サイバープリキュア   作:k-suke

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Story05 “ In the police ”

 

 

 

エグゼ「プリキュア・エクストリームスラッシャー!!」

 

 

 

私が必殺技を放つと、そして目の前でダムド魔人がズタズタになり灰の塊となった。

 

そしてその灰の中から一人の男の人がボロボロになって出てきた。

 

その傷だらけの人は、口から血を流し恨みがましい目で私を睨みつけてきた。

 

 

「何でだよ…。お前さえちゃんと話を聞いてくれれば良かっただけなのに…。なんで俺を殺すんだよ…」

 

 

 

 

その呪詛のような言葉に私は青ざめた。

 

エグゼ「ち、違うよ!!」

 

 

私は必死にそうひねり出したが

 

「違うものかこの」

 

 

 

 

 

 

 

 

「人殺し」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

計「わああああー!!」

 

 

 

私は悲鳴とともに飛び起き、汗を拭った。

 

計「ハアハア、また…この夢…」

 

 

 

 

 

 

 

 

歳場中学校 生徒会室

 

 

 

あれから数日が経過した。

 

私も文もあの日以降ろくに眠ることが出来なかった。

 

私達のやっていたこともポイントと同じ人殺しだったこと。

 

みんなの悩みを聞いているつもりが、なんにも出来ていなかったこと。

 

それが原因で生徒を怪物にしてしまったこと。

 

その生徒を助けるどころか、目の前で殺されるのを黙って見ていることしか出来なかったこと。

 

そんなことがぐるぐると頭の中をずっと駆け巡っていたのだ。

 

 

 

 

計「私達、一体どうすればいいのかな…」

 

私の呟くようなか細い声に文もまた目の下にも深いクマを作り、蚊の鳴くような声で答えた。

 

 

文「わかりません…私にも…」

 

そんな暗い空気で部屋が充満していた時だった。

 

 

 

 

 

横井先生「緑野、青山いるか」

 

顧問の横井先生が生徒会室に入ってこられた。

 

 

計「あっ先生…」

 

文「…おはようございます」

 

私達は力なく反応した。

 

そんな私達を見て横井先生は心配そうにおっしゃった。

 

 

横井先生「一体どうしたんだ? ここ数日暗い空気を振りまいて。何か悩み事なら先生に言え。お前達だって一人の生徒なんだ。そいつでも相談に乗るぞ」

 

先生の心遣いは私達にとても嬉しかった。でも

 

 

計「いえ、お気持ちだけで結構です」

 

文「ご心配をおかけして申し訳ございません。でもこれは私達自身の問題ですので」

 

そう答えるしかなかった。

 

 

 

すると横井先生の後ろから会計の山崎君が書記の河合さんと一緒に出てきた。

 

山崎「会長、副会長。悩み事があるなら僕たちにも言ってください。頼りないかもしれないけど精一杯お手伝いします!!」

 

河合「私達だけじゃありません。会長達が元気が無いって言って学校中のみんながなんとか力になろうって言ってくれてます。みんな会長達に助けられた人達ばかりですから、こんな時にこそお返しがしたいっていってるんです」

 

 

その言葉にゆっくりと立ち上がり窓の外を見てみると、多くの生徒が口々に同じようなことを言って私達を励ましてくれていた。

 

 

 

男子生徒A「会長元気出してください!!」

 

女子生徒A「いつも相談に乗ってもらってばっかりじゃこっちも心苦しいんです。悩みがあるなら言ってください」

 

女子生徒B「会長達のおかげで、この学校は居心地のいい場所になってるんです。落ち込まれると私達まで落ち込んじゃいそうです」

 

男子生徒B「お願いします。こんな馬鹿な俺たちでも会長のおかげでなんとか人並みになれてるんです。また色々教えてください」

 

 

 

 

その言葉を聞いて私達は嬉しかった。

 

自分たちのやっていたことが無駄ではないとわかったから。

 

多くの人達が私達のおかげで救われたと言ってくれたから。

 

私達はいつの間にか涙を流していた。

 

 

計「みんな、ありがとう」

 

文「ありがとうございます」

 

 

 

 

下校時間

 

 

 

