英雄を目指したエウリュアレ   作:タマモワンコ

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突然の急展開だがワンコは謝らん!

にゃははははははははは!


第八話 旅の終わり

 

 

―魔女メディア。

 

神代の魔術師である彼女は当時でもトップクラスの魔術師であった。だがその人生は不運であった。

 

ヘラの策略によって半ば強制的にイアソンに恋をし、 国からの追っ手を止めて彼らを逃がすために実の、それも幼い弟をナイフでバラバラにして海へと捨てた。これによりイアソンらは逃れることができたが、彼らの心はメディアから離れていた。

 

結果としてイアソンは他の女性と結婚し、それに対し憎しみを覚えたメディアはイアソンの親族を皆殺しにし、何処かへと去っていったという。

 

…まあなんだ、重度のヤンデレに近いものなんだね。それも独占したいし他のやつなんてどうでもいいって考えの。

 

しかし、これは前世での話である。今私が居る後世はまた違うのだ。なにがって?…イアソンの性格とか?

 

なんというかこの世界のイアソンは原典よりもかなり丸いというか。まあ優しいのだ。気遣いもできるいい子なんですよ。

 

それにメディアが恋をした結果、

 

バカップルみたいなことになったそうな。

 

どうも毛皮を取りに行く途中で色々あったらしく二人の間がすっごい縮まっているんだよね。いや何があったんだよ。

 

「…ヘラクレス、なにあれ。」

 

「…イオルコスの王子とコルキスの王女だが?」

 

「そういうことじゃなくて。なんであいつらずーーーーーっと手を繋いでんの?バカップルなの?」

 

「…俺にもなぜああなったのかはわからん。というか誰にもわからないだろうな。あいつらを除いて。」

 

「あれ見ててなんかすっごいイライラするんだけど。しかもなんか既視感を覚えるというかなんというか。どうしてああなった!」

 

「…毛皮を取りに行く途中で二人が皆からはぐれてしまってな、帰ってきたらあの調子だ。…にしてもお前はなぜまた神性が高まっているのだ?俺たちが旅に出る前よりも増えているような気がするんだが。」

 

「…一応これでも封印をして下げているのだけど…大体E相当には。」

 

「海獣を倒しに行く前がEなら今はDってところだな。なにがあった?」

 

「…ちょっとポセイドンと殴りあいをしていたわ。」

 

「…ちょっとですまないだろうそれは。」

 

「あはは…それのせいで海の生物たちに恐れられちゃったみたいでね。海辺に行くと自ら供物として飛び出してくる魚が居る始末よ…。」

 

「…というかよく生きていたな。ポセイドンはゼウスと同格と言っても過言ではないだろうに。」

 

「あはははは…いや、なんか新しく作ったものとか修得した技術とかを使ってたらすんなりと。」

 

「…そうか。」

 

「…あれ?イアソンとメディアどこ行った?」

 

「む?おや、見当たらんな。」

 

「…イアソンとメディアなら城へ行ったぞ。」

ポロローン

 

「あ、師匠。ありがとうございます。」

 

「なに、これぐらいどうということはないさ。ではな。」

ポロローン

 

「…師匠どうしたの?」

 

「…端的に表すなら『絶望した!弟子よりも弱い自分に絶望した!』ってところだな。」

 

「…なるほど。うん、ごめんね師匠!」

 

「それで、どうする?イアソンのところにでも向かうか?」

 

「そうね。なんか嫌な予感がするし。」

 

「お前の予感は当たるから困るのだが…。」

 

「私の予感は当たる(キリッ」

 

「俺としては直前になってからしかわからない直感よりも占いとかの方が良いのだが。というかそのエイは何処から出した。」

 

「倉庫から。よし、お前の名前はエビルダイバーだ。」

 

これは最期はアルトリア辺りを宝具の一撃から庇って死ななきゃならんですな。最期の言葉は『私の予感が…やっと外れる…。』で。

 

…ドラグレッダー作れるかなぁ。

 

「…エコー、いくぞ。」

タッタッタッタ…

 

「あ、待ってよー!」

 

……………………………………………………………………………………

 

 

「…むう、普通に歩くとやはり遠いな。」

 

「まあ街だしねぇ。だからといって走るわけにもいかないしね。」

 

「お前は歩きでも恐ろしい速度が出るだろうに。」

 

