ハリー・ポッターは2p完結でいい   作:りなむ

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5話 禁じられた森と狼とわたし

禁じられた森、なう。

 

サワサワと生い茂る、不気味な森を目の前にそっと私は右耳についているピアスを外した。ポケットに大切にしまい、そんでもって私の秘められし封じられた力(笑)が身体を巡っているのが……分からなかった。微妙に不安だったので徐に適当な無言魔法を使ってみる。(レダクト)……あ、大丈夫そうですね。

そうして私は身体強化と気配察知、加護の魔法を自分にかけて、森の奥へと足を進めたのだった。

 

 

 

 

 

さくさくと足を進め、あーヤバそうな気配するな~と思った方には足を止め、遠回りだが迂回して目的地へと向かう。目的地?それは勿論、ホグズミード村の叫びの屋敷。ちなみに暴れ柳の道を使わなかったのは、万が一仕掛人たちに見つかったら面倒だから。今日は満月、彼等はそうーー人狼となったリーマスに私をけっして近づけさせたりはしないだろう。多少の危険を犯してでも、今はこのルートを使うしかない。

 

何故今更リーマスに?と疑問に思うかもしれないが、如何せん。私の体質も体質で、入学してからこの3年間一人で禁じられた森に入ることをダンブルドアに許されなかったからだ。これまで3年の修行の末、まあ何かあっても逃げ切れるだろうといえる実力を身に付けたからこそ、現状ここにいれるのだ。ーー全く、世界渡航の特典か障害か、良くも悪くもこの力の扱いは厄介である。

 

そんなこんなで考えことをしていたら、森を抜け、叫びの屋敷が見えてきた。ふう、と一息。女は度胸。思いきって扉をあける。

 

「グルルルグルァア!!」

 

「ーっわ!<動かないで>」

 

イメージは簀巻き。布団はそこのぼろ布で代用。扉を開けて入ってきた私に襲い掛かった人狼は、あっという間に簀巻き状態で私の足元へ転がった。ーーいきなりきた。凄いびっくりした~。

 

「グルァア!アアア!!!」

 

バタンバタンと暴れ狂う狼ーーこれが、リーマスか。

心臓がバクバク鳴る。目の前の怪物は、普段の温厚な彼を想像することもできない。知っていた。知識として、記憶として知ってはいたけれど。

 

「<……リーマス。私よ?分かる>」

「…ぅ、グル…アアア…!」

「<そう、いい子ね。戻れる??ーー呪い解除。>」

 

私は、人狼に変身することを一種の呪いだと認識していた。満月で無条件に狼へ変身する呪い、感染ルートは咬まれる…つまり唾液感染ではないか?と。正直、この魔法の世界で科学だの物理だの真面目に考えるのは馬鹿馬鹿しいと感じるが、私の体質は…この普通の魔法使いやしもべ妖精とも違う、"気質の違う魔力"は私の論理的思考や想像力が魔法を成功させるのに大事だと師匠に教えてもらった。端的に言うならば思い込みを強くしろ、ということである。頭で強く念じるもよし、けれど言葉で表すのが最も強力であるとこの3年間の特訓で判明してる。これを理解するまでどんなに大変だったか。…ワケワカンナイ魔法でよくやったわたし、よく頑張ったわたし。閉話休題。

そして、結果的にこの"思い込み"は成功だった。ベキバキと嫌な音をたてながら、リーマスは徐々に人間へと戻っていく。簀巻き状態から解放して完全に元に戻った頃には、私の魔力も限界だった。超疲れた。前やった魔獣達とのリアル鬼ごっこ~禁じられた森編~より疲れた。

 

 

 

「…………………リ、オ…?」

「うん。調子はどう?リーマス。あんまり良くなさそうだけど」

「……どう、して、」

 

リーマスはまず、屋敷の窓から見える満月を見上げ、その後に私の顔を、もう一度満月を見上げた後、恐怖と混乱を顔に浮かべ、私を見た。彼は震える身体を押さえ込むように両肩を抱き、言葉にならない声を何度か漏らす。ばれた、怖がられた、退学、嫌われる、とか思ってるんだろうな。

