Blood Eye~混沌~   作:yatenyue

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《弐》再びの出会い そして裏切り  2.5

2.5

 

そこに"彼女"はいた。

 

1本の桜と炎に囲まれた暗闇の中で。1人ぽつんと

 

"彼女"の姿は限りなく鬼凜に似ていて、

 

しかし何か違う、神々しい力を感じる。

 

「月華(ツキカ)。お前の予知通りになったな。

 

絶対お前の子孫は守ってやるからな」

 

そうつぶやく。

 

‘月華’

 

それは鬼凜の父・悠馬の叔母であり、前の適合

者であった。

 

そして鬼凜と同じように強い異能を持っていた。

 

 

"彼女"を顕現こそできなかったが、対話はできた。

 

鬼凜の異能を精神感応とするなら、月華の異能は予知。

 

だからこそ月華は、自分の予知を信じ、鬼凜に全てを託したのだ。

 

天女も…

 

そして神野家も…

 

『あいつも来てくれるといいけど』

 

自分がどれだけ辛いことをあの子に鬼凜に強いているか、彼女は知っている。

 

 

あの子・鬼凜に心がないわけがない。

 

あの子は裏切られるのが怖くて、

 

自分の殻に篭っているとても傷付きやすく、

壊れやすい子。

 

でも…信じているから

 

彼女自身を

 

そして彼らを

 

 

 

 

鬼凜達2人は約束した公園にいた。

 

「ウェル、.ありがとう。信じてくれて」

 

鬼凜はウェルから顔をそむけて言う。

 

その顔は少し恥ずかしそうだ。

 

おそらく年上なのに自分が説明の時取り乱してしまったからだろうが。

 

1台の車が公園の前に止まる。

 

黒髪茶瞳、典型的な日本人の容姿を持つ鬼凜の兄・戒がその中から降りてくる

 

 

「今更だろ鬼凜、ほらあれが兄貴だろ」

 

ウェルが言う。少しだけ嫌な予感がした

 

 

この後起こったことを考えると

 

 

       あの時止めておけばよかったかもしれないと   想う

 

 

「鬼凜っっ何もなかったかい?」

 

「戒兄うん大丈夫だよ」

 

最も安心したと言うような笑顔を鬼凜はする。

 

「そう…じゃあフェリアは大丈夫かい?」

 

「フェリア?」

 

知らない名前のはずなのに

体が

 

躯が

 

    熱い

 

戒の顔はいつもと同じ笑顔のハズなのに、冷たい印象を感じる。

 

 

 

    キミ

「そうか鬼凜は知らなかったっけ」

 

"彼女"は想う

 

これは必然だと

 

鬼凜は自分の心の何処かで聞くのを止めるオトが聴こえた気がした。

 

 

 

聴いちゃだめ

 

 

 

「天女フェリアのことを。

 

"良い"お兄さんの振りも大変だったね。

 

でも今日でそれは終りだ。」

 

ピキッ

 

鬼凜の内で硝子がオトを発てて割れた。

 

その破片は少女を傷付ける

 

 

「嘘…だよね、戒兄」

 

鬼凜の手から

 

自分にとってただ一つの大事なものが零れ落ちる。

 

 キミ

「鬼凜の役目は終わった。

 

フェリアの器をよく守ってくれたね。

 

     キミ    

でももう鬼凜は必要ない。

 

フェリアの器になれ」

 

最後の心の箍(タガ)が切れる

 

彼女の心はバランスを失い堕  ち   る

 

 

黒白の闇に

 

 

鬼凜の世界がコワレる

 

「っ――――――!!」

 

声に鳴らない叫びが

 

絶望に満ちた絶叫が

 

響く

 

莫大な力が爆発的勢いで放出される。

 

 

「・鬼凜っ大丈夫か?」

 

少し離れた所にいたウェルヒムは流石に異変に気付き鬼凜に駆け寄った。

 

近づきしゃがみ込んでいた鬼凜を支えるが

 

 

「―」

 

鬼凜は言葉も反応もなくただ一筋の涙を零すだけだった。

 

まるで壊れた人形のように

 

 

ドクンッ

 

鬼凜の内で心臓とは別のどこかで何かが響く。

 

何かに共鳴するように強く激しく

 

鬼凜

 

今は眠りなさい

 

自分自身を傷つけないで

 