「ああ、縮地のこと?あれをやってまで急ぎたくはないかな。それに下手に技術を盗まれても嫌だし。」

 

「なるほどな。ん?」

 

『どけどけどけー!』

『どいてくださーい!』

タタタタタタタタタタ

 

「ありゃイアソンとメディアか?」

 

「だねぇ。」

 

「あ、ヘラクレス!早く逃げろ!捕まるぞ!」

 

「はぁ…。イアソンよ、何をしたのだ。」

 

「メディアを嫁にくださいって言ったらキレた。」

 

「…ばかなのか。」

 

「ばかね。」

 

「うっさい!早く船で逃げるぞ!」

 

「全く。あ、私は先に船に行っておくわね。すぐ出れるようにしておくからー。じゃ、頑張ってね。」

 

パシュン

縮地縮地~。

 

スタッ

「ティーピュス!すぐ船を出せるようにしといて!とんずらよ!」

 

「へいへいほー。」

 

ダダダダダ

「着いた!ティーピュス!船を出せ!逃げるぞ!」

 

「あいよ!出航!」

 

「りょうげんぜんしんびそー。」

 

「なんだその呪文。」

 

「知らなくていいわ。んで、なんでメディアと…子供?まで連れてきたのかしら?」

 

「そりゃ結婚するためだよ?」

 

「はい!愛の逃避行なんてロマンチックです!」

 

「…これは戦争不可避やでぇ…。」

 

「…俺もそう思う。」

 

「あっはっはっはっは!それで?この鈍亀舟じゃああいつらに追い付かれてしまうぜ?」

 

「それならば私にお任せください。」

 

「足止めできるのか?」

 

「はい!」

 

「よし、頼む!」

 

「わかりました!」

 

……………………………………………………………………

 

 

「…それで?船尾でなにをするつもりかしら?まさかその子供をバラバラにしてばらまくなんて言わないでしょうね?」

 

「あら、よくわかりましたね。」

 

「…正気なの?」

 

「ええ、もちろん。これがイアソン様のためになるのなら私は喜んでやりますとも。」

 

「止めなさい。そんな事をしても意味はないわ。」

 

眼鏡をはずす。

 

「意味はあります。必ず追っ手を止めることができますから。」

 

念話をヘラクレスに飛ばす。

 

(ヘラクレス!今すぐイアソンと出来る限りの船員を船尾につれてきて!早く!)

 

(ぬおぉ!?わ、わかった!)

 

「違うわ。そんな事をしたらイアソンや皆の心が離れてしまう。愛されることも無くなるわよ。」

 

「何を言っているんですか。イアソン様は私に頼んだと言ってくださりました。ならイアソン様からの愛が離れることはないでしょう。」

 

…仕方がない。封印解除、神性解放。

 

「ならば、女神エウリュアレとして魔女メディアに命じます。その右手のナイフを今すぐ海に捨てなさい!」

 

「な……断ります。イアソン様のためならば神すらも敵にしましょう!」

 

ダダダダダ!

 

「な、メディア!何をしているんだ!?いやというかエコー、なんだその神気!?」

 

「うっさい!そんな事よりはやくメディアを止めて!」

 

「さようならアプシュルトス。ごめんなさいね?」

 

「?」

 

「くそっ!『自己時間加速:四倍速(タイムコントロール:スクエアアクセル)』!」

 

縮地で近付いて右手を掴む!

 

「な、離してください!」

 

魔眼起動。メディアを睨む。

 

「止めろ、殺すぞ。」

 

「な…その、眼は…?」

 

「メディア!」

 

「イアソン様!これをどけてください!追っ手を止められません!」

 

「何をいってるんだ!お前、そいつを殺すために連れてきたのか!?」

 

「ええ!バラバラにして海にばらまけばお父様達は必ず…」

 

「馬鹿野郎、なにしようとしてるんだ!そんな事俺は許さんぞ!」

 

「な…!?」

 

「メディア、少し話をしよう。エコー!あとは頼んでいいか!」

 

「ええ。えっと、アプシュルトスくんだっけ?行くわよ。」

 

「!」

 

よーし、アプシュルトスを抱えて先頭の船にジャーンプ!

