緋弾のアリア -瑠璃神に愛されし武偵-   作:あこ姫

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コラボ第3話です。

今回は結衣ちゃん達が主役のお話です。
今作の主人公のメインの出番は次回の第004射です。

今回はなんと、結衣・マキ・凛音・歳那の4人視点でお送りします。

Side_Maki→https://syosetu.org/novel/128299/5.html
Side_Rinne→https://syosetu.org/novel/128299/6.html
Side_seina→https://syosetu.org/novel/128299/7.html


どうぞ!


第003射 攻防(ブロッキング)———可憐なる舞踏(フレイムダンス) Side_Yui ★

 ミナの最凶技、「おわるせかい(コズミケー・カタストロフェー)」で跡形も無く機械人形(オートマタ)を葬り去った私達は次のフロア……3階にある闘技場で食事タイムで休憩していた。

 私的にこの建物に闘技場が無いフロアが存在しないと思うのは気のせいだろうか? 

 

 そういう考察は置いといてだね……

 

「敵陣のど真ん中でなにしてんの?!」

 

 とか思うだろうが私達に認識阻害の術式を掛けてあるので相手からは見えないし問題は無い。それに、

 

「腹が減っては戦ができぬ」

 

 って言うじゃん。これ大事。

 敵の気配もこの周辺は無いから無問題(モーマンタイ)

 

「ネタが古い」

 

 ……? んなもん気にすんな。

 食事内容は…………アレだよ。ミナが漢を貫いて散ったオッサンを尋問した時に釣ってた鱒。それの塩焼き。

 火の方は私の方で用意した。こういう時の炎系能力者は便利だよね! 

 そんな事はさておいて。

 

 ミーティングだよね。先ずは。

 この先何があるか予想もつかないし、大体の対策を改めてここで講じておいたほうがいいだろうと考えていると…………。

 

「「「「「………………………………………………」」」」」

 

 何故かミナを含めた私以外全員の視線がこちらに向いている。

 

「…………何なの、一体」

「「「「「いや、珍しいこともあるもんだなぁ……と」」」」」

 

 いきなり何を言い出すんだ、コイツ等。

 

「何が」

「「「「「ヒメ(姫神)(結衣)(結衣ちゃん)(結衣さん)がそんなこと考えるなんて」」」」」

 

 全員が一字一句違わずにハモってそう答えた。

 ぇえ!? 幾らなんでもそれ、酷くないかな!? 

 確かに私のモットーは

 

「猪突猛進」

 

 だけども! 

 それでも、最低限の策くらい講じてから行動するからね!? 

 つーか、ミナ、お前はそれ解ってるだろ? ワザとか!? 態とだったらタチ悪いよ!? 

 

「いや、だってアンタ、そんなこと一度もなかったじゃん」

「ソロでの任務の時はマトモにやってるよ!? 失礼な」

「あーそうだった、そうだった。メンゴメンゴwwww」

 

 笑ってやがるよ……コイツは。さっき仕返しのつもりか? 

 なんなの……もう。

 呆れているのもつかの間だった。

 

「…………っ! ねぇ、ミナ」

 

 何か、居る。そんな気配を感じた。

 

「ん? どうしたのさ、ヒメ」

「感じるよ」

「マジか……」

 

 私の言葉にミナ……凪優も警戒心を高める。

 

「……?」

 

 私と凪優の発言が何のことかサッパリな歳那は首を傾げていた。

 

「どうかしたの、2人とも」

 

 凛音が代表して質問する。

 

「敵襲。しかもいっぱい」

 

 私は時間もないし簡潔に答える。

 

「何人くらいなの、結衣」

「んーと、ざっと118人位かな」

「多いな。個々の強さはどれくらいなんだ、姫神」

「まぁ、そんなに強くない。そこそこ強いのが18人。あとは雑魚だね」

 

 

 雑魚は群れすぎてウザい感が無くもない。

 

「そうか。じゃあ、全員で突破の方が最善策だな…………」

「いや、私とシュウヤは先に進んだほうがいいと思う」

 

 柊弥の策に凪優は異を唱えた。

 

「……どうしてだ」

「だって、その奥に居るんだよ」

 

 凪優の言いたい事を私が代弁した。

 

「『居る』……?」

「うん。今来る奴等よりもはるかに格上の奴が居る」

 

 私と茉稀で対処しても良いとは思うんだけど、凪優と柊弥が対処した方が確実だし時短になるだろう。

 

「……成程。その手練は私とシュウヤで対処したほうが良さそうね」

 

