緋弾のアリア -瑠璃神に愛されし武偵-   作:あこ姫

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お待たせしました。 コラボの第4話です。
さて・・・・久々の凪優ちゃん視点でお送りします。

最近は凪優ちゃん視点で書いてないから、キャラ崩れあるかもです。


では、どうぞ!

Side_Syuyaはこちら→https://syosetu.org/novel/128299/8.html


第004射 決戦(デュエル)———超乗の一撃(クライシス・スイープ) Side_Nayu ★

 結衣達に軍勢を任せ、私とシュウヤは先に進む道中、再び機械人形(オートマタ)が襲ってきた。

 個々はそんなに強くもないし、なんら気にする事もない──筈なんだけど、リポップ多いだろ。絶対に。

 最初は倒して5秒に1体のリポップだったのが、段々とリポップする間隔が短くなって、0.25秒に1体の割合になってたんだよ。

 この時の私も

 

「もうこれでリポップ間隔短くならないでしょ」

 

 と思ってた時もありましたよ。

 だけど現実は甘くないってハッキリ解んだね。

 今度はリポップする数がどんどんと増えてきて0.25秒に20体のリポップするから、0.0125秒/体の間隔か。

 

 お蔭で今私達の居る通路は黒い(機械人形(オートマタ))しか見えない。通路の床とか壁何処にあるんだよ。

 その黒い奴はもう台所で蠢くGにしか見えんないんだけど。

 殺虫剤撒いても機械人形が駆動停止する訳でも無いし、どうするかな。

 

 なんて考えながらも色金定女で斬り伏せていく。

 それでも減らない黒い奴を相手している時だった。

 

「なあ、凪優」

「なに!」

 

 隣で絶賛応戦中のシュウヤから声が掛かった。

 

「この座標から物の転送できる?」

 

 シュウヤは私の目の前の敵を薙ぎ倒しながら1枚のメモを渡した。

 

「この座標? できるけど」

「飛ばして」

「了解」

 

 そう言った私の手元にはAK-Mが、足元にはリュックサックがあった。

 

「はい」

「ありがとさん」

 

 AK-Mを受け取ったシュウヤは武偵弾『炸裂弾(グレネイド)』を装填し、即座に掃射する。

 これで一度にかなりの数を倒せたことには間違いないんだけど、救援人員じゃないな。人じゃないから『救援物資』がリポップしてきやがる。

 

「埓があかない……」

 

 そう言った私の内心は

 

『ガチでウザったい。もう我慢の限界なんですけど(ニッコリ』

 

 これに尽きる。

 早くこの蠢く奴等を殲☆滅させてぇよ……。

 この後の私の行動は迅速だった。

 

契約に従い(ヒュバクソン・テーン・)我に応えよ(ディアテーケーン・アクソン・メ・)闇と氷雪と(アイオニア・パシリッサ・トゥ・)永遠の(スコトゥス・カイ・)女王(テース・キオノス)

 咲きわたる(アンティスメナ・)氷の(レウカ・ロダ・)白薔薇(トゥ・バグ・)眠れる(ケーポス・)永劫(アテルモノス・エン・)庭園(ヒュブノイ)! 

 来れ(エピゲネーテートー・)永久の(タイオーニオン・)(エレボス・)永遠の(ハイオーニエ・)氷河(クリュスタレ)! 

 氷れる(メタ・トゥ・)雷をもて(プシュクル・ケラウヌ・)魂なき(シュラブ・タ・)人形を(アプシカ・)囚えよ(ヒュポケイリア)

 妙なる(タウマステ・)静謐(ガレーネー)白薔薇(レウカ・ロダ・)咲き乱れる(アンティスメナ・)永遠の(アイオーニオン・)牢獄(デスモーテーリオン)

 終わりなく(アペラントス・)白き(レウコス・)九天(ウラノス)!」

 

 雷を纏った氷の竜巻がその周囲に氷の荊棘を伸ばしながら触れた機械人形(オートマタ)を一度に凍らせていく。

 機械人形(オートマタ)達も抵抗といわんばかりに障壁を展開させているが、そんなのお構いなしに障壁諸共凍らせていく。

 そして序でに機械人形(オートマタ)の発生装置も破壊しておいた。

 

「あーっ、スッキリしたぁ」

 

 私はそう言って満面の笑顔でその隣ではシュウヤがドン引きしていた。

 まぁ……なんつーか、解らなくもないよ、うん。シュウヤの気持ちは。

 でもこうあからさまにされると、傷つくわ。

 

「ぶろーくん・はーと」って奴よ。それが()()の相手だったら尚更ね? 