私達は校内の見回りを終え、最後の生徒として下校しようとしていた。

 

そんな中、私達は決意も新たな表情をしているのがお互いにわかった。

 

 

計「私達はみんなのおかげで取り戻せた、自分たちの戦う理由を」

 

文「はい、私達は弱い人達を守るために、みんなの未来のために戦います。ゲームなんて理由でこれ以上人の命を弄ばせません」

 

文はしばらくぶりに聞く凛とした声でそう言った。

 

 

かくいう私も同じ気持ちだった。

 

私はずっと考えていたことを口にした。

 

計「ねえ、考えたんだけど警察に知らせてみない?」

 

 

はっきり言って彼女キュア・ポイントは放っておけない。

 

とは言え、何処の誰かもわからないのでは手の撃ちようが無く必ず後手に回ってしまう。

 

彼女の凶行をこれ以上防ぐためにも、大々的に警察に協力してもらった方がいいと思ったのだ。

 

 

私の言葉に文もしばらく考えていたが

 

文「その方が良さそうですね。事情を説明するのには骨が折れますし、私達のことを話さなくてはいけませんが、ことここに至っては…」

 

決意を固めたような表情で頷いた。

 

 

 

 

確かに事情を説明するには、私達が人を殺したことを説明しなければならない。

 

そうなれば、私達がどう言う目で見られるかも大体想像がつく。

 

でも、それは私も覚悟を決めている。

 

 

 

 

 

決意の表情で校門を出ると、突然呼び止められた。

 

「緑野 計さんに青山 文さんですね」

 

 

計「え? はい」

 

私達を呼ぶ声に振り返ると、そこにいたのはくたびれたスーツを着込んだ三十歳ぐらいの男性だった。

 

 

「私はこういう者なんですがね」

 

そう言ってその人は内ポケットから手帳を取り出した。

 

 

文「け、刑事さんですか!?」

 

そうその手帳、警察手帳にはその人の写真と名前 向田 茂が記されていた。

 

 

計「え、えっと刑事さんが何のご用ですか?」

 

確かにこれから警察に行こうと思っていたところだが、話が唐突すぎて逆に混乱してしまった。

 

 

向田「いや、大したことじゃないんだけどね。君たちも知っているかもしれないけど、数日前に生徒会の悩み相談に行った男子生徒が行方不明になってるんだ。その子の行方を捜査していてね、どうも最後に会ったのが君たちらしいんだが、何か彼に変わったことは無かったかい?」

 

 

その言葉に私達は目を見開いて、顔を見合わせた。

 

確かに私達はその生徒の行方を知っている。

 

でもそれは…

 

 

 

 

 

 

すると文は意を決したように口を開けた。

 

文「知っています。その生徒さんのことを」

 

計「文!!」

 

私は驚いたが

 

 

文「計さん。私達は全てを話すと決めたはずです。私には覚悟は出来ています」

 

文の迷いの無い声に私も腹をくくった。

 

 

計「うん、そうだね。刑事さん、全てをお話しします」

 

 

 

すると刑事さんは戸惑ったように尋ねてきた。

 

向田「おいおい、ホントに知ってるのかい?」

 

文「はい、全てをお話しします」

 

 

 

 

 

 

 

 

私達は自分たちが一度死んだこと。フレアという存在のおかげで生き返ったこと。プリキュアになったこと。ダムドのこと。その力を悪用しているもう一人のプリキュアのこと。彼女に怪物にされた人がここしばらくの大きな事故の犯人であること。当の男子生徒もその怪物にされてしまい、救うことが出来ず見殺しにしてしまったこと。

 

私達は折れそうになる心に必死に鞭を入れ、全てを話した。

 

すると黙って話を聞いていた刑事さんは、静かに口を開いた。

 

 

向田「そうか、怪物が…」

 

計「はいそうなんです!!」

 

文「警察も動いていただけると心強いのですが」

 

私達は必死になって訴えた。

 

 

向田「うむ、実は私もその怪物と戦っているんだ」

 

その言葉に私達の顔に驚きがうかんだ。

 

 

計「えっ?」

 

文「本当ですか?」

 

向田「うむ、なんせ私は仮面ライダーだからね」

 

