「……全くわからん」
シャーシューショー?分かるかこんなの!!ただ変な息継ぎにしか聞こえん。何が【猿でも分かる~蛇言語勉強集~】だ!バッシーンと本を床に投げつけて、ゴロンと床に寝転がる。見上げる本棚はびっちり蛇言語についての本がつまっていて、思わずため息が漏れた。
「先が長い………」
やっぱさ、日本人って他言語学ぶのに向いてないと思うんだよね。だって島国、小学校から英語やってたって、英語喋れる人なんて極僅かだし。私だって喋れないし。あ、今は喋れるか。あはは魔法のおかげで~す。ダンブルドアに頼んで蛇言語も分かるような永久魔法かけてもらおうかな…。いや、そもそもダンブルドアが蛇言語分かるか知らないし、蛇言語使えるようになりたいって知られるのは避けたい。なら私の魔法で…それはピアス外してる時しか使えないしなー。
ぼんやりと右耳にあるピアスを弄る。取るか、取らないか、少し迷ってやっぱりやめた。
「…もうちょい頑張るか」
まあ、これは最終手段にしよ。
身体を起こして、再度本を開いた。
結局あれから3時間ほど勉強して、必要の部屋を出た。今日は定休日の為廊下を出歩いてる生徒はいつもより少ない。みんな外か、自寮にいるのだろう。人が少ない分、いつもよりちょっぴり殺風景な廊下を歩いていると、なにやら空き教室から呻き声?が聞こえた。なんとなく興味をもってこっそり扉を開けて、教室を覗いて、ギョッとする。
「………んっ……はぁ…」
濃厚なキスシーンでした!!!!!
流石海外!!こんなとこまでオープン!しかも超濃厚!!
心のなかでアホな突っ込みをかまし、興奮ぎみで視界にはいるローブを見て、はて?となった。色が赤と緑、つまりグリフィンドールとスリザリンだ。この寮ってめちゃめちゃ仲悪かったと思うんだけど…。すると体勢を変えた為か、交じりあう(意味深)二人の顔が私の位置から見えるようにーー
シリウスだった。
しかも、目、合った。
例えるならば息子のエロ本を見つけてしまった母親、検索履歴にラブホテルの名前を見つけてしまったお姉ちゃん。私は静かに、素早く扉を閉めて寮へ向かってダッシュした。──80メートルくらい。かれこれ私、運動なんて高校時代の体育の授業以来してこなかった超インドア。別名引きこもり。50メートルの全力ダッシュで息切れするポンコツです。当然ながら+30メートルも多く走った私は限界で、ゼーハーと無様に呼吸を整える。そうして少し落ち着いた頃に
「おい」
後ろから、声がかかった。
「うっわ、なんでいるの?」
「お前が逃げたから追ってきたんだよ」
「え、なにその私のせいみたいな言い方!私はただシリウスが彼女とイチャついてるの見ちゃって申し訳ないから逃げてきたのに!…あれ?じゃあこれ私のせい?」
「別にアレ、彼女じゃねーよ。ただせがまれただけだ。」
ふんっと機嫌が悪そーなシリウス。ただせがまれただけて。というか女の子すっぽかして此方きたの?どんだけ私のこと好きなのシリウスくんや。
「クリスマスパーティー、断ったら面倒だったんだよ。だからああなった」
「ひゅーうモッテモテだねえシリウス」
「うるせえ。お前こそ一人で何…………また必要の部屋にでもいたのか?」
「え、何で知ってるの」
「…知りたいか?」
シリウスはニヤリと、悪戯が成功した時のように意地悪く笑った。それを見てあっと思い当たる。
「もしかして地図、完成したの?」
「っ!…よく気づいたな、もう8割型完成してるぜ。それにしてもリオ、しょっちゅう必要の部屋行ってるよな。何してんだよ?」
「パーティーのダンスの練習」
「……………相手、誰だよ」
「嘘。ほんとは昼寝。パーティーは行く気ない」
「はあ!?なんで?」
「なんでも。シリウスの相手は誰なの?マリー?トレーシー?それともウェンディ?」
「………………」
「……シリウス」
「、なんだよ」
「避妊はしっかりね」
「ブッッ!! ──アホかお前は!!」
ぎゃいぎゃいと騒ぎながら廊下を歩けば、あっという間にグリフィンドール寮の前と着く。合言葉を告げて、中に入ろうとすると、シリウスがポツリと呟いた。
「リオ」
「ん?」
「ほんとにパーティー、行く気ないのか?」
「ないよ」
あ。また機嫌悪くなった。