ハリー・ポッターは2p完結でいい   作:りなむ

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6話 友人といじめっこ

「セッッッッブルスゥゥ!!」

「ぐはあぁ!!!」

「「!?!」」

「リオ!!」

 

例えるなら突風か。台風か。嵐か。

兎も角、一瞬にしてさっきまでの空気は飛散したと云える。ーー尤も被害者は存在するのだが。

 

「久しぶりセブルス!!クリスマス休暇ぶりかなあ!?最近会えないなって思ってたの!!」

「っ〜〜〜!!」

「あれ?」

「リオ、セブが苦しそうだわ。上からどいてあげて」

「あっはい」

「ゲホッゲホッ!、」

 

全力で助走をつけ、突進したのは高野理央。

それに潰された男の名はセブルス・スネイプ。不幸ながら高野理央に癒し担当その2(ツンデレ枠)という、彼にとっては訳の分からない役割を与えられた哀れな少年である。理央に冷静に突っ込んだのはリリー・エバンズ。彼女には残念ながら、ジェームズ、シリウスとは違い理央がセブルス限定で行う奇行に耐性があった。慣れた光景に今更驚くわけもない。

 

「セブルス大丈夫?」

「きっ、貴様がそれを言うかあああ!!!毎度毎度何度言えば貴様の脳は理解するのだ!?何故普通に挨拶が出来ない!?牛かなにかかお前は!!?」

 

怒り狂い胸ぐらを掴み挙げるセブルスに、驚き戸惑う理央。その申し訳なさそうな表情に、一瞬たじろぐセブルス。言い過ぎたか?いや僕は悪くない。元はと言えば全力で突進してきたこいつが悪い!正確に鳩尾に頭を当てるとか嫌がらせか!その心配そうな顔すら腹立たしいわ!!

しかし目に見えて元気のなくなった理央、もしかしたら反省してるのかもしれない。………いや騙されるな僕!!何度も経験したではないか!この程度でこいつは反省などしない!!今度こそ本当に反省するまで許さなーー

 

「ごめんねセブルス」

 

しょんぼりと謝罪を口にした理央に、ウッとセブルスは胸ぐらを掴む手を緩める。

普段の振る舞いからかけ離れた悲しげな顔に、思わずほだされそうになる心。………………クッ…本当の本当の本当に、反省したのなら許してやらないことも

 

「今度からは後ろから飛びつくようにするね」

「飛びつくのをやめろ!!!!」

 

なかった。やっぱりこいつはこの程度では駄目だった。ちょっとでも許しかけた僕がバカだった。この馬鹿やはり一度…!いや、落ち着け僕、ここで怒ったらまた二の舞だぞ僕。深呼吸だセブルス・スネイプ!!

ギリギリと歯軋りするセブルスは、その芸人レベルのツッコミと反応が原因で理央にからかわれていることに気づかない。キレるセブルス、笑う理央、二人に呆れてため息をするリリー。

 

そんな三人だけの空間に、堪えきれなくなった少年が一人、乱入する。

 

 

「やあリオ!!悪いけど僕らはそこのスニベルスに用があるんだ!そこを退いてくれるかい?」

 

 

 

セブルスとリリーはその声にハッとした。………理央の奇行のせいで、すっかり忘れてた。

今しがた、セブルスは彼らに嫌がらせを受けていたのだ。それを止めに入ったのはリリー、だけどその程度で止まる二人ではない。にやにやと意地悪い笑みを浮かべるその顔が、なんと憎らしいことか。

 

「あ、二人ともいたの?」

 

だがしかし、高野理央はどこまでも空気を読まなかった。そんな彼女にジェームズは盛大に顔を引きつらせ、セブルスに至っては「お前何言ってるんだ」と言わんばかりの表情をしている。シリウスは眉を顰め、リリーは脱力したような溜め息を吐いた。

 

「………最初から僕らはいたよ…。気がつかなかったのかい?」

「私の癒し反応センサーがセブルスしか目に映さなかったから」

 

いけしゃあしゃあと抜かす理央。

それが少し勘に触ったのかジェームズの機嫌が悪くなる。ちなみにシリウスは理央登場の時からずっと機嫌が悪い。

 

「…そこ退けリオ。そいつから離れろ」

「シリウスに同感だね。リリーも、そんな奴と一緒にいたら君まで陰険な暗い人間になってしまう!」

「っあなた達まだ!!」

「ええ〜やだ〜。久しぶりに会えたんだから私もセブルスと話したい、癒されたい、魔法薬学のレポートやってほしい」

「僕はやらないぞ」

「ええっそんな!今回のはホントに難しいんだよ〜タスケテ!」

「課題なら後で俺が見てやる、だから」

「えー魔法薬学はセブルスの方が詳しいモン。裏技とか簡単な方法知ってるし。だからセブルス〜」

「やらん!」

「………僕らを無視しないでほしいな、リオ。君は頭だけじゃなく耳も悪くなったのかい?スニベリー」

 

ピリッと、空気が鋭くなった。ジェームズがこちらを睨み、当然セブルスも警戒を強める。

互いに手に持つ杖を握りしめ、緊迫した空間に、

 

「スニベルスでもスニベリーでもなく、セブルスだよ。ジェームズ」

 

諭すように、またしても空気を壊した理央。

どこまでも空気を読まない、読めないのではなく、読まない彼女。

 

苦虫を潰した表情でジェームズはリオを睨むが、当の本人に至っては飄々とした顔で「これ前にも言ったんだけどなあ」と口にする。

そんな様子を見て、リリーはもう大丈夫だなと思った。だってここできたらリオのペースだ、もうこの人達じゃ敵わない。色々と変だし不真面目だし面倒くさがりだし変だけど(二回目)リオは凄い、それがリリーのこの友人に対する見解だった。

 

「……リオ、君は黙っててくれ。それとも僕らを怒らせたいのかい?」

「全然。私はジェームズもシリウスも大好きだもん。喧嘩は嫌だな」

「なら邪魔をしないでくれ」

「それは無理、セブルスも好きだから。私はここをどかないし、二人が何かしようってならまた結界張らせてもらうケド」

 

そう、リオ・タカノの凄いところはここなのだ。ジェームズ達は好き、でもセブルスも好き。およそ敵対する二人をなんの躊躇いもなく好きだと口にする。しかも、他はてんで駄目なくせにーー闇の防衛術だけは学年トップ。つまりここの誰よりも上なのだ、ジェームズ・シリウスに対抗するだけの手段も持っている。以前同じような状況になった時は完璧な結界を四方に張った、どんな攻撃魔法も通さず、ジェームズらが懸命に攻撃する中で理央とセブルスとリリーは仲良く課題を始めるなどという事態になった。だから今回もそうなるんだろうなとリリーは考え、またジェームズもそれを思い出して顔をしかめた。

 

「………僕は君のそういうところが嫌いだよ」

「私は好きだよ。だからセブルスの良いところを二人にも知ってもらいたいなって思ってる」

「ハッ!スニベルスが!?冗談だろ!」

「そういう決めつけちゃうとこ、シリウスの悪い癖だよ」

 

にっこりとそう言ったリオに、「行こう、シリウス」と去っていくジェームズ達。その背中を見送ってから「全くあの子達は…」と呟く姿はまるで母親のよう。過ぎ去った脅威に、やっぱりリオは凄いなあとリリーは思った。

 

「じゃ!薬学レポート教えてください!」

「自分でやれ!」

「できるわけないじゃん!」

「開き直るな!!」

 

他はダメダメだけど。

 

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