未来日記〜1st、リリカルに行く〜 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
前話とほぼ同時に投稿したので、前話の方から見ていただければ嬉しいです。
注意
この話は5月の、雪輝が学校を襲った時に、フェイトとはやての潜入が雪輝君に気づかれたところからです。
雪輝のその言葉を聞いて、皆はいろいろな感情が入り混じった顔をしていた。
怒り、悲しみ、嘆き、そんな負の感情が渦巻いた、そんな顔をしていた。
私は、みんなのそんな表情を見て、少しでも勝率をあげるために、ケータイを開く。
「さぁ、気を取り直して、始めようか」
「その前に」
「……なんだい?」
「このゲーム、雪輝が作ったゲームなのだから雪輝はルールを把握していて当然だけど、私たちは詳しくは知らないから、少し、作戦会議の時間を取らせてもらってもいい?」
アリサちゃんはこの話を聞いている間に考えをまとめていたのか、落ち着いて話している。
「いいよ、どうぞお好きに。
あ、でも、時間は5分だよ」
即答した雪輝は、答えると同時に未来日記を開く。
これで、私が知っている情報が正しければ、今は"天野雪輝"ではなく、"1th"へと人格が変わったんだ。
それにつられるかのように、はやてちゃん、アリサちゃん、すずかちゃんもケータイを開く
「じゃあ、みんな来て」
アリサちゃんの言葉を聞いて私はケータイをつける。
そこには、未来のことが書かれている。
私たちは雪輝から少し離れたところで一箇所に集まり、作戦会議をした。
「まず、みんなの日記の情報を集めて見た結果、わかったことは、雪輝は宣言がグー、出す手はパー、大してなのはは宣言がパー、出す手はチョキ、それで勝つ。
これが未来日記の表記」
アリサちゃんは最後の言葉を強調して言う。
そう、これで相手が普通の人だったら勝てただろう。
だけど、相手は普通の人じゃない。
「でも、私は確実に雪輝は予知の結果を変えてくる」
そう、未来日記所有者なのだ。
「あの、ルールがよくわからなかったし、なんでその予知の結果になるかも分からないんやけど、どういうこと?」
はやてちゃんがここで質問する。
「……まぁ、多分みんなもあの説明じゃこのゲームの仕組みがよくわかんないだろうから、私が理解した範囲で話すけど」
アリサちゃんは左でグー、右でパーを作った。
「まず、このゲームは宣言するところで大体の勝負の方針は決まってる。
宣言した時点で、負けていたらあいこ重視。
宣言した時点で、勝っていたら勝負しに行く。
たぶんそういうゲームだと思う」
ここまで聞いてもあまりわかんなかったのだが、みんなのほうを見てみると、みんなもよくわかっていなかったようで、難しい顔をしていた。
「例えば、予知の内容を元にすると、雪輝は宣言の時点では負けていた。
だから、宣言通りに出しても負けるだけ。
なら、あいこにするために宣言した手以外を出したほうが、勝つ可能性があるし、負ける可能性は少なくなる」
みんなが頷く。
「だから、雪輝は、チョキ、パーの二種類しか出せる手がない。
ここで、私たちの視点に戻って考えると、私たちは宣言した手を出せば確実に勝てる、だから宣言した手を出せばいいと思うけど、そうすると、相手に強制的にあいこにさせられる」
「だから、まず、宣言の時点でじゃんけんとして買っておいたほうがやりやすいの?」
すすがちゃんが質問してきた。
「ん?あぁ、それも重要だと思うけど、この考え方でやってると勝敗は絶対つかない」
だからこそ、とアリサちゃんはつけたし
「この予知では私たちは仕掛けに行った。
雪輝はパー、チョキしかだせなく、私たちは勝負に行くとしたらチョキ、グー、の二つ。
予知では、雪輝は、多分だけど、パーとチョキしかだせない自分に対して、宣言した以外の手を出すにしても、チョキを出せばあいこ以上を取れるのは分かっている。
でも、相手は勝負に来ているのだから、安全なチョキを出すわけはない、当然勝ちを拾うためにグーを出してくる、そう呼んだんだけど、私たちはそのことを読んでいたかどうかは分からないけど、そこを上回り、チョキを出した」
私は一気に話されたことによって、頭がパンクしそうになった。
「えーと、要するに、雪輝は勝負に出たけど、それで逆に負けちゃったってこと?」
