俺ガイル。if 〜比企谷八幡の『本物』〜   作:神代時雨

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初めまして。神代時雨です!ハーメルンでは初めての作品なので、上手く描けるか分かりませんが誤字等あれば指摘していただけると幸いです。

因みにこの話の時間軸は夏休み終わってすぐの、9月の第1週です。それでは長くなりましたが本編をどうぞ。


第1章
1.そして、比企谷八幡は何かを感じ始める。


ふと気がつくと、夕暮れの公園に俺は1人で立っていた。

周囲に人の気配はない。

なぜ自分がここに居るのかもわからない。

 

「おーい!ハッチー!!」

 

人の気配すらしなかった公園にいきなり誰かの声が響いた。

声の方向を見ると、3人の少年が道路で公園の方を向いて手招きをしていた。

 

「何やってるんだよー!ハッチーも早く行こうぜ!」

 

刹那、嫌な予感がした。

3人の少年が道路を歩いて進んで行く。

ダメだ。

行ってはいけない。

自分の直感が危険信号を発している。

嫌な予感はさらに増していく。

3人の進む道の先から、黒い影のようなものが近づいて来る。

ダメだ。

逃げろ。

行ってはダメだ。

頭の中では出てくるのに声が出ない。

そして次第に黒い影は大きくなっていき、3人の少年はその影に…

 

・・・・・

 

 

「…谷、おい起きろ比企谷」

 

ふと気がつくと、いつもの教室にいた。

周囲のクラスメートの視線が俺に注がれている。

 

「あの、平塚先生。一体何が…」

 

俺が不意にそう呟く。

 

「ほう。私の授業であそこまでぐっすりと寝て、寝言まで言ったくせにとぼけるとは良い度胸だな」

 

その言葉と同時に次第に意識が覚醒して、周囲の状況を認識し始める。

机の跡がついて妙に痛い肘とノートについたヨダレの跡が目に入る。

あ、俺寝てたのか。

ってか寝言って一体何を言ったんだ俺。

こんな所で新たな黒歴史とか作りたくねーよ。

というか、俺の場合学校生活そのものが黒歴史みたいなものだから関係なかったわ。

寝言のことを鬱陶しい友達にからかわれたりすることもないし、やっぱりぼっちが最強なんだよなぁ。

 

「なにをぼけっとしている。ほら、早く教科書の132ページを開け。あと比企谷、昼食を済ませたら職員室に来たまえ」

 

平塚先生はやや怒り気味で授業の続きを始めた。

そんな先生の態度に直感的に思う。

あっ、これヤバイやつだ。

それにしてもどんな夢を見てたんだ俺。

夢の事を必死に思い出そうとした時、ふと違和感を覚える。

それは、何か大切なものを置き去りにしてきてしまったかもしれないような、そんな感覚だ。

わかりやすく言えば、喉に刺さった魚の小骨が取れずにイライラするような、そんな違和感。

そんなことを考えながら、9月と言ってもまだ日差しの強い窓の外を眺めていると、再び教壇の平塚先生と目が合う。

 

「おい比企谷。昼寝の次は余所見とは、とても良い度胸だな。職員室で覚悟しておけよ」

 

そんな先生の一言に背筋が凍る。

あっヤバイこれ本格的に殺される。

そう感じた俺は、今ある違和感は後で考えることにして授業に集中することにした。

 

昼休み、いつものベストプレイスで昼食を食べながら、どんな夢を見たのか、この違和感はなんなのかと再考する。

が、正直に言うと何も分からない。

心どこかに、何か大切なものを押し込んで忘れているような気がしなくも無い。

だが、それが何なのか。

そして何故、今日のこのタイミングでこの違和感が出て来たのか。

結局の所、昼休みの俺の思考の中で結論と呼べるものは何一つ出てこず、謎が増えるばかりだった。

 

昼食を取った俺は平塚先生に言われた通りに職員室へ向かう。

 

「失礼します。2年F組の比企谷八幡です。平塚先生に用があって来ました」

 

その言葉を聞いたのか、平塚先生がこちらに気付く。

 

「ようやく来たか。まぁとりあえず、座れ」

 

俺は言われた通りに椅子に座る。

昼寝のことで怒られると身構えていたが、平塚先生の口からは意外な言葉が発せられた。

 

