未来日記〜1st、リリカルに行く〜 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
「詰んでる…………」
僕は一人で使うには少し大きすぎる部屋の中で、そんな事を言っていた。
「いろんな意味でDEADENDフラグだよ…………」
僕はとりあえず余計な行動をせずに、ひたすら日記とにらめっこしていた。
日記を書き換えて、日記を書き換えて、日記を書き換えて…………
「全部が『捕まる』ってどういう事なんだよ…………」
そう、最高でも1時間。
最低1分未満。
それまでに僕は捕まる。
コンコン
イヤァァァァァァァ
僕は心の中で叫ぶ。
声になっていれば、鼓膜破れるくらいに。
「入っても、いいかな?」
聞こえてくるのは、すごく優しそうな男性の声。
僕はすぐさま日記を確認しようと思ったが、
あ、これがあると怪しまれないかな?
そう、それは前の世界でもあった。
僕が日記を持っているあまりに、僕の友達は人質に取られたり、敵になったりと…………
僕はこの世界では死にたくない。
由乃に会うまでは死んでも死に切れない。
僕はこの世界ではあまり目立つ事をして、不用意に未来が書き換わるのを防ぎたかったので、日記を使用するのは控える事にした。
「どうぞ」
僕がそう言うと、扉が静かに開く。
そこにいたのは、いかにも紳士的な男性、おそらくその男性の息子さん、すずか?ちゃんのお姉さん(めちゃくちゃ似てた、そりゃもうそっくりさんとかとは違うレベルで)、と、日記にも書いていた、僕を捕まえた、短髪のメイドさんがいた。
「それじゃあ、話に入ろうか」
紳士的な男性は椅子に座り、僕に話しかけてくる。
「その前に」
僕は男性が話し始めるのを遮り、断っておく。
「これから僕が話す事は、すべて真実です。
だから、疑わずに聞いてください」
これで一応病院に連れていかれる心配はなくなった…………はず。
「あぁ、分かった」
紳士的な男性は、真剣は面持ちで答える。
その言葉に嘘はないように見えた。
僕から見てだから信用はないけど…………
「まず、最初に聞きたい。
君は、何者だ?」
僕の少ない脳細胞が全力で活動を始める。
ここで僕は自分の設定を考えるのを忘れていたのに気づいた。
(ここは…………)
「僕は…………」
部屋がまるで音を消しているようだった。
「ただの中学生でした。
友達は一人もいなくて、成績も中の中。
趣味は日記をつける事」
そこで僕は腕にぶら下がっているケータイを見せる。
「それで、僕はいつものように日記をつけていたら、いつの間にか」
僕の話はすべて事実だ。
まぁ、最後の部分だけちょっと変えたけど。
最初の方の話はすべて事実だ。
未来日記を手に入れる前までは、さっき言ったような生活を送っていた。
まぁ、未来日記を手にいれてから全てが変わったけど…………
「そうか…………」
紳士的な男性は、僕の話を聞いて、顎に手を当てる。
「ちょっと待ってよ父さん!!」
そこで、後ろにいた息子さんが、反論する。
「なんだ、恭弥」
紳士的な男性は、恭弥と呼ばれた人を見る。
「だって、こいつの話は明らかにあり得ないじゃんか!!」
恭弥さんは当然の事をいう。
まぁ、そうですよねー。
こんな平々凡々な人間にそんな事が起こるなんてねぇ。
「恭弥、取り乱すな」
紳士的な男性の声からは、父親らしい声だった。
僕の父さんは、そんなキャラじゃなかったけど…………
「それじゃあ、次の質問をするよ」
感傷に浸ってる場合じゃないな。
僕は次の質問の答えをすぐに答えられるように、紳士的な男性の声に神経を集中させる。
「君はあの夜、何をしていたんだい?」
僕はまた癖で日記を見てしまいそうになる。
「いや、僕は…………その…………」
思わず僕は口ごもってしまう。
「いや、無理に話さなくていいんだよ」
そうじゃないんですけど…………
ただ、僕事実を言っちゃうと警察に入れられるからなんですけど。
「君は、人を殺したのか?」
恭弥さんのいきなりの質問に、僕は思わず怯んでしまう。
なんでばれたんだ…………
僕は表情には出さずとも、内心むちゃくちゃヒヤヒヤしていた。
警察怖いし。
逃げられないし。
僕はこれからどうするのかを真剣に考え始める。
今不用意な動きをすれば、明らかに怪しまれる。
「恭弥」
そんなことを考えていた僕の耳に入ったのは、紳士的な男性の声だった。
だが、それはさっきまでの優しそうな声ではなくて、もはや命令のようだった。
その言葉に込められた意味は、僕に向けられた言葉でなくても、容易に察することができた。
ーー黙れ
身震いした。
こんな声、というかここまで一言で命令できるなんて…………
え、人間?
