未来日記〜1st、リリカルに行く〜 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
僕は、今まで過ごしてきた人生の中で上位にはいるくらい後悔している。
それは、今僕がやっている事にも関係している。
今、僕は手にメガホンを持ち、黒いスーツに身を包んでいる。
「てめぇらが少しでもおかしな真似をした途端、センサーが作動し、爆発が起きる。
まぁ、よーするに、てめぇら全員人質ってことだ」
まぁ、なんて怖いことを言っているんですか、このセリフの人は。
こういうセリフは、いつかの黒スーツさんたちのいうようなセリフでは無いですか。
ほんとーに、一体誰が言ってるんだろうなー……………………
…………僕です。
この騒ぎを起こしたのは僕です。
怖いセリフ言ってる人も僕です。
学校の人を全員人質にとっているのも僕です。
だけど、僕は決めたんだ。
この世界を、
「ち、ちょっと、あれ、もしかしなくても雪輝君やんか」
はやてちゃんだけではない、みんなの顔が驚愕に染められて行く。
そんな中、私は落ち着いていた。
「フェイトちゃん、はやてちゃん、今から魔法を使って、雪輝を保護するよ」
「なのは、何、いってるの?」
フェイトちゃんは、信じられない、という顔だ。
はやてちゃんは、私の考えに気づいたのか、私が話し出すのを待っている。
「多分、多分だけど、雪輝は本気でこんなことやってない」
「なんで、そんなことわかるの?」
「理由は、残念だけど、ない」
私は、未だ疑っているフェイトちゃんに、素直にいう。
それを聞いたはやてちゃんや、アリサちゃん、すずかちゃんは、あんぐりと口を開けていた。
「でも、これは私達が頑張ればで済む話じゃない。
それはなのはが一番わかってると思うけど…………」
「うん、分かってる」
私は、フェイトちゃんの目を見て、しっかりと自分の思いを伝えた。
「!!…………、なのは、今回、あなたは雪輝の保護に手を出さないで」
私は、フェイトちゃんが『保護』と言ったのが嬉しかったが、
「なんで…………」
食堂にはたくさんの人がいる。
それゆえに、大声は出せなかったが、誰もいなかったのなら、私はきっと激怒していただろう。
「なのは、しっかりと聞いてね。
今、なのははすごく感情が先走っていて、冷静な判断ができていない。
私だって、雪輝の目を覚まさせてあげたい。
だけど、そのためには、なのはが協力
分かって、なのは」
私は、言い返せなかった。
言い返したかった。
だけど、できなかった。
自分が邪魔者だってことが、心の何処かで、分かっていたから。
「じゃあ、はやて、不可視の魔法使える?」
「ま、まぁ、使えるけど」
「よし、それなら、行けると思う」
フェイトちゃんは、私のことをまるでいないかのように扱い、はやてちゃんと話を進めて行く。
「すごく安直な作戦だけど、多分時間がかかればかかるほど、犠牲者が増えていくと思うから、今のうちに被害を最小限にすることになるけど、いい?」
頷くはやてちゃん。
私にはその質問がされなかった。
なんでかって?
