未来日記〜1st、リリカルに行く〜 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
急な投稿でさらに挿入投稿ですが、今後とも、よろしくお願い致します。
注意
この話は5月の、雪輝が学校を襲った時に、フェイトとはやての潜入が雪輝君に気づかれたところからです。
「人質の命が報酬?」
私は、雪輝の発言に思わず聞き返してしまった。
「うん、そうだよ。
今からやるゲームに賭けるのは、人の命。
ルールは簡単、これからやるゲームに勝てば、人質全員解放。
負ければ全員DEADEND」
雪輝の顔からは、感情がかんじられなかった。
そして、DEADEND、の言葉に思わず私は反応してしまった。
「でも、みんなが勝つのは無理かな?」
そして、雪輝はゆっくりと、確実に近づいて行き、のこり2mくらいと言うところで、
「DEADENDフラグ、たってるでしょ?」
「「!!」」
私は特に格闘術の経験はないが、身構えてしまう。
「でもさ、二人だけじゃ寂しいから、みんなも呼ぼうよ」
そう言って、雪輝が指を鳴らすと、
「えっ?!」
「何よこれ?!」
「どこ?」
私達の後ろになのは、アリサちゃん、すずかちゃんが現れた。
「二人とも、な、なんでここに?!」
「今のは、魔法だよね」
はやては、いきなりの事に驚いていたが、私はそれよりも先に、なのはたちが現れた時に見えた魔力光に注目した。
「うん、そうだよ。
でも、僕が使ったわけじゃないんだ」
雪輝は素っ気なく答える。
それを聞いた私は、即座に魔法を使おうとしたが、使う事は叶わず、無駄な努力となった。
一方、はやては、状況の分からなかった三人に説明をしていた。
「じゃあ、始めようか」
雪輝はそう言い、唐突に手を握り、差し出した
「これからやるゲームは、簡単なジャンケンだよ」
その時、どうやら、はやての方は説明が終わったのか、なのはたちは雪輝の事を睨みつけていた。
だが、雪輝はそんな事御構い無しに、自分の手でグー、チョキ、パーを作り、
「まず手順を説明するよ。
まぁ、何人でやってもいいけど今回は一対一でやらせて欲しいな。
まぁ、さっきいったように、ルールは簡単。
まず、お互いにじゃんけんの前にグー、チョキ、パーの中から一つ選んで相手に宣言する。
そしてジャンケンをする」
雪輝の、その簡潔に、淡々と語る姿は、そんなに長い付き合いではないにしろ、異常だと思ってしまう。
「だけど、これからが少し難しい。
ジャンケンをするのはいいんだけど、自分の宣言した手以外を出せば、強制的にあいこになる」
そこで私は疑問に思ったことがあったのだが、みんなも同じように疑問に思ったのか、真剣な顔をしていた。
そんな私たちの様子を見て雪輝は、少しタメを作って、
「じゃあ、二人とも宣言した以外の手を出せばどうなるんだ、って思ったよね。
そうなると、今度は普通のじゃんけんに切り替わるんだ」
その言葉からは、私たちを殺そうとしている意思なんてないように感じられた。
でも現に今は私たちにDEADENDの予知が出ている。
目の前の現実のせいで、日記に書かれている予知の内容が信じられなくなる。
「じゃあ、質問でも受け付けようか」
そんな最中、雪輝が発したその言葉に私はハッとして、私が自分にやれることをしなくちゃ、と思い必死に魔法が使えないか、逃げる方法はないか、と考える。
「ここから逃げられないからね。
ちょうど魔法禁止区域のピッタリ外側に結界を張っておいたから」
まるでその言葉は、今、私に対して言っているようだった。
みんなの顔が陰って行く。
「じゃあ、一つ質問」
アリサちゃんはこんな中でも冷静でいるようだった。
…………いや、違う。
アリサちゃんの手……いや、手の中は真っ白くなっている。
力を込めて握りしめているからだと思う。
その姿を見て、私も思考を始める。
「あいこって、ほんとに
と言っても私にはアリサちゃんの質問の意味は分からなかった。
だがしかし、
「あぁ、そうだよ、と言いたいところだけど、どちらも宣言した手と違う手を出したら当然普通のじゃんけんに切り替わるからねどんな状況でも、とは言えないよ」
その言葉にアリサちゃんの顔が曇った気がした。
「あと質問は…………ないようだね。
それじゃあ始めようか」
ゾクッ
みんなが身構えた。
なぜかは知らないがみんなが身構えた。
暴力をされるわけでもないのに。
多分その理由は、空気が変わったからだ。
雪輝の、表情とか、姿勢とか、口調とか、そういうものではなく、今纏っている得体の知れない感じの空気から、人を殺すような雰囲気に変わったのだ。
そのことに、私たちは身構えてしまった。
そして、予知の内容にも今だったらすんなり信じれると思う。
これは、本気だ。
「まぁ、でも、みんなが勝ったらこんなのすぐに終わるよ」
雪輝は、そんなみんなの雰囲気を見て、今だ無表情のまま話す。
「だけど、僕が勝ったら、君たちは一つ、やって欲しいことがあるんだ」
「やって欲しいこと?」
「まぁ、まだ言えないけど」
雪輝は適当にはぐらかし、
「それと、そっちのプレイヤー、僕が決めてもいい?」
