時は大海賊時代、海賊王ゴールド・ロジャーが遺した「
青い海原、雲1つ無い大空。風は穏やかでまさしく航海日和だ。波に揺られるのは人1人乗れるか乗れないかぐらいの小舟だった。中にはまだほんの10歳程度の子供が横たわっている。服は煤けていてボロいけれどもよくよく見れば良いものだと分かる。子供以外に乗せれるだけの食料が乗っていて、沈まないのが不思議なほど。
日が昇り、雲が少し差し始めた頃、子供は少し唸った。
「うぅ、うー。あ、ここはどこ…?」
頭が痛い。くらくらする。
「お母さま?お父様?…いないの…?」
小さなお舟。お父様が危ないから近付いてはいけないよ、と言っていた。なのになんで私はいるのだろう。
(生きて、カラ。)(生き延びなさい、カラ。)
目を見開く。
「あ、あ、あああああ!いや、いや、なんで!痛い、熱い、止めて‼お母さまを苛めないで、お父様を返して!殺さないで、傷付けないで、ごめんなさい、ごめんなさい‼」
目に浮かぶのは、燃える船、赤く染まるお父様、服を破かれ連れていかれるお母さま。護衛のクロが泣きながら私をこの船に押し込む姿。火が熱くて痛くて怖い。自分だけが逃げるのは嫌なのに、持てるだけの食料と私を詰め込むと、クロは本船に着いている縄を解き放った。波でどんどん押し離されて行く本船は真っ赤に燃え、段々と沈んでいくのが遠目に見えた。離れたくないのに、風は小舟を押し流す。痛くて辛くて何も考えたくない。見たくない。これはただの悪い夢だ。怖くて恐くてどうしようもないけれど、お母さまが起こしてくれる。一緒に寝てくれる。大丈夫。大丈夫。だから、だから…、早く起こして…!目を固くきつく閉じる。早くお母さまが夢から覚ましてくれるのを願って。
涙が流れて止まらない。叫び声が胸をかきむしる手がただただ震え続ける。それをどのくらいしていただろう。太陽はいつの間にか低くなり、喉も体力も枯れてきていた。疲れはてて、動きたくない。頭はぼーっとしていて働かない。ゆっくりと目を閉じた。
目が開いた。丁度日が昇ってきている。辺りはオレンジ色に染まり、どうしよもなく、残酷なまでに美しかった。
(ほら、海って美しいでしょう?)
(うん!きれいだね、お母さま!まるでトパーズみたい!)
(ふふふ、ちゃんと勉強しているのね、偉いわカラ。これなら将来は大商人よ。)
(へへへ、お父様が教えてくれたんだ。宝石はピンからキリまで、上手く見極められないといけないんだって!)
(たくさんお勉強して、お母さま達やクロ達のように立派で勇敢な商人になるんだ!グランドラインにも行って見せるよ!)
(あらあら、なんと勇ましいこと。なら、まずは暗算を上手くならないとね。)
(わ、分かってるよ!もう!)
お母さまの笑い声が話し声が頭に響く。なんでこんなことになってしまったんだろう。皆、皆、いなくなってしまった。胸が痛い。痛いのが止まらないんだ。辛くて苦しくて悲しくて、涙が、…流れた。ああ、本当に美しい。綺麗で、誰もが知る海だった。
それから、寝て、起きて、泣いて、哀しんで、寝て、それを繰り返した。お腹が空いたと感じたのは、泣き疲れて涙も枯れた頃だった。動かない手を無理矢理伸ばして近くの干し肉をかじる。水筒に入った、水を飲む。不味かった。美味しくなんて感じやしない。一緒に食べてくれるお母さまもお父様ももういないんだと思って、また泣いた。それを繰り返しているうちに食べ物は無くなってしまった。
こんな時でもお腹が空くんだ。空腹はとても辛かった。喉も乾いて、苦しくて苦しくて、死にそうなときにそれは流れて来た。小さな宝箱。こつんと音を立てて、船にぶつかった。開けてみたらあったのは不思議な木の実。見たことの無い、変な模様だった。毒があるのかもしれない。でも耐えられなくて、かぶりついた。感じたのは、甘い、渋い、辛い、苦い、酸っぱい、他に有りとあらゆる味をごっちゃ混ぜにしたような味だった。不味くて、吐きそうになる。でも、それしか食べれる物がないから、少しづつ食べた。それでも、足りない。飢えて、耐えるために目を閉じた。眠って今のことを忘れる。それでも、どんな確率か、島にたどり着いたのだ。
はい、始まりました!主人公のカラの旅立ちです!いえ、本当の旅立ちでは無いのですが、彼の生い立ちを語るにおいてはずせないことです。お恥ずかしながら、私は主人公や押しキャラがある程度酷い目に合う話が好きなんです。でも、まあ、その後誰かに救われてハッピーエンドを向かうのはもう必然ですよね!ゆっくりと投稿させて貰うのでゆっくりとお待ち下さい。まあ、待ってくれる人がいると嬉しいかな。
ではこれから、長いお付き合いになることを願って、また今度お会いしましょう。