許嫁は生徒会長   作:高崎瑞希

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許嫁は生徒会長 5

「上がりましたー…」

 

お風呂から出る。あまり安らぐことはできなかったが…

こんな調子でこれからやっていけるのだろうか…そんな考えがなんども頭のなかを走り回る。

そのたびにブンブンと頭を振り、その邪念を振り払う。

こんな弱気じゃきっとできることもできなくなる。

それに咲さんにも愛想をつかされちゃうかもだし…

 

「あ…おかえりなさいっ!」

「え…う、うん。ただいま。」

 

なぜか咲さんは元気一杯だった。僕の姿を見たとたんに立ち上がり、ペコリと頭を下げる。

 

「えっと…なんで立ったの…?」

「あの…座ったままだと…その…見えちゃいそうで…」

「あ…ごめん…」

 

一度見ちゃったからもう何度見ても同じじゃ…なんて思ったがさすがに自粛。そんなこと言ったら…怖っ…

 

「えっと…どうする?」

「え?な、何を?」

「いや…まだ寝るには早いし…どうしよ…テレビでも見る?」

「じ、じゃあお互い自己紹介でもしない?まだお互いのことよく知らないし!じゃあ私からね。改めて…私は天城咲です。」

 

まだ返事してないのに始まってしまった。まぁ他にすることもなかったし…いいか。

 

「誕生日は8月27日。好きなものは…可愛いものかな。小動物をよく眺めてたりするよ。」

 

お、誕生日だ。覚えとかなきゃ。それと…小動物か…猫とか…飼う?

 

「辛いものは…ちょっと苦手…」

 

ほうほう。

 

「それとね…」

 

少しずつ自分について話していく。

僕はそれらを必死に覚えながら聞いていた。

 

「…くらいかな。じゃ、次は樹来君ね。」

「ほい。えっと…一之瀬樹来。………趣味…は…」

 

ヤバ…予想以上に恥ずかしいぞ、これ…

薄着の女の子を前にして話す内容なんて持ち合わせてないんですけども!?

持ってるやつの方が少ないか…

 

「…以上。他に聞きたいことはある?」

 

手短に終わらせた。僕のことなんて聞いてどうにかなるものでもないし。

つまらないだろう。そう思っていたのだが…

 

「はい!つ、付き合うならどんな女の子がいいとか…ありますか!?」

「へ?あ、えっと…可愛い子…とか…?」

「じゃあじゃあ…その子に求めることとかは!?」

「あー…や、優しさ…?」

「他には!?」

「え…」

 

予想以上の食い付きだった。

『聞きたいことはあるか』なんて形だけのフリだったのに。

よく先生が話の最後に『質問ある人はいる?』なんて聞いてくるけど実際に質問するやつはいない。あんな感じのノリだったんだけどな…

 

「そっかー…」

「ま、満足した?」

「うん。ありがとね。」

 

ニコッと微笑む。こういった不意の仕草にドキッとさせられる。本当に…可愛いの一言だな…

 

「あ、もうこんな時間だ。寝ようか。」

 

恥ずかしさを隠すためにわざとらしく時計を見る。

気がつくと時計の長い針は一周してしまっていた。

明日も学校だ。今日は色々あったし早めに休んでおいたほうがいいだろう。

 

「寝る…の…そ、そうだよね…夜だもんね…」

「んー…来客用の布団とかあれば良かったんだけど…ないもんはしょうがないし…咲さん。…咲さん?」

「優しくしてくれるかな…」

「おーい。咲さーん!」

「ふぇ!?な、なに?痛くしないでね?」

「えっと…なに言ってるのかわからないけど…咲さんは僕の布団で寝てもらってもいい?」

「じ、樹来君の布団!?本当に!?」

「う、うん…僕は…あそこでいっか。」

「え?樹来君はどこで寝るつもりなの?」

「僕はオヤジの部屋で寝るよ。たまにしか帰ってこないし…勝手に使っても大丈夫でしょ。」

「ど、どうして…?」

「いや、だってオヤジの部屋はしばらく使ってないからホコリっぽいし。そんな場所で女の子を寝かせるわけにはいかないから。」

「だったら…樹来君だって…

 

うつむいてなにかを言っているようだが…よく聞こえない。

とりあえず寝る場所は決まったんだからまだなにか悩みがあるのなら布団の中で考えてもらえばいいか。

とりあえず寝よう。二年生始まって一日目から遅刻とかありえないからね。

 

「じゃあ電気消すよ。僕の部屋はそこだから、自由に使ってね。」

「ま、待って…」

 

電気を消そうと動こうとしたそのとき、腕をギュッと掴まれた。

 

「え、えっと…」

     

「ごめん。なんて言った…」

「じ、樹来君もお部屋で一緒に寝よう!!!」

「え?えええええ!?!?!?」

 

今何て言った?イッショニ?ネヨウ?ど、どういう意味だ?

一緒に?いやいや咲さんに限ってそんな…うん。きっと聞き間違いだ。そうだ。そうに違いない。

 

「む、無理矢理にでも連れていきます!」

「そうさ…咲さんと一緒になんてそんなバカな…僕の耳はついにいかれてしまったのか…うぅ…まだ若いのに…」

 

ずるずると引っ張られていく。

しかし僕の頭の中はぐるぐると回っていてどこに連れていかれているのかも理解していなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「あの…樹来君…」

「はは…は…あ?あれ?咲さんが目の前に…ん?」

 

気がつくと僕の目の前には咲さんがいた。

そして僕たちは同じ布団を被っている。つまり…一緒に寝ている!!!

 

「あれ!?な、なんで…」

「その…落ちそうだからもっと近づいてもいい…?」

「ふぇ?あ、あぁ…もちろん…」

 

いいわけないだろ!

そりゃあこの布団はシングルサイズだ。僕一人で使う用なのだから二人入れば狭いだろう。

だから多少はくっつかなければ入らない…のだが…

 

「あの…咲さん?」

「えへへ…温かい…」

 

今、僕と咲さんの距離は0センチ。僕と咲さんは向かい合って寝ている。その状態で距離0センチということは…?

そう。僕の胸の中にすっぽりと咲さんがはまっている…!

多少くっつくレベルではない。もはや密着である!

控えめだが柔らかい胸が押し付けられていて、どんどん鼓動が速くなっていくのがわかる。

それと同時に咲さんがすごくドキドキしているのも伝わってくる。

 

「あの…もう少し離れた方が…」

「ん…もう少し…」

 

しかし離してくれる素振りは見せない。

仕方ない。眠ったらゆっくり離れてオヤジの部屋へ行こう。

そう思っていた。

 

…気がつくと彼女の腕が僕の腰に巻き付いていた。

足も絡み合ってしまっている。思いっきり抱きつかれているのだ。

ヤバイ…柔らかすぎる…なんで女の子はどこもかしこもこんなに柔らかいんだ…?

これはマズイ。なにが、とは言わないが息子の状態が非常にマズイ。

急いで脱出しなければ…!起こさないように…そっと…

 

「んぅ…」

「~~~!!!」

 

ゆ、指がなにかにダイレクトに…!

そうだ…咲さん下着着けてないって言ってた…上も下も…!

う、動けねぇ…

 

 

動けば僕の胸に顔を埋めた咲さんの声がすぐそこから聞こえてくる。

さらに…絶対に触ってはいけない場所を刺激してしまう可能性もある。

僕は体を固くして絶対に動かないようにしたまま、悶々としながらひたすら明日の朝を待ったのだった…

 

 

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