私達の方をみて言う。
「それじゃあ、あんたに有利になるじゃないのよ」
アリサちゃんはこんな時に頼もしい。
私達より頭がいいので、しっかりと考えて話すことができる。
きっとアリサちゃんがいなかったらそのまま要求を受け入れてしまっただろう。
「いや、でも、そっちには、未来日記が5つもあるでしょ?」
「確かにそうだけど」
「なら、いいでしょ?」
淡々と言ってくる雪輝に対してアリサちゃんは顎に手を当て、考え、
「……誰なのか教えてくれたらね」
すると、雪輝はゆっくりと指を伸ばす。
そこには、
「なのはちゃん……かな」
なのはを指差した。
「雪…………輝」
「だって、やりやすいでしょ、身内って」
依然感情のない表情で言われても、何も説得力がないが、何か裏があるはずだ、と私は考えようとするが、雪輝の空気に気圧されてしまい、上手く思考がまとまらない。
「いいわよ」
「…………アリサちゃん……」
アリサちゃんは即答した。
その答えにすずかちゃんは少し心配そうだったが、アリサちゃんは真剣な眼差しで、雪輝を見据える。
「それじゃあ、気を取り直して、始めよ「その前に!!」…………なに?」
「教えて欲しいことがあるの!!」
なのはが雪輝の言葉を遮り、必死な形相で聞く。
それに対して雪輝は、無言で先を促す。
「なにが、なにがいけなくてこんな事になったの?!」
それは、なのはの心の叫び。
ずっと思っていたんだ、なのはは。
何がいけなかったんだろう、と。
私たちには話していなかったが、私たちにはひしひしと伝わっていた。
なのははやり直したいのだ。
多分、この中で、誰よりも、切実に。
「…………なんで、そんなこと聞きたいの?」
雪輝は機械のように聞き返す。
「それは!!雪輝が、私の、家族だからだよ!!」
「……………………」
雪輝はその言葉に何も返さない。
「雪輝」
アリサちゃんは今だ雪輝を見たまま、話す。
「私が、雪輝の条件を飲む代わりに、雪輝、あんたには話してもらうわよ。
今まで、何をしていたのか。
なんで、こんな事をしたのか。
元通りになるために、何をしたらいいのかを」
私の中に、一筋の希望が見えだ。
そうか…………それなら、私達が手伝う事で、なんとかなるかもしれない。
「いいけど、その前に一つだけ、断っていいかな?」
雪輝の表情の中に、本の僅かに感情が見えた。
嬉しさでも、驚きでも、楽しさでもない。
ただただひたすらに、純粋な、悲しみだけが、雪輝の表情に映った。
「元通りになんて、ならない」
突き放すような言葉。
「それじゃあ、僕の今までの行動を簡単に説明して行くよ」
「雪輝!!」
雪輝の言葉に、私達は呆然としていたが、なのはが、気にせず話を続けて行く雪輝の言葉を、怒鳴るかのようにして止める。
「じゃあ、私達が勝ったら、雪輝の持ってるもの、全部一緒に背負わせて!!
きっと雪輝にとって、それは傍迷惑なのかもしれないのけど!!
それを見ている私達のほうが、もっと辛いんだよ!!
だから、…………だから!!」
そこで、なのはは、雪輝を、笑顔で見つめ、
「帰ろう」
私は、その言葉で、決意した。
何が何でも、雪輝を助ける、と。
雪輝は、何か言いたそうだったが、
「僕が、行方不明になってから、僕はあの黒スーツのアジトへ向かったんだ。
みんな、黒スーツの人たちの事は知ってるよね。
だって、なのはちゃんも、フェイトちゃんも、はやてちゃんも、見てたんでしょ、あの時」
その言葉に、私は冷や汗をかく。
そう、その通りなのだ。
雪輝の言ったとおり、私、なのは、はやては、なのはのお父さんがたちが黒スーツの男たちと話し合っている時の一部始終をすべて見ていた。
本当は助けに入りたかったのだが、魔法はこの世界では認知されていないもの。
むやみに使えば、嘘をつかなければならなくなるし、嘘をつけば、綻びが生まれる。
それに、なのはのお父さんからも言われていたのだ。
私達の力だけでなんとかするから、極力手を出さないでくれ、と。
「それで、僕は未来日記を使いながら、黒スーツの組織の中に入った。
そこからは、未来日記を使って、それなりの地位と信頼を獲得した。
で、魔法についても、僕が教えて魔法の才能があったメンツにさっきの転移魔法とか、探されないように妨害魔法を教えていたんだよ」
「な、なんで魔法を教えられるの?」
はやては恐る恐る聞いてみる。
下手な失言は危ないからだ。
「いや、魔力と言う存在を知る事ができれば、未来日記を使って成功例の情報を引っ張ってくればいいだけじゃないか」
雪輝はなんて事ない、と言うように話す。
「それと、僕がなんでこんな事をしたのか、だっけ?」
雪輝は、少し考えたあと、
「それは、僕のこの世界への償いだよ。
僕がこの世界に来てしまったせいで、傷つかなくてもいい人が傷つき、変わるはずのない人が変わってしまった。
だから僕は、自分の起こしてしまった事件を、この手で全て終わらせる。
それか、僕が、君たちにとっての"こんな事"をした理由だよ」
皮肉にも聞こえるその言葉が、なぜだか私には、悲痛の叫びのように聞こえた
5月の、光を全く通さないような暗い、曇天の日でした。