緋弾のアリア -瑠璃神に愛されし武偵-   作:あこ姫

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はい。と、いうわけでクロスオーバー第2弾です。
今回より戦闘に入っていきます。

では、どーぞっ!

今回もSide_NayuとSide_shuyaの二本立てです。

Side_Shuyaはこちら→https://syosetu.org/novel/128299/4.html


第002射 接触(セッション)———猛襲の機械兵(マリオネット・フォース) Side_Nayu ★

「はい到着……っと」

 

 私とヒメの瞬間移動(テレポート)で到着したのは原生林であった。

 座標的に奥多摩の相手様の本拠地に近いはずなんだけど…………

 

「こんなの何処にあるか解んないじゃん、コレぇ!」

 

 私が思いかけていた事をヒメがきっちり代弁していた。てか、そんなに大声で叫ぶなし。

 

「結衣ちゃん…………そんなに大声で叫ぶと見つかるよ!?」

 

 凛音が、慌てた様子でヒメを制止する。

 

「大丈夫でしょ…………。見つかったら記憶消すか、ぶちのめせばいいだけだし」

「「「「……………………」」」」

 

 私を除く4人が言葉を失っていた。

 確かにその通りなんだけども! 確かにそうなんだよ! 

 現にイ・ウー時代は私もそうやっていたけども! 

 でも今それやったらマズイの! それぐらい解ってろよ! この脳筋思考(バカ)! 

 

「……なぁ、姫神(アイツ)何時もあんな感じなのか……?」

 

 樋熊君、かなり呆れてるじゃん! 

 

「…………恥ずかしい事に、毎回」

 

 私は深い溜息をつきながら答える。

 上手く行くのかなぁ…………。コレ。のっけから超不安なんですけど…………。

 

「た、多分大丈夫だよ! 私達がサポートするから!」

「そうですよ。そんなに思い詰めないでください」

「あ、ありがとう…………」

 

 凜音ちゃんと歳那ちゃんが励ましの言葉をかけてくれて、更にフォローを買って出てくれた。

 マジで貴女達いてくれてよかったわ。私一人だと負担が大きくてしょうがない。

 

「ねぇ、早く行こうよー」

 

 結衣(バカ)はそんなのお構いなしに私達に催促していた。

 貴女のことの話題なのに……ねぇ……。

 全く……一度氷漬けにしてやろうかしら。そうしなきゃ気が済まん。

 

「おーい……。顔が怖いことになってんぞ」

 

 樋熊君が呆れ顔で指摘してくれた。

 

「あっ……ごめん///」

 

 私も大概だったな。コレ。結衣(バカ)と同類扱いされちゃいそうだ。その恥ずかしさもあって超赤面の私である。

 

「……で、どうするんだ」

 

 完璧なポーカーフェイスを取った樋熊君が尋ねる。

 

「んーやっぱり地道に聞き込みじゃない?」

「そうね。それが最善策ね」

「じゃあ……あそこの川で釣りしている人に聞いてみよーよ」

 

 ヒメが指をさした方向にある川には釣りをしているオッサンがいた。

 この辺は清流で鱒とか釣れるからだろう。

 

 ……とか、思ってたら、マキの

 

「で、誰が聞きに行くの?」

 

 この言葉でオッサンに話を聞く前に誰が行くかと話し合いになった。

 

「……この中で釣りの経験がある人、挙手」

 

 樋熊君の釣り経験者を募る。

 

「私あるよ」

 

 と、マキ。

 

「私も」

 

 と、私も挙手。

 イ・ウーに居た頃はヒマあれば息抜きにやってたのよね。よく一緒にやってたのはアキ、ブラドとかだけど、偶に教授(シャーロック)

 

「私は無いかな」

 

 と、凛音。

 

「私もありません」

 

 と、歳那。

 

「私もー」

 

 と、結衣。

 結衣は炎系だから水場に一切近づかなかったのよね。故にアリアと同じく泳げないwww

 

「俺も一応ある。じゃあ、釣り経験者から選別するから———俺とマキと水無瀬の中からで良いな?」

 

 樋熊君の言葉に私を含めた全員は頷く。

 

「で、接触者だが……自分でこういうのはあんまりかもしれないが、俺はこういうのには向いていないと思う。特に相手が男性である場合は尚更な」

 