笑顔でそう言う刑事さんに一瞬訳が分からなかった私達だが、すぐに意味を理解した。

 

 

 

計「あ、あの待ってください。私達は決していい加減なことを言っている訳では…」

 

向田「ははは、わかったわかった。なかなか面白い話だけど大人をからかっちゃ行けないよ」

 

笑いながらそう言う刑事さんに私達は必死に食い下がった。

 

 

文「からかってなどいません。本当の話なんです。こうしている間にももしかしたら彼女がまたゲームなんて嘯いて人を怪物に…」

 

計「見ててください。変身できるんです。プリキュア…」

 

しかし、そんな私達を見て刑事さんは厳しい顔で怒鳴った。

 

 

向田「いい加減にしなさい!! 事故にあった人や行方不明になった男子生徒は現実にいるんだ。遺族の人や行方不明になった子のお母さんやお父さんの気持ちを何だと思っているんだね!!」

 

計「わ、私達はそんなつもりじゃ…」

 

向田「もういいから。もう遅いし送ってあげるから君たちは帰りなさい」

 

 

そう言うと、刑事さんは確かに私達を家の近くまで送ってくれた。

 

 

計「ここまでで大丈夫です」

 

文「ありがとうございました」

 

私と文が力なくそう言うと

 

 

向田「そうか、気をつけて帰りなさい」

 

気遣うように言って刑事さんは帰っていった。

 

 

 

しかし、私達の心は全然晴れなかった。

 

文「どうしてわかってくれないのでしょう」

 

文は今にも泣き出しそうな声で呟いた。

 

 

計「こんな話、誰も信じてくれないってこと? あまりにも現実感がなさ過ぎるから?」

 

私も泣き叫びたい気分だった。

 

 

 

 

 

 

 

歳場警察署

 

 

 

向田「ふう、今日は特に収穫なしか。行方不明とは言え最近物騒だからな。変な事件に巻き込まれていないといいんだが」

 

向田が署に戻り一息ついていると、同僚が呼びかけてきた。

 

 

刑事A「おーい向田。さっきからお前の彼女が待ってるぞ。早く会いにいってやれ」

 

向田「おう、わかった。すぐに行くと伝えてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

一服した後待合室に向かった向田は、ペンライトのようなものをクルクルと回している少女を見つけて声を掛けた。

 

 

向田「久しぶりだね、映子ちゃん」

 

映子「よー刑事さん。久しぶり」

 

とりあえず元気そうな映子を見て、向田は笑顔になった。

 

 

向田「元気そうで良かったよ。ご両親がああなった時は死んだ魚みたいな目をしていたからね」

 

映子「へっ人生は楽しまなきゃ損なんだよ。最近退屈を紛らわせるものが見つかったからな」

 

向田「そうかい、それは何よりだ。 で今日は何の用かな」

 

映子「ああ、あの事件あれから何かわかったことないのかなって思ってさ。ふらっと立ち寄ってみた」

 

映子の言葉に向田は顔を曇らせた。

 

 

 

向田「いや、すまない。君の事件はほとんど進展がない。上層部は時効も近いし迷宮入りとし判断して捜査を打ち切れとも言い出してる」

 

映子「そうか…。仕方ないと言えば仕方ないのかもな…」

 

その言葉に映子も顔を曇らせた。

 

そんな映子を見て向田は本当に申し訳なさそうな顔をして頭を下げた。

 

 

向田「本当に済まない。俺の力不足の所為だ」

 

映子「いや、いいさ。それよりなんかわかったら連絡くれよな」

 

向田「ああ」

 

そう言い残して部屋を出て行った映子を歯がみして見送った。

 

 

向田(あれからもう六年以上経つのか…。早いような長かったような…)

 

向田は六年前のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

当時向田は配属されたばかりの新人刑事であった。

 

そんな彼が初めて担当した事件がある家族が殺害された事件だった。

 

平和な家庭に突然押し入った強盗に夫婦は殺され、当時小学一年生だった映子だけが生き残ったのだった。

 

家族を突然目の前で殺されたその幼い少女は、生ける屍のようになってしまっていた。

 

 

映子「明日、遊園地に行こうって約束してたんだ…。いっぱい遊んで…。ゲームして…。約束してたのに…」

 