「あー、単純に言うとそうなるわね」
なのはの一言で、やっと整理ができた頭の中だったが、
「じゃあ、どうやってが勝つの?」
「そう、そっからが問題やな」
私がこぼした疑問にはやてちゃんが同意する。
「とりあえず、負けないためには、少なからず宣言の時点で負けなければいいから、そこに気をつけて」
そこで、アリサちゃんは時計を見て、
「時間がなくなってきたから、手短に話すわね。
あんまり難しいこと言っても、なのはが混乱するから、簡単に言うわよ。
もし宣言の時点であいこだったら、宣言した手を出して。
もし宣言して勝ってたら、宣言した手を出して。
もし宣言して負けていたら、私が後ろから指示する」
「あはは…………結局アリサちゃん頼りなのかな……」
なのはは少し安堵したかのような顔をしていた。
さっきまでの話を聞いていて意味がわからなかったのだろう。
最後にはアリサちゃんに頼ってしまうが、そのほうが勝ち目があるだろう。
「最後に一つ」
アリサちゃんにみんなの視線が集まる。
「絶対に、連れ戻すわよ」
私たちは無言で頷いた。
「作戦は決まったかな?」
雪輝はケータイからこちらに視線を移し、私たちを見据える。
その目はまるで、こちらを見ているのに見ていないような、そんな目だった。
「じゃあ、なのは、始めようか」
雪輝が一歩前に出る。
なのはも一歩前に出た。
そこで、私はアリサちゃんに小さい声で質問した。
「そういえば、さっきの質問って、どういう意味だったの?」
「あぁ、あの質問ね、あの質問は、もし、後出しとか、そういう反則をしても、あいこになるのかどうか、って話」
「ズルした時のための保険ってこと?」
「そういうこと」
「でもまぁ、反則しちゃうと、勝ちが絶対なくなっちゃうから、言わないでおいたけど」
アリサちゃんは真剣な眼差しでなのはたちを見る。
アリサちゃんの日記は今は使い物にならないため、ここで頑張るつもりなのだ。
その姿勢を見て、私は未来日記に顔を移す。
そこには、なのはが負けることに関する表記はない。
「さぁ、宣言しようか」
雪輝がなのはに言うと、なのはは静かに頷いた。
「じゃあ、僕から」
ザザザザザザザザザザザザッ
「「「「「?!?!」」」」」
予知が、変わった。
それは私の未来日記からではなく、すずかちゃんの日記からだった。
アリサちゃんがすずかちゃんと私を見る。
私は首を横に振った。
負ける予知ではない、ということだ。
一方、すずかちゃんも首を横に振った。
おそらく、出す手が変わっただけで、結果は変わらなかったのだろう。
こういう時に、なのはの未来日記が使えないのが痛いと感じる。
勝つかあいこかが分からないのは、この状況ではつらい。
雪輝も、それを狙って、なのはを指名したのだろう。
「僕は、パーを出す」
そこで私は、雪輝の魂胆がわからなくなった。
さっきアリサちゃんから聞いたように、この勝負は宣言した時点で勝つか負けるかによって、だいぶやり方が違う。
それなのに、自分から言うということは、何か策でもあるのだろうか。
そんな考えが頭をよぎるが、
「私は、チョキを出す」
なのはは、その誘いなのかはよく分からないが、それに乗った。
アリサちゃんの方を見ると、難しい顔をしていた。
きっと雪輝が最初に宣言した意味を考えていたのだろう。
「じゃあ、行くよ」
雪輝は、そんなの御構い無しに、じゃんけんを始めようとする。
アリサちゃんは急いで私の方を見るが、私の未来日記には未だなのが負ける表記はない。
私は首を横に振る。
そして、
「最初はグー」
二人が、グーを出し合ったその瞬間、
ザザザザザザザザザザザザッ
ザザザザザザザザザザザザッ
ザザザザザザザザザザザザッ
ザザザザザザザザザザザザッ
ザザザザザザザザザザザザッ
1th以外の日記が全て書き換わる。
書き換わった…………いや、
DEADEND
「じゃんけん、ポン」
出された手は、
なのはがチョキ。
雪輝がグー。
「あいこか……「いや、違う」え?」
はやてちゃんの安堵の言葉を遮り、アリサちゃんか弱々しく言う。
「うん、そうだよ、この勝負は、僕の勝ちだ」
「え?え?なんで?」
すずかちゃんも私と同様、訳が分からないのか、説明を求める。
私はただ立って黙っていた。
その私の目線の先には、私の『友人日記』がある。
そこに書かれた内容に、私は絶句した。