 

「リーマス、とりあえず傷の手当てをしましょ。あと落ち着いて。私あなたを退学にしようとか嫌ったとかそんなわけないから。確かにさっきまではスゲー怖かったけど、いや普段の真っ黒笑顔もスゲー怖いけど、今は怖くないから。むしろそんな小動物みたいに震えられるのが居たたまれなくてしょうがないから。あと、服、着てクダサイ。地味に筋肉ついてる上半身とか、そこのいい感じに大事なとこを隠してるぼろキレとか、正直眼福だし写真とったら売れるんじゃないかとか思うけどーー痛い痛い痛い!!」

「リオ?」

「リーマスさん頭ミシミシいってます!ごめんなさい!もう見ないから!窓に写ったのこっそり見ようとかもしないから!!はーなーしーてー!」

 

 

 

 

リーマスお着替え中。私はずっと正座だった。

 

 

 

 

 

「ーーリオは、僕のことに気づいてたの?」

「うん。私の体質的に、リーマスの中に違う魔力感じてて。だからそうなんじゃないかなって。」

「体質?」

「…ここから先は皆に内緒にしててほしいんだけど」

「ジェームズ達に?リリーは知っているの?」

「リリーも知らない。知ってるのはダンブルドアと、これの特訓付き合ってくれたお師匠だけ。その、これは公にするのは結構危険なの。…だから」

「………………僕も君に人狼と黙っていたから、分かった」

「ありがとう。私ね、どうも普通の魔法使いと魔力の気質が違うみたいなの。元となる魔力が違うから、一般的な呪文を使わなくても魔法が使えるし、自分で考えついた魔法だって使える。でもこの魔力が、どうも魔法動物に魅力的みたいで…強い動物程わらわら私を狙って寄ってくるのよね…。」

「…確かに、僕も変身しているときリオが凄く美味しそうな気がした。いや、待って、ならなんで君は禁じられた森なんかに入ってきたんだ!?危険すぎる!!」

「それについては修行したから平気よ。襲われても逃げ切れるくらいの力はつけてるから。ーー話を戻すね、それで私の魔力は珍しい。それは、闇の勢力にも目をつけられるかもしれないってダンブルドアが言ったの。並み程度の魔法使いなら気付かないけど、上級の魔法使いになれば私の異質さに気づくかもしれないって。だから、普段はこのピアスをつけてる。これは魔力の気質を、通常のものに変換してくれるの。だからこれをつけてる間私は魔法も普通のしか使えない、魔法動物にも狙われない。ーーーーこれが、私の秘密だよ。リーマス」

「……………………」

「いきなりだもの。納得するのは、難しいかな…?」

「違う、そうじゃないんだ。君の身体のことは分かった。でも、此処へ来ることはとても危険だったんだろう?それなのに…どうして…」

「それはね、あなたに教えたかったの。」

「教える?」

 

「そうーー人狼だろうがなんだろうが、リーマスは大切な友達だよってこと。」

 

そこで初めてリーマスは顔を上げた。此処へきて初めて真正面から顔を合わせた。真っ青な顔色で、ワナワナと口元を震わすーーまるで迷子の子供のようだと、私は思った。ゆっくりと手を伸ばす。リーマスの肩に軽く触れると、ビクリと大げさに体を揺らした。そのまま壊れ物を扱うように、丁寧に、リーマスを抱きしめる。本当はずっとこうしたかった。ちょうど3日前授業で人狼の話題が扱われた時、仕掛け人達に大丈夫だと笑いかける、その机の下で震える拳を抑え込む、その姿を見たときから。

 

「………僕が怖くないの?」

「怖かったら今ここにいないわ」

「…リオ」

「うん」

「…リオ」

「なーに?」

「………っぁりが、とう…」

 

静かに涙を流すその背中を、ポンポンと撫でる。その震えた小さな身体を、慈しむように。

 

 

 




禁じられた森→ホグズミード村→叫びの屋敷 というルート。
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