 樋熊君の言葉に一理ある。

 確かにこの場面、女子の方が聞き出せそうな気がする。CVR……所謂ハニトラ的技術関連の理由っぽいけど。

 後は、山奥で男子と話して嬉しいやつはいないと思う。これは重要じゃないかな。

 ……となれば、

 

「じゃあ、私かマキの方がいいってこと?」

 

 私がそう提案すると、

 

「……そうなるな。正直申し訳ないとは思ってる」

 

 樋熊君は肯定し、若干俯いた。

 

「気にしないで。私達チームでしょ?」

 

 私は樋熊君を励ます為に今自分が思っていたことを伝える。

 そして、私の言葉にマキが続ける。

 

「そうだよ。困った時こそ助け合うのがチームだよ? ……それに」

「私たちチームメンバーなんだから、そこまで謝ることはないと思うよ? 人には得意不向きがあるものなんだから」

「……そう……だな」

 

 私とマキの言葉に樋熊君は顔を上げた。

 

「ありがとう」

 

 樋熊君の感謝の言葉。

 それを素直に受け取っておくべきなのだろうけど……ね、

 

「そんな、感謝されるほどのことじゃないよ」

「そうだよ、これも助け合うことだしね」

 

 私とマキが揃って同じようなことを言った。

 さて、聞き込みの候補者は絞られた。

 

「じゃあ、私と凪優どっちが行く?」

 

 マキも同じ事を思っていたようだ。

 

「んー、私の方がいいんじゃないかな?」

 

 普段はあまり自身を推さないけれど、ここでは敢えて立候補した。

「なんで?」

 

 これにはマキも疑問が隠せなかったみたいだけど、これにはしっかりとした根拠がある。

 

「マキは諜報よりの武偵だから抜き足(スニーキング)の能力が高過ぎるってところから、こういう場面じゃあまり向いてないと思うんだよね」

 

 気配もなく背後から来ると人は警戒心を高めちゃうから判断したのだけれども。

 

「———たしかに。じゃあ凪優、お願いしても良い?」

 

 マキは私の発言に納得したみたいだ。

 

「俺からも頼んで良いか」

「良いよ」

 

 こうして、話し合いの結果、オッサンへの聞き込みは私がする事になった。

 何も持ってないと不自然だし、釣り道具一式持って行こう。

 釣り道具はタロットの『愚者』の能力の一つ、『愚者のセカイ』で用意した。

 こういう場面ですごく重宝されるのよね。どんな荷物でも格納できちゃうし、何時でも取り出せるから、デカいバッグとか要らないじゃん。

 私が聞き込みに行っている間は、残りメンバーは木陰に潜みつつ待機である。

 

「こんにちは。隣いいですか?」

「おぅ……。嬢ちゃんも釣りに来たのか?」

「ええ。このあたりは鱒がよく釣れますから……よっと」

 

 釣りに来て自然に話しかけた体を装う為に実際に釣りを行う。

 久々だな。釣りするの。武偵になってから、何かと忙しくて全然してないものね。

 

「だよなぁ……。ここの鱒は焼くと結構美味いしからなぁ。お……来た」

 

 オッサンはそこそこ大きい鱒を釣り上げた。

 

「ですねぇ……。あ、私も来た」

 

 私もオッサンと同じくらいの鱒を釣り上げた。

 

「へぇ……なかなかやるじゃねぇか。小娘」

「そうですか? あ、まただ」

 

 また鱒を釣り上げた。大きさはそこそこ。

 暫く釣ってたら軽く10匹くらい釣れた。

 釣ったのは一度、鮮度保ちつつ格納して食糧にしますかね。

 

「そんだけ釣れるなら俺も釣りてぇよ」

「……? 何かあったんですか」

「俺は食料調達担当でな。少ないと上からボコられるのよ」

 

『上』……? 何か変な感じがする。

 

「何かの組織の下っ端なんですか、貴方は」

「まぁ……そんなところだ」

 

 肯定してるわぁ……。まさかとは思うけど……。カマかけてみるか。

 

「もしかして、この辺に屯っている組織と何か関係あるとか?」

「……っ! 嬢ちゃん、サツの関係者か!?」

 

 物凄い動揺っぷり……。まさかのビンゴ! でした。

 此処までの大物釣れるとか微塵にも思ってみなかったわ。

 

「私は武偵ですが?」

「『武偵』……。あの何でも屋か。って言ってもまだガキじゃねぇか」

 

 私の答えにオッサンは動揺したものの、私の姿を見て安堵していた。

 

「ええ。確かに私は高2ですよ? でも……」

「何だよ?」

「甘く見ないほうがよろしいですよ?」

「何言ってんだ、お前」

「なら、自分の体の状態を見てみたらどうです?」

「身体……な゛っ……何時の間に!?」

 

 おっさんは驚いていた。

 まぁ、無理もないわな。だって、いつの間にか自分の身体が凍ってるからね。

 ホラ、鮮度保つには血抜きするのが良いじゃん? 

