東方龍球伝   作:清川 明希

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この世界の正体 第125話

ガッシリと握手を握りしめた霊夢と勇儀。

種族がどうであろうと2人にとってすでに敵という概念は無くなっていた。

 

2人の手が離れると同時に声をあげる勇儀。

 

勇儀「そういえばまだ名前を聞いていなかったな」

不意に勇儀が霊夢にそう質問をした。

そういえばそうである。

霊夢は、「あ、そうだったわね」と今更ながら思い出した。

 

霊夢「私の名前は博麗霊夢。博麗神社の巫女よ。そして、横にいるこいつは霧雨魔理沙」

 

霊夢がそう告げると横から挨拶がわりにニヤッと笑顔を浮かべる魔理沙。

勇儀は改めて2人の顔を見直す。

 

勇儀「霊夢に魔理沙だな!よし、覚えた」

 

とりあえず、名前を早々と覚えた勇儀。

そして、続いて自分の自己紹介をするのであった。

 

勇儀「もうわかっていると思うが一様言っておくと私の名前は勇儀。星熊勇儀さ」

 

盃を掲げながら自己紹介を済ませる勇儀。

その時の表情からはまさに強者と感じ取れる威圧感が感じ取れた。

霊夢は、この時こいつが敵意丸出しの妖怪じゃなかったことに少し感謝する。

と、そんな強張ったことを考えていると勇儀はもう一つ霊夢に質問して来た。

 

勇儀「そういえば、霊夢達はどうしてこんなところにいるんだい?ここは、普通人間が来るべき場所じゃないはずだが?」

 

頭にクエスチョンマークを浮かべたかのような表情で尋ねてくる勇儀。

確かに勇儀にとっては突如現れた謎の人間である。

不思議に思って当然なのだ。

 

勿論、霊夢は特に敵でもないであろうし情報が更に手に入るかもしれないと簡単に解釈し今の自分達の状況を洗いざらい勇儀に説明をした。

 

 

〜霊夢説明中〜

 

 

長い説明を終える霊夢。

勇儀は、顎に手を当て「なるほどな」と考え込む仕草をする。

 

霊夢「私達自身、まだこの異変に関する情報はあまり集める事が出来ていないわ。だから、もし、知っていることがあれば教えて欲しいの。ここは、一体どこなのか?そして、その間欠泉を作り出した人物は一体誰なのか?」

 

真剣な眼差しで勇儀を見つめる霊夢。

そんな、霊夢の気持ちに惹かれたのか勇儀は少し霊夢の質問に口を開いてくれた。

 

勇儀「まず、一つ確信を持って説明出来ることといったらこの世界だな」

 

そう告げると周りをグルッと見渡す勇儀。

霊夢と魔理沙まそんな勇儀につられて周りを見渡した。

 

勇儀「先に結論から言わせてもらうがここは旧地獄という元々地獄だった場所さ」

 

その瞬間、霊夢と魔理沙の目の焦点が勇儀の目に集まった。

 

霊夢「じ、地獄ですって!」

魔理沙「おいおい、マジかよ!」

 

明らかに動揺する2人。

まあ、無理もないであろう。

なぜなら、自分達が今立っている場所が元々地獄と呼ばれた場所なのだから…。

しかし、勇儀は霊夢達が動揺するのは想定内だったのか黙々と説明を続けた。

 

勇儀「かなり昔の事だけど地獄をコンパクト化しようっていう計画が行われちゃってね。その時に区切られちまったのさ」

 

少し悲しげな表情を浮かべる勇儀。

確かにその地獄のコンパクト化か何かは知らないが除け者にされたようなものには変わりない。

少し悲しげになってもしょうがないのである。

 

霊夢と魔理沙もようやく落ち着きを取り戻し自分達が今いる場所の重みを知ることができた。

少し勇儀には、辛いことを思い出させてしまったのではないかと反省する反面ここの世界の手がかりを少し手に入れることができたという達成感も感じることができた。

 

霊夢「少し苦い過去を振り返らせちゃったわね。ごめんなさい。でも、あなたのおかげで少し情報を知ることができたわ。ありがとう」

 

勇儀に笑顔でお礼をいう霊夢。

そんな霊夢に対して感謝されるのに慣れていないのか勇儀は少し頰を赤らめた。

 

勇儀「ああ、別に良いってことよ!あと、お前達がいってた間欠泉だが少し怪しい奴らを思い出したぜ」

 

その言葉な霊夢と魔理沙の目が光る。

 

霊夢「なんですって?」

 

思わず口から言葉が漏れる霊夢。

霊夢はそのまま勇儀に尋ねた。

 

霊夢「そいつらって一体!」

 

正直、いきなりそこまでの手がかりは掴めないであろう。

霊夢は、そう考えていたのである。

しかし、ラッキーなことにその手がかりは目の前の者が持っているのである。

これを逃すすべはない。

 

勇儀「そんなに慌てんなって、教えてやるからよ」

 

興奮する霊夢を抑えこむような優しい口調で告げる勇儀。

勇儀の言葉で「はっ」としたのか霊夢は自分が取り乱したのを恥と思いすぐに冷静さを取り戻す。

 

霊夢「ごめんなさい。少し取り乱したわ」

 

冷静さを取り戻した霊夢。

恐らく、さっさとここから抜けたいという早々としてしまった気持ちが巻き起こしたのであろう。

霊夢が落ち着いたのを確認すると勇儀はゆっくりと口を開いた。

 

しかし…。

 

勇儀「……」

 

一体、どうしたのだろうか。

勇儀は何も告げることなく口を閉じてしまった。

 

霊夢「ん?どうしたの黙っちゃって?」

 

急に言葉を吐き出すのをやめた勇儀を不審に思う霊夢。

一体、勇儀はどうしたのだろうか?

 

勇儀「いや、別にどうってわけじゃないんだが少し頼みごとをしたくなってな」

 

霊夢「頼みごと?」

 

勇儀の発言に首をかしげる霊夢と魔理沙。

その反応を確認した勇儀は更に言葉を吐く。

 

勇儀「頼みといっても単純なことだし、もし、私の頼みごとを聞いてくれるっていうんなら心当たりがある奴らについて教えてやる」

 

唐突な勇儀の発言に霊夢と魔理沙はお互い顔を見つめあった。

どうやら、お互いの解答を確認しあったのである。

 

霊夢「まあ、確かにこのまま私たちばかり教えてもらうのも申し訳ないしね」

魔理沙「だな」

 

どうやら、2人は勇儀の頼みを聞くことにしたようだ。

 

霊夢「いいわ。なんでも言って私達に出来ることならなんでもするわ」

 

その台詞を聞いた瞬間、満面の笑みを浮かべる勇儀。

どうやら、余程嬉しかったようだ。

 

勇儀「そうか!聞いてくれるのか!」

 

テンションが上がっていく勇儀。

 

魔理沙「ああ、ただ単純なのにしてくれよ」

 

一様、勇儀に警告しておく魔理沙。

まあ、確かにこれで不可能に近いことを言われても困ってしまう。

これは、正しい判断であろう。

 

勇儀「それぐらいわかってるさ」

 

ルンルンとした気分で告げる勇儀。

どうやら、余程求めていた願いなのであろう。

霊夢と魔理沙は黙ってその頼みごとの内容を聞いた。

 

勇儀「それじゃあ、私と戦ってくれよ!」

 

霊夢「え?」

魔理沙「え?」

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