 凪優は私の意図に気付いたらしい。

 流石は付き合いが長いだけある。

 

「大丈夫なのか? 相手の人数も多いが」

「大丈夫だって、シュウ君。私達がそんなに簡単に負けると思う?」

「そうだよ。私達なら心配ないから」

「シュウヤさん達は先に進んでください」

「解った。ここは頼む」

 

 柊弥の方は茉稀達を心配していたが、逆に茉稀達に諭され折れたようだ。

 

「不様に負けんなよ、結衣」

「誰がそんな負け方するとでも? そっちこそさっさと終わらせて来なよ、凪優」

「もとからそのつもりよ」

 

 私と凪優は相変わらずな減らず口を叩き合う。

 だが、これがいい。適度に引き締まるからな。

 

「凪優」

「ええ。行こう、シュウヤ」

 

 凪優と柊弥は次のフロアへ向かう為、歩を進めた。

 2人の姿が見えなくなったところで扉が開き、構成員+幹部が雪崩込んできた。

 

「たった4人でこの数に挑むとか正気か、小娘達」

「お生憎、正気なんだよね。さっさと倒れなさい」

 

 正直、お前達みたいな雑魚を相手する時間は短時間で済ませたいんだよ。

 

「中々、上物ばっかりだな」

「………………サイテー」

 

 マキが嫌悪感を示していた。

 無理もねぇわ。私だったらもっと酷い対応になるだろうな。確実に。

 

「なー、ボスこの娘達生け捕りにしてお持ち帰りにしてもイイっすよね?」

 

 は……? 何言ってんだこの下衆は。

 

「……好きにしろ」

「よっしゃあ! 痛くしねぇから安心しな。嬢ちゃん達」

「誰が安心なんてできるか。つか、とっとと消えろ」

 

 うわぁ…………凛音()()キレてる……。

 無理もないか。間違えて殺さないといいけど。

 

「私達に大人しくお縄につかれなさい。さもなくば……」

 

『さもなくば……』…………? 

 

「死んだ方がマシな状態にさせます」

 

 え……? 何言ってんの? 歳那。もしかしなくとも「精神的に殺す」の?? 

 いやいや、止めてあげて!? 前科アリ(まくり)の私が言えないことなんだけどさ! 

 

「<来るぞ、さっさと構えろ、結衣>」

 

 きぃぃん! 

 雑魚の剣を日本刀で受け止める。危なっ。翡翠助かった! 

 

「せぇぇいっ!」

 

 そしてそのままソイツを壁まで吹っ飛ばす。

 

「があっ」

 

 雑魚は周りの仲間を巻き添えにして壁に激突し、壁際には雑魚の山が出来た。(※死んでない気絶してるだけ)

 

 ……これでもまだあと112人残ってるんだよなー

 

 と思ってたら、私の服にレーザーポインターの光が照射される。

 そこか…………避けるのは簡単だけど…………ここは絶望を与えておこうか。

 丁度マキと背中合わせ(バック・トゥ・バック)になったので、2人で殺る。

 

 カキンカキンカキンカキンカキンカキンカキンカキンカキンカキンカキンッッッ! 

 

 奴等の発砲した銃弾を日本刀で全て弾いて捌く。

 発砲した雑魚共は

 

「ありえねぇよ……こんなの」

 

 て顔してらwww

 私達的にこんなもん序の口なんだけどな。

 アイコンタクト少し交わしただけで合わせるとかやるじゃん、マキ。

 さて……もう一頑張りしますか……。

 

 

 

 ✽✽✽✽

 

 

 

 雑魚を殆ど片付けた(死んでない)その直後だった。

 

 びゅんっ

 

 何か飛んできた。

 これは…………矢? いや、待てよ? ただの矢じゃないし……となれば『魔法の矢(サギタ・マギカ)』か……成程、能力者もいるってか。

 

魔法の射手・連弾・氷の571矢(サギタ・マギカ・セリエス・グラキアリース)

 

 うわ、多いなぁ!? 