 だけど、今は出来ないし。だったら凍らせておいた方が良いって話なのよね。

 

「さて、これ以上続けるなら氷漬けにするけど? (ニッコリ」

「…………((((;゚Д゚))))」

 

 オッサンはかなり怯えていた。

 吊し上げて本拠地が何処に有るか吐かせよう。

 あれ? なにこのトラウマ発症した顔。そんなにやり過ぎてないはずなんだけど。

 

「……どこがだよ。完全にやり過ぎじゃねぇか」

 

 樋熊君は呆れ顔。

 

「あはは……凪優は変わってないね」

 

 マキも苦笑いだった。

 

「前もあんな感じだったのか……?」

「まぁ……うん。イ・ウーのメンバーってああなる傾向あるみたいだし」

「私は違うけどね」

 

 あ゛ん? 何バカな事言ってんのかなぁ? 結衣ちゃんは。

 

「ヒメのも似たような物じゃん。ってか、お前のは私よりタチ悪いからね?」

「え? そうなの?」

 

 うわぁーお…………無自覚だったんかい。

 

「そうなの! どこに初っ端から精神崩壊させる奴がいるの?」

「してたの?」

 

 まさかとは思っていたがそのまさかだったよ! 

 

「してたわ……! 後処理がおかげで大変になるの!」

 

 もう、今思い出しただけでも泣けてくるわ。あの時は結衣以外の全員で必死に後処理したんだから……。

 

「そうだったんだ。どーりで何も喋らないわけだ。あれ? どうしたの、シュウ君」

 

 うわ、無自覚って……いや、バカって怖いわ。

 

「姫神、それに水無瀬もイ・ウーのメンバーだったのか!?」

 

 樋熊君が驚いて私に問いかける。

 

「え? うん。そうだよ。現役で今はほぼ休学状態だけど」

 

 事実だし、肯定する私。

 

「じゃあ、姫神も?」

「うん。そだよ。私が“隠者”・ミナが“魔術師”だよ」

「水無瀬が“魔術師”って事は『氷天の魔女』なのか……?」

「あー、たしかそんな二つ名もあったっけ」

 

 二つ名で呼ばれてたけど、興味なかったからなぁ…………自分から名乗る時に偶に使うくらいだったし、アレ。

 

「で、姫神が『紅蓮の魔女』…………」

「そう呼ばれることは少ないけどね」

「……マジかよ。マキは知ってたのか?」

「うん。ユイのは初めて聞いたけど、凪優のは前から知ってた」

「どーりで…………。納得行ったわ」

「それはなによりで」

 

 私達が会話している隙に逃げ出そうとしたオッサンは、アッサリ凛音と歳那に捕まっていた。

 バカだなぁ…………。私たちから逃げ出そうなんて考えない方がいいのに。

 その後、樋熊君がオッサンの前に屈んだ。

 

「あのー、あんたらの本拠地教えてくれない?」

 

 樋熊君は穏やかな表情で尋ねた。

 

「誰が言うか」

 

 まぁ、そうだよねぇ……。

 

「頼むよおじさん、あまり酷いことはしたくないんだよ。だからさ、吐いてくれない?」

「駄目だ」

 

 おおぅ……結構口堅いな。

 

「じゃあ、どうなっても知らないよ?」

「何があっても口開かないからな」

 

 あ……、これフラグ立ったかもしんない。

 

「歳那」

「はい」

 

 樋熊君が呼ぶと短く返事をした歳那は、オッサンを立たせると、全員から離れた所へとオッサンを連れて行った。

 

「じゃあ、ちょっくら尋問してくる」

 

 樋熊君はそう言い残すと歳那の後を追った———

 

 5分程して3人が戻ってきた。

 

 えぇ…………。

 

 まず私が抱いた感情がそれだった。

 何故なら、オッサンは顔面蒼白たったからだ。えっと……ここに綴居なかったよね? 

