許嫁は生徒会長   作:高崎瑞希

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なにやら迷走中の瑞希です。
書き方…これで合ってるのかな…なんて思ったので変えてみました。
具体的に言うと…地の文を増やしました。その分展開は遅くなりました。そして文字数は増えました。
どうかな…前と今回と…どちらがいいのかね…
できれば…思ったことを教えてもらえると…今後に役立つ…ので…よろしく。





許嫁は生徒会長 8

教室には多くの生徒が残っている。

にも関わらず教室はシーンとしている。

聞こえるのは自分の鼓動の音のみ。今までにないほど高まっている。

視界には多くの人が映っている。しかし焦点があっているのは目の前の女の子一人だけ。

 

「ど、どうしたの?」

 

驚いた顔を見せている。それはそうだ。自分自身も驚いている。

たった一日でもこんな美少女と生活を共にできたことに。

 

「話があるんだ。」

 

同じ言葉を繰り返す。

静かな教室に僕の声が響く。

 

真剣な様子が伝わったのだろうか。天城さんはいつもの笑顔ではなく真顔で対応してくれた。

 

「わかった。じゃあ…」

 

 

 

 

 

「学級委員会の後でね。」

 

 

 

 

 

ずっと考え事をしていた僕は知らなかった。

どうやら天城さんは生徒会長なのに学級代表にもなったらしい。

学級代表とはクラスの代表。天城さんなら問題なくこなせるだろう。

ただ…問題は…

 

 

 

「学級委員会、行こう。」

 

 

僕も学級代表になっていたことだ…

考えごとをしている間に擦り付けられたらしい。

天城さんと一緒なのだから皆やりたいだろうに…さすがに代表は面倒くさかったのだろうか

天城さんと並んで指定の場所へ移動する。

 

「………」

「………」

 

沈黙が辛い。

昨日はあんなに積極的に話しかけてくれた天城さんが黙っている。

慎ましい感じでいつもとは違う可愛さ…というか美しさがある。

クールビューティ…絵になるね…

 

「どうしたの?」

「うぇ?いや、別に…」

 

ジロジロ見ていたのがばれた。

慌てて視線を前に戻す。

 

「………」

「………」

 

再び沈黙が襲う。

心なしか顔も下がる。横は見れない。天城さんがチラチラとこちらを見ているのがわかっていたから。

今の『どうしたの?』から話を広げるべきだったのかもしれない。

でも…今は廊下を歩いている。

たくさんの生徒ともすれ違う。こんなところでは話ができるわけがない。

 

「あ、ここだね。入ろう。」

「うん…」

 

三年生の教室についた。

ドアを開ける。もう何人かは集まっていた。彼らの目線がこちらを向く。そして微笑んでくれた。

おそらくは横にいる天城さんに対してだろう。僕は人から微笑んでもらえるような見た目ではない。どちらかというと鼻で笑われるタイプだ。

 

「2-3だね。席はここだよ。」

 

一人の男の人に話しかけられた。黒髪で黒い眼鏡をかけている。どこかで見たような…って前の生徒会長じゃん。

なに?生徒会長は学級代表もしなきゃいけない決まりでもあるのか?

 

続々と人が入ってくる。教室の1/4ほどが埋まる。

 

「よし、揃ったみたいだね。じゃあ引き継ぎ会を始めようか。」

 

どうやら引き継ぎらしい。まだ新学期が始まったばかりだというのにもう三年生はいなくなるのか。

受験の準備とかかな。

 

「俺は新庄隼人。一年生ははじめましてかな。前生徒会長および現学級委員長です。よろしくね。」

 

ぱちぱちと拍手の音がまばらに聞こえてくる。

僕も手を叩く。空気を読まないと目立ってしまうからだ。これは一年間を通して感じた僕の経験談。

 

「今日は特に話すこともないし…それぞれの自己紹介と新しい学級委員長を決めたら終わりでいいかな。じゃあ俺から時計回りで。」

「じゃあ私からだね。私は…」

 

次々と自己紹介が進んでいく。

ついに僕の横まで来た。

 

「2-3の天城咲です。今年は生徒会長もやらせていただいています。」

 

淡々と話し始める。僕が最初に天城さんを見たときのような話し方。

外面を気にした…って言い方をするとあれだけど…心からの笑顔ではなく、笑わなければならないから、という理由で笑っている…という感じだ。

一日だけでも共に過ごした。家で見せてくれたあの笑顔は心からの笑顔だった。絶対に…とは言わないが僕の観察眼はそう言っている。

 

「以上です。よろしくお願いします。」

 

ペコリ、と頭を下げる。

周りからは拍手。次は僕の番だ。

 

「えっと…同じく2-3の一ノ瀬樹来です。よろしくお願いします。」

 

そんなに話すことはない。名前だけ言っておけば大丈夫だろう。

なにより、今はあまり話す気分ではない。

このあと僕は…

 

