未来日記〜1st、リリカルに行く〜 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
僕は頭の中で、これからのことを再確認する。
まず、このまま僕は未来日記の情報を少しずつリークすることにより、信頼を得る(日記で確認済み)
そして、黒スーツの男たちの拠点まで
そして、それからはアリサちゃんの指示に従う。
もしアリサちゃんが帰りたいのであれば、帰す。
もしアリサちゃんがこのまま残りたいのであれば、このままにしておく。
まぁ、僕は………………どうでもいっか。
結構呑気だな、と自分で思ってしまった。
でも、なんか既視感があるな。
あ、これは未来日記を手にいれたばかりの僕の心情か。
あの時の僕は浮かれていた。
無差別日記には、テストの答えが書いてあるし、クラスメイトからいじめられそうになったら、それを避けて行動すればいい。
俗にいう、勝ち組ってやつだね。
まぁ、あの時はまだ他の未来日記所有者がいるなんて分からなかったし、かなりバンバン日記乱用してたからな。
などと、僕は柄にもなく昔のことを思い出していると、
ピリリリリリリリリリリ
携帯がなった。
僕は紳士的な男性のケータイがなったかと思ったが、違ったらしい。
僕の視界にいる紳士的な男性と、恭弥さん。
ついでに屋敷の中から僕を見ている
そのことから考えられたのは、自分の後ろにいる黒スーツの男たちの1人だと考えられた。
「あっ、はい」
案の定、黒スーツの男たちの一人だった。
僕は下手に動きたくないので、顔や体の特徴は確認できないが、結構優しい感じの声だった。
「はい、はい………………はい」
何回か、はい、を繰り返したあと、少し眺めの間が空いて、最後の返事をした。
カチッ
ケータイ(ガラケー)のの閉じる音が聞こえる。
「おい!!こんな時になにやってんだ!!」
僕の頭に銃を押し付けているリーダー格の男は怒鳴る。
前触れは、なかった。
突然だった。
ザザザザザザザザザザザザッ
これは、この世界では聞くことができるはずがないものだ。
そして、同時にこれが指している事実は、
未来を知るものが、いること。
ノイズ音は、未来日記の戦いによって、非常に重要だ。
これは、自身が未来を書き換えた時に起こる、未来の変動ではない。
自分以外の他者が、自分に関する未来を書き換えた時に起きる音だ。
僕はケータイを見る。
そこには、
『4/8 18:38[月村邸玄関前]
黒スーツの男の数人が、僕に向かって銃を発砲した。』
「!!!!」
その瞬間、僕はリーダー格の男の腕を巻き込んでしゃがむ。
ちょうどリーダー格の男が僕に覆いかぶさるような感じだ。
パンパンパンッ
銃声が何回か聞こえた。
僕にズシンとした重みが乗る。
『18:39 [月村邸玄関前]
僕に向かって発砲した黒スーツの男数人が、他の黒スーツの男に止められる。
だが、止められているのも気にせずに、僕に向かって発砲した黒スーツの男数人は、またも僕に向かって銃を発砲する。』
僕は衝撃に備えるため、歯を食いしばる。
ドンドンドン
背中に僅かに響く衝撃。
だが、痛みはなかった。
僕は日記で安全を確認して、盾にしていたリーダー格の男を地面に落とす。
「テメェ!!!!」
「よくもアニキを!!」
「盾にしやがったのか!!」
「ぶっ殺す!!」
口々と放たれる罵倒。
そんな声に僕は耳を傾けない。
僕は状況の確認を最優先する。
というより、日記を見ている人間がいないか探していた。
未来日記所有者は、武器と言えるものが、自分の日記しかない。
そのため、何かに目を落としている人がいるひとがいないか探す。
「……やっぱりケータイか」
僕に向かって発砲した黒スーツの男の一人が、未来が変えられた前に話していた。
つまり、未来日記所有者、またはそれに繋がっている人間が電話相手。
と、予想していたが、
ザザザザザザザザザザッ
パッと、僕はケータイを見る。
未来日記所有者の戦いは、基本的に情報戦、心理戦。
そのためには、より多くの情報が必要になるため、日記の確認は早い。
というより、もはや雪輝にとっては癖になりつつある。
『18:40 [月村邸玄関前]
黒スーツの男の一人が殴「おりゃぁぁぁぁ!!」
僕が日記を読んでいると、黒スーツの男の一人が殴りかかってきた。
僕はとわでもない衝撃と、馬鹿力によって、吹っ飛ぶ。
視界の一部が白く見えてくる。
ズサァァァァァ
コンクリートが自分の体を削るようだった。
や、やばい、気を失…………
腹から聞こえたドンッという音と、腹部に走る強烈な痛みで強制的に意識が戻る。
「テメェ、本当になんなんだよ…………」
聞こえてきたのは涙声。
「俺らの大事な人を!!」
死にたくない!!
