未来日記〜1st、リリカルに行く〜   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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第8話

 

僕は、唐突に目を覚ます。

 

「…………ここは」

 

僕は起きたばかりの頭をフル回転させる。

 

そして、いつもの様に起き上がろうとしたが、ズキッ、という痛みを腹部から感じる

 

幸い、それのおかげでしっかりと目覚めることができたのだが、目が覚めると今度はしっかりと痛みを感じる様になった。

 

「いつつつ」

 

つい声に出してしまうと、いきなりベットが揺れ出す。

 

 

その揺れにまた痛みを感じて、怒鳴りそうになったが、天井しか見えない僕の視界に、2人の少女が映る。

 

そして、2人は僕の顔を見るなり、

 

 

 

泣き出した。

 

 

 

「え?!え?!え?!」

 

一気に困惑する僕。

頭の中には疑問が泉の様に湧いてくる。

そんな誰1人として冷静な人がいない何とも言えない状況になってしまった。

 

だが、

 

「なんや!!どうしたんや?!」

 

「アリサちゃん!!すずかちゃん!!」

 

「2人とも、どうしたの?!」

 

と、僕からは見えないが、部屋に三人入ってきたと思う。

 

 

そして、僕はこの急展開について行こうと必死に考えていた。

 

そして、焦りのあまりまたも起き上がろうとしてしまったのだ。

 

 

まぁ、案の定。

 

「イッテェェェェェ!!」

 

寝起き+混乱+忘れていた、のコンボのせいで、普通より痛みは倍増して、僕は気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん…………」

 

雪輝は目を覚ます。

そして、例の如く起き上がろうとしたが、体が動かないことに雪輝は気づく。

 

「?」

 

それによって、腹部の痛みを思い出し、起き上がることを断念する。

 

そして、なんで自分は起き上がれなかったのか、雪輝は思考を巡らす。

 

「ダウト」

 

「残念やったな、なのはちゃん」

 

「え、もしかして…………」

 

「ふっふっふっ、その通りや」

 

ペラッ

 

「ダウトや」

 

「いや、カッコつけるところじゃないよね?今」

 

三人くらいの声が聞こえて来た。

 

だが、今はそんな事雪輝は気にしている暇はない。

 

まず雪輝は、自分の疑問について整理する。

 

 

(なんで僕は起き上がれなかったんだ?)

 

雪輝はそこで、自分の胸あたりに妙な重みがあることに気づく。

 

(これは?)

 

雪輝は、その重みの正体を見ようとしたが、生憎起きられないためか、自分の体の方をしっかりと見ることができず、雪輝からは、自分の胸元に二つの何かがあることしか分からなかった。

 

(二つも?)

 

雪輝は、そう思いながら、自分がすべきことを考えていた。

 

(とりあえず、起き上がりたいし、この重り邪魔だし、どかしちゃおうかな)

 

いつもの雪輝なら、迷わず他の人へ助けを求めるか、日記を見るかのどちらかなのだが、寝起きのため、変な行動を取り始めた。

 

(大丈夫だな)

 

雪輝は手でグーを作ったり、手を開くなどして、痛みがないことや、十分に動けることを確認すると、そっと布団から手を伸ばそうとする。

 

だが、

 

(動かない?)

 

肩から肘までが動かなかったのだ。

 

(あ、重りか)

 

そこで雪輝は胸あたりに重りがあるんだったら肩から肘までにも乗っているだろうと思ったのか、特に気にしなかった。

 

そして、布団からかろうじて出た手を重りの正体へと近づける。

 

そこで、雪輝の頭はようやく冷静になってきた。

 

(普通に考えて、重りとかあるわけないよな)

 

てことは、と雪輝が思った瞬間、雪輝の手は何か柔らかいものに当たる。

 

「んぁ」

 

明らかに寝言。

その声で、雪輝は、何処かの主人公のように慌てふためくのでもなく、必死に逃げるための策を考えるのではなく、

 

「……………………」

 

某然としていた。

 

それによって、雪輝の体は硬直してしまい、手をどけることもできなかった。

 

そこで、ようやく雪輝は重りの正体に気づくこととなる。

 

「ここは…………」

 

(アリサちゃんだぁぁぁ!!)

 

雪輝に襲いかかる罪悪感。

 

(きっとこの子達は自分のことを看病してくれたのだろう。

 

なのに、それを僕は重りって…………)

 

そして、少しするとアリサは自分の頬に妙な違和感があることに気づく。

そして、彼女は気づいた。

 

 

布団から出ている手が、自分の頬をピタッと触れていることに。

 

 

それに気づいた途端、アリサは、

 

「キ、キ、キャァァァァァァ!!」

 

いつもの彼女からは考えられないくらいの悲鳴が上がった。

 

「「「!!」」」

 

雪輝からは見えないが、先ほどダウトをやっていた三人も、椅子をガタガタと鳴らし、立ち上がる。

 

そんな中、もう一つの重しこと、月村すずかは、

 

「Zzz……」

 

呑気に寝ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、これはどういう状況?」

 

「「「いえ、私たちには全く」」」

 