「比企谷。お前、大丈夫か?」

 

「は?」

 

あまりに予想していなかった質問に、つい反射的に反応してしまう。

 

「教員に向かってその態度はなんだ。そんなに私のセカンドブリットをくらいたいのか?」

 

「い、いえそんな訳じゃ…。ただ怒られると思っていたので意外で」

 

俺がそう言うと平塚先生は眉をひそめる。

 

「私が少しも怒っていないように見えるのならお前の目は前以上に腐っているぞ。私はまだ怒っているし、寝たことに関してはきっちり内申点を下げておいた」

 

ちくしょう、余計な事を。

 

「ただ、寝ている時のお前がとても辛そうな顔をしていてな。少し心配になったんだ。最近何かあったのか?」

 

どうやら寝ている時、俺は辛そうにしていたらしい。

しかし、今の俺からすれば何故辛そうにしていたのかが理解できない。

 

「最近何かあったのかと言われましても心当たりはないですし、そもそもどんな夢を見たのかも全く覚えていなくて….。そう言えば、俺はどんな寝言を言っていたんですか?」

 

それを聞くと平塚先生は怪訝な顔をする。

 

「本当に覚えていないのか?お前は教室内に響くような大声で「逃げろ」と叫んだんだぞ?」

 

え?

理解が追いつかない。

え?

俺大声でしかもそんなこと言ったの??

マジかよなんも覚えてねぇよ。

てか本当にどんな夢を見ていたんだよ俺。

どおりでクラス中から視線を向けられる訳だ。

ならさっき由比ヶ浜と戸塚が「ヒッキー(八幡)大丈夫?」って心配聞きに来たのはそういう事か。

訳分からなかったからラブリーマイエンジェル戸塚たんにまで真面目な顔で「は?」とか言っちゃったよやばいどうしよう。

そして心配そうな目で俺を見てくれてた戸塚マジ天使結婚しよう。

でも本当に今後どうしよう。

この事でいじられて俺のプロぼっちライフが色々な意味で壊されたりしないよね?

ていうかこれ新たな黒歴史確定じゃんどうしよう。

そんな、明らかに焦っている俺を見て平塚先生は言う。

 

「ま、まぁ何もないならいい。誰だって辛い夢を見ることはあるしな。私なんかこの前また婚活に成功する夢を見てな。起きて夢だとわかったときは本当に辛かった」

 

平塚先生が本当に辛そうに言う。

っていうか本当に誰かもらってあげて。

 

「ただ、本当に辛い時が来たらいつでも相談に乗ってやるから遠慮せずに言いたまえ。何度も言うが、私は君たちの教師だからな」

 

こちらを見ながら平塚先生は得意げに言う。

平塚先生がやけに頼もしく見えた。

 

「ありがとうございます。では、失礼しました」

 

「ああ。それと、午後の授業は寝るなよ?」

 

俺が話を切り上げようとすると、平塚先生に釘を刺される。

午後の数学の授業の時にいろいろ考えようと思っていた俺は内心でギクリとしながらも、平塚先生を一瞥して職員室を後にした。

職員室を出た俺は、廊下を歩きながら大きなため息をつく。

わざわざ釘を刺さなくたって、午後の数学の授業なんて俺じゃなくても寝てるだろ。

大体、人間誰しも満腹状態の時にわけのわからないものを見せられても眠くなるだけで何も学べない。

数学のいつもの貴重な睡眠時間が…。

心の中でどこかの神格もどきの宇宙人が「バレなきゃ犯罪じゃ無いんですよぉ〜」とドヤ顔で言ってくるが、寝言の一件もあるし今寝るのは怖い気もする。

そんなことを考えながら渡り廊下を歩いていると、初秋の心地良い風が吹き込んでくる。

その風を感じた俺は窓の外を眺める。

日差し自体はまだ強いが、8月に吹くような熱風とは違う、紛れもなく涼しいと感じる風だ。

途端、授業開始5分前のチャイムが鳴る。

俺は急いで教室に戻ろうとする。

再び、涼しい風が吹く。

その風は、俺に何か大切な事を伝えようとしている気がした。

 

 

 




テスト期間という事情で次回がいつ投稿できるか分かりませんが、なるべく早く出せるように頑張るので次もよろしくお願いします。

一行でわかる次回予告
奉仕部。そして毒舌。
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