ハリー・ポッターは2p完結でいい   作:りなむ

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18話 魔法生物vs魔法使い

あ、やばい

 

 

『グアアァァァアアア!!!!』

 

 

なにがやばいって、この状況。予想した以上にヴァジュラって凶悪そうな魔法生物だった。全員固まって動くことすらままならない。普段何事にも怖がったり恐れたりしないジェームズやシリウスさえも震えを隠しきれていないのだーーー無理もない。こんな生死を懸けた局面に15.16の子供が冷静に対応出来る方がおかしい。つまりハリーはおかしい。すみません悪口じゃないです。

 

「リリー!先生を呼んできて!」

「え…」

「はやく!!」

「わ、分かったわ!!」

 

リリーを名指したのは単に彼女が一番後ろ出口に近かったから。弾かれたように走り出したリリーを邪魔されないよう、ローブの下から杖を抜き取り、適当な攻撃呪文でヴァジュラの気を逸らす。だけど全く効いてる気がしない。背中に感じる冷や汗を無視しながら、咆哮と共に襲いかかる牙や爪や電撃に必死に盾の呪文で対応する。

戦闘訓練は人並み以上に積んでるが、それはあくまで対人戦闘だ。対魔法生物じゃあない。というより私の体質的に、魔法生物相手は頗る相性が悪いので"戦う前に逃げろ"が鉄則だった。ここにきて訓練不足が仇となる。

 

『グルォアアアアアアアアアアァアアア!』

「っプルテゴ・トタラム!」

 

「インペディメンタ!!」

「ステューピファイ!」

 

必死に思考を巡らす中で、ジェームズとシリウスが参戦してきた。わたしの隣に並んだ二人に、驚きと喜びが身体を走る。だからか、ほんの一瞬、ヴァジュラの爪の斬撃に反応が遅れた。

ーーそっちにはピーターが

 

「逃げ」

「セクタム・センプラ!!」

 

瞬間、ヴァジュラの爪に切り裂いたような傷が残った。ピーターを庇うようにセブルスが前に立っている。

 

「あ…あ、ありが…」

「戦えないのなら貴様は下がっていろペティグリュー!!」

 

ふ、ふおおおおおおおおプリンスゥゥ!!!

 

「…なんだあの呪文」

「……」

 

プリンスだ!生・プリンスの呪文!プリンスの呪文がプリンスの口から出たプリンス!!(?)

 

「うわあああセブルスありがとう!格好いい!イケメン!流石わたしのMYエンジェル!!」

「煩い!余所見をするな!集中しろ!!」

 

戦闘中でありながら、めためた興奮したわたしはヴァジュラそっちのけでラブコールを送った。当然ながら怒られた。もう照れ屋さーん!あれでセブルスったら自分でプリンスとか言っちゃうんだからもー。かーわーいーい。

はてさて、愛しのMYエンジェルセブっちが参戦して3対1匹となった。しかし抑えるのが精一杯、慣れない戦闘に子供達の体力や気力も次第に限界に近づくだろう。先生が来るまで持つかどうか、そんな博打を打てるほど楽観視もしていない。このままじゃ全員、ジリ貧だ。

 

「シリウス」

 

プルデゴ・マキシマを唱えほんのちょっぴり余裕が出来たところで声をかける。軽い息切れと汗を流すシリウスは怪訝そうに私の顔を見た。

ーー私だって皆との喧嘩中、だらだらと休暇を過ごしていたわけじゃないのよ?分かったことだってある。

 

「このピアス、外してもらっていい?」

「はあ?」

 

ダンブルドアは"自身で"と言っていた。ならば、ダンブルドアじゃなくても、"私以外の誰か"なら外せるということ。そう気づいてクリスマス休暇中に残っていた子で適当に試してみたらーービンゴ。ちなみに外したくれた子(1年生)に私は[自分で着けた癖にピアスに外すの怖くなっちゃった人]と不名誉な認定をされている。残念すぎるだろ。

 

「いいから。はやく」

 

シリウスは急かす私に、訳の分からないといった表情で、でも聞き入れたように右耳に手を当てた。数秒ーーその時、ヴァジュラがさっきまでとは違う明らかに興奮したような咆哮をあげた。リーマス曰く美味しそうな匂い、だ。ご馳走なんでしょう?

 

さあ。おーにさーんこちらってね。

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