 

ドスッ

 

「な、なんだお前は!」

 

「女神エウリュアレ。ほら、お宅の王子…であってるのかしら?返すわ。あとメディアだけれど、今は呪いにかかっているから下手に手を打つと悪化するわよ。今はそのままにした方がいいわ。」

 

「だが、メディア様が帰ってくるという保証は…」

 

「そのときはイオルコスを攻めなさい。イアソンとメディアにはしっかりと伝えておくから。それじゃあね。」

 

さて、帰ろっと。

 

 

…………………………………………………………………

 

 

 

「…エコー、いやエウリュアレと呼んだ方が良いのか?」

 

「どっちでもいいわ。それで?メディアとの話し合いは終わったの?」

 

「ああ。…なんというか…神というのは」

 

「ストップ。それ以上は言わない方がいいわ。」

 

「…そうか。くそっ。なんであんなことに。」

 

「…今は呪いのせいで盲目な感じではあるけど、いつかは解けるはずよ。メディアはかなりの素質があるから研鑽を積ませればいつかは呪いを解くでしょうね。」

 

「…ならいいんだが。ああ、そうだった。エコー、お疲れさま。よくやった。」

 

「どういたしまして。それじゃ、私は少し寝…」

 

『せんちょー!大渦に捕まった!すぐ上に来てくれ!』

 

「…休めそうにないわね。行くわよ、イアソン。」

 

「ああ。」

 

………………………………………………………………………

 

 

「ティーピュス!なにがあった!」

 

「言った通りだ船長!大渦、いや特大渦だ!それに捕まった!」

 

「うわ、なんだよあれ!おい、脱出できるのか!?」

 

「無理だ!この船じゃあいい風が吹こうとも抜けられん!」

 

「…なら私が行ってくるわ。」

 

「な、できるのか!?」

 

「…半々、いや三割と言ったところかしら。船の後ろに張り付いて、私の剣の魔力放出で無理やり押し出すわ。」

 

「…おいまて、それってお前は…」

 

「ええ。十中八九あれに飲み込まれるでしょうね。ま、なんとかなるわよ。」

 

「馬鹿野郎!そんなの許可できるか!他の方法を…!」

 

「…なんにせよ早く決めないと抜け出せなくなるわよ。」

 

「…くそっ!…エコー、頼む。」

 

「任務了解。大丈夫よ、女神エウリュアレは伊達じゃないわ。…じゃあね。」

タッタッタッタ…

 

 

「…くそぉっ!」

 

「船長、準備を。嬢ちゃんを犠牲にして助からなかったじゃあ申し訳がたたねぇ。」

 

「わかっている!総員、帆を畳め!急げ!」

 

 

………………………………………………………………

 

 

…さて、やりますか。

 

私としては、イレギュラーである私が死ぬよりもヘラクレスとかが死ぬ方がまずいと思うのでまあ良しとしましょう。最後にメドゥーサとステンノに会っておきたかったかなー。

 

まあ、今更かな。

 

 

さあ、大仕事だ。来い、『光の剣』。

 

「『

 

―――封印解放、開始。

魔の力よ、我が思う形を取りて、全ての敵を討ち滅ぼせ。

 

 

 

魔力の光の帯が空へと伸びる。

 

 

 

―――第一封印、解放。

 

落ちし星の力よ、多くの命を救うために、その力を解放せよ!

 

 

光の剣:第一解放(ソード・オブ・シューティングスター)』!」

 

 

その光は更に強まり――

 

確かな質量を持って船を剣と共に渦の外へと押し出す。

 

だけど、私はそこのなかにはイナイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…見事に吹き飛ばされました。むう、エネルギーの放出方向の調整が必要だったなぁ。撃つわけないさははは、とか言って放置していたからこうなったわけだ。ちぇ。結局自滅かぁ。

 

 

ああ、吹っ飛んだせいでもう渦の中心近くだよ。うわあ、すごいなぁ。渦のそこってこんなに深いのかー。

 

…いやー、しかもめっちゃ暗い。冥界にでも繋がっているのかなぁ。

 

ま、もう関係ないか。せっかくだ、寝よう。疲れたしね。

 

おやすみなさい、みんな。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ここは、どこだ?