鬼凜の意識は奥深くへと遠ざかる。

 

 

「って、てめぇ自分の妹に何をしやがった。」

 

ウェルヒムの激しい怒りに満ちた声をものともせず、

 

「もう要らないと言っただけだよ。

 

僕に必要なのは、天女フェリアだけだよ。」

 

 

どこか狂気じみた狂った笑みを浮かべる戒。

 

「そんなこといいやがったのか。」

 

鬼凜の、兄に会えると喜んでいた顔が

 

「この鬼凜に」

 

信頼仕切った顔が

 

頭をよぎる。

 

「絶対に許さねぇ」

 

一瞬ウェルヒムの瞳がいっそう藍帯びたように感じた。

 

 

 

 

 

ウェルヒムに支えられていた鬼凜の躯が動き出す。

 

『・・招待するにはいささか乱暴ですね。刈野戒』

 

漆黒の髪は朱に染まる

 

「あぁ…会いたかったよ天女フェリア

 

そのために何年根回ししたことか」

 

恍惚とした声で

 

熱烈な告白のような

 

しかし少し狂ったような

 

その言葉。

 

 

「あんた、誰?鬼凜じゃないよな。

 

鬼凜はどうした?」

 

ウェルヒムは言った。

 

わずか数日過ごしただけで分かる。

 

"彼女"と鬼凜の違いが

 

「まだみたいねまぁ当然か」

 

"彼女"は小声で何か言った後応えた。

 

『一応天女フェリアと呼ばれてる。

 

あれがいなくなったら、名(メイ)も教えてあげる。

 

鬼凜は今私の、いえ私たちの空間にいるわ。

 

半強制的に眠らせたわ。

 

まだこの躯完全に回復し切っていないのに…

 

無理させないようにさっさと終わら…っ』

 

 

がくっと"彼女"は膝をつく

 

 

『何‥?これは早過ぎる、まさか…』

 

戒は笑みを浮かべながら言う。

 

「さっき"適合者"につけた即効性の皮膚透過性の麻痺毒がやっと効いて来たようですね。

 

さぁ奥之院に入って頂きますよ」

 

戒は"彼女"の腕を掴もうとした。

 

威嚇するかのように影のように薄い炎が、立ちはだかる。

 

『‥鬼凜を奥之院なんかにやるものですか』

 

“ごめん。まだ本調子じゃないだろうけど誰か‥”

 

 

"彼女"は心の中でこう言い2つの言霊を思う。

 

 

突如

 

風が吹き荒れた

 

 

現れたのは一人の青年(だろう。多分)

 

そう、歩道橋の時に会った3人のうちの一人、のハズだ。

 

というのも蒼いや水色の瞳は変わっていないが、

黄金のようだった金の髪は白金(プラチナ)いや白銀と言うべき色に変わっている。

 

『‥来てくれたのね‥』

 

〔当たり前だろ〕

 

あの時と同じはずなのにどこか違う声。

 

〔さっさとここでるぞ〕

 

ウェルと"彼女"、"彼"を

 

風が包み、そして消えた。

 

 

 

立ち尽くした戒は呟く。

 

「もしかして風の天女"空"(ソラ)だったのか?

 

まさか風の天女まで適合者が出ているなんて」

 

携帯電話を取り出しある所へと電話をかけ

る。

 

【"おい、適合者もう一人発見。

 

すぐにだれか調べろ。おそらく20前後の男か男顔の女だろう。

髪は白金だったがこれは意識するな。

 

なんならクラッキングしてこの公園の監視カメラを調べてもかまわない。

 

揉み消すからね。

 

データが集まり次第連絡しろ必ず探し出せ。

 

月の女神(アルテミス)の名の下に"】

 

 

【"はっ"】

 

 

さあ、

世界をも巻き込み揺るがす愛憎の物語が始まる。

 

怒りと

 

    憎しみと

 

         痛みと

 

哀しみと

 

    愛しさと

 

        優しさと

 

慈しみ

 

 

様々な感情とともに

 

絆と記憶が混じり合う。

 

鍵は3つ集まった。

 

 

 

真実と偽りが

 

入り混じる。

 

その手に掴むのは

 

絶望か?

 

希望か?

 

絶望に囚われた少女は

 

自らの心の闇に閉じこもる

 

 

それを救うのはいったい誰か?

 

 

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