周りの様子に一切の反応を示さず、うつろな瞳でそう呟く少女の痛々しさは今なお向田の目に焼き付いていた。

 

 

 

向田「気をしっかり持つんだ。まず今日楽しくなることを考えよう」

 

その言葉に映子は初めて反応を返した。

 

 

映子「今日…」

 

それが嬉しかった向田は必死に続けた。

 

 

向田「そ、そうだ。今日どうやったら楽しく過ごせるかを考えよう。僕も精一杯頑張るから」

 

今にして思えばあまりにもいい加減な言葉だったと向田は思っている。

 

その後身寄りの無かった映子は施設に引き取られることとなったが、それなりに元気にやっているようであり、何かの役に立てたと思うと向田は嬉しかった。

 

それだけに、必死の捜査にも関わらず諸事情により逮捕も出来ないまま捜査を打ち切らなければならないと思うとやり切れなかった。

 

 

 

 

 

その頃映子は帰ったと見せかけて警察署の中を無断でうろついていた。

 

 

映子「やっぱりどう考えてもここまで捜査に進展がないってのは妙なんだよな。頭使うのは苦手だけど推理アドベンチャーゲームってのをやってみましょうかね」

 

 

 

映子はペンライトをクルっと回すと、高々と掲げた。

 

 

 

 

映子「プリキュアソウル・インストール!!」

 

そう叫んでライトのスイッチを入れると、彼女の体は赤黒い光に包まれた。

 

 

ポイント「真っ赤に染まった血の池地獄 キュア・ポイント!!」

 

 

 

 

 

緑野家

 

 

 

私は机に顔をうずめていた。

 

どうして本当のことを誰もわかってくれないのか、そのことに悩んでいたのである。

 

いや、それだけではない。

 

私は心のどこかで、彼女キュア・ポイントをなんとかしたいだけでなく、懺悔をしたいと思っていたのかもしれない。

 

人を殺したこと、相談に真剣に乗ってあげられなかったこと、何も出来ず見殺しにしてしまったこと。

 

それを警察に話すことで少しでも心労を軽くしようとしていたということを理解した。

 

結局私も彼女同様、自分のことしか考えていないのかと思うと情けなくなった。

 

 

 

その時だった。

 

背中に突然悪寒が走った。

 

計「これはまさか?」

 

それと同時に携帯が鳴った。

 

 

計「文、感じた?」

 

文『はい、おそらくまた彼女が』

 

彼女、キュア・ポイントのことを思い浮かべると、この間の彼女の凶行が、自分のふがいなさが心に浮かんだ。

 

 

計「文、行こう。警察もあてに出来ないなら私達でやるしかないよ」

 

文『はい、それでこそ計さんです』

 

私は電話を切ると、心臓に手を当てて叫んだ。

 

 

 

計「プリキュアソウル・インストール!!」

 

緑の光とともに私の体は光に包まれた。

 

次の瞬間、私の体はドレスのようなコスチュームに包まれていた。

 

変身完了とともに私は緑の光の玉になって窓から飛び立った。

 

 

 

 

 

歳場警察署

 

 

 

私とワードは、妙な気配のした場所歳場警察署にたどり着いたとき、目の前に広がる光景に愕然とした。

 

ひっくり返ってめちゃくちゃになったパトカーと崩壊しかけた建物。

 

その建物の瓦礫の下敷きになっている人々と辺り一面に立ちこめる血の匂い。

 

思わず顔をしかめ目を背けたくなったが、それは出来なかった。

 

なぜならば私達の目の前には最も目立つ光景があったから。

 

 

 

 

 

???「ひーっ、ひーっ。も、もう勘弁してくれ、見逃してくれ、許してくれ」

 

一人のかなり偉そうな警察の制服を着た人が、地面に這いつくばり涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、実にみっともない声で命乞いをしていた。

 

 

むろんその命乞いをしていた相手は…。

 

 

ポイント「おいおい、もっとちゃんと逃げろよ。こんな簡単に諦められちゃ面白くないだろ。せっかくのハンティングゲームなんだからさ。ほら十数えるまで待ってやるから。 は〜い、い〜ち、に〜、さ〜ん…」