 

 

 

 …………閑話休題。

終わりなく(アペラントス・)白き(レウコス・)九天(ウラノス)』で遮蔽物を全て抹消し、私達は通路をひたすらに進む。

 すると暫くして、何処かの部屋に辿り着く。

 ここは…………さっきの闘技場と構造が似てるって事は此処も闘技場となれば、1フロアに最低でも1つは闘技場有る事になるのか……? 

 

 思うんだけど、組織の予算の使い方間違っているだろ?! どんだけ戦闘狂の集まりなんだよ、此処は。イ・ウーでも此処まで闘技場は無いぞ!? 

 シュウヤも呆れてるだろうな。

 そしてこの闘技場、無駄に広い。さっきの闘技場よりも広い。

 本当にこの組織、『ネオランビス・アスティル』の資金使用方法が大丈夫かと思えてくる。

 私が見る限り、この闘技場には罠の類いは仕掛けられてない様だ。

 

「さて、どうするかな」

 

 そう思った刹那、突如として魔法の矢(サギタ・マギカ)が私達を襲う。

 私は左に、シュウヤは右に難無く回避した直後に中央に巨大な障壁が出現した。

 私とシュウヤを分断するのが目的だったか……。

 この障壁を破壊する事は不可能ではないが、無駄に能力を使う訳には行かない。

 此処は現れる敵を個別撃破するのが最善策だろう。

 

「そう。それが最善手や。やけど、ウチを倒せたらの話やけど」

 

 声のした方向を見ると、そこには蒼髪にオレンジのメッシュが特徴で碧と朱鷺色のオッドアイの私と同年齢の少女が居た。依頼書の情報通りだと名前は確か…………

 

「貴女、(たちばな)琴葉(ことは)ね」

「そう。そういうジブンは水無瀬凪優やろ」

「そうよ。結構有名なのね、私」

「そらそうやろ。あんたは裏でも結構有名やからな」

 

 やっぱり私の異名『氷天の魔女』は伊達じゃないって訳か。

 

「そっかぁ…………そんなに有名だったんだ、私。まぁそれはさておき。橘琴葉、貴女、こちらにおとなしく投降する気は有る?」

「凪優、それは愚問や。ウチを投降させるのであれば、三本勝負で勝つことや」

 

『三本勝負』……? 何をする気? 

 

「三本…………勝負」

「うん。1戦目は拳銃だけの勝負、2戦目は刀剣だけの勝負、3戦目は何でも有りの勝負や」

 

 なるほどねぇ……私、今凄くワクワクしてる。スイッチ入るとこう思うのは昔から変わらないな。

 

「どう? ワクワクするやろ? 凪優」

 

 私の思考を読むかのような琴葉の発言。

 

「確かに凄くワクワクしてる。良いよ。面白いからその勝負乗ってやんよ!」

 

 今の私に断る道理も無いのでその勝負に乗った。

 

「さよか。やったら、改めて名乗らせて貰うわ。『ネオランビス・アスティル』首領、『羅威撃(らいげき)』橘琴葉…………」

「『イ・ウー研鑽派(ダイオ・ノマド)』党首、『氷天の魔女』水無瀬凪優…………」

 

 琴葉が名乗ったので私も名乗る。

 

「「いざ、参る!!!!!」」

 

 二人がハモり、お互いがホルダーから拳銃を取り出す。

 琴葉が取り出した拳銃はイタリア・ベレッタ社が1977年に対テロ用として開発した拳銃、「ベレッタM93R」、対する私が取り出した拳銃はイタリア・マテバ社が1996年に開発した半自動作動方式の回転式拳銃(リボルバー)、「MATEBA(マテバ) Modello(モデロ) 6 (セイ)Unica(ウニカ)」である。