そう思った。
「大丈夫かい?」
聞こえてきたのは、優しい声だった。
その声と共に聞こえたのは、グエッ、という声。
どうやら黒スーツの男が気絶させられたようだった。
「じゃあ、これからあいつらを黙らせてくるから、ちょっと待っててくれないか?」
僕は頷かなかった。
痛みで言ってる意味が理解できなかったが、僕はよく分からないが、安心した。
紳士的な男性と恭弥さんの足音が離れて行くのを感じた。
身体中のあちこちが痛い。
あぁ、そういえば、僕この前何発かかすっただけだけど、銃弾受けたんだったな。
殴られたところも、蹴られたところも痛いや。
だから、僕は意識を手放そうとしたが、
キャァァァァァァァ!!
聞こえた。
その声で僕は意識を手放さず、声の方へと視線を向ける。
僕の耳が節穴でなければ、今聞こえた声は、僕が勝手に守ると決めた少女の声。
命を危険に侵してまで、自己満足のために救おうとした人の声。
僕は声のした方へ視線を向ける。
「オイ!!コラ!!黙れって!!」
そこにはアリサちゃんの髪の毛を掴んで、黙らせようと手で口を抑えている黒スーツの男がいた。
「イダッ、ッ、テメェ!!」
だが、アリサちゃんは抵抗を繰り返し、黒スーツの男の腕に噛み付いた。
「もうテメェなんていらねぇ」
そのセリフと共に、アリサちゃんのこめかみに銃が突きつけられる。
アリサちゃんは怯えていた。
この前のこともあるし、当然だろう。
だが、今はそんなことを考えている場合ではない。
僕は立ち上がると同時に腰にあるダーツケースに手を伸ばす。
男の引き金にかかる力が強くなったその時。
「グワッ!!」
銃を持っていたその手には、ダーツが刺さっていた。
男は痛みのせいで銃を手放す。
僕は痛む体に鞭をうって、足を動かす。
幸いアリサちゃんまでの距離が近かったのか、すぐに辿り着いた。
「あ、あんたは…………」
アリサちゃんはまだ怯えたままだった。
その目には涙が溜まっていて、今にも泣き出しそうだった。
「私、みんなのために、頑張ろうと、したのに」
途中途中泣いていたせいで言葉が途切れていた。
「うぇぇぇぇぇぇん!!」
そして、僕に抱きついてきた。
腰のあたりに抱きついてきたアリサちゃんは、肩が震えていた。
「……………………」
僕は、そんな行動に何一つ言葉を話さなかった。
いや、僕は知らなかったのだ。
こういう時にかける言葉を。
きっと、上辺だけの言葉だったらいくらでも出る。
でも、そんなことを言って何になる?
なら、言え、早く。
慰めろ。
「……………………」
言葉が出なかった。
結局、僕は何も知らなかったのだ。
言葉を。
だから僕はそっと。
抱きしめた。
由乃にしたように。
優しく。
パンッ
「グフッ……」
僕の口から何かが出た。
ザザザザザザザザザザッ
それと同時になるノイズ音。
自分の怪我を顧みず、ケータイを見る。
そこには、
『18:49 [月村邸玄関前]
由乃が僕に銃を撃った。』
「由っ!!」
名前を言い切る前に吐血してしまった。
だが、振り返った僕は見た。
門の外に立って、手を振っていた由乃の姿が。
4月の、黒がよく映える日だった。
未来日記を持っていようが、神であろうが、死ぬし、傷つく。