「そうか、そういうことか……」
それは、まるで、きつねに摘まれたような結果であった。
「え、あいこ、だよね?」
じゃんけんをした当の本人は、このよくわからない状況に、一番に混乱している。
「違うの、なのは」
そこで否定したのは、アリサちゃんだった。
弱々しい声で、語られていく。
「なのはと雪輝さ、どっちも、”最初はグー”って言ってグーを出したじゃない。
あの時点で、もう二人とも、宣言した手とは違う手を出しちゃってるから、普通のじゃんけんになったの」
「…………ってことは」
はやてちゃんの小さな声がやけに響き、
「あぁ、僕の勝ち、ってことだ」
「そ、そんなの屁理屈だよっ!!」
私は、日記で真実を知りながらも、それでもなお、抗議した。
だけど、
「屁理屈でもさ、みんな、思っちゃったじゃん。
あ、負けた、って。
してやられた、って。
最初に未来を変えたのもこのためか、って。
思ったでしょ?」
「…………でも、そんなの……」
私が言ったであろうその言葉は、とても私の声とは思えないほど弱々しかった。
雪輝の言うとおりなのだ。
負けた、そう感じた。
いや、感じてしまった。
誰も言い返さないのは、みんなも同じく思っているからだろう。
「それじゃあ、約束通り、僕が勝ったからお願いを聞いてもらうよ」
突如、なのはたちが現れた時と同じ光を放つ魔法陣が現れる。
それは、私達全員が中に入っていて、まるで私達が籠の鳥になったようだった。
「雪輝!!」
なのはが一目散に1stの元へと行こうとした。
が、魔法陣の淵まで行くと、まるで壁に当たったかのようになのはは動きを止めた。
「雪輝!!
なんでこんな事するの!!」
やたらめったら見えない壁を素手で叩きながら叫ぶなのは。
それを追い、私達も1th……いや、
「「「「雪輝(君)!!」」」」
雪輝の元へと行こうとする。
やっぱり見えない壁に阻まれたが、雪輝は少し驚いていた。
「いや、僕は、ふ、1thだから…………」
少し取り乱しながら、わかりやすく否定する雪輝。
「だって、分かるんだもん!!
雪輝は、どこか変に大人っぽくて!!
私達の話をいつもしっかり聞いてて!!
都合が悪くなると急に話し変えて!!」
なのはの顔は、涙でグシャグシャだった。
「優しいんだもん」
なのはの声は、絶対、雪輝に届いているだろう。
だが、雪輝は魔法陣を解除しようとする気配はない。
「雪輝!!」
すずかちゃんが、今度は雪輝の名を叫ぶ。
「今いうのもなんなんだけど!!
私、雪輝の事が好き!!
最初にあった時から!!
異性として!!
だから!!」
すずかちゃんは優しい笑顔を浮かべ、
「帰ってこなかったら、許さない」
みんな気づいているんだ、雪輝が何かしようとしている事を。
そして、それは私たちに絶対見られてはいけないことだというのが。
雪輝はすずかちゃんの告白を聞いて、顔を真っ赤にしている。
「雪輝君!!
私な、最初全然信用してなかったんだよ。
でも、今は胸張って言える。
雪輝君、あんたは、私達の、仲間で、友人で、親友なんだよ」
そして、はやてちゃんは拳を握り、見えない壁を思い切り叩く。
「私達を、頼っても、いいんだよ」
当然、魔力も何も使っていない女子のパンチなんかで、見えない壁が壊れることはなかった。
「雪輝!!」
私は叫ぶ。
「雪輝は、きっと私たちに迷惑かけたって思ってるんでしょ?
だけどね、それは違うよ
私達はむしろ、雪輝のことを助けたいよ」
私は、今まで雪輝にあまり見せたことのない真剣な表情で、
「私達、友達でしょ」
私が雪輝のことを見ると、雪輝は、泣いていた。
「雪輝!!」
アリサちゃんが両拳にぐっと力をいれ、雪輝の名を呼ぶ。
「わ、わ、私も!!」
アリサちゃんが、そう言った瞬間。
ガシャャャャャャャャャャン
それは、まるで、ガラスの割れたような音だった。
そして、目に写ったのは、さっきまで壁
その破片は、キラキラと光っていて、
綺麗だった。
そして、それと同時に、みんなの目線は虚空へ向けられる。
そこにいたのは、
人。
少しカジュアルな服で、スラリとしたスタイルの女の人。
左目の眼帯が特徴的だった。
その人は空を飛んでいて、そこから魔法使いであることが分かった。
その人は、見下すような目で私達…………いや、正確には雪輝を見ていた。
雪輝は、その顔を見て、
「
そう、呟いた。