未来日記〜1st、リリカルに行く〜 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
今、私は雪輝を尾行しています。
「いや、素直にストーカーって言えば?」
「いや、それはダメでしょ…………」
はやてちゃんが雪輝に警戒しながらも、私の心の中を読んできました。
「いいやんか。
いいか、なのは、尾行、っていうのは、ストーカーしてる時の言い訳なんや」
「で、結局何が言いたいの?」
フェイトちゃんは、私たちの会話を聞いていて、思わずツッコミをしていたが、
「雪輝くんのストーカーつまんない」
「「はぁ…………」」
私とフェイトちゃんはそろってため息をつく。
ちなみに、ここにはいつもの5人がいます。
でも、なぜかアリサちゃんとすずかちゃんが話に参加していませんでした。
そこで、私は二人のほうを見てみると、二人は私たちの話に耳も傾けず、ただただひたすらに雪輝を観察していました。
「まぁ、でも、二人がこんなにやる気なんだから、やるっきゃないな」
はやてちゃんは、私が二人を見たのに気づき、二人を見ながらそんなことを言った。
いつもこういう風に二人を雪輝で茶化すと、二人共否定するのだが、今日は違い、二人共はやてちゃんの事を無視していた。
「あ、あれ?いつものツッコミは?」
と、ツッコミを期待していたはやてちゃんは、少々戸惑っていた。
「でも、雪輝がラブレターなんてねぇ」
フェイトちゃんが、はやてちゃんの事を無視して、雪輝の事を見張っていると、今日にそんなことを呟いた。
さっきまで無反応だった二人も、ラブレター、という言葉にはピクッと反応を示していた。
そう、雪輝は今日のお昼に、とある一人の女子に声をかけられ、手紙を渡されたのだ。
そして、雪輝はその手紙を渡してきた女の子に、何か耳打ちをされると、すごく驚いていた。
で、なんというかまぁ、案の定というかなんというか。
私たちが、その時に、彼女がいるか、とかの話をしていたので、みんな(私含め)はそれをラブレターだと思った。
だが、尾行(ストーカーではない…………と思う)をしているのは、その後の出来事のせいでもある。
それは、今日の下校。
いつもは、私たちと雪輝は時間差で学校を出る。
そして、近くの公園で待ち合わせをして、その後一緒に帰る。
これは、最初は雪輝が嫌がっていたが、アリサちゃんとすずかちゃんが頼んだ?おかげで、渋々だが承諾してくれた。
だけど、今日は違った。
今日の帰り時に、雪輝が私のクラスに来て『ごめん、今日用事あるから先帰ってていいから』と言ったのだ。
それで、私はラブレターの事が頭をよぎったけど、特に気にしていない様子で「うん、分かったよ」と言った。
その後は、みんなに話したら、
「怪我人なんだから、ちょっと探しに行こうか」
と言ったはやてちゃんの言葉のおかげで、いまに至る。
「ち、違うわよ、きっと」
アリサちゃんは、こっちを見ずに否定する。
しかし、その言葉を聞いたはやてちゃんはニヤニヤしながら、
「え、じゃあ、私たちに嘘ついてまで家と反対側にくる理由って、なに?」
明らかに笑っているのだが、声に出ていないため、こっちを向かないアリサちゃんは、それに気づいていない。
「そ、それは…………」
アリサちゃんは言葉に詰まる。
実を言うと、私とフェイトちゃんとはやてちゃんは、アリサちゃんとすずかちゃんが、雪輝の事を好きなんだろう、と思っている。
まぁ、日頃の反応見れば分かるんだけど…………
「あ、あれよ!!
ふ、復讐よ!!」
と思っていると、アリサちゃんはそんな突拍子もないことを言い出した。
「はぁ、それはないやろ…………」
はやてちゃんも流石に苦笑いしていると、
「みんな、なんかおかしい」
フェイトちゃんがみんなに知らせた。
「ん?なんも特に変わったことがないけど……」
そう、全くと言っていいほど、おかしくないのだ。
雪輝は、十字路のところに立ち、ケータイに目を落としている。
「そういえば、あのケータイ……」
すずかちゃんが呟く。
ケータイ?
私は疑問に思う。
だって、雪輝はいつもの自分のケータイ持ち歩いてるし、別に不思議なことはない…………
「あっ!!」
私は周りに迷惑をかけないぐらいの声で驚く。
みんなは一気に私に視線を向ける。
「そ、そういえば、私、
みんなはそれに気づき、一気に雪輝の方へと視線を向ける。
すると、そこには、
こちらを向いて手を振っている雪輝の姿があった。
僕は、名前も知らないとある少女から、手紙を受け取った。
そして、ある言葉を聞いた。
『我妻 由乃』
それは、未来日記所有者【2th】であり、
そして、自ら命を絶った、
僕の最愛の人の名。
それを聞いた僕は、だれにも気づかれなように、待ち合わせ場所に向かった。
待ち合わせ場所は、なんというか、まぁ、なんの縁があるんだか知らないけど、あの廃工場だった。
前までは、あんなことがあったから、警察が出入りを禁止していたけれど、あらかた調べて以上がないと判断したのか、警察は廃工場を封鎖するのをやめたらしい。
そして、僕は廃工場に向かっていると、
「あれ?どうやって行くんだっけ?」
道を忘れてしまったのである。
僕は周りに知っている人がいないかをさりげなく確認した後、ケータイを開き、未来日記を見る。
そして、他人に道を聞いた場合の未来を見て、道順を知ったが、
『5/9 16:46[商店街入口]
後ろに何やら人がいた。』
と書いてあった。
僕は最初、気のせいかと思ったが、そんなに急いでいるわけでもないので、試しに、僕がその人たちを追う未来を見てみると、
『5/9 17:20[商店街]
追いつくと、そこにはなのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃん、アリサちゃん、すずかちゃんの五人がいた。』
と書いてあった。
「え?」
え?なのはちゃん?フェイトちゃん?え?!