「私は…」

 

次のクラスへと続いていく。

役目が終わった僕はひたすらに窓から差し込む日光が机に反射する様子を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

「よし、これで自己紹介は終わりだね。

それじゃあ次は代表を…」

「やります。」

 

声が上がる。すぐ横で影が動く。

声を出したのは…手を上げたのは天城さんだ。

 

「そっか。じゃあ次は天城さんに任せるよ。よろしくね。」

「はい。私にできる精一杯の力で頑張ります。」

「ははは、もっと肩の力抜いてさ。楽にしていいよ。そんなに仕事とかあるわけじゃないし。」

 

元代表さんは笑っていた。

だがこちらは笑える状況ではない。まぁ僕に対して笑っている訳ではないから別に笑わなくてもいいか。

 

「じゃあ今日の集会は終わり。解散!」

 

終わった。特に何をすることもなくあっさりと。

予期していなかった唐突な終わりに少し焦る。

これが終わる、ということは天城さんと話をする、ということだ。

心の準備…してたはずなんだけどな…

 

 

 

 

 

 

 

荷物を取りに教室へ向かう。

そして玄関を経由し帰り道。

 

「天城さん…今日は家に帰るんだよね?」

「うん…でも…やっぱりいい。今日もお世話になっていいかな…?」

「いや、それは…」

 

ダメだ。そう言おうとしたのだが…

外気にさらされていた右手が暖かくなる。

くいっ…と後ろに引かれた。前に進むことを遮られた僕はその場に立ち止まり後ろを向いた。

そこには僕の手を遠慮がちに握る彼女の姿が。顔は赤く染まっている。

 

「ダメ…かな…?」

「っ…!いや、それは…」

 

目尻がキラリと光るのが見えた。

男は女の涙に弱い…とよく聞くが本当にその通りだ。『ダメ』という一言が涙一粒によって封じられた。

 

「…わかった。」

「よかった…じゃあ…帰ろ?」

 

彼女は立ち止まっている僕よりも前を歩き始める。

慌てて横に並ぶ。そうしないとどんどん引っ張られていくから。

 

「ねぇ、天城さん。」

「………」

 

まっすぐ前を見たまま返事をしてくれない。

 

「あの…天城…さん…?」

「名前…」

「え?」

 

今…なんて…?

 

顔は前を向いたまま横目にこちらをちらちらと見ている。

その様子はとても可愛らしくいつまでも見ていたいと思わなくもないのだが…

今僕は手を握られ、引っ張られている。

まだ人目もある帰り道。明日からのことを考えると今すぐにでも離してもらわなければ。

 

「離してもらえないかな…」

「やだ。」

 

歩くスピードが上がる。また前に引っ張られる。

 

「ちょ…待って…」

 

もはや走っている。

どんどん引っ張られていく。僕は帰宅部だ。天城さんが何部なのかは知らないが僕よりは体力がある。

 

「はぁ…はぁ…」

 

言葉が出てこない。口を開けば自分の息だけが吐き出される。

天城さんの顔は見えないが、まだ余裕そうな雰囲気が漂ってくる。これはまずい。バス停に着く前に死にそう…

 

走ること一分ほど。やっとバス停が見えた。

今日は部活もなく、他の生徒たちは通常の時間に帰っている。

しかし僕たちは委員会で学校に残っていた。

その時間差もあり、いつもなら数人の生徒がいるバス停には誰もいなかった。

 

「やっと着いた…休め…え?なんで…」

「走るから。」

「はぃ…?なん…で…?」

 

息も絶え絶えになりながら尋ねる。これ以上走ると本当にお腹の中身がこんにちわしてしまう。つまり…吐く。間違いなく。

 

「今は走りたいの。」

「じゃあ…一人…で…」

「行くよ。」

 

僕たちは本来ならバスを使う距離を走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ…ぜぇ…」

 

呼吸の仕方を忘れた…これで合ってたっけ…?

 

「お風呂と…昨日の服借りるね。」

「はぃ…どうぞ…げほっ…」

 

大分加減はしてくれたのだろう。

ゆっくりと走りつづけてやっと家に帰ってきた。

まだ普通に話せてる天城さんはさすが…もしかして陸上部とか…?いや、体育会系ならこれくらい余裕なのか…?

 

ザー…という音が聞こえる。

昨日は覗き…もといお風呂が洗えているか確認に行ったが…今はこれ以上動きたくない。

というか動けない。このままソファーで寝ても明日まで安眠できるほど疲れきっている。足パンパン。明日歩けるかな…

 

大分呼吸も整ってきた。頭も正常に働く。閉まりそうなまぶたを必死に持ち上げ、思考放棄しそうな脳を回転させる。

これからどうすればいいのか。僕はどうするべきなのか。

 

プツン、と音がした。僕はソファーに倒れこみ、その柔らかさに包まれたまま眠りに落ちた。

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