 私と琴葉、互いに牽制の意を込めて銃弾を放ち、2人の放った一発はお互いに相殺される。

 琴葉の持つM93Rの装弾数は20、対して私の 6 (セイ)Unica(ウニカ)の装弾数は6……。

 連鎖撃ち(キャノン)五重奏(クィンテット)で全弾弾きつつ攻撃した方が良さそうだ。でないと、手数で負ける…………。

 

連鎖撃ち(キャノン)五重奏(クィンテット)

 

 私は一発の銃弾で琴葉の銃弾五発を全て相殺する。

 それが全部で四発。だから五×四=二十発。つまりは琴葉のM93の全銃弾をこれで相殺できる……。そして、私が発砲した銃弾は六発。だから残りの二発で琴葉にダメージを与える事ができる…………! 

 

「中々におもろい手段やけど、甘いねん。ウチへ簡単にダメージを与えられると思ったら大間違いやで!」

 

 私の策を嘲笑うかのように琴葉は『ベレッタPx4』をホルスターから取り出し追撃を加え、ベレッタPx4の銃弾によって私の放った銃弾は連鎖撃ち(キャノン)で叩き落とされ残りの8発は私を襲う。

 私は負けじとホルスターからブラジル・トーラス社が2008年に製造した『トーラス ジャッジ M513 ジャッジマグナム』を取り出し応戦する。

 

連鎖撃ち(キャノン)四重奏(カルテット)』で全て撃ち落とし、残弾で琴葉に向かって『銃弾延髄切り(ゲットー・ブラスター)』を行うが、琴葉はそれを読んでいたかのごとく全て紙一重で回避する。

 紙一重で回避されたことによって尚更に私のフラストレーションも溜まり、あろう事か焦りが出てくる私。

 現状は完全な「拳銃格闘(アル=カタ)」の状態である。

 

 互いの実力が拮抗しているそれは、(さなが)ら将棋の──それも、一手のミスすら許されぬ──終盤戦の如く。

 己に僅かにでも焦りが生じれば、形勢は逆転する。逆もまた然りではあるが、兎に角、油断はならない。

 そんな緊迫した状況に今、私は置かれているのだ。

 一手一手の鋭撃を躱し、避け──相手のミスを窺うこの戦況で、まさか、判断を間違えるとは思いもよらなかった。

 あろう事か、読み間違えをしてしまい琴葉の銃弾を捌ききれずにモロに受けてしまった。

 モロに受けてしまった事で怯む私。そうなる事によって必然と出来る隙。

 この生じてしまった一瞬の隙によって、流れが完全に琴葉の方へ傾いてしまった。

 私も流れの修正を試みるが時は既に遅し。

 一度傾いてしまった流れは戻す事は出来ずに……いや、()()()()()()()()()にそのまま、詰め(トドメ)まで持って行かれた。

 

「この勝負、ウチの…………勝ちやね。凪優…………」

 

 ベレッタM93Rの銃口を私の額に突きつけ、勝利宣言を行う琴葉。

 

「確かに…………。この状況じゃあ、私の負けね…………琴葉」

 

 私はこの状況から逆転できない事を理解し(悟り)、素直に負けを認めた。

 

「さてと、立てへん? 凪優? もし無理やったら、ウチが手ぇ貸したる」

「大丈夫…………だって」

 

 そう琴葉に返して私は自分で立ち上がろうとするが、全力でやったが故に体力の殆どを消費してしまっていた。

 立ち上がった瞬間によろけてしまい、更にはふらついて倒れそうになってしまう。

 

「ほら、しっかりしぃ。ウチには凪優がフラフラやって解っとるんやから」

 

 そう言って倒れそうになる私を寸前で受け止め、私を支えてくれた。

 

「…………ゴメン」

 

 私は恥ずかしくなって小さな声で答えた。

 この時、琴葉のカッコ良さに惚れそうになってたのは気の迷いだと信じたい。

 

「凪優、ウチに惚れたんか?」

 

 …………っ! 何この娘。どうしてこんなに核心付いてくるの!? 怖っ!! 

