「じゃあもういっそ、ウチ泊まり来る?」
ホグワーツ魔法学校の大きな廊下、中央。
あっけらかんと理央が言い放った言葉に、お年頃の少年達はビキリと固まってしまった。そんな彼等に対して、理央はきょとんと首を傾げている。勿論わざとだ。
ジェームズの名案とは、"ポッター家お泊まり会開催"だった。一つの部屋で寝食を共にし仲良くなったところで理央から色々聞き出す、序でに防衛術のコツも教えて貰おう、理央一人だと気まずいかもしれないからリリーも誘ってーーーーこれがジェームズの思惑だった。彼にとって疑問解消・実力up・恋のチャンスと、一石三鳥な提案。ついでに言うならシリウスにも何か起きるかなと期待している。「ごめん、イースター休暇はやることあるから遠慮しとく」が、理央はこれを断った。しかしジェームズも簡単には引き下がらない。「来てよ」「無理だって」「君の大好きな僕のお願いだよ?」「うわっ自分で言ったよ」そうして言い合うこと約3分。折れた理央からの提案がウチ来る?だった。そんなウチ来る?行く行くみたいに言われても困る。自分から誘った筈のジェームズはそう思った。
「え……いいのかい?」
「うん。別に親とかいないから気い使わなくて平気だよ」
待って。それは全然平気じゃない。
リーマスは思った。
「で、でも、女の子の家に僕らが泊まるのは……」
「え?毎年セブルス泊まりに来てるよ?」
「「「「は???」」」」
おい糞スニベルス。
シリウスはうっかり殺意を洩らした。
「リリーとセブルス、毎年ウチに来てお泊まり会してるの」
「………………………………リリーと?」
「ジェームズ、顔。ほらウチって特殊でね、本来なら私達は学校以外で魔法使えないけど、家の敷地内なら"臭い"がバレずに使えるの。だから自主的な練習とか勉強が出来るわけ。リリーもセブルスも魔法薬学に熱心でね、毎年ウチで実験してるよ」
「"臭い"が消せる?」
「そう。ーーー内緒だよ?」
理央は口許に人差し指をあて、空いた片手でピンと耳元のピアスを弾く。その顔はまるで、悪戯が成功したジェームズやシリウスのようだった。
はてさて、当初の予定とは多少狂ったが、寧ろよい方向に転がったと思わざるを得ない。理央の家に泊まれ、尚且つ魔法だって使える、これほどの好条件は中々ないだろう。しかも家まではトンネルネットワークも使えるらしい。
あえて言うならば、それは
「今年もリリーとセブルスは来るって言ってるけど、どうする?」
「…そうだね、是非お邪魔させてもらうよ!シリウス、リーマス、ピーター、君達もいいだろ?」
「えっと…僕はリオが構わないなら」
「ぼ、僕も!」
「…………あぁ」
「おっけー。ちなみに喧嘩したらその場で追い出すからヨロシク」
スネイプとの接触。しかし既に釘は刺された。ジェームズの反応も思った以上に悪くない。シリウスは絶賛ウジウジモードの為論外。なんとかなる。多分。
「じゃあ休暇入って三日後に四人で向かうね」
「ん、わかった。」
斯くして、お泊まり会の約束は果たされた。
「あの……僕ずっと気になってたんだけど」
「ん?」
「リオ、どうしてずぶ濡れなの?」
おずおずと手を挙げずっと気になってました、と言わんばかりに問うたピーター。ちなみに今日は太陽がサンサン煌めく快晴。それなのにリオはスコールに当たったかのように、全身ずぶ濡れだった。噴水にでも突っ込んだ?そんな疑問が頭をよぎる。
しかしリオはその問いを聞き、それはそれは蕩けるような綺麗な笑みを浮かべこう言った。
「ちょっと髪飾りを壊したのよ」