 

魔法の射手 連弾・火の571矢(サギタ・マギカ セリエス イグニス)

 

 

 私は一瞬動揺したが敵と同じ数の炎の矢で迎え撃つ。

 

「へぇ……結構やるのね、小娘」

「そっちこそ、やるじゃん。()()()()

「んなっ……まだ私はピチピチの32歳よ! まだオバさん呼ばわりされのに8年早いわ!」

 

 32歳で「ピチピチ」は無理があるわ。てか、むしろ痛いし最早アウトでしかない。

 しかも、「あと8年早い」て。私的に既にオバさん扱いだとは思うんだけど。

 

「アンタ如きにコレをするのは些か大人気ないんだけどね」

 

 そう言ってオバさんは詠唱を始めた。

 

契約に従い(ト・シュンボライオン・)我に従え(ディアーコネート・モ)氷の女王(ヘー・クリュスタリネー・バシレイア)疾く来たれ(ノーリス・エピゲネーテートー・) 静謐なる (ガレーネー・)千年(バシレイア・トーン・)氷原王国(パゲトゥ・キリオン・エトーン)、千年氷華(アントス・パゲトゥ・キリオン・エトーン)

 

 これって……凪優と同じ術式だよな……。

 

解放・固定(エーミッタム・エト・スタグネット)千年氷華(アントス・パゲトゥ・キリオン・エトーン)術式兵装(プロ・アルマティオーネ)“氷の女王”(クリュスタリネー・パシレイア)

 

 空間が一気に氷に閉ざされる。

 この術式を凪優以外にも使える人いたんだ……けど、凪優よりは随分と格下だな。

 

「ダンマリしてるけどもしかして怖気づいちゃったかしら?」

 

 うわぁ、あの程度で天狗か…………。

『井の中の蛙大海を知らず』ってこの事を言うんだろうね。

 

「まぁ無駄かもだけど貴女の本気見せて見なさいなwww」

 

 あーあ。舐められたもんだな、私。

 だったらお望み通り本気見せるとしますか…………。

 

来れ(アギテー・)深淵の(テネプエラ・)(アピュシイ エンシス・)!! 燃え盛る(インケンデンス エト・)大剣 (インケンディウム・)闇と(カリギニス・)影と(ウンプラエ イニミー・)憎悪と(キティアエ・) 復讐の(デーストルクティオーニス・)大焔(ウルティオーニス)我を焼け(インケンダント・エト・) 彼を焼け(メー・エト・)其は(エウム シント・)ただ(ソールム・)焼き尽くす者(インケンデンテース)奈落の業火(インケンディウムゲイナエ)

術式兵装(プロ・アルマティオーネ)・“獄炎(シム・ファブリカートゥス・)煉我(アブ・インケンド)”」

 

 氷に閉ざされた空間は一変して炎に包まれた。

 

「んなっ…………私の氷が…………」

 

 この一瞬にしてフィールドの支配権が奪われる様に愕然とするオバさん。

 

「(´・д・`)バーカ。この程度で私が怯むとでも?」

「『この程度』ですって……」

 

 私の煽りにまんまとのせられるおばさん。

 

「あぁ……そうだよ。生憎、あんたより格上のが同僚に一緒にいるんでな」

「氷…………まさか、『氷天の魔女』!?」

 

 どうやらオバさんは凪優の事を知っていたようだ。

 というか、寧ろ凪優の事を知らない人は居るのだろうか。

 

「せーかい。じゃあ私のこと知ってるよね?」

「まさか…………お前、『紅蓮の魔女』!?」

「そうだよ。それは裏の二つ名だけどね」

 

 そうそう。イ・ウーで活動している時のね。

 

「だったら…………お前を降した私は最強ってことね! こおる大地(クリュスタリザティオー・テルストリス)!!」

「…………紅き焔(フラグランティア・ルビカンス)

 

 放たれた爆炎は氷の柱をいとも容易く溶かしてオバさん(32・独身)を襲い、モロに喰らったオバさんの術式兵装が解除され、お約束通り地に平伏した。

 

「終わったね…………。結衣」

「あ、マキ、凛音、歳那。そっちも終わったんだ」

「うん。今さっきね」

「他愛もなかったけどね」

「ええ。憂さ晴らしにもなりませんでしたが」

 

 ……と言う割にはスッキリした顔してるけどさ、凛音に歳那は一体何したの!? 

 

「あはは…………」

 

 苦笑いのマキに何があったかは聞いたら負けかも知れない。

 そう思ったその直後だった。

 

 どくん…………。

 

「!?」

 

 いきなり、濃度の強い能力が体内に流れてきた私は膝をついてしまった。

 

「結衣ちゃん!? 大丈夫!?」

 

 マキが私の方に駆け寄る。

 

「来ないで…………! 私を置いて今スグここから逃げてっ!!」

 

 私がそれを制止する。

 

「何馬鹿なこと言ってんの! 結衣がそんな状況なのに置いて逃げる事なんて出来ない!」

 

 マキは激しく私の願いを否定する。

 このままでは暴走が始まり、マキを襲ってしまうだろう。

 それを回避したい私はなんとかして体内を巡る能力を抑えようとする。

 