「ごめんね、うちのバカ息子が」
だが、そんな恐れを抱いているのも束の間、紳士的な男性は、元どおりの優しい声に戻って、僕に謝罪してきた。
「いや、そんな、全然」
僕は顔の前で一生懸命手を振った。
「まぁ、僕も疑っていないのかと聞かれると、少しは疑っているのだけど…………
まぁ、恭弥が最初に言ったし、僕からも聞いておこう。
君は、あそこで何をしていたんだい?」
先ほどまでの重圧はどこに行ったのやら、紳士的な男性は少し苦笑いしながら僕に質問してきた。
「あの、二人の女の子は…………」
僕は、それより彼女たちのほうがしんぱいだった。
僕のせいで死んだなんて、僕はもう味わいたくないからね。
「あぁ、あの子たちかい?
あの子たちはどこにも外傷なく、特にこれと言ったところもなかった。
まぁ、事が事だっただけに事件前後の記憶は結構うっすらとしか覚えていなかったけどね」
僕は安堵する。
これで僕の心配事が少しは減ったな。
「で、さっきの質問の続きだったよね。
君は、あそこで何をしていたんだい?」
一言一句間違いなく質問してきた紳士的な男性に、僕は心の中で舌打ちをした。
心配事減らすついでに話変えようと思ったけど、やっぱりダメだったか。
「僕は「お姉ちゃん!!」?!」
僕はいきなり開いた扉の方に目をやる。
するとそこには、すずか?ちゃんがいて、肩で息をしていた。
「家の前に、黒いスーツの男の人たちが……」
「なんだって!!」
紳士的な男性が立ち上がる。
それと共に恭弥さんも立ち上がり、紳士的な男性に目配せをしたあと、部屋を出て行った。
「じゃあ、質問の続きはまたあとで!!」
紳士的な男性は、メイドさんと、すずか?ちゃんのお姉ちゃんに何か耳打ちをしたあと、部屋を出て行った。
すると、すずか?ちゃんのお姉ちゃんは、
「すずか!!」
大きな声で呼ばれた、すずかちゃん(やっとこれで確信が持てた)はその声に、は、はい!!とちょっとびっくりしながら返事をした。
「あなたはアリサちゃんと一緒にこの子と一緒にいて」
すずかちゃんのお姉ちゃんはすずかちゃんの肩に手を置いて、優しく言う。
だが、すずかちゃんはその言葉に少しオロオロした。
「どうしたのすずか?」
すずかちゃんのお姉ちゃんは、その表情を見て、疑問の声を出した。
「あ、アリサちゃんが黒いスーツの男の人たちが悪い事しないように見張るって…………」
バッ
僕の体は自然に動いた。
ベットを飛び出し、素足のまま冷たいフローリングに足をつけ、右手にぶら下がっていたケータイを開く。
ビービービー
なんか警報がなっているが、僕は気にしない。
「なんでこんな事してんだろう?」
自分に自分で質問していた。
「やっぱり、あれかな、一回守った女の子は、最後まで守り抜く、ってやつなのかな?」
自分で言ってみて、その言葉に思わず嘲笑してしまう。
何が、守る、だ。
何が、最後まで、だ。
僕はそう言って何も守れなかった。
最後も、最初も。
だから、きっとあれだろう。
僕が今走っている理由は結局のところ、
「罪悪感と、自己満足のため、かな」
自分のせいで怖い思いをさせてしまった少女への罪悪感と、
自分のせいで死んでしまった少女への償いと言う名目の、自己満足。
「神になっても、何も変わらないな、僕」
そんな言葉が妙にしっくりきた。
僕は、未来日記を持とうが、愛する人が死のうが、自分のために生きてるんだな。
4月の、視界がぼやけて見えた日だった。
みなさんは未来日記を知っている状態で見ているのだろうか?
見ていない、と言う人が多数だとしたら、これからあとがきで、未来日記について書いて行きたいと思っいるのだけど…………