 樋熊君と歳那何したのさ!? 

 

 その結果、本拠地はここからなんと徒歩10分の近さだったので、オッサンに道案内させ本拠地に乗り込む事にした。

 本拠地に着いた直後、樋熊君が此方に銃火器を向けられているのに気づき、私達を庇う様に前へ出た。

 

「嬢ちゃん達、伏せろ!」

 

 更にその前にオッサンが出てきて、私達を庇って撃たれた。

 

「怪我は無い…………な…………?」

 

 私達はオッサンに駆け寄る。

 樋熊君が傷を診ると、首筋を深く殺られていた。

 

「無いよ。なんでこんな真似を!?」

 

 私は必死になってオッサンに問い掛ける。

 

 止血は……出来てない…………。大動脈を殺られてる…………! 

 

「お前さんと同じ年頃の娘がいるんだ。…………親としての矜持だ」

 

 オッサンは苦しい筈なのに、笑顔でそう答えた。

 

「じゃあ、生きてよ! 娘さんと無言の再会なんてダメ!」

 

 オッサンの言葉の直後にマキが口を開いた。

 そうよ、アンタはこんなとこで終わる人じゃないでしょ!? 

 

「嬉しいねぇ。だが俺は今のままじゃあ娘どころか家族にさえも顔向け出来ねぇ。だから、これで良かったんだよ。おい、そこの兄ちゃん」

「なんだ?」

「お前さんがこの嬢ちゃん達をしっかり護れ。そう約束してくれ」

「ああ。約束する」

「頼んだ…………ぜ」

 

 オッサンはそういった後、静かに息絶えた。

 どうしてこんな末路はをオッサンは辿らねばならぬのだ? 私達を案内したが故に裏切り者認定されたのか? 

 それとも、「こんな下っ端なぞ捨て駒に過ぎん」ってか。胸糞悪い。

 私達はオッサンが撃たれた方向を見るとそこには機械人形(オートマタ)が居た。もうぞろぞろとウザイくらいに。

 

「ねぇ、ミナ……これってあれと同型な奴にしか見えないんだけど」

「うわぁ…………確かに。なんて厄介な」

「お前等アレと闘った事あんのか?」

 

 私と結衣が見た事のあるモノに嫌悪感を示すと樋熊君が尋ねる。

 

「まーね。気を付けないと装甲結構硬いからちょっとやそっとじゃ傷つかないんだよね」

「そーそー。無駄に統制機能も高いし、更に厄介なんだよね」

「アレはP(パーソナル)A(アーセナル)A(アーマー)に比べるとどんな感じなんだ?」

水蜜桃(みっちゃん)の乗ってるアレか……。アレは中に人が乗り込むタイプだけどこっちは完全に無人機」

「それに……それよりも戦闘力や武装も比べ物にならないね」

 

 私と結衣はイ・ウー在籍時に実験と称して眼前の機械人形(オートマタ)と闘った事を思い出し、答えた。

 

「なっ……マジかよ」

「それじゃあ……勝ち目はほぼ無いの……?」

「いや、そんな事ないわ」

 

 私はガンホルダーからマテバフルオートモデロ6(セイ)ウニカを取り出し、速射で懐にある制御チップを破壊する。

 私の銃から放たれた.454カスール弾で懐の制御チップを撃ち抜かれた機械人形(オートマタ)は突如として動かなくなった。

 

「制御チップさえ正確に破壊してしまえば、統制命令はおろか、駆動命令も無くなるわ」

「つまり、こうなっちゃえば只のガラクタ。それに中は無人だし9条にも抵触しないよ」

「成程な……何も気にせず全力で行けるわけだ」

「まぁ……そうね。あ、そうだ。シュウヤ君にこれ渡しとく」

 

 そう言って私はカードホルダーから1枚のタロットをシュウヤ君に渡した。

 

「これは…………タロットカードか?」

「そう。戦車(チャリオット)のカードよ。カードを手に持って『来れ(アデアット)』と言えば、貴方の実力を最大限に引き出すことができるはず」

「そうか、ありがとな」

「礼には及ばない。死なないでよね」

「当然だ。そっちこそ死ぬなよ」

「解ってる。死んでたまるもんですか。来れ(アデラット)魔術師(マジシャン)

 

 魔術師のタロットを顕現させる。このカードは最近、瑞穂さんの協力で作り替えたんだよね。

 その効果は

 