 あっ……ダメ…………抑えられ……ない…………。

 ヤバ…………い……暴走……しちゃう。

 

「顕現…………翡翠」

 

 私は意識が呑まれていく中、翡翠(相棒)を実体化させる。

 これで、マキ達を死なさずに済むだろう…………。

 翡翠…………後は……頼んだ……よ……

 その直後、私の意識は闇の奥深くに呑み込まれた。

 

Side_Out…………

 

 

 

Side_Nothing

 

「ォォォォォォォォォォォォォォォ」

 

 色金に宿る神の眷属で結衣の相棒である翡翠が顕現し、その後結衣は焔に包まれた。

 そして焔が解除され“術式兵装(プロ・アルマティオーネ)獄炎(シム・ファブリカートゥス・)煉我(アブ・インケンド)”の姿となった結衣は人間とは思えない咆哮を上げて仲間であるはずの茉稀(マキ)に襲いかかった。

 茉稀は慌てて氷華と炎雨を抜刀し、防御をするが、結衣の攻撃の重さは普段とは比べ物にならないほどに重く、防御を破られ、軽く風船のように吹っ飛ばされる。

 茉稀は壁に強く激突した。

 

「マキちゃん!」

「マキさん!」

 

 咄嗟にちゃん付けで呼んでしまったことに気を止める暇もないほどの勢いで、凛音と歳那が茉稀の下へ駆け寄る。

 茉稀は、何かを訴えようとしていた。

 

 何、何を伝えたいの……? 

 

 考えている凜音達の眼前には、ユイが居た。

 今度は凛音と歳那がユイの標的になってしまったようだ。

 2人は直前になるまでユイの存在に気づいておらず、凜音達が気付いた時には……ユイがめのまえにいた。

 このままでは全滅非回避な状況に陥っているその時だった。

 ユイが横から何者から殴り飛ばされた。

 

「大丈夫、二人共?」

 

 女性は何事も無かったかのように凜音と歳那に話しかける。

 

「は、はい……」

「貴女は一体…………」

 

 凛音と歳那は戸惑いながらも口を開いた。

 

「そういう話は後にして。貴女達は茉稀ちゃんにコレを使って」

 

 結衣を殴り飛ばした女性……もとい、翡翠は回復用の結晶を凛音達に渡す。

 復活したユイは標的を翡翠に変えて襲いかかり翡翠はユイの攻撃を防御・回避で受け流していくと同時に凛音と歳那が茉稀の下に急ぎ、翡翠から渡された結晶を使う。

 歳那が使用すると、結晶は眩い光とともに茉稀の傷を癒していく。

 

「マキちゃん大丈夫!?」

「うん……ありがと……。凛音、歳那」

 

 茉稀は、立ち上がり、加勢しようとした。

 

「マキさん、貴女はここで私と一緒にいてください。傷は癒えましたが危険です」

 

 しかし、それを歳那が引き止めた。

 

「え……、でも」

「大丈夫。私が行くから」

 

 凛音が力強くそう言って、腰の日本刀を抜く。

 すると、日本刀の刀身が突如として光で覆われる。

 

「これって……さっき、凪優ちゃんがやってたのと同じ…………」

「うん。何故出来たかは不明なんだけどね。でもこれだったら大丈夫な気がするの」

 

 そういって凛音は微笑んだ。

 

「無茶……しないでよ?」

「解ってる」

 

 茉稀の言葉にそう言った凛音は、こちらを標的に変えたらしいユイを迎え撃つためにその場を後にした。

 

 

 茉稀を頼むよ、歳那。仮に何かあったら、彼に合わせる顔がないんだから。

 その感情と共に。

 

 

 再び凛音に標的を変えたユイが襲いかかってくる。

 翡翠もその後を追うが、度重なる戦闘と長時間の具現化による影響もあって能力の衰退を免れられていなかった事もあり、ユイに追いつくことは難しかった。

 ユイの攻撃が凛音に向かって放たれる。

 

「———ッ! このッ!」

 

 凛音はその攻撃を受け止めると、強引に弾く。

 その間にユイは、私との間合いを詰めてきた。

 

「———ハァッ! 天然理心流———『流水』ッ!」

 

 普段とは打って変わって冷静な凛音は、ユイの攻撃を見切り返り討ちにする。

 どことなく動揺した様子のユイは、何かを生成し始める。

 ユイはこのままでは殺られると思ったのか羽根を生成し上空へ逃れようとする事を理解すると同時に、凛音は反射的に地面を蹴った。

 それにより行われた跳躍は、普段の比にならない程の高さまで上がれる勢いで上昇してくるユイの先へと回り込む。

 