 

「…………ばか」

 

 私は恥ずか死しそうな気持ちを必死に抑え、そう返す。

 私の返しに萌えポイントがあったのか知らないが、琴葉は私から必死に視線を逸らしていた。

 

「凪優、(ずる)いねん……そんなん」

 

 と琴葉が呟いていたのも聞かなかったことにしよう。うん。それがいい。

 

「凪優、これつこて」

 

 そう言って琴葉が私に渡したのは回復結晶だった。

 

「……どうしてこれを私に?」

 

 3本勝負で完封するのなら、そのままダメージを重ねるのが最適なはず。『敵に塩を送る』って奴なのか? 

 

「ちゃうって。ウチは正々堂々、常にお互いが全力の勝負を望んどるだけ。手負いの奴に勝ってもおもんないわ」

「…………ナニソレ。ホントに戦闘狂なんだから」

「こないな性分やねんやからしゃあないやろ」

「ホントにそうね。…………2戦目は刀剣のみの勝負だっけか」

「せやで。今からやるか?」

「いいわ。受けて立つ。『体力回復させなきゃよかった』なんて言わないでよ?」

「言わへんって」

 

 私と琴葉はお互いに腰の鞘に入った刀に手を添え、琴葉は刀を素早く鞘から抜き私に斬りかかる。

 私は一番ダメージが入るタイミングを伺う。その瞬間はごく一瞬。その刹那を逃すわけには行かない。

 私の攻撃範囲に琴葉が踏み始めたその一瞬に鞘から素早く色金定女(イロカネサダメ)を抜く。

 

「巌流…………燕返し!」

 

 私は巌流の居合技を琴葉の脇腹にぶち当てる。

 モロに喰らった琴葉は吹き飛ぶ。

 

 本来、鞘を捨てて行う『巌流・燕返し』は修練次第で鞘有りでもかなりの速度に達することができる。

 

「やるやん。凪優ぅ」

 

 刀を地面に刺して吹っ飛びを軽減させて着地し、ニッと笑みを零す琴葉。

 

「当然。琴葉もその程度じゃないでしょ」

「ウチを舐めるな! 行くで! 凪優!」

「来な」

 

 琴葉は瞬動で間合いを詰め斬りかかり、私はそれを受け止めて弾く。

 琴葉が先程と剣撃の軌道を変えて斬りかかり、私はそれを読んで防いで弾いてカウンターで返すという鍔迫り合いが続く。

 

 鍔迫り合いの膠着状態から先に行動を起こしたのは琴葉だった。

 

「神鳴流奥義……桜花乱舞(おうからんぶ)!」

 

 鍔迫り合いの状態から私は吹き飛ばされる。

 距離を取って体制を取り直すつもりなのだろう。

 そして、吹き飛ばされた私は対応が遅れる…………

 

「なぁーんて思ったら大間違い。甘いんだよ! 巌流……飛燕返し!!」

 

 巌流、飛燕返し。

 それは敵との距離が離れている時に使う間合いを詰めてからの燕返しである。

 虚空瞬動を駆使して吹き飛ばされた際の力もベクトルの向きを変えて接近に使う。

 一気に間合いを詰められた事に琴葉は驚き、防御体制に入るが少し遅かった。

 私の放った一撃は確実に琴葉に入った。

 

「かはっ」

 

 琴葉はその場に蹲ってしまうが、刀を杖がわりにしてなんとか立ち上がり、構え直す。

 

「もう、そろそろ決着付けよ。お互い体力も限界に近いしさ」

「せやな。次の一撃で終いにしよか」

「神鳴流決戦奥義 真・雷光剣!!」

 

 琴葉の刀の剣先に電気エネルギーを帯電させ、剣を振り下ろすと、剣先に蓄えられた電気エネルギーが爆発することで広範囲が破壊されていく。

 限界近い私がこれを喰らえばタダでは済まないであろう。

 

「神鳴流秘剣・一瞬千撃(いっしゅんせんげき)弐刀黒刀五月雨斬(にとうこくとうさみだれぎ)り!!」

 

 私は動じず、手首の速い返しによって、雷撃を一瞬で切り刻む。

 

「う、嘘やろ!? 雷撃を切り刻むなんて規格外すぎるやろ!?」

「私は『魔術師』だよ? 有り得ない事を現実にするのなんて容易きこと。さて、まだ続ける?」

「いや……。負けやで…………。ウチの負けや」

 