そりゃ、邪魔者だから。
「じゃあ、今からやる事は二つ。
まず、私たち二人で不可視の魔法を使いながら、センサーの場所と種類、それにできれば解除方法を知りたい。
そして次は、雪輝の保護。
多分雪輝は、任意で発動できるよう手動の起爆装置を持ってる可能性が十分にある。
だから、それを奪って、センサーに触れない限り爆発する事はない、という確証を得られたのち、雪輝を保護」
「まぁ、簡単だけど、今の時点でできるのはそれくらいやもんね」
はやてちゃんは、気合を入れるかのように拳を握っていた。
はやてちゃんはこちらを向かない。
私が邪魔者だから。
だけど、私は雪輝を助けたい。
だから…………
私は勇気を出して声を出す。
「わ、私っ!!…………」
みんなの視線が集まる。
「わ、私…………」
私は最初、自分も雪輝の保護に加えさせて欲しい、と言おうとした。
けど。
言い出そうとしたけど。
「……………………」
言えなかった。
言ってしまえば、今、私に向かって優しく微笑んでいるフェイトちゃんとはやてちゃんに酷いからだ。
だって、二人とも、なんで、
私たちに任せて、っていう顔をするのさ。
言えないじゃん。
ひどいよ、二人とも。
「わ、私は、ここで、みんなが安全かどうかを見張ってるから」
「うん」
「よろしくな」
私は俯く。
涙を見られないように。
「じゃあ、私とすずかはここから雪輝の言動を見てるから」
「うん、二人は未来日記も使っておいて」
「あんたたちもね」
「分かってる分かってる」
アリサちゃんは、ケータイ(ガラケー)を開いて言うと、フェイトちゃんは注意をした。
「じゃあ、行くよ」
その言葉と共に、二人は姿は消えた。
ザザザザザザザザザザザッ
未来が書き換わった。
私たちはケータイを手で覆い、音が出ないようにする。
そして、私たちは即座にケータイを確認する。
そこには、
『私、高町なのはは、天野雪輝に殺される
DEADEND』
「ちょっと、何よこれ…………」
「ゆきて………………る」
アリサちゃんとすずかちゃんがとても驚いている。
きっと、二人の未来日記にも同様の表示がされたのだろう。
みんな、やっぱり、そうするんだね。
僕の邪魔をするんだ。
僕はメガホンを持っていない方の手にあるケータイに目を落とす。
「僕の目的は、決まったんだ」
誰に言ったわけでもない言葉。
「僕は、この世界に来て、平和に過ごすことを、誰も許さない」
ただ、自分に、
「僕が、この世界でやるべきことは、この世界で起こった、僕が原因の事件をすべて僕の手で終わらせること」
僕だって分かっている。
「そして、僕自身が死ぬことによって、この世界で二度と僕が原因の事件を引き起こさせないこと」
逃げてるだけだって、
「そのためには、由乃を探し出して殺さないと、事件は起こってしまう」
言い訳だって、
「だから、僕は」
「ちょっと、なんやこれ」
「…………はやても?」
「フェイトちゃんも、DEADENDってのが出たん?」
「うん」
私たちは、まだ食堂から出ていなくて、食堂の端あたりで、爆弾がどんなものか調べようとしたが、私たちが未来を変えたはずなのに、ノイズ音がなった未来日記を見てみると、最後にDEADENDの文字が出ていた。
「なぁ、これって、なんか危なさそうやない?」
「まぁ、そうだよね。
だって、私たちの日記には、自分のことが現れないんだもん」
私の日記は、自分以外の友人が対象になる。
だからか、私の事は全く記されていない。
「てか、私の未来日記は、あんま今役に立たんなぁ」
一方、はやての日記は、『家族日記』というものだ。
内容はそのまんまで、はやての家族についてが記されている。
だが、私達と違って特殊なところがあり、はやての日記は、一日ずつで書かれている。
つまり、今日の事は、5月31日の事として表記される。
「みんなを呼びたいのは山々なんやけど、みんなは今頃仕事だろうし」
「でも、呼んだら飛んで来そうだけどね」
「ははは、否定できんわ」
などと、話をしていたが、
「で、爆弾、これかな?」
「うん、そうだね」
爆弾を見つけた。
「でも、解除とかできるのかな?」
と、はやてが近づこうとしたが、
ザザザザザザザザザザザッ
「ちょっと待って!!」
私ははやてを呼び止めた。
「…………どうかしたんか?」
はやては警戒しながら周りを見渡す。
「いや、違うよ」
私は、日記を見ながら言う。
「それに触れると、爆発する」
「!!」
はやては、爆弾からゆっくりと後ずさりする。