 

 

 

 

 

 

エグゼ「いい加減にしなさい!!」

 

私はあまりの光景にしばらく呆然としていたが、正気に返るとそう叫んだ。

 

ポイント「ん? おお来たのか。悪いけど今日はお前らと遊べないんだ。このショチョーさんと遊ぶことにしたんでな」

 

ポイントは私の声に反応すると、実に無邪気な笑みを浮かべてそう言った。

 

 

 

その口調には私もワードも癇に障った。

 

ワード「これはゲームなんかじゃありません!! 現実なんです!! 人が死んでるんですよ。何とも思わないんですか!?」

 

ポイント「だってさ。何とも思わなかったんですか。ショチョーさん」

 

エグゼ「あなたのことを言ってるのよ!! 関係ないでしょうその人は!!」

 

 

するとポイントはやれやれといったように首を振って答えた。

 

 

ポイント「関係大有り。あたしとしちゃあさ、はじめは本格推理アドベンチャーのつもりだったんだけどさぁ。ちょこっと力任せに話を聞きにいっただけで、べらべらみっともなくホントのこと話しちゃって、謎解きしゅーりょーってなっちゃってさ。六年越しに大々的に始まったのがチョークソゲーだったんだぜ。わかる? このやり場の無い気持ち。で仕方ないからハンティングゲームに切り替えたんだよ。少しは楽しめるかなと思ってさ」

 

 

 

 

エグゼ「あなたは…あなたは…人間じゃない!!」

 

私は怒りに震えながら吐き捨てるようにそう言った。

 

ポイント「へっよく言うよ。あたしほど人間らしい人間はいないぜ。人は欲望の生き物。あたしはそれに忠実に生きていく。下手に善人面してる奴らよりましだろ」

 

 

ワード「黙りなさい!! そんな物はただの獣です。人間はもっと優しく思いやりのある生き物です」

 

 

ポイント「何も知らない奴のテンプレ台詞だな。だったらルール変更だ。こいつを助けてみろよ。あたしがこいつを殺せたらあたしの勝ち。助けられたらお前らの勝ちだ。さあ〜ゲーム再開だ」

 

そう宣言するや否や署長さんに殴りかかったポイントに対して、私達も慌てて飛び込んでポイントの攻撃を受け止めた。

 

 

エグゼ「早く、早く逃げてください!!」

 

ワード「私達が彼女を押さえている間に早く!!」

 

 

 

 

しかし、完全に腰を抜かしているのかガタガタと震えヒーヒーと息をしており、立ち上がることさえ署長さんはまともに出来ないようだった。

 

ポイント「へっ、権力で肥え太るからほんのちょっと全力疾走しただけでそうなる。金魚みたいに口パクパクしちゃって、股の間までびしょびしょにしてさ。けーさつかん失格ですな」

 

馬鹿にするようにあざ笑うと、ポイントは私達を振りほどくように投げ飛ばした。

 

エグゼ「キャア!」

 

ワード「あうっ!」

 

そのままゆっくりと署長さんの方にポイントは歩を進めて行った。

 

 

 

 

署長「止めろ、来るな。か、金ならやる。だから、だから命だけは助けてくれ」

 

署長さんは必死に命乞いをしていたが、その様はあまりにみっともないものであり、一瞬助けようかという気が失せたが、私はその思いを頭から必死に振り払った。

 

ポイント「けっ、ゲーム感覚で人を殺すのはアンタも公認してることだろ。今更みっともなくわめくなよ」

 

そう吐き捨てポイントは署長さんの胸ぐらをつかんで持ち上げ、拳を握り込んだ。

 

 

 

エグゼ「止めなさいって!!」

 

ワード「言っています!!」

 

私達は必死の思いで飛び込み、ポイントに体当たりをして彼女を大きく吹き飛ばした。

 

 

 

ポイント「ちっ、だったらこれでどうだ。プリキュア…」

 

体勢を崩して転がっていったポイントは、立ち上がると赤黒い光の玉を頭上に掲げた。

 

それを見た私達も負けじと力を込めた。

 

私は目の前で両手を交差させて、ワードは両手首を合わせて腰の後ろにもっていき、力を込め始めた。

 