 琴葉が両手を挙げて降参の意を示したのを見て私は刀を鞘に戻し、回復結晶を琴葉に投げ渡す。

 

「ホラ、これで回復しときなさいよ」

「……なんや。人の事を『戦闘狂』と言っておいて、ジブンも大概な戦闘狂やね」

「否定はしないわ。事実だもの」

「さよか。次で最後の勝負やけど、やるからには全力で行かせて貰うで? 凪優」

「…………面白い。臨むところよ」

 

 琴葉の回復が終わり、結晶が砕け散ると同時に私と琴葉は右手を前にかざし、詠唱を始める。

 

「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック 契約に従い(ト・シュンボライオン・)我に従え(ディアーコネート・モ)氷の女王(ヘー・クリュスタリネー・バシレイア)疾く来たれ(ノーリス・エピゲネーテートー・) 静謐なる (ガレーネー・)千年(バシレイア・トーン・)氷原王国(パゲトゥ・キリオン・エトーン)千年氷華(アントス・パゲトゥ・キリオン・エトーン)

 

「フォル・ティス・ラ・ティウス・リリス・リリオス 契約に従い(ト・シュンボライオン・)我に従え(ディアーコネート・モ・)高殿の王(モイ・バシレク・ウーラニオーノーン・)来れ(エピゲネーテートー・)巨神を滅ぼす(アイタルース・)燃ゆる立つ(ケラウネ・ホス・ティテーナス・)雷霆(フテイレイン・)遠隔補助(ヤクトゥム・エクステンデンテース・)魔法陣展開(キルクリ・エクシスタント・)第一から第十(カプテント・オブイェクタ・アー・)目標捕捉(プリームム・アド・デキムム・)範囲固定(アーレア・コンステット・)域内(イントゥス・セー・)精霊圧力(プレマント・スピリトゥス・)臨界まで加圧(アド・プレッスーラム・クリティカーレム・)3(トリプス)……2(ドゥオーブス)……臨界圧(モド・)拘束解除(カプトゥラム・ディスユンゲス・)(オムネース・)雷精(スピリトゥス・フルグラノレース・)全力解放(フォルティシメー・エーミッタム・)百重千重と(ヘカトンタキス・カイ・)重なりて(キーリアキス・)走れよ(アストラ・)稲妻(プサトー)千の雷(キーリプル・アストラぺー)

 

 詠唱の終了と共に私は右手の掌に氷属性・広域殲滅の「千年氷華(アントス・パゲトゥ・キリオン・エトーン)」を琴葉は雷属性・広域殲滅の「千の雷(キーリプル・アストラぺー)」を発現させる。

 

解放・固定(エーミッタム・エト・スタグネット)千年氷華(アントス・パゲトゥ・キリオン・エトーン)

解放・固定(エーミッタム・エト・スタグネット)千の雷(キーリプル・アストラぺー)

 

 そして発動遅延の術式を発動させ、右手の掌に術式を留まらせる。

 

「「掌握(コンプレクシオー)」」

 

 この詠唱と共に留まらせた術式を握り潰し、術式自体を自身への力に変換させる。

 

術式兵装(プロ・アルマティオーネ)“氷の女王”(クリュスタリネー・パシレイア)

術式兵装(プロ・アルマティオーネ)・“雷天(へー・アストラぺー・ヒューペル・)大壮(ウーラヌ・メガ・デュナメネー)”」

 

 これによって、私は全身に氷を纏った姿に琴葉は雷神に近しい姿に変化した。

 私と琴葉の変化時に発せられた波導で先程までフィールドの真ん中に(そび)えていた障壁が一瞬で消え去った。

 此処で障壁の耐久力が底を着いたのであろう。

 私と琴葉はそれにお構いなしで3本勝負の最終戦を始めようとした。

 しかし、それができなかった。

 何故ならば、乱入者が多数居たからだ。

 大体はおそらく術式で作り上げた精霊(にんぎょう)である。

 強さは……そこそこといったところか。だが、この数を一人で捌ききるのはキツイ物がある。

 そして精霊(にんぎょう)より強い能力を持つ人(オバさん)が1人。

 姿を見るに「術式兵装(プロ・アルマティオーネ)“氷の女王”(クリュスタリネー・パシレイア)」。詰まるは私と同系統の能力者(ステルス)

