さくら荘と河合荘な僕らの宴   作:チャッピー4510

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さくら荘side はじめまして

美咲先輩が車を走らせて15分程経つと、車はある家の前で泊まった。

 

「お屋敷…?ま、まさか料亭ですか⁉︎」

 

見るからに雰囲気のある和式の館は風情があり、年月が経っているのがわかる。

料亭で食事なんてした事ないし…お金が大丈夫か不安になり財布を確かめると仁さんがそれをみて笑った。

 

「落ち着けよ空太。料亭なんて行けるわけないだろ?美咲がいるんだ、そんなところ行ったら大迷惑になる」

 

「そ、そうですよね」

 

少しホッとした。ここ最近は椎名のバームクーヘン代で財布が地味にダメージを受けていたため、ここで高い料理など食べれるはずもなかったからだ。

 

「ん…?それじゃあなんでここで止まったんですか?」

 

俺がそう聞くと仁さんが看板…ではなく表札の方を指差した。

 

「河合荘…ま、まさか⁉︎」

 

「そのまさかだ」

 

仁さんは呆れたように河合荘の玄関に足を進める。人様の家にあの美咲先輩を連れて行くと言うことは大迷惑をかけるかもしれないと言う事だ。

 

後から車から降りてきた青山と椎名もよく分かっていない様子だ。

 

「か、神田くん…ここどこ?」

 

「空太、バームクーヘンは?」

 

俺は仁さんが先程していたように表札に指をさして青山達に教える。

 

「な、何考えとるん先輩達は!」

 

「うん、俺もそう思ったよ…」

 

「空太、バームクーヘン」

 

椎名もお腹が空いているらしく、先程からバームクーヘンをねだってくる。

 

「椎名、今はバームクーヘンはないんだ。とりあえず、美咲先輩達が何をやらかすか確かめてからな」

 

「わかったわ」

 

「よし」

 

「つまり、美咲と仁をストーキングすればいいのね」

 

「言い方があれだが半分は当たってる」

 

椎名はさっさと河合荘の玄関へ向かってしまった。青山は未だに不安そうにしている。

 

「な、なあ神田君、大丈夫なん?ここももしかして学生寮みたいなところなんや…」

 

「関西弁出てるぞ青山…まあ何があるかわかんないけど…とりあえず行ってみよう、責任は仁さんにとってもらって」

 

「何してんのよ早く入りなさい」

 

俺たちが意思を固めようとしていると、千尋先生が俺を蹴飛ばして門の中に入ってしまった。

 

「ちょっ、何するんですか!!?」

 

「あんたらがずっと門の前でイチャイチャしてて邪魔だったからどかしたのよ。アポはちゃんと取ってるらしいから堂々と入んなさいよ」

 

「アポ取ってるの初耳なんですが!!?」

 

「一々細かいわねー…あんたのケツの穴はどんだけ小さいのよ」

 

「女の人がケツの穴の話とかやめてもらえませんかね!」

 

「ほら、そんなこと言ってると上井草が挨拶済ませちゃうわよ」

 

「へ?」

 

先生が指差した先にはすでにインターフォンを鳴らしている美咲先輩の姿があった。

大丈夫なのだろうかと固唾を呑んでじっと待っていると、扉の先に誰かのシルエットが浮かんだ。

 

それを確認すると、美咲先輩が突然後ろに下がり始めた。何をするのかといやな予感がして止めようとすると、扉が開いた。

 

「い、いらっしゃいぃ!!?」

 

「よろしくだどーん!」

 

扉を開いたのは高校生の男子に見えたが、助走をつけた美咲先輩のジャンピングラリアットによってすぐに姿を消した。

 

「おい、馬鹿!美咲、やりすぎだ今の」

 

「テヘ☆」

 

「テヘ☆、で済むレベルじゃなかったですよ美咲先輩⁉︎」

 

「ならば後輩君も受けるがいい!ジャンピングスラッシャーシャキーン!」

 

「ぐえっ!!?」

 

何故か俺まで攻撃を受ける羽目になった。

 

「はっ!俺は一体…」

 

どうやら美咲先輩に仕留められた少年が目を覚ましたようだ。

 

「だ、大丈夫うさ君?」

 

仕留められた少年に女子が一名近寄って行く。ショートヘアで大人しそうな雰囲気の女子だ。

 

「せ、先輩⁉︎俺は一体」

 

「安心したまえ少年!私は手加減した!」

 

そういう問題では無いと思う。

美咲先輩はシャキーンと言いながらボルトのポーズを取っている。変人扱い決定だ。

 

「こんばんは、今日はお世話になります三鷹仁です」

 

仁さんは何も無かったかのように挨拶を進めている。あの人よくこの状況で普通でいられるなぁ…

 

「さあ!君達の名前はなんて言うんだい?教えておくれよ!」

 

「美咲先輩、そんなにいきなり絡んだら混乱しちゃいますよ」

 

ショートヘアの美少女と美咲先輩に倒された少年にグイグイ詰め寄るを無理やり引っ張り剥がした。

 

「え、えーと、俺うさって言います。高1っす」

 

「河合律…高2」

 

二人はそう名乗ってくれた。

 

「おお〜!うさぴょんにりったんだね!あれ?けどりったんだと被っちゃうな…よし!りっちんにしよう!」

 

「え、それはその…」

 

美咲先輩の急な名付けにどうしていいか分からない河合先輩はあたふたとしている。これは助け舟を出した方が良さそうだ。

 

「ちょっと、美咲先輩…これ以上この人達を困らせちゃダメですって!そもそもなんでここに来たんですか?」

 

「こーはいくん!私、食パンは耳から食べる派なんだ!」

 

「せめて会話して貰えませんか⁉︎」

 

「そんなん決まってるもーん!今日は"ニャボロン大成功、お疲れアーンド〇〇荘交流鍋パーティーをするぞー!おー!」

 

突然の鍋パーティー開催宣告をされ、俺は宇宙人と会話するのをやめた。

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