術式兵装(プロ・アルマティオーネ)“氷の女王”(クリュスタリネー・パシレイア)

 

 の無詠唱顕現である。

 因みに…………他の術式兵装(プロ・アルマティオーネ)も出来る様にしたんだよね。

 

「ミナ、私のもお願いっ!」

「あんまり無茶しないでよ? 下手するとアンタの術式兵装(プロ・アルマティオーネ)は暴走しちゃうんだし」

 

 そう注意しつつも、ヒメに『隠者(ハーミット)』のタロットを渡す。

 

「解ってるよ。それまでに片をつければいいんでしょ。来れ(アデラット)隠者(ハーミット)! 術式兵装(プロ・アルマティオーネ)・“獄炎(シム・ファブリカートゥス・)煉我(アブ・インケンド)”」

 

 ヒメも無詠唱で獄炎(シム・ファブリカートゥス・)煉我(アブ・インケンド)の形態に変化する。その直後だった。複数の機械人形(オートマタ)が私めがけ襲ってきたのは。

 

「か弱いJKに団体様てえげつな…………」

 

 そう言って私は腰の日本刀(長刀)を抜く。

 直後、何故か「お前がか弱い訳がないだろ…………」的な事を言われた気がしたので、「何か文句でも?」と笑顔で濃密な殺気とともに御返ししておく。

 全く、失礼な……! こうなったら、その八つ当たりもアイツ等にしておこう。

 

エクスキューショナーソード(エンシス・エクセクエンス)

 

 そして日本刀を術式で纏う。

 本当はこの術式は右手に顕現させる技だけど、こういう感じにもできちゃうんだよね。

 

「せりゃぁっ」

 

 一気に振り抜いて襲ってきた奴らをぶった斬る。

 この術式、結論から言うと消し飛ぶんだよね。全部。

 んなもんで、9条がある以上、対人では使えないんだよね。イ・ウー時代は遠慮なしに多用してたけど。

 でも……無人機だし、殺人もないから今回は問題ないよね☆

 第2波・第3波・第4波・第5波と襲ってくる軍団を私はそれを次々にぶった斬る。そしておまけに自身を独楽の軸に見立てて回転しての広範囲への攻撃。

 第6波~第12波が一気に来たので、

 

契約に従い(ヒュバクソン・テーン・)我に応えよ(ディアテーケーン・アクソン・メ・)闇と氷雪と(アイオニア・パシリッサ・トゥ・)永遠の(スコトゥス・カイ・)女王(テース・キオノス)咲きわたる(アンティスメナ・)氷の(レウカ・ロダ・)白薔薇(トゥ・バグ・)眠れる(ケーポス・)永劫(アテルモノス・エン・)庭園(ヒュブノイ)! 来れ(エピゲネーテートー・)永久の(タイオーニオン・)(エレボス・)永遠の(ハイオーニエ・)氷河(クリュスタレ)! 氷れる(メタ・トゥ・)雷をもて(プシュクル・ケラウヌ・)魂なき(シュラブ・タ・)人形を(アプシカ・)囚えよ(ヒュポケイリア)妙なる(タウマステ・)静謐(ガレーネー)白薔薇(レウカ・ロダ・)咲き乱れる(アンティスメナ・)永遠の(アイオーニオン・)牢獄(デスモーテーリオン)終わりなく(アペラントス・)白き(レウコス・)九天(ウラノス)!」

 

 雷を纏った氷の竜巻がその周囲に氷の荊棘を伸ばしながら触れた機械人形(オートマタ)を一度に凍らせていく。機械人形(オートマタ)達も抵抗といわんばかりに障壁を展開させているが、そんなのお構いなしに障壁諸共凍らせていく。

 まぁ、これも肉体が壊れず精神だけが生き永らえ、恐怖が永遠に続くから、並の人間であれば間違い無く精神が崩壊するという精神殺しの技である。

 幾ら肉体は殺しいてないといえど、精神はバッチリ殺しているので、9条に抵触すると思って対人戦では自制しているが、今のコイツ等は無人だから、問題はない。

 結衣の方も燃える天空(ウーラニア・フロゴーシス)で容赦なく殲滅していた。

 直後、通信が入った。

 

「ミナ、あの術式使うんでしょ。だったら、今しかないよ!」

 

 私達全員の奮闘もあって半分位までは減った。範囲内には収まるだろう。

 私はフィールドの中心点上空に移動する。

 