 強さ的には私よりは格下だが。

 そしてよく見ると所々が()()()()()

 炎系の能力者(ステルス)…………恐らくは結衣と戦ってあっさり負けたんだろう(笑)

 

「……琴葉、あの人は誰なの?」

「アイツの名前は宮原(みやはら)心晴(こはる)。ネオランビス・アステイルのNo.3で氷の能力者(ステルス)でアイツ自身、自分でお姉ちゃん言っとるけど、実際は32歳でおばちゃんや」

 

 私が琴葉に今現れた女性の説明をしてくれた。

 うん。確かに32歳だと『オバさん』認定だわなwwww。『お姉さん』と呼ぶには抵抗が有るというか……無理だろwwwww

 なんつーか、痛い。

 

「ちょっと、琴葉ちゃん? それは失礼すぎないかしら?」

 

 オバさん……もとい、心晴さんは不服だったようだ。

 

「事実やろ」

 

 琴葉は直球で肯定した。わー、直球だなぁ(棒)

 

「んなっ!? じゃあ、もういいわ……。そういう減らず口叩けなくしてやるわ。そこの侵入者のお嬢ちゃんも一緒にね」

 

 心晴さんは怒り心頭で青筋浮かべながら琴葉にそう告げた。

 ……ん? よく考えたらサラッと私、巻き添えにされてない? 無関係なのに!? 

 

「いや、何言うとんねん……。『侵入者』っちゅう時点で無関係じゃないやろ…………」

 

 私の考えを読んでか、琴葉は呆れながら返した。

 

「あー……そっかぁ。んじゃあ…………共闘してくんない? 琴葉」

 

 私は琴葉にダメ元で共闘を頼んだ。

 

「別にかまへんよ。寧ろウチから頼みたいくらいや」

「そう、良かった。協力お願い」

「了解や」

「話変わるけど、どうするの? 三本勝負の最終戦」

「んー? 『引き分け』でええやろ。こないな状況になってもうたし」

「解ったわ。で、どっちが担当するわけ?」

「凪優はおばちゃんの方や。ウチは精霊(人形)の方を殺るわ」

「了解」

 

 こうして、私と琴葉は共闘して心晴さん+精霊(人形)を(人間は殺さない寸前まで抑えて)殲滅する事になったその時だった。

 

「フッ、クッ、クハハハハハハハ」

「ないよ、剣ないよぉ!!」

 

 私のいるフィールドの反対側から(心底ウザさ満載の)高笑いが聴こえた。

 確か……あっちはシュウヤが闘っていたハズ…………。

 そこではシュウヤが組織のNo.2の男、黒沢(くろさわ)凌牙(りょうが)に追い詰められていた。

 そして、彼の武器である霧雨と雷鳴は遠くに弾き飛ばされて地面に刺さっていた。

 かなり……ヤバい状況だな……。

 そして、あの幹部格の男、確か毒武器が主武装だったはず。……具体的に言うとサルコシニルコリン(筋弛緩薬)入りの無針注射器持ってそうだな……。

 

「あるよ、主武装(毒武器)あるよぉ!!」

 

 そう言って取り出したのはサルコシニルコリン(無針注射器)だった。

 …………おぅふ。凌牙(アイツ)、マジで持ってやがったよ。

 となるとヤベーな。今の状況で武器がないシュウヤには分が悪い。

 だが、霧雨と雷鳴を拾って渡す時間はない。

 だったら…………どうすれば…………

 そう思った時に私の目に入ったのは自分の腰に下げていた刀、色金定女(イロカネサダメ)

 私は即座に色金定女を鞘から抜いてシュウヤへぶん投げた。

 それと同時に色金定女の隣を飛ぶ一本の刀。誰かのと思えば、その刀は琴葉が投げたものだった。

 シュウヤは自身に投げられた二本の日本刀を見事に受け取り反撃に講じた。

 ふぅ……これで大丈夫かな。

 

「…………ねぇ、琴葉、なんで貴女も刀を投げたの?」

「理由? ……ただ、ウチはアイツのやり方が気に喰わへんかった。ただそれだけや」

「そっか」

「凪優……話もエエけど、来るで!!」

 

 その直後、闇属性を纏った吹雪が私を襲う。

 