雪輝は、分からなかった。

 

この状況が。

 

「いや、ただ、僕はなんでアリサちゃんが悲鳴を上げた後、君たちが急に立ち上がって撲殺用の棒を取り出してアリサちゃんの周りを囲んだの?って聞いてるんだけど」

 

「撲殺用の道具って…………」

 

茶色のボブカットのいかにも元気っ子、という感じの関西弁の少女は、ため息をついていた。

 

それを雪輝は見逃さず、

 

「ねぇ、ため行きつきたいのはこっちなんだよ。

 …………で、アリサちゃんはどう?」

 

「うん、もう大丈夫みたい」

 

「ふぅ」

 

雪輝から出たのは、ため息ではなく、安堵の息。

そして、雪輝はいったん冷静になり、なるべく笑顔で、元気っ子に頼んでみる。

 

「ごめん、これじゃあ僕も君達も話しずらそうだからさ、ちょっとこの起こしてくれない?」

 

と言うと、元気っ子は僕の顔ではなく

僕の胸元をみる。

 

「?」

 

僕は首を傾げたが、それを見ていたのか、元気っ子の隣に座っていた金髪ツインテールのいかにもクール、という感じの少女が、

 

「あの、見えないと思いますけど、胸元のあたりにアリサちゃんみたいに寝てる人がいるんで」

 

「あぁ…………」

 

思わず僕は苦笑いを浮かべてしまう。

 

左手には今現在ケータイが握られている。

 

つまり、今日記を見ることができない。

 

(別に今は使わないけど、とりあえず離れてもらわないと……)

 

「ごめん、この子起こしてもらえるかな?」

 

雪輝はまたも笑顔を作りながら、2人に頼んでみる。

 

「そやな、すずかには起きてもらわんと」

 

雪輝はそこで、自分の胸元で寝ているもう一人の少女が、すずかだということに気づいた。

 

「ほら、すずか」

 

元気っ子はすずかを揺すっているので、雪輝もつられて揺れる。

その時少し雪輝の腹部に痛みが走ったが、雪輝は表情を崩さないようにする。

 

「んっ…………」

 

と、そこで雪輝の視界に入ったのは、すずかの顔だった。

だが、さっきまで寝ていたため、今は寝ぼけ眼だった。

 

「ほら、雪輝さんが起き上がりたいから、どけてくれないかって言ってるよ」

 

なんだかお母さんのように見える元気っ子に雪輝は微笑ましさを覚えていると、

 

「………………」

 

じっと、すずかは雪輝の事を見つめていた。

 

「………………」

 

「えっと、僕の顔に何かついてるかな?」

 

「い、いや、なんでもありまひぇん!!」

 

ガタッ、とすずかは思い切り立ち上がる。

だが、焦っていたせいか噛んでしまい、それがまた一層すずかの焦りを加速させて行く。

 

「いや、これは、別に、その…………」

 

すずかはどんどん口ごもっていく。

 

「ふふふっ」

 

「「「「「あはははははっ!!」」」」」

 

誰が出したかは分からなかったが、誰かの笑い声が聞こえると、その場にいたすずか以外の人たちは、笑い出した。

 

いつの間にか復活していたアリサも、栗色ツインテールも、クールな少女も、元気っ子も、

 

 

雪輝も。

 

 

コンコン。

 

そこに聞こえるノック。

 

「どうぞ!!」

 

プンプン、と怒っていたすずかは、少し強めに言う。

 

それに気づいたのか、みんなの笑い声は小さくなって行く。

 

「あ、失礼するね」

 

そこにいたのは、紳士的な男性の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、話って…………」

 

「いや、悪いね、本当に。

 なんか楽しそうなところに水をさして」

 

「いえいえ、別にいいんですよ」

 

僕は笑顔で答える。

 

 

今、この部屋には、僕、紳士的な男性の2人しかいない。

 

それは、紳士的な男性がこの部屋に入ってきた時に「2人切りで話がしたいんだ」と言って、みんなを部屋から出した。

 

「で、要件は、何ですか?」

 

「うーん、もうちょっと楽しく話をしていたかったんだけどね」

 

「いえ、なんか、切羽詰まっているように見えたので」

 

僕は、率直に感想を言う。

本当に、この人からは何か、切羽詰まっているような、そんな感じがしたからだ。

 

「はぁ、ま、そうなんだけどね」

 

紳士的な男性は肩を竦めて見せる。

 

「じゃあ、どんな質問ですか?」

 

僕は、別に未来日記を見ていたわけではないが、この先は何と無く読めた。

 

やっぱり質問だろう。

 

そう高を括っていたが、

 

「いや、もうそんな事より、先に君に聞きたい事がある」

 

「?」

 

それが質問では?と思ったが、それでは話が進みそうになかったので、特に口は挟まないでおいた。

 

「実は、君に頼みがあるんだ」

 

僕は無言で先を促す。

 

「君には、僕の家で住んでもらいたいんだ」

 

思わず日記を見ようとした僕は悪くないはずだ。

 

 

 

 

 

4月の、笑い声がよく響く晴天でした。

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