私の日記には、友人に起こった不幸なことや、危ないことが書かれている。
なので、私の日記は、爆発という不幸な事態が起こる場合は、日記
書き換わる。
だから、
「それと、はやてゆっくりとそこに近づいて行って」
私は食堂の入り口付近を指差す。
そして、はやてが私のさした方に近づこうとすると、
ザザザザザザザザザザザッ
「待って」
「はぁ、またか」
はやては飽きれたようにため息をつく。
「でも、危なくなったらやめられるから、いろいろ確かめてみよう」
10分後。
「まだなんとかならないの?」
床に腰を下ろしたはやてがそう言った。
「でも、分かったことがある。
これ、どうやっても爆発する」
「てか、魔法が効かないとかどんなチートや!!」
「でも、これで雪輝は確実に魔法的な何かが使えるってことが分かった」
この爆弾、厄介な事に魔法を受け付けなかった。
そういう物があるとは、聞いた事があるけど、あくまで噂程度の物だったので、何とも思っていなかったが、いざ目の前にしてみると、かなり厄介だ。
「で、どうするの?」
はやての質問に、私は少しも考える事なく、答えが出た。
「雪輝を、保護する」
「いいんか?!」
「でも、こんなに時間がたってなにも動きがないって事は、雪輝はまだ目的を達成できてないか、なのはの言うように、爆発させる気がないか」
「でも、これ、爆発するんやろ!!」
「なら、最初から保護、とはいかないで、まず雪輝の持っているはずのスイッチを見つけよう」
「あ、そっか。
…………でも、どうやってここから出る?」
「それは、簡単だよ」
「?」
私が得意げに言うと、はやては分からないと言うように首をかしげた。
「私たちが、いまここで不可視魔法を使えてるって事は、転移魔法も使える、ってわけだよね」
「あ、そっか」
「でも、最初から近いところに行くと、雪輝の日記に引っかかったり、魔法を無力化させられかねない」
「じゃあ、妥当なとこで学校の外かな?」
「いや、それだと失敗した時に危ないから、視界に入る範囲で転移したい」
「失敗って、フェイトちゃんがなぁ」
「私にだってあるよ。
それに、外に出たとしても、もう警察がこの学校を包囲しているから、意味がない」
「まぁ、この街に今魔導師は他にいないからな」
「だから、いいかな?」
「おう、任せた」
私はその言葉と共に、デバイスであるバルディッシュを杖状態で出す。
「ーーーーーーーーーー」
私は窓に近づき、窓から雪輝の頭上を見る。
そして、そこから座標を割り出し、唱える。
「よし、準備できた」
「なんかさ、転移っておもろない?」
私は、そんな緊張感のないセリフを聞いて、チョップをしてから転移した。
「イタッ」
その声と共に、私たちは転移した。
「上手くいったみたいやな」
「そうだね」
私たちは今、雪輝の頭上にいる。
「それじゃあ、雪輝の持ってるスイッチだけど」
「あれかな?」
私が雪輝の手元を指差す。
そこには、小型のスイッチがあった。
「まぁ、あからさま過ぎるけど」
「じゃあ、なのはたちに聞いてみようよ。」
私はケータイをかける。
2コールの後になのはがでる。
『あ、フェイトちゃん?』
「ごめんなのは、説明すると長くなりそうだから、後でするけど。
とりあえず、私がこれからスイッチを取った、っていう表記がある?」
『うん、ちょっと待って』
と言った後、通話が切れる。
しばらくした後、またかかってくる。
『フェイトちゃん、あったよ』
「分かった、ありがとう」
私は、まだなのはが言いたそうだったが、それを聞かずに通話を切り、はやてちゃんにOKサインを出した後、私は雪輝の元へ近づいた。
私はこの時、明らかに急いでいた。
もしこの時、私がなのはの話をしっかり聞いていれば、と。
もしこの時、私が行かずにはやてに行かせてれば、私の日記も使えた事に気づいていれば、と。
そしたら、こんな事にはならなかっただろう。
こんな、誰もが不幸になる、こんな事に。
パリンッ
僕の耳にガラスが割れたような音が聞こえた。
僕がその音がした方を見ると、
「やぁ、フェイトちゃん」
「な、なんで…………」
フェイトちゃんは心底驚いたような顔をした。
そして、もう一つの音がフェイトちゃんの近くで鳴る。
そこには、
「やぁ、はやてちゃん」
「雪輝君………………」
僕は、予知通りの行動に空虚さを覚えながらも、
「じゃあ、始めようか」
はじめる。
「未来日記所有者同士で行われる、ゲームを」
「君たちの勝利の報酬は、人質の命だ」
5月、一筋の光が見えたような、そんな気がした。