 アレは……『闇の吹雪(二ウィス・テンペスタース・オブスクランス)』……。

 だったら…………こうするか。

 私は何時もは刀に纏わせて発動させる術式、『エクスキューショナーソード(エンシス・エクセクエンス)』を右手に発現させて闇吹雪をぶった斬った。

 

「へぇ……結構やるじゃない。だったら、これはどう? 捌く事はおろか、回避も難しいわよ?」

 

 心晴さんの放った『氷槍弾雨(ヤクラーティオ・グランディニス)』によって多数の氷の槍が降り注ぐ。

 私は臆さずに複数の氷の刀を操作する『氷刀輪舞』を駆使して全て撃墜する。

 

「だったら…………これでっ!!」

「させないよ」

 

 心晴さんは巨大な氷塊を作り、ぶつける『氷神の戦鎚(マウイ・アクイローニス)』を繰り出そうとした。

 だがしかし。その前に私は『こおる大地(クリュスタリザティオー・テルストリス)』で阻止。

 凍ってしまって動けなくなってしまった心晴さんに私は近づく。

 

「くっ…………。この私が二度も負けるなんて……。もういい、殺してよ」

 

 心晴さんは自棄っぱちでそう言った。

 

「…………殺さないよ。だって今の私は武偵だもん。でもまぁ武装解除くらいはしておくけれどね」

 

 私はそう答え返し、武装破壊技・「氷結(フリーゲランス)武装解除(エクサルマティオー)」を使用する。

 心晴さんの武装は全て破壊された。服は…………当然残してある。

 だって、この場で素っ裸(ぽんぽんすー)は拙いだろう。キッチリ男性が居るこの場で。

 欲情する阿呆も何処からともなく湧き出てくるだろうしな。

 

 そう思っていたら、琴葉とシュウヤも終わったようだ。

 

「あ、2人とも終わったんだ」

「ああ」

「あんな精霊人形(でくのぼー)対した奴やなかったわ。数はウザかったけど」

「流石の琴葉さんでもそう思うのね。何も思ってないと思ったわ」

 

 心晴さんが横から口を挟んだ。皮肉たっぷりである。

 

「いやいや、心晴さん何言うとんねん。ウチかて人間やからな!? あたかも人外みたいに言わんといてくれる!?」

 

 琴葉は心外だったらしく、心晴さんに突っかかる。

 

「「「いや、そんなことないでしょ」」」

 

 まさかのNo.2以外全員からの返答である。

 

「なんでや!! ……てか、それは人外(凪優)だけに言われとうないわ!!!」

「何言ってんの? 私が人外認定な訳無いじゃん」

「「「どの口が言ってるんだよ(んねん)(のよ)」」」

 

 まさかの私以外ハモった返答である。

 シュウヤに言われるとは思ってもみなかったよ…………。

 初戀の相手にそれ言われると落ち込むよ……やっぱ。

 

「ふぅーん、凪優ちゃん、あの男の子、柊弥クンだっけ? 彼のこと好きなんだ?」

「ふぇ……くぁwせdrftgyふじこlp!!!」

 

 いきなり核心を突かれ、日本語がグッバイする私である。

 

「(o^^o)♪ 案外、可愛いところあるじゃない、凪優ちゃんは」

「うにゅぅ~~~~~~~~//////」(きゅぼんっ)

「あらやだかわいい、この娘!! 私のことは『心晴』で良いわよ!」

 

 照れて、恥ずかしさ頂点になって恥ずか死寸前の私は心晴さん……じゃなかった心晴に抱きしめられていた。

 

「おいおい……どうしたんだ? 凪優。つーか、なんだこの状況」

「シュウヤにも原因があると思うんやけど。あと、ハルさんのは何時もの事やから(笑)」

 

 琴葉は「これくらいは日常茶飯事」って気持ちと「鈍いんやな、シュウヤって」という呆れの半々で答えた。

 

「本当にオメデタイ奴等だな、アンタ等は」

 

 この日常系の会話をぶち破ったのは、シュウヤとの闘いに敗れ、縛られた凌牙だった。

 

「あぁん? それはどういう意味や、凌牙」

 

