り。その…光の…思いが…あ…なた…を…打ち…倒し…ま…す…」

 

 

とぎれとぎれに言葉を放ちながら、少しずつフレアの体は光の粒子となって消滅した。

 

 

ダムド「負け惜しみを。貴様の持つ光の力でない限り、俺に傷を負わすことさえ出来ん。それすなわち、俺は今や不死身ということだ!! これが貴様のいう命だ。アーッハッハッハッハッ!!!」

 

 

フレアの消滅を見届けたダムドは実に不快感を感じる声で高笑いをした。

 

 

 

 

 

 

 

歳場市内 某公園

 

 

 

文「な〜んかこのジュースを飲んでから、すご〜く気持ちよくなりました〜。体が熱くって仕方ないです〜」

 

計「文ってば〜、これお酒じゃな〜い。間違えて持ってきちゃったんでしょ〜。い〜けないんだよ〜。ちゅ〜がくせ〜がお酒なんか飲〜んじゃ」

 

文「計さんだって飲んでるじゃないですか〜。それにべ〜つにいいじゃないですか〜。私達二十歳にはなれないんですよ〜。今飲まないと後悔しま〜す」

 

計「それもそっか〜。じゃあ次はタバコかな〜。でもコンビニじゃレジの後ろだから持って来れないな〜」

 

文「だったら〜その辺の自動販売機をてきと〜に壊せばいいんじゃないですか〜。変身すればか〜んたんですし〜」

 

計「ん〜それならさ〜、いっそ銀行に行って〜、お金い〜っぱい持ってきて、ビルの屋上からパァ〜ッとバラまいちゃおっか。ど〜せ最後の変身するならその方が派手じゃん。みんなも喜んでくれるよ〜きっと」

 

文「さっすが計さん!! やっぱりやさしいですね〜」

 

計「それほどでもないって〜。たださ〜せっかくの力だもん。自分たちのために面白可笑しく使っちゃおう〜!」

 

文「はい!! たのしいたのしいゲームをしましょうか」

 

計「そうそう、ゲームゲーム!! キャハハハハハ!!」

 

文「ウフフフフフ!!」

 

 

 

To be continued…

 

 

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