「……………………ふぅ〜〜」
僕は深呼吸して、落ち着きを取り戻し、状況を整理する。
まず、僕は尾行されている。
その犯人は、なのはちゃん、フェイトちゃん、はやてちゃん、アリサちゃん、すずかちゃん。
逃げるしかないな。
僕は即座にその答えに至り、未来日記を見た後、行動を開始する。
まず僕は後ろを向き、なのはちゃんたちの方を見て、手を振る。
すると、
影に隠れていたなのはちゃんたちは、逃げ出した。
僕は、心の中で小さくガッツポーズをし、なのはちゃんたちを追わずに、その場を後にする。
僕はケータイを見ずに、ただただ全力で廃工場に向かう。
僕が手を振った理由は、未来日記のおかげだ。
それは、僕は本来
『なのはちゃんたちに気づかず、廃工場に行く』
はずだったのだが、僕がなのはちゃんたちに気づいてしまったので、未来は変わり、
『なのはちゃんたちに気づいたが、逃げることが叶わず、廃工場に行く』
となった。
実際、僕が振り向いて手を振るまで、僕はなのはちゃんたちから逃げることができる、という表記は未来日記にはなかった。
そこで、僕は違う方向に未来を書き換えてみた。
『廃工場には行かず、なのはちゃんたちと合流する』
という未来に。
だが、その未来に変えても、僕はなのはちゃんたちと会う、という表記がすぐになかった。
という事はだ。
なのはちゃんたちは、僕が声を掛けると逃げる、という事になる。
そして、僕は行動に移した。
「はぁ、はぁ、逃げ切れたかな?」
「だ、大丈夫じゃない?」
私は、肩で息をしながらみんなに聞くと、なのはが答えてくれた。
「あ、あのさ……」
すずかが口を開く。
みんなは息切れしながらも、すずかの方を見る。
「な、なんで私たち、逃げてるの?」
「「「「………………」」」」
すずかの言葉にみんなは黙った。
「私たち、逃げる必要なかったんじゃ……」
少しの沈黙の後、
「……………………よし、探そう!!」
私がそう宣言すると、みんなも顔を見つめあって、うん、と頷き、
「じゃあ、ちょっとズルいけど、魔法使っちゃおっか」
なのはがそう言い出す。
魔法
それは、私とは無関係で、画面の中だけの存在だと思っていた。
けれど、それは違った。
私が小学四年生だった、ある日。
私は見たのだ。
魔法と言うものを。
それからは、魔法、と言うものは、私の中の常識となった。
このメンバーの中で魔法が使えるのは3人。
なのは、フェイト、はやての三人だ。
そこで、なのはは首にぶら下げてある赤く小さな宝石を手に取り、
「周りに人いないよね」
と聞くと、フェイトとはやての二人は頷く。
「よしっ」
そこで、なのはの手が少し光ったと思ったら、なのはの手には、杖が握られていた。
「えーと、陣は出さずに、最大出力で、雪輝につけておいたマーカーを探す、っと」
すると、なのはを中心に、僅かだが、風が吹く。
沈黙が辺りを支配する。
「見つけた」
その声と共に、なのはの持っていた杖は、いつの間にかなのはの手からなくなっていた。
「ここからしばらく行った廃工場に雪輝は向かってる」
「よし、そうなれば行くしかないな!!」
はやてが手を叩きながら、にこやかに言う。
「え、これってストーカーだよね?!
なんでこんなラスボス戦前みたいになってるの?!」
そのすずかの質問に、誰も返答しなかった。
そして、私たちは走り出す。
タッ、タッ、タッ、タッ…………
僕の足音のみが聞こえる。
廃工場。
なんだか、嫌な予感しかしないが、僕は念のためにケータイを開き、未来日記を確認する。
『5/9 17:16[廃工場]
彼女は、少し頬を赤く染め、スキ、と言った。』
これが今現在の日記の表記だ。
中学生男子として、嬉しい事は嬉しいのだが、明らかに不自然である。
うん、まぁ、流石に思うだろう。
なんで廃工場?
もう怪しさ満載なのだが、行かない、という選択肢は僕にはない。
それは、彼女が言ったあの一言だ。
『我妻 由乃』
僕のこの世界においての優先順位一番は、
僕が生きた状態で、由乃に会う。
だから、僕にとって由乃の情報はとても大事だ。
由乃は必ずこの世界にいる。
だから、僕は怪しいと分かっていても、歩を進める。
少し進むと、廃工場の中にある段ボールの山の上に、名前も知らない女の子が座っていた。
「やぁ」
僕はなるべく普通に声をかける。
「ふふっ、そんな警戒しなくてもいいよ」
だが、そんな僕の警戒心を見抜いた彼女は、笑いながら段ボールの山から降りる。
「ところで、一つ聞いていいかな?」
「どうぞ?」
彼女は、顎に指を当てながら僕の方に近寄ってくる。
「あなた、"天野 雪輝"よね?」
「そうだよ」
感情を悟られないように、なるべく抑揚のない声で喋る。
「まぁ、そんなことはどうでもいいのよ」
彼女は、ポケットに手を突っ込み、何か持ったのか、その手を出す。
「あなた、
僕はケータイを開く。
ザザザザザザザザサッ
彼女は、頬を赤く染め、
「シンデ」
只今の時刻、17:16
5月の乾いた風が吹いた日でした。