 不機嫌さMaxで凌牙に掴みかかり、尋問しようとする琴葉。

 この時、私が琴葉から感じた『蘭豹と綴を足して2で割ってゆとり先生の殺気をぶち込んだようなもの』を気のせいだと思いたい。割とマジで。

 

「どうしたもこうしたも無いんだよなぁ……。だって、仲間に殺されるわけだしさぁ」

 

 凌牙は狂気じみた笑みを作り、そう答えた。

 

「『()()()()()()()』って一体どういう事!?」

 

 私は凌牙に問い詰めた。

 

「まんまの意味に決まってんじゃんか、凪優さんよぉ。お前のお仲間、えっとぉ……姫神結衣っつたっけか? そいつに俺が細工を施したんだよ」

「『細工』…………」

「あぁ……そうだ。もうそろそろ暴れまわってる頃だろうよ」

「…………てめぇ、何バカなことしてくれやがってんの? 自殺志願者か?」

 

 衝撃の事実を聞いた私は()()()()凌牙の首を絞めていた。

 

「ギブギブギブ……武偵が人を殺すなんて…………」

「知らねぇんだったら、教えてやるよ。暴走した結衣は一番厄介で、闘争本能の赴くがままに行動する理性もない獣なんだよ」

「え……じゃあ、俺の手足になって行動は…………」

「する訳ねぇだろ。その前に殺されて人生終了だろうよ」

「……俺、殺される……のか……?」

 

 私に自身の理想を砕かれ、殺されると知った凌牙の表情は絶望に染まっていた。

 

「でも……凌牙(コイツ)をみすみす見殺しにはせんのやろ? 凪優」

 

 琴葉が私に尋ねた。

 

「当たり前じゃない。今の私は『凍て付く一刀(アイス・エイジ)』。武偵だからね。殺人(コロシ)は御法度だもの」

 

 私は答えた。

 

「……それじゃあ、裏の顔の時は殺すのね」

 

 心晴の質問に……

 

「ま、厄介事持ち込んだとしてその憂さ晴らしに……殺るかもね(笑)」

 

 私は肯定した。

 

「……で、話を戻すんだが、どうするんだ?」

 

 呆れモードを終了したシュウヤはこれからの対策を尋ねた。

 

「止めるしかないでしょ。私達で」

「でも……この人数で大丈夫なんか?」

「キツいね……。引き分けまでは持ち込めるだろうけど」

「そんな…………。じゃあどうするのよ?」

 

 琴葉の質問に対する私の答えに心晴は困惑していた。

 

「だから……止めるには下で別れた仲間と合流するしかない。私の勘だとおそらくは……だし」

「どういう事だ……?」

「多分、既に交戦してる。ま、ユイは逃げただろうがな」

「マジか……。マキ達無事だといいんだが…………」

 

 シュウヤは心配そうな面持ちだった。

 まぁ、無理もない。

 その直後シュウヤに通信が入った。御相手はマキだろう。

 このタイミングでの通信って事は()()()()暴走ユイと交戦していたか。

 シュウヤがマキとの通信を終えた直後だった。

 

「…………っ、凪優ちゃん」

 

 心晴が何かを感じ取ったようだ。

 

「……どしたん、ハルさん」

 

 琴葉が心晴に尋ねる。

 

「……来るわ」

 

 心晴は手短に答えた。

 

「思ったより早いな。まぁ良いや。…………総員、戦闘準備」

 

 私の言葉に戦闘態勢に入るシュウヤ・琴葉・心晴。

 

 そして、私達のめのまえに暴走ユイが顕れた。

 

 続くんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




書いてたら、まさかの10000文字超えて総文字数11082文字。
それがリメイクするとなんと、11440文字。
このSS史上、最長だわ。
これから、こんなに長いのは無い・・・・・と思うよ。たぶんね。


琴葉ちゃんの関西弁の言い回し書くのに苦労した今回。
でも、後々本編にも出したいそんなキャラ。
そして、CVイメージも珍しくあったキャラでもある。

凌牙さんは・・・・・SAO界隈で有名なお人のイメージ強いのよ・・・・。
声もその人と一緒な感じかな・・・・。


次回は暴走ユイ戦(1度目)。
投稿は未定だけどお楽しみにしてくれると嬉しいの。

ではでは。

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