 

ポイント「プレッシャーボール!!」

 

ポイントは光の玉を私達に向けて投げつけた。

 

 

それに呼応するようにワードは両手を上下に開いた形で前方に突き出し、掌から強烈な水を放出した。

 

ワード「プリキュア・ウォーターバースト!!」

 

 

私もまた、両腕を戸板をこじ開けるように開くと、エックスの形のカマイタチを発生させた。

 

エグゼ「プリキュア・エクストリームスラッシャー!!」

 

 

すると私達の必殺技がぶつかり合って、大爆発を起こした。

 

エグゼ・ワード「「キャアアアア!!」」

 

ポイント「うわあああーっ!!」

 

その爆発に巻き込まれた私達は大きく吹き飛ばされた。

 

 

 

 

ワード「イタタ。大丈夫ですか、エグゼ」

 

ワードが腕を押さえながら立ち上がると、私も腰をさすりながら立ち上がった。

 

エグゼ「うん、なんとか。それよりポイントは…」

 

 

見るとポイントも立ち上がっていたが、かなりダメージは大きく私達よりボロボロになっていた。

 

しかし彼女は嬉しそうにイヤラシげな笑みを浮かべた。

 

 

ポイント「へっへっへっ。今回のゲームは私の勝ちだな」

 

その言葉に慌てて周りを見ると、署長さんは今の爆発に巻き込まれてボロボロになっておりすでに事切れていた。

 

 

 

 

エグゼ「あ…あ…」

 

ワード「そ、そんな…」

 

 

ポイント「けっ、これぞ因果応報ってやつだな」

 

また目の前で人を救うことが出来なかった。その現実に悔しがっていると瓦礫の中からうめき声が聞こえた。

 

その声を聞いた私達は瓦礫の方に走り、必死に瓦礫の山を撤去した。

 

 

エグゼ「助ける!! 絶対に!!」

 

するとその中から出てきたのは昼間会った刑事さんだった。

 

 

エグゼ「あっあなたは…」

 

ワード「しっかりしてください!!」

 

なんとか助け出したもののすでにその刑事さんも虫の息だった。

 

にもかかわらず、うわごとのように何かを必死に呟いていた。

 

 

向田「俺は知っていた、何もかも…。でも我が身可愛さに上からの圧力に屈した。ごめんな…映子ちゃん…ごめんな…」

 

 

 

エグゼ「しっかり、しっかりしてください」

 

私は必死に声を掛けたが、それもむなしく刑事さんもまた事切れた。

 

そんな光景を見て、ポイントはどこか悲しそうな目をしていた。

 

 

ポイント「その言葉、もっと前に聞きたかったよ」

 

そう言い捨てると、彼女は赤黒い球体に変化して飛び去っていった。

 

また人を救うことが出来なかった。その後悔に打ち拉がれている私達を残して。

 

 

 

 

 

しかし、私達は数日後さらに大きなショックを受けることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後の新聞記事より一部抜粋

 

 

「先日謎の爆発事故の起きた歳場警察署だが、調べを進めるうちに新たな事件が判明した。死亡した歳場警察署長が事件のもみ消しを継続的に行っていたらしい疑いがある。例を挙げると、六年前に起きた歳場署管内で発生した強盗事件があるが、その犯人が署長の親族であったため、捜査を進めないように圧力をかけていたというのだ。その親族はその他にも数件同類の事件を起こしており、先日別件の容疑で逮捕された。現在余罪の追及を進めているが、そのほとんどがゲーム感覚の愉快犯らしいということであったらしい事実は、大きな衝撃となっている」

 

 

 

 

 

 

 

 

墓地

 

 

 

映子はしばらくぶりに両親の墓に来ていた。

 

映子「こっちはそれなりに楽しくやってるよ。犯人も取っ捕まったし安心しなよ。しっかし、世の中ってのは何処まで腐ってるんだか。」

 

そうして花を添えた墓前で暫し手を合わせると、映子は立ち上がった。

 

 

映子「っと、ボツボツ小遣いが心もとないんだよね。んじゃま、せびりにいくとしますか」

 

 

 

To be continued…

 

 

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