 

あかるい。しろい。なにも、みえない。

 

 

「…あら、貴女がここに来るなんて。よほど深い眠りについたのね。」

 

 

だれかのこえがきこえる。

 

だれかにとてもにていて、それでいてちがうこえ。

 

 

「…ちょっと?聞いているのかしら駄メドゥーサ…じゃないんだったわね。おーい?」

 

 

このこえをきいているととてもおちついて、とても…うれしいきぶんになる。

 

ああ、ずっときいていたい。

 

 

「ええい!いつまで寝ぼけているつもりなの、よ!」

バチーン

 

「いったあ!?」

 

突然世界が鮮明になる。目の前に居るのは…

 

「…え、エウリュアレ?」

 

「ええ。その通りよ。私が話しかけているのにボケッとしているなんていいご身分ねぇ?」

 

「あー、すいません。」

 

「よろしい。まずは挨拶でもしましょうか。はじめまして、■■。私は貴女の今の体に元々あった魂のエウリュアレよ。」

 

…?なぜかノイズが。

 

「…えっと、じゃあ私は貴女を殺して…」

 

「あら、それは違うわよ。私はあいつのお願いを聞いて貴女の魂を受け入れたのだから。それにこうやって貴女の中で生きているしね。」

 

「そうなのですか…。それにしても、あいつって?」

 

「…それはまだ言ってはいけないそうよ。そのうちわかるから今は気にしなくていいわ。それにしてもほんと駄メドゥーサにそっくりねぇ。」

 

「はい。元々三人とも同じ存在のはずだったからだと思います。」

 

「それもあるかもしれないけれどやっぱり■■■■■の■っていうのもあるでしょうね。■■■■■もその辺りを考えて■■を作るべきだったわねぇ。■がこうなっちゃってるわけなのだし。」

 

…やっぱりノイズが。なぜでしょう。

 

「…あら、もう時間みたいね。もう少し話していたかったのだけれど。」

 

体が不意に軽くなる。

 

「それじゃあ、また会いましょう?今度はあいつも一緒に話せるといいのだけれど。」

 

「…はい。それでは。」

 

「ええ。またね。」

 

視界が真っ白になる。

 

そして、いしきも…

 

 

↑ここまでエウリュアレ

↓ここから(エウリュアレ)

 

 

…ふむ、どうやら記憶にロックでもかかっているのかしらね。どうも理解できていなかったようだし。

 

「あー、あいつは帰ったか?」

 

「ええ、帰ったわよ。」

 

「そりゃよかった。今のあいつじゃあオレを見ただけで何者かわかっちまうからな。」

 

「貴方も大変ね。」

 

「…ま、あいつの願いを叶えるためだ。当分は協力してくれよ?」

 

「ええ。別世界とはいえ妹の形見だもの。これくらいどうってことないわ。」

 

「あんがとさん。いやー、感謝してもしきれねーぜぇ!」

 

「なら…いえ、なんでもないわ。貴方に願っても駄目でしょうしね。」

 

「おやおや、オレのことをよーくわかってるじゃない!つっても、あいつの願いを叶えるのにキャパを完全に割いてるから今言われても無理なんだけどな!」

 

「でしょうね。それじゃ、またお茶会でもしましょうか。」

 

「いいねぇ。お前さんの淹れる紅茶は旨いからいくら飲んでも飽きないからな!」

 

「この空間じゃ飽きが一番の敵だものね。ま、のんびり行きましょう。」

 

「だな。」

 

 

↑ここまで(エウリュアレ)

↓ここからヘラクレス

 

 

 

アルゴナウタイ。この全滅するとも思われた旅は船員一名の行方不明のみで終わった。

 

あの渦は海底に穴が空いていたことが原因で、これを重く見たゼウスとポセイドンがそこに巨大な山を投げ込むことで塞ぎ、渦は収まった。だが、その周辺にいた多くの魚と、そしてエウリュアレは戻ってくることはなかった。

 

イアソン達は悲しんだ。だがその犠牲を無駄にせんと必死に今を生きている。

 

ステンノとメドゥーサには俺が伝えた。二人とも悲しんだが…意外とあっさりと受け入れていた。仕方のないことだ、と。

 

俺は…今は贖罪の続きに挑んでいる。次で十二回目になる。そろそろ終わらせたいものだ。

 

 

エウリュアレよ、皆、いつか帰ってくることを願っているぞ。

 

だから、帰ってこい。




突然の急展開かつ超展開。どうしてこうなった!

というかエウリュアレが…。


次回、冥界にて

来週もエコーと地獄に付き合ってもらうぞ。


…嘘やと思う。
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