「天然理心流奥義———『乱流』ッ!」

 

 凛音は光を放つ刀身を、乱れる気流の様に振り感覚のみであるが、一振り一振りを正確にユイの翼を細切れにする。

 

「ォォォォォォォォォォォォ」

 

 翼を細切れにされたユイは咆哮を放ち、光と共に消えた。

 

「消え……た?」

「おそらく、瞬間移動で退却したのだろう。すまんな。助かった」

「いいえ。お礼はいいです。貴女は一体……?」

 

 凛音の疑問に答えるかの様に、翡翠は言った。

 

「そうだったな。私の名は翡翠。色金に宿る神の眷属の一人だ」

「色金の眷属…………?」

 

 凛音はピンと来ていなかったようだ。

 

「詳しいことは省くけれど、簡単に言うと色金の神と同等の存在かな」

「そうなの……。で、貴女は結衣ちゃんとどんな関係なの?」

「パートナーだ」

 

 翡翠は簡単に結衣との関係を明かした。

 

「じゃあ、貴女は結衣ちゃんがどうなったのかも解ってるのよね?」

「飽く迄も推測だが、結衣が対峙した奴が仕込んだものによるものだろう」

「『仕込んだ』…………?」

「ああ。おそらくそれには大方『体内を流れる能力のバランスを破壊させる』力があったのだろう」

「それで…………バランスを破壊された結衣ちゃんは」

「お前の考えているとおりだ。自分でも抑えられなくなって暴走したのだろう」

 

 凛音の問いに翡翠は推測ではあるが結衣の身に起こった事を説明する。

 

「じゃあ……貴女が抑えることが出来たんじゃ……」

「その時、私が動ければ出来た。だが、何故か()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ。それでリンクが戻った時には、もう呑まれる寸前だったんだ」

「そんな…………!」

 

 凛音は思いついた仮説を翡翠に問うたが、翡翠からの返答は『否』だった。

 

「抑えるにももう遅かった。これは計画されてたんだろう」

「そっ……か。ゴメン、いきなり責めたりなんかして」

「別に。気にしていない。先ずは回復。その後は凪優達に報告ね」

「うん、解った」

 

 凛音は、翡翠の言葉に頷くと茉稀と歳那の元へと向かった。

 

「マキさん! ……マキさん!」

 

 2人の元へと向かうと、歳那が茉稀のことを必死に呼んでいた。

 

「歳……那?」

「よかった、気がついたみたいですね」

 

 茉稀の無事を確認し、凛音はホッとしていた。

 

「……ユイは?」

 

 茉稀の質問に

 

「ユイは逃げたよ」

 

 翡翠がそう言った。

 

「貴女は?」

 

 翡翠とは初対面な茉稀は質問した。

 

「私は翡翠。ユイの相棒みたいなものさ」

 

 茉稀の質問に手短に答える翡翠。

 

「 色金の眷属の?」

「そう。私は瑠璃色金の眷属」

 

 茉稀は何やら納得したらしい。

 

「ユイは、なにがあったの?」

「恐らくだが、外部からの力により暴走させられたのだと思う」

「……とまあ、今こんな話をしても仕方がない。少し休もう」

「そうですね……」

 

 翡翠の言葉に茉稀は頷いた。

 

「大丈夫ですか?」

「うん、もう平気だよ」

 

 そう言った茉稀は、歳那に見守られながら立ち上がった。

 

「どこに行くの?」

 

 凛音は茉稀を呼び止めた。

 

「連絡しなきゃでしょ? ちょっとシュウ君に連絡してくる」

「うん」

 

 そう言って凛音は茉稀を見送った。

 

 続く。

 

 

 

 

 

 




作中に登場したオバさん(32)は元・英国特殊空挺部隊所属のエリートさんです。
故に組織内でもNo.3の地位に就く程の実力です。

ですが結果は・・・・・瞬殺でしたねwwwwww
並の奴なら、問題はないのでしょう。
ただ、今回は相手が悪かった。
それだけだ。


注釈ですが、マキちゃんがカタカナ表記から漢字表記の「茉稀」に途中で変わっていますが、視点が結衣視点から第三者視点になった事を解りやすくするための措置とお想いください。




暴走した結衣はどうなるのか・・・・?
次回はシュウヤ&凪優VS組織No.1&No.2の予定です。

また次回お会いしませう。
ではでは。

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