「全員、聞こえる? 今から残ってる奴らを私がいる所を中心にして、150ft(およそ45m)四方までの範囲内に機械人形(オートマタ)を誘導させて!」

 

 インカムで全員に指示を飛ばす。

 

「「「「「了解!!!!!!」」」」

 

 機械人形(オートマタ)が範囲内に誘導される。

 

「ヒメ!」

「解ってる! 瞬間移動(テレポート)ぉ!!」

 

 その後、巻き添え防止のため、シュウヤ君達をヒメの瞬間移動で上空に避難させてからのトドメの一撃。

 

契約に従い、(ト・シュンボライオン・)我に従え、(ディアーコネートー・モイ・へー・)氷の女王。(クリュスタリネー・バシレイア)来れ、(エピゲネーテートー・)とこしえの(タイオーニオン・)やみ(エレボス・)えいえんのひょうが(ハイオーニエ・クリュスタレ)!!」

 

 150ft。その範囲内全てが凍る。だが今回はこれだけでは終わらない。

 

全ての(パーサイス・)命ある者に(ゾーアイス・)等しき死を(トン・イソン・タナトン・)其は(ホス・)安らぎ也(アタラクシア)おわる(コズミケー・)せかい(カタストロフェー)”」

 

 凍結した機械人形(オートマタ)を完全に残す事なく粉砕する。別に対象を氷の中に半永久的に閉じ込める“こおるせかい(ムンドゥス・ゲラーンス)”でも良かったのだが、跡形も無く消したかったので、今回は此方にした。勿論、これも対人禁止技である。

 

「こんなものかな。協力感謝するわ」

「気にすんな。同じパーティなんだから。……てか最後の凄まじいな」

「まぁ……私の最凶技だしね」

「そんな大技使って大丈夫なのか……?」

「うん。それは問題無い。回復しとくし」

 

 そう言って私は『術式兵装(プロ・アルマティオーネ)“氷の女王”(クリュスタリネー・パシレイア)』を解除し、腰に下げているポーチから回復結晶(※能力者必須の回復アイテム)で今消費した分の回復を行う。

 

「さて……次、行こうか」

「「「「「ああ! (うん!)(はい!)」」」」

 

 私達は次の敵が待ち構えるフロアへと向かった。

 

「あ、水無瀬、ちょっと良いか」

「ん、どうしたの?」

 

 樋熊君に呼び止められた。

 

「俺の頼みを……2つ聞いてくれないか?」

「いいけど、どんな頼み?」

 

 私は予想もつかなかったし、首を傾げる。

 

「1つ目は、この任務クエストが終わったら、あのオッサンを遺族の元に返してあげるのを手伝ってくれないか?」

「もちろん。寧ろ断る理由なんてないよ」

 

 元々、そうするつもりだったからね。

 

「そうか、ありがとう。で、2つ目だが———」

 

 樋熊君は改まって私の方を向いた。

 

「お前に俺の情報(体質)を教えた奴が誰なのかを教えてくれ」

 

 ……………………《アレ》のことねぇ……。

 

「———分かった。でも、あまり多くは語れないよ?」

 

 一応は機密度SSSの代物だしね。

 

「機密保持と身の安全のためだろ? その事なら重々承知している。だから、話せる所まででいい」

「了解。じゃあ、私からも1つお願い」

「私のことを『凪優』って呼んでほしいな」

 

 苗字呼びってのも他人行儀すぎてちょっと好ましくないんだよね。それに……交換条件くらいあってもいいじゃない。これくらいなら安いもんでしょ? 

 

「まあ、それくらいなら構わないぞ———()()

 あ、()()()()が照れてる。一瞬、『カワイイ』と思った私が居たよ、ここに。

 

「じゃあ、皆んなが待ってるし行こうか」

「そうだな」

 

 私とシュウヤは皆んなと合流するために再び進み始めた。

 

 

 続くんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 




如何だったでしょうか。
シュウヤ君達もちゃんと活躍(無双)してますよ!
ヒメちゃんもキッチリド派手に殲滅してます。

駄文でそこまで表現できず、凪優だけの描写になってしまってました。
あと、オッサンェ・・・・・・・。
なんて不運なキャラなんだ・・・・!
自分の生き様を貫いたオッサン。
皆は忘れないであげてください。

次は雑魚の構成員戦かなと思ってます。

また第